最強のハゲには、男の娘かつ最強電気使いの弟がいる   作:雨を呼ぶてるてる坊主

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「深海王さんの進撃だよ・・・。嘘だって言ってよ!!」


十八撃目:弟と王の進撃

雷雲が(ほとばし)る中、A級ヒーロースティンガーは、海人族達にボコボコにされながらも孤軍奮闘していた。

 

 

そして、遂に最後の手下を倒したのだ!!

 

 

「やった!やった!!はははははは!!恐らく災害レベル神くらいの怪物共の襲撃を、俺一人で防ぎ切った!!俺すげぇぇぇ!!」

 

 

しかしそこに・・・。

 

 

「そんなに嬉しい?私の可愛い子供達を傷付けて・・・。」

 

 

海を統べる、深海王が現れた。

 

 

「はぁ、はぁ!てめぇが親玉か!!こいつらのついでに、倒してやるよ!今の俺なら出来・・・」

 

 

しかし、その言葉が続く事は無く・・・バタリと地面に倒れ伏す音がする。

 

 

A級ヒーロースティンガーは、倒されたのだ!

 

 

「微弱な量の、河豚(ふぐ)毒・・・テトロドトキシンを注入させてもらったわ。ヒーローなんだし、その位じゃ死なないでしょ・・・。」

 

 

そして、スティンガーに止めを・・・刺さなかった。それどころか、倒れたスティンガーを労う様にビルにもたれ掛けさせたのだ。そして、まるで興味を失ったかの様に進行を再開した。

 

 

「良かったわね。私が無益な殺生を好まないタイプで・・・。」

 

 

そう深海王が呟きながら歩みを進める中、サイタマとホタルとジェノスは・・・

 

 

「どういう事ですかホタル先生!!深海王と呼ばれる怪人はレベル鬼ですよ!!」

 

 

「今回ばかりは、俺も分からん!!退治せずに解決するだぁ!?」

 

 

「根拠は道すがら話すから、今は走って!!」

 

 

C級連合のトラックを追い越し、猛ダッシュしていた。

 

 

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J市では大音量で、アナウンスから避難警告が流れる。

 

 

「緊急避難警報!今回の海人族襲来について、災害レベルが虎から鬼に代わりました!J市の住民は速やかに遠くに避難してください!!海に近い地域は、特に怪人と遭遇の可能性が高く、危険であるとの事・・・。」

 

 

アナウンスが流れると、蜘蛛の子を散らすように大勢の市民が逃げ惑う。そのアナウンスの内容に、深海王は怒気を放つ。

 

 

「避難・・・ね。まるで、私達が悪人じゃない・・・。先に私達の住処を奪ったのはあなた達なのに・・・!!っと、まずいまずい。冷静にならなきゃ♡」

 

 

そんな深海王を、一人の男が観察していた・・・。A級ヒーローイナズマックスである。

 

 

「・・・何ぶつぶつ言ってんだ?あの怪人・・・。それにしても、倒れてるのはA級のスティンガーっぽいな。間に合わなかったか。でも、残りは一匹か?ううむ・・・応援を待つべきか?いや、タイマンならいけるか?つーか、スティンガーに致命傷を与えたようには見えなかったが・・・。何が目的なんだ?」

 

 

すると、背後からいきなり・・・。

 

 

「あの少年の事を言っているのかしら?」

 

 

と、声が響く。イナズマックスが目を離した隙に、彼の背後に深海王が回り込んでいたのだった。

 

 

「・・・っ!!くぁwせdrftgyふじこlp!!」

 

 

情けない声を上げながら、渾身の稲妻蹴りを放つ。いきなり放たれた蹴りに、深海王は憤慨(ふんがい)する。

 

 

「何すんのよ!痛いじゃない!!」

 

 

(なっ、何だこいつ・・・。いつの間に背後に?びっくりして変な声出しちまったぜ。火薬仕込みの稲妻蹴りも効いてねぇ!?)

 

 

「まだやる気?」

 

 

そう質問する深海王に、イナズマックスは少したじろぐ。

 

 

「い、いや・・・。(こりゃ勝てんわ・・・。)」

 

 

「戦意喪失?」

 

 

再度確認する深海王に、イナズマックスはやる気を入れ直す。

 

 

「いや!俺だってヒーローだ!!一発食らわせてやるよ!!おらぁ!!」

 

 

そうして、稲妻飛び後ろ回し蹴りを放つが・・・。

 

 

「中々良い蹴りじゃない。」

 

 

受け止められたのだ。

 

 

「くそっ!!(この体制からじゃあ、動けねぇ!!もう終わり・・・。)」

 

 

しかし、打突などの追撃が来る事は無く・・・。優しくそっと下ろされた。その状況にイナズマックスは混乱する。怪人がヒーローに情けを掛けたのだから。

 

 

「・・・な、何で追撃してこねぇ?」

 

 

「・・・弱い者虐めは趣味じゃないの。さっさと、そこで倒れてる槍の坊やを連れて帰りなさい。」

 

 

そう言うと、深海王は去っていった・・・。

 

 

(スティンガーのとき然り、なんで止めを刺さねぇ・・・?あいつは本当に・・・怪人なのか?いや、シェルターの方には向かって行ってる!!応援を呼ばねぇと!!)

 

 

そう思考を巡らせると状況を報告しつつ、スティンガーを回収したのだった。

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━

深海王は歩きながら考えていた・・・。遥か昔の事を。

 

 

頭の中に浮かぶのは、漁港町の風景だ。村人達が楽しそうに、一日の出来事を話してくる。

 

 

『──様!今日のお供え物です!!』

 

 

『──様のお陰で、今年も大漁でした!』

 

 

『──様、今日はこんな事が有ったんだよ!!』

 

 

嬉々とした顔で、報告に来る村人達。しかし、大体の内容は思い出せるのだが、自らの呼び名だけが思い出せない・・・、いや思い出したくない。

 

 

(私はもう、あんな扱いを受けて良い存在じゃない・・・。それに、あれだけ愛しいと思っていた存在を怯えさせているのだから・・・。)

 

 

胸に思いを秘めながら歩を進める王の目の前に、セーター姿の顎髭の男が立ち塞がったのは、思考を辞めた刹那だった。

 

 

「また、新しいヒーローさんかしら?」

 

 

そう質問すると、男は名乗りを上げて質問をする。

 

 

「私は、S級ヒーローぷりぷりプリズナーよ。貴方・・・どういうつもり?」

 

 

「どういうつもりとは・・・?」

 

 

「貴方が怪人だというのは見て分かる。けれども貴方はスティンガーちゃんと、イナズマックスちゃんを攻撃したとはいえ、気絶程度に留めている・・・。それに、殺気も全然出ていない。何が目的なの?」

 

 

そう質問をするプリズナーに、少し思案した後に答える。

 

 

「・・・弱い者いじめが趣味じゃないだけよ。貴方は私を楽しませてくれるのかしら?」

 

 

そう言うと、深海王は戦闘態勢に入る。

 

 

「強い気配をビンビン感じる!!良い!!殺気が無いのは不可解だけど、私もヒーロという立場があるから、半分程度の力で試してあげる!!」

 

 

そう言うと同時、筋肉の膨張と共にプリズナーのセーターが破けた。すると・・・。

 

 

「だああああああ!!彼氏の手編みセーターが破けたァァァ!!あああ!!貴方は絶対に許さぁぁん!!」

 

 

この情緒不安定気味には、共に脱獄した音速のソニックもドン引きである。

 

 

「(・・・この人間、ある意味怪人より恐ろしいわね・・・。けど、この子程度なら・・・。)ちょっと本気出しても大丈夫でしょう♡」

 

 

そう言うと、深海王はプリズナーに右フックを繰り出す。

 

 

しかし、プリズナーも負けてはいない。深海王の頬にストレートを繰り出す。

 

 

「・・・!?あらまぁ・・・これはこれは。」

 

 

そう深海王が驚いた瞬間、プリズナーがボディブローを叩き込む。すると、深海王の体は遥か空中に浮かび上がった。

 

 

「効いたわ・・・少しね。」

 

 

そう言いながら体を再生させる深海王に、プリズナーも応える。

 

 

「こっちも効いた。少しな。」

 

 

しかし、再生能力を持つ深海王はともかく、プリズナーは明らかにダメージを受けていた。

 

 

「実力差は分かったでしょう?無駄な殺生は嫌いなの。引くなら今よ。」

 

 

そう言って再度忠告する深海王の提案を、プリズナーは却下する。

 

 

「男子達が傷付けられているというのに、引く事なんて出来るか!!こうなったら、変身するか・・・。覚悟しな!!変☆身!!ぷりぷりプリズナー!エンジェル☆スタイル!!」

 

 

すると全身の筋肉が膨張し、見事な全裸と成った・・・。

 

 

「エンジェルスタイルの俺を見て、生きて帰った者は居ない。」

 

 

「なら、歩を進ませてほしいわ。貴方を殺す気なんてないもの。」

 

 

そう言う深海王に、プリズナーは首を振り襲いかかる!

 

 

「貴様に殺す気が無くとも、俺はヒーローとして貴様を倒さねばならないのだ!!くらえ必殺!!エンジェル☆ラッシュ!!!」

 

 

すると、プリズナーが深海王に拳の連打を叩き込み、息切れを起こすが・・・。

 

 

「はぁ・・・はぁ・・・。」

 

 

「連打は終わりかしら・・・。効いたわ、少しね。」

 

 

深海王には効いていなかった。その様子に、プリズナーは驚愕する。

 

 

「・・・・・・!!」

 

 

「貴方程度なら、ラッシュでも死ななそうね・・・。教えてあげる。殺意の(こも)った拳を!!相手を確実に仕留めるよう、一発一発殺意を持って打ちなさい!!」

 

 

次の刹那、プリズナーの体に無数の連打が叩き込まれ・・・、プリズナーは倒れた。

 

 

「あなたのパンチ、嫌いじゃなかったわ・・・。」

 

 

そうプリズナーを見下ろす深海王に、共に脱獄したソニックが質問する。

 

 

「貴様は何者だ・・・。(この強さ・・・!只者(ただもの)じゃない・・・!)」

 

 

「私は深海王。海を統べる王よ。」

 

 

「まさか、地上を支配しに来たのか?」

 

 

そのソニックの質問に、深海王は顔を伏せる。その眼には、心なしか哀愁が漂っていた。

 

 

「そんな野蛮な真似はしない・・・、ただ、苦情を言いに来ただけよ。私達の住処を汚す事に関してね・・・。」

 

 

「・・・・・・。」

 

 

「さっきも言ったように、無駄な殺生は嫌いなの。貴方も早く帰りなさい・・・。」

 

 

そう答える深海王に、ソニックは忠告をする。

 

 

「ふん・・・良いだろう。だが、忠告しといてやる。剥げた頭に気を付けろ・・・。」

 

 

そう言うと、持ち前の俊足でその場から消える。

 

 

「変わった人間ね・・・。さ、歩を進めましょうか・・・。」

 

 

大雨が降り始めた事により、歩き続ける深海王の体が異形に変わりつつあった・・・。




「深海王編は原作とかけ離れてる展開が続いていくよ。」
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