最強のハゲには、男の娘かつ最強電気使いの弟がいる   作:雨を呼ぶてるてる坊主

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「今回、僕の出番は最後のちょこっとだけだから、タイトルがいつもと違うよ。」


十五撃目:兄と隕石事件終了後の話

隕石事件から三日後。この日ホタルは、海岸で出来た深海王(友達)とのごみ拾いに行っており、家には弟子と兄だけだった。

 

 

家ではニュースが流れており、先日の隕石事件が報じられている。

 

 

『Z市は巨大隕石による消滅は避けられたものの、破壊され分裂した隕石群は、町全体に大きな爪痕を残す結果となりました。』

 

 

そんなニュースに、ジェノスは苦言を呈する。

 

 

「あの時・・・ヒーロー協会が俺じゃなく、サイタマ先生に救いを求めていれば・・・、先生達とメタルナイトが協力すれば、被害を最小限に防ぐことが出来た。」

 

 

「でも、メタルナイトってのは自分勝手な奴だったんだろ?どうせ、協力プレイなんて無理だろ。もう気にすんなよ。最小限に防げたと思うぞ。だって、死人が出なかったんだぜ?」

 

 

そう呑気に言うサイタマに、ジェノスは思案する。

 

 

(・・・確かに、ホタル先生の隕石の引っ張りによる勢いの消失。そして、サイタマ先生の一撃で、勢いを大幅に殺されたおかげで、衝撃波も小さなものに済んだ。本来なら、避難シェルターに隠れようが、郊外に逃げようが隕石の衝撃波によって、何もかもが吹き飛ばされていただろう。隕石の破片もホタル先生が原子レベルまで分解した事で、想定よりも被害規模は小さくなった。これは奇跡としか言いようがない。サイタマ先生も未来永劫(みらいえいごう)語り継がれる勇者だと(はや)し立てられても不自然ではない。だが・・・、サイタマ先生は知らない。貴方は今、世間一部ではZ市の一部のビルが崩壊した原因を作った人物として悪役にされている!!)

 

 

しかし、サイタマ本人は悪役にされている事など露知らず、ボーっとしている。

 

 

「・・・・・・?」

 

 

そんなサイタマに気を遣ってか、ジェノスも詳しくは教えようとしない。

 

 

(・・・だがこれは、教えるべきではないな・・・。時が経ちZ市が復興すれば、吠えてる連中も静かになるだろう)

 

 

その時、サイタマが思い出したようにランキングについて話しだす。

 

 

「忘れてた。そういや、俺らのランキング順位上がってんじゃね?」

 

 

「え?ああ・・・上がっていますよ。俺はS級17位から16位に。ホタル先生は不動。そしてサイタマ先生は、C級342位から5位に一気に上がっています。」

 

 

その内容に、サイタマは突っ込みを入れる。

 

 

「・・・5位?342位から5位ってなんじゃそりゃ!おかしくないか!?」

 

 

「いえ、寧ろ一気にA級かS級に昇格してもおかしくないレベルです。災害レベル竜の危機的状況でしたから。もし、ホタル先生がやったように隕石片の被害すらも防ぐ事に成功していたなら、確実にホタル先生と同じ順位まで上がっていたでしょう。」

 

 

「え・・・?・・・???」

 

 

ジェノスの言葉に、サイタマは混乱する。

 

 

「隕石破壊だけでも、十分A級くらいにはなる筈ですが・・・おそらくヒーロー協会が、今回の件はメタルナイトとホタル先生と俺の役割が大きいと、勝手に評価しているのかと・・・。」

 

 

「そういえば、いつも災害レベル鬼だとか虎だとか報道してるな。あれ、意味あんのか?」

 

 

災害レベル

神・・・人類滅亡の危機

竜・・・いくつの町が壊滅する危機

鬼・・・町全体の機能が停止もしくは壊滅の危機

虎・・・不特定多数の生命の危機

狼・・・危険因子となる生物や集団の出現

 

 

サイタマのその疑問に、ジェノスはニヤリと笑いながら解説する。

 

 

「・・・あります。通常、ヒーローはそれを加味して自分が出動するかどうかを判断するものだと思っていましたが、・・・サイタマ先生には関係ないようですね。」

 

 

「いや、当たり前だろ。ヒーローが逃げたら、誰が戦うんだよ。」

 

 

次の瞬間、ジェノスがノートにペンを走らせる!!その勢いに、サイタマは若干引き気味になる。

 

 

「うわぁ・・・何やってんの?」

 

 

「今の言葉を、メモしておこうかと!!」

 

 

そう言ってペンを走らせるジェノスを尻目に、サイタマは外回りに行こうとする。

 

 

「それにしても・・・。うーん、あの程度でこんなにランクが上がるのか・・・。よし、ちょっと外回りでもしてくるわ。」

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━

サイタマが外に出ると、隕石の落下地点から半径2kmほどの建物が倒壊していた。

 

 

(中々の崩壊っぷりだな・・・。まぁ、今までに完全壊滅した町も幾つか見てきたけど、やっぱり自分の住んでる町がこうなると、不便だな・・・。あ、よく行くスーパーもホタルの御陰で無事だったか。俺とホタルを追い出したムカツク大家のアパートは無事か・・・ちっ!!)

 

 

サイタマがそうこう考えていると、声が掛かった。

 

 

「おい。ここで何してる?このインチキ野郎。」

 

 

「あ?」

 

 

そこには、虎柄のタンクトップを着た男が立っていた。

 

 

「えーと、どちら様で?」

 

 

「タンクトップタイガーだ!!忘れてんじゃねぇ!新入りのくせに!!C級で無名のお前が、S級ヒーローと協力して巨大隕石を破壊したそうじゃないか。しかも、その中でもお前が中心的な活躍をしたんだとか?嘘ついてんじゃねーぞコラ。」

 

 

そう言って自分の存在を忘れていたサイタマに、タンクトップタイガーは激昂し、サイタマを非難し始める。

 

 

「嘘も何も・・・災害レベル鬼だか竜だか知らんけど、あれくらいの事なら何回かやってるぞ。別に、今回も大した事無かったぜ。」

 

 

「よくもそんなホラが吹けるな・・・。後悔するぞ。アニキィィィ!!例の奴が居たぞぉぉぉ!!!」

 

 

タンクトップタイガーは、大声を上げて何者かを呼ぶ。

 

 

(ていうか、マジで誰だっけこいつ・・・。)

 

 

そう思案するサイタマを他所に、タンクトップタイガーは話し続ける。

 

 

「兄貴はB級の上位ヒーロであり、超一流のタンクトッパーでもある!」

 

 

「タンクトッパーって何だよ?」

 

 

そう突っ込むサイタマを無視し、話し続ける

 

 

「お前や俺とは格が違う!言葉に気を付けろよ!!」

 

 

「呼んだか弟よ!!」

 

 

すると、上から筋肉ダルマが降って来るではないか!!

 

 

「兄貴!!」

 

 

「ヒーロー!タンクトップブラックホール参上!!」

 

 

そうして降り立ったのは、黒いタンクトップを着た男だった。その風貌にサイタマは、またツッコミを入れる。

 

 

(何がタンクトップブラックホールだよ・・・。黒いタンクトップ来てるだけじゃん。)

 

 

そうしているとタンクトップブラックホールも、サイタマを非難し始める。

 

 

「お前かぁ!S級ヒーローの金魚の糞して、手柄を分けて貰って順位を上げてるインキ地野郎は!!恥ずかしくないのか!?おぉ!?」

 

 

「あ?なんだそりゃ?タンクトップサイダーの作り話だろうが。」

 

 

「タイガーだコラァ!!C級ヒーローの間じゃ、テメーは嫌われもんだぜ。こんな短期間で5位に上がるなんてインチキに決まってる!」

 

 

「(うーん、そうか。こういう奴も居るんだな・・・。)・・・ん。そんでお前らどうしたいんだ?」

 

 

そうマイペースに聞くサイタマに、タイガーは構えながら言う。

 

 

「ハッ!決まってんだろ!二度と活動出来ねぇようにボコボコに・・・。」

 

 

「待て、弟よ。こういう奴はそんな事しても懲りないタイプだ。もっとキツイ目に合わせてやろう。一番残酷な方法でな・・・。」

 

 

すると、タンクトップブラックホールは大きく息を吸うと・・・。

 

 

「お前かぁー!この町を破壊した張本人はぁぁ!!」

 

 

周囲に響き渡る声で叫び始めた。その声量に、サイタマは驚く。

 

 

「!?」

 

 

(でけぇ声!そうか!この町にはこいつに怒りの矛先を向ける奴もいる!それを利用して、心を折る!!)

 

 

そう合点したタイガーの横で、ブラックホールは叫び続ける。

 

 

「なんて酷い奴なんだ!信じられんなぁ!同じヒーローとして!!この光景を見て何とも思わないのかー!!住民の暮らしを救った気で(えつ)に入っているのかなぁー!?だから、堂々と外を散歩できるんだろうなぁー!!お前の失敗のせいで、家や職場が無くなって、どん底に落ちた人が沢山居るのになぁー!!失敗するなら最初から出しゃばらなければ、他のヒーローが何とか上手くやってただろうになぁ!!こんな大惨事を起こして、まだヒーローを続ける気かぁ!!この町を見ろ!この有様はお前の所為なのに!!」

 

 

その内容に同調するように、市民の一人が声を上げる。

 

 

「そ、そうだ・・・。お前の所為だ・・・。」

 

 

市民が食いついたことを確認すると、更にブラックホールは罵声を浴びせる。

 

 

「(食いついた!!)聞こえたか!住居を失った者の、悲痛な叫びが!!お前の軽はずみな行動の裏では、こんなにも被害者が出ているんだぞ!!」

 

 

その声に、他の住民たちも同調し始める。

 

 

「そうだ・・・。」

 

 

「そうだそうだ!!」

 

 

「責任を取ろうとは思わないのか!!」

 

 

そのブラックホールの声に、民衆の声は大きくなり始める!

 

 

「そうだ!」

 

 

「この薄情者!!」

 

 

「ヒーロー、辞めろ!!」

 

 

ブラックホールのその言葉を皮切りに、ヒーロー辞めろコールが鳴り響く。

 

 

「や・め・ろ!!」

 

 

「や・め・ろ!!」

 

 

「や・め・ろ!!」

 

 

「や・め・ろ!!」

 

 

「で・て・け!!」

 

 

「出・て・け!!」

 

 

「消・え・ろ!!」

 

 

「消・え・ろ!!」

 

 

そこから巻き上がるのは、ブーイングの嵐である。

 

 

(ハマった!こいつの自尊心はもうズタボロだな。・・・二度と外を歩けまい・・・。インチキをするからだ馬鹿め・・・。しかし、集団心理って奴か?恐ろしいほどの大合唱に成ったな。)

 

 

そう思いながらも周囲を見渡すタイガーの周りでも、サイタマに対するブーイングコールは鳴りやまない。

 

 

「消・え・ろ!!」

 

 

「消・え・ろ!!」

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━

騒ぎが行われていた場所の近くの屋上では、バングが現場を見下ろしていた。

 

 

(サイタマ君・・・、君は間違いなく、弟と共にこの町の命を救った。それに対する周囲の評価がこれじゃ。)

 

 

バングの耳にも、サイタマに対する民衆のブーイングが届く

 

 

「消・え・ろ!!」

 

 

「消・え・ろ!!」

 

 

そんな中でも、バングはサイタマのみを見下ろし続ける。

 

 

(君は強い。わしが出会ってきた中で、恐らく最も!こんな業界で腐っていく姿は見たくない!だから、此処は敢えて口を出さん。やめるのも一つの道じゃ。)

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━

地上ではタンクトップブラックホールが仕上げに掛かろうとしていた。

 

 

「おい!今こいつ、不審な動きをしたぞ!!」

 

 

「は?何言って・・・。」

 

 

そう困惑するサイタマに、ブラックホールは勝負を挑む。

 

 

「まさかぁ!この町を破壊したように!!この場に居る人々にも危害を加えようというのか!?気に食わなければ皆殺しかぁ!?そうはさせんぞ!!!このタンクトップブラックホールとタンクトップタイガーが、お前の暴挙を許しはしない!!!ヒーローなら正々堂々俺達と勝負しろ!!」

 

 

そう叫ぶと、民衆のボルテージも上昇する。

 

 

「良いぞ!」

 

 

「タンクトップ!!」

 

 

「やれー!!」

 

 

正に、公開処刑である。

 

 

「(新人潰し、ついでに自分たちの売名行為か・・・。欲を出し過ぎたようじゃな・・・ランニングシャツの若造・・・。最後の追い込みで自滅とは。だから、B級止まりなんじゃよ・・・・・。)帰るか・・・。」

 

 

そう言うと、バングは(きびす)を返し始める。そんな中タンクトップ兄弟は、サイタマに名乗りを上げる。

 

 

「虎っぽい雰囲気で戦うタンクトップタイガーと!!」

 

 

「握力200kgで何でも握りつぶす、タンクトップブラックホール!!」

 

 

「俺達兄弟が、ヒーローとして歪んだお前を粛清してやる!!ガォォォォッ!!」

 

 

意気揚々とタンクトップタイガーが突っ込んだが・・・。サイタマの拳一発で、見事に吹っ飛ばされた。これぞ、即落ち二コマである。

 

 

「・・・潰す!!」

 

 

一瞬呆けた顔をしていたタンクトップブラックホールも、御自慢の握力で潰そうとするが・・・。

 

 

「・・・!?・・・あいいいいってええええええええ!!!」

 

 

握り返された事により、絶叫を上げた。即落ち二コマNo.2の完成である。

 

 

「ままま参った、やめてぇぇぇ!!手が潰れるぅぅぅ!!」

 

 

そう言って情けを乞うブラックホールに、サイタマは半ば呆れる。

 

 

「え?いや・・・冗談だろ?」

 

 

「やめてぇぇぇ!!手が潰れるぅぅぅ!!本当に参った!すみませんでした!!嘘ついてすみませんでしたぁぁ!!」

 

 

しかし、そんなブラックホールの言葉をサイタマは否定する。

 

 

「いや、嘘じゃねぇ。隕石をぶっ壊したのは俺だ!文句がありゃ言ってみろ!聞いてやる!!」

 

 

その堂々とした言葉に、民衆達は言い淀みながらも反論する。

 

 

「・・・くっ!」

 

 

「お前の所為で家が・・・!!」

 

 

そう言おうとする民衆の言葉に被せる様に、サイタマは反論する。

 

 

「うるせぇ黙れ!そんなもん隕石に言えボケ!!俺はお前らの評価が欲しくて、ヒーローやってんじゃねぇからな!!俺がやりたくてやってんだ!!てめぇらの被害なんて、知るかバカ共!!恨みたきゃ勝手に憎め!!このハゲ!!だが、俺は間違った事はしてねぇ!!他に文句がある奴言ってみろ!俺は言い返すけどな!!」

 

 

そんなサイタマに・・・

 

 

「・・・ハゲは、お前だろ。」

 

 

と言い返した市民が居たが、サイタマは一喝する。

 

 

「るせ───!!」

 

 

現場が混沌(カオス)を極めかけた、その時・・・。

 

 

「うるさいのは、お兄ちゃんだよ・・・。」

 

 

サイタマの目の前に、翼を広げた天使(ホタル)が降り立った。




「お兄ちゃん・・・何厄介事に巻き込まれてるの・・・?」
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