最強のハゲには、男の娘かつ最強電気使いの弟がいる 作:雨を呼ぶてるてる坊主
深海王・・・もとい、
「何だこりゃ?」
「郵便ですね。ここには配達員が来れないので、パラシュートで投下してくれます。」
「そうなんだ。有難いよね~。郵便局の人に感謝だよ~。」
そう言ってホタルは、段ボール箱を持ち上げる。
「いえ、ヒーロー協会からの転送です。」
「あぁ、・・・そう。」
すると、ホタルが声を上げる。
「一般の人からも、手紙があるね・・・。」
「恐らく、ファンレターのような物でしょう。」
すると、サイタマも声を上げる。
「おい、それ!俺宛のもあるじゃん!!」
そう言うサイタマに、ホタルは微笑む。
「お家に帰ったら開けようか。」
「ホタル先生宛に、数十通程・・・。サイタマ先生に五通ほどありますね。」
「早く帰って開けようぜ!!」
そうして、3人は帰路に就いたのだった。
━━━━━━━━━━━━━━━━
そうして、3人は封に入った手紙を開け始める。
ジェノスの手紙には・・・
ジェノス様♡
大好きです!!
初めてみたときから
ずーっと応援してます!
ジェノス様こそ真の
ヒーローだと思っています。
ファンクラブにも入って
ます!!本当に大好きです。
と書いてあり、ホタルの手紙には・・・
ホタル君。今回の活躍見てました♪
デビュー前からのファンで、ずっと
応援してました!!
これからも応援してます!
頑張って!!
そんな内容に、ホタルは心の中で感謝を述べる。
(・・・ありがとう。)
しかし、サイタマの手紙は・・・。
ヒキョウ者の
インチキ野郎
お前なんか
誰も応援しない
ヒーロー
失格!!
恥!!
やめちまえ!
金のムダ
罵詈雑言が書かれた手紙であった。
しかし、こんな手紙を見て黙っていないのが、
「こいつら・・・ちょっと、差出人調べて俺が・・・。」
そう言って立ち上がろうとしたが、それをホタルが止める。
「ジェノス君・・・落ち着いて・・・。」
「ですが・・・!」
「お兄ちゃんが、なんでシェルターであんな対応をしたか分かる?他のヒーローさん達に、汚名を着せない様にしたんだよ。その努力を無下にするつもり・・・?」
その言葉に、ジェノスは少し押し黙る。
「・・・・・・。」
「それに、見て。」
そう言ってサイタマの方に目をやると・・・
「ヒマな奴が居るな。」
当の本人は、さほど気にしていないようである。しかし、ジェノスは自分自身を責め始めようとする。
(だとしても、俺の所為だ。見せるべきでは無かった・・・。)
しかし、4枚目の手紙に書かれていたのは、差出人不明ではあったが・・・。
ヒーローサイタマ君へ
キミのおかげでボクは
があ
とり
う
!!
サイタマへの感謝の言葉が
「ね?お兄ちゃんの事を、認めてくれてる人も居るって事。」
そうウインクをするホタルに、ジェノスは己の未熟さを痛感する。
「・・・はい。まだまだ精神的にも未熟です。」
「最後の一通は、協会からだね。はい、どうぞ。」
そう言って、ホタルは協会からの手紙をサイタマに手渡す。
「クビ通知か?別に良いけど・・・。ん?何だこれ。」
しかしそこに書かれていたのは・・・。
「C級・・・1位?」
C級1位ヒーローに任命する
━━━━━━━━━━━━━━━━
そうして、サイタマが協会に出向いた数分後・・・感慨深げにホタルが呟く。
「お兄ちゃんが、1位に成るとはね・・・。」
「サイタマ先生の実力なら、当たり前ですよ。しかし・・・、今回の件でようやく先生を1位にした協会の連中の目は、節穴としか言いようが有りません。」
そう毒を吐くジェノスを、ホタルは
「こら。言い過ぎだよ・・・。・・・今日はお兄ちゃん、お家でご飯は食べないかもね・・・。」
「分かるのですか!?」
「長年連れ添った、弟の勘かな・・・。あー・・・一人で
そう言いながら、わざとらしくジェノスの方にチラチラ目を向けると・・・
「是非とも、ご一緒させていただきます!!」
ジェノスは土下座しながら、ホタルの足元に滑り込んだ。
そしてホタルの勘通りに、サイタマは無免ライダーと屋台で談笑していたのだった。
━━━━━━━━━━━━━━━━
そして数時間が経ち、屋台では・・・。
「そんでホタルがよぉ~・・・可愛くてな~・・・。」
ウトウトと舟を漕ぎながら、サイタマが無免ライダーにホタルの可愛さを語っていた。そんなサイタマに、無免ライダーは心配の眼差しを向ける。
「そ、そっか・・・。サイタマ君・・・もしかして疲れてる?」
「んなわけ・・・。」
そう言って無免ライダーの言葉を否定しようとしたが、屋台の机に突っ伏してしまった。
「さ、サイタマ君!?」
「・・・グガー!」
そう豪快ないびきをかくサイタマに、屋台の親父も苦笑いをする。
「あらら、お客さん寝ちゃったね。」
「ど、どうしよう・・・。」
そう無免ライダーが困惑していると、
「僕が運びますよ。」
そこに立っていたのは、ホタルである。
「え?・・・あ、君は・・・ホタル君だったっけ?」
無免ライダーの言葉に、ホタルは笑いかける。
「はい。御初に御目に掛かります。兄がお世話に成ったようで・・・。先日のお怪我も全快したようですね。」
「あ、うん。担当医の話によると、お見舞いに来た、ヒーロー協会の職員が御札みたいなのを俺に貼り付けてから、みるみる怪我が治ったらしくて。・・・あの後、深海王はどうなったの?」
無免ライダーの質問に、ホタルは少し無言になる。
「・・・・・・。」
「意識が薄れる中で、君があの怪人を運んでるのを見て・・・。」
そう言う無免ライダーに、苦笑しながらホタルは説明する。
「・・・実は。」
━━━━━━━━━━━━━━━━
数分後、全てを聞いた無免ライダーは納得した様に頷く。
「・・・そうか、彼・・・いや、彼女は海を守る神様だったんだね。言われてみれば、俺の事を「気高い人」とか褒めてたり、殺気があまり無かったり、おかしな所は一杯有ったのに・・・。しかも、怪我の治りが早いと思ったら、彼女の護符の力だったなんて・・・。・・・なんか、悪い事しちゃったな・・・。」
その無免ライダーの後悔を、ホタルは訂正する。
「・・・そんな事はありません。無免さん、あなたは彼女の事を間接的にとはいえ、救ったのですよ。」
その言葉に、無免ライダーは疑問の声を上げる。
「え・・・?救った?」
「はい。あのとき、貴方が彼女を止めていなければ、彼女は民間人を殺して外道に堕ち、二度と
そう言って頭を下げるホタルに、無免ライダーは顔を赤らめる。
「そんな・・・、俺なんて・・・。」
そう言って謙遜しようとする無免ライダーに、柔らかく微笑みかけ首を振る。
「自分を卑下しないでください・・・。貴方は確かに、一人の迷える女神様を救った、ヒーローなのですから。」
「そ、そっか・・・。」
そうしてホタルは、懐から財布を取り出す。
「その御礼と兄に付き合ってくれた御礼として、ここは僕が払いますよ。」
「えぇ!?わ、悪いよ!」
そう言って無免ライダーは、引き留めようとするが・・・
「僕が払いたいんです。良いですね?」
ホタルの笑顔に、根負けする。
「・・・じゃあ、御馳走に成ろうかな・・・。ありがとう。」
「どういたしまして。では失礼します・・・。」
そう言うとホタルは御勘定を済ませ、兄を背負って帰路についた・・・。そうして、一人残された無免ライダーは満天の星空に向かって呟く。
「あの怪人は神様だったのか・・・、今度お詫びも兼ねて参拝にでも行こうかな・・・。」
兄の新たな門出を祝う夜は、もう直ぐ明ける・・・。
「お兄ちゃん、昇格おめでとう。因みに、お手紙は1枚1枚お返事を返したよ。」