最強のハゲには、男の娘かつ最強電気使いの弟がいる   作:雨を呼ぶてるてる坊主

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「ファンレター回だよ。」


二十二撃目:弟と手紙

深海王・・・もとい、弟橘媛(おとたちばなひめ)の一件から数日。兄弟と弟子は、スーパーの買い出しの帰りだった。するとそこへ、パラシュートが付いた箱が落下してきたのだ。

 

 

「何だこりゃ?」

 

 

「郵便ですね。ここには配達員が来れないので、パラシュートで投下してくれます。」

 

 

「そうなんだ。有難いよね~。郵便局の人に感謝だよ~。」

 

 

そう言ってホタルは、段ボール箱を持ち上げる。

 

 

「いえ、ヒーロー協会からの転送です。」

 

 

「あぁ、・・・そう。」

 

 

すると、ホタルが声を上げる。

 

 

「一般の人からも、手紙があるね・・・。」

 

 

「恐らく、ファンレターのような物でしょう。」

 

 

すると、サイタマも声を上げる。

 

 

「おい、それ!俺宛のもあるじゃん!!」

 

 

そう言うサイタマに、ホタルは微笑む。

 

 

「お家に帰ったら開けようか。」

 

 

「ホタル先生宛に、数十通程・・・。サイタマ先生に五通ほどありますね。」

 

 

「早く帰って開けようぜ!!」

 

 

そうして、3人は帰路に就いたのだった。

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━

そうして、3人は封に入った手紙を開け始める。

 

 

ジェノスの手紙には・・・

 

 

ジェノス様♡

大好きです!!

初めてみたときから

ずーっと応援してます!

ジェノス様こそ真の

ヒーローだと思っています。

ファンクラブにも入って

ます!!本当に大好きです。

 

 

と書いてあり、ホタルの手紙には・・・

 

 

ホタル君。今回の活躍見てました♪

デビュー前からのファンで、ずっと

応援してました!!

これからも応援してます!

頑張って!!

 

 

そんな内容に、ホタルは心の中で感謝を述べる。

 

 

(・・・ありがとう。)

 

 

しかし、サイタマの手紙は・・・。

 

 

ヒキョウ者の

インチキ野郎

お前なんか

誰も応援しない

 

 

ヒーロー

失格!!

恥!!

 

 

やめちまえ!

金のムダ

 

 

罵詈雑言が書かれた手紙であった。

 

 

しかし、こんな手紙を見て黙っていないのが、弟子(ジェノス)である。

 

 

「こいつら・・・ちょっと、差出人調べて俺が・・・。」

 

 

そう言って立ち上がろうとしたが、それをホタルが止める。

 

 

ジェノス君・・・落ち着いて・・・。

 

 

ですが・・・!

 

 

お兄ちゃんが、なんでシェルターであんな対応をしたか分かる?他のヒーローさん達に、汚名を着せない様にしたんだよ。その努力を無下にするつもり・・・?

 

 

その言葉に、ジェノスは少し押し黙る。

 

 

「・・・・・・。」

 

 

それに、見て。

 

 

そう言ってサイタマの方に目をやると・・・

 

 

「ヒマな奴が居るな。」

 

 

当の本人は、さほど気にしていないようである。しかし、ジェノスは自分自身を責め始めようとする。

 

 

(だとしても、俺の所為だ。見せるべきでは無かった・・・。)

 

 

しかし、4枚目の手紙に書かれていたのは、差出人不明ではあったが・・・。

 

 

ヒーローサイタマ君へ

キミのおかげでボクは

があ

とり

!!

 

 

サイタマへの感謝の言葉が(つづ)られていた。

 

 

「ね?お兄ちゃんの事を、認めてくれてる人も居るって事。」

 

 

そうウインクをするホタルに、ジェノスは己の未熟さを痛感する。

 

 

「・・・はい。まだまだ精神的にも未熟です。」

 

 

「最後の一通は、協会からだね。はい、どうぞ。」

 

 

そう言って、ホタルは協会からの手紙をサイタマに手渡す。

 

 

「クビ通知か?別に良いけど・・・。ん?何だこれ。」

 

 

しかしそこに書かれていたのは・・・。

 

 

「C級・・・1位?」

 

 

C級1位ヒーローに任命する(むね)の内容であった。

 

 

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そうして、サイタマが協会に出向いた数分後・・・感慨深げにホタルが呟く。

 

 

「お兄ちゃんが、1位に成るとはね・・・。」

 

 

「サイタマ先生の実力なら、当たり前ですよ。しかし・・・、今回の件でようやく先生を1位にした協会の連中の目は、節穴としか言いようが有りません。」

 

 

そう毒を吐くジェノスを、ホタルは(いさ)める。

 

 

「こら。言い過ぎだよ・・・。・・・今日はお兄ちゃん、お家でご飯は食べないかもね・・・。」

 

 

「分かるのですか!?」

 

 

「長年連れ添った、弟の勘かな・・・。あー・・・一人で御夕飯(おゆうはん)は食べたくないなー。誰かと一緒なら良いんだけどなぁ~。」

 

 

そう言いながら、わざとらしくジェノスの方にチラチラ目を向けると・・・

 

 

「是非とも、ご一緒させていただきます!!」

 

 

ジェノスは土下座しながら、ホタルの足元に滑り込んだ。

 

 

そしてホタルの勘通りに、サイタマは無免ライダーと屋台で談笑していたのだった。

 

 

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そして数時間が経ち、屋台では・・・。

 

 

「そんでホタルがよぉ~・・・可愛くてな~・・・。」

 

 

ウトウトと舟を漕ぎながら、サイタマが無免ライダーにホタルの可愛さを語っていた。そんなサイタマに、無免ライダーは心配の眼差しを向ける。

 

 

「そ、そっか・・・。サイタマ君・・・もしかして疲れてる?」

 

 

「んなわけ・・・。」

 

 

そう言って無免ライダーの言葉を否定しようとしたが、屋台の机に突っ伏してしまった。

 

 

「さ、サイタマ君!?」

 

 

「・・・グガー!」

 

 

そう豪快ないびきをかくサイタマに、屋台の親父も苦笑いをする。

 

 

「あらら、お客さん寝ちゃったね。」

 

 

「ど、どうしよう・・・。」

 

 

そう無免ライダーが困惑していると、暖簾(のれん)の向こうから声が掛かる。

 

 

「僕が運びますよ。」

 

 

そこに立っていたのは、ホタルである。

 

 

「え?・・・あ、君は・・・ホタル君だったっけ?」

 

 

無免ライダーの言葉に、ホタルは笑いかける。

 

 

「はい。御初に御目に掛かります。兄がお世話に成ったようで・・・。先日のお怪我も全快したようですね。」

 

 

「あ、うん。担当医の話によると、お見舞いに来た、ヒーロー協会の職員が御札みたいなのを俺に貼り付けてから、みるみる怪我が治ったらしくて。・・・あの後、深海王はどうなったの?」

 

 

無免ライダーの質問に、ホタルは少し無言になる。

 

 

「・・・・・・。」

 

 

「意識が薄れる中で、君があの怪人を運んでるのを見て・・・。」

 

 

そう言う無免ライダーに、苦笑しながらホタルは説明する。

 

 

「・・・実は。」

 

 

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数分後、全てを聞いた無免ライダーは納得した様に頷く。

 

 

「・・・そうか、彼・・・いや、彼女は海を守る神様だったんだね。言われてみれば、俺の事を「気高い人」とか褒めてたり、殺気があまり無かったり、おかしな所は一杯有ったのに・・・。しかも、怪我の治りが早いと思ったら、彼女の護符の力だったなんて・・・。・・・なんか、悪い事しちゃったな・・・。」

 

 

その無免ライダーの後悔を、ホタルは訂正する。

 

 

「・・・そんな事はありません。無免さん、あなたは彼女の事を間接的にとはいえ、救ったのですよ。」

 

 

その言葉に、無免ライダーは疑問の声を上げる。

 

 

「え・・・?救った?」

 

 

「はい。あのとき、貴方が彼女を止めていなければ、彼女は民間人を殺して外道に堕ち、二度と海神(わだつみ)には戻れなかったでしょう。貴方が居たから、彼女は救われたんです。彼女に代わって、御礼申し上げます。」

 

 

そう言って頭を下げるホタルに、無免ライダーは顔を赤らめる。

 

 

「そんな・・・、俺なんて・・・。」

 

 

そう言って謙遜しようとする無免ライダーに、柔らかく微笑みかけ首を振る。

 

 

「自分を卑下しないでください・・・。貴方は確かに、一人の迷える女神様を救った、ヒーローなのですから。」

 

 

「そ、そっか・・・。」

 

 

そうしてホタルは、懐から財布を取り出す。

 

 

「その御礼と兄に付き合ってくれた御礼として、ここは僕が払いますよ。」

 

 

「えぇ!?わ、悪いよ!」

 

 

そう言って無免ライダーは、引き留めようとするが・・・

 

 

「僕が払いたいんです。良いですね?」

 

 

ホタルの笑顔に、根負けする。

 

 

「・・・じゃあ、御馳走に成ろうかな・・・。ありがとう。」

 

 

「どういたしまして。では失礼します・・・。」

 

 

そう言うとホタルは御勘定を済ませ、兄を背負って帰路についた・・・。そうして、一人残された無免ライダーは満天の星空に向かって呟く。

 

 

「あの怪人は神様だったのか・・・、今度お詫びも兼ねて参拝にでも行こうかな・・・。」

 

 

兄の新たな門出を祝う夜は、もう直ぐ明ける・・・。




「お兄ちゃん、昇格おめでとう。因みに、お手紙は1枚1枚お返事を返したよ。」
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