最強のハゲには、男の娘かつ最強電気使いの弟がいる   作:雨を呼ぶてるてる坊主

24 / 69
「お兄ちゃんのB級昇格後の安全祈願を兼ねて、お参りだよ。」


二十三撃目:弟と潮風香る神社(かみやしろ)

サイタマがB級に昇格した数日後、3人は海岸に来ていた。

 

 

「着きましたね。」

 

 

「そうだね。」

 

 

「おー、これが・・・。」

 

 

深海王・・・、いや弟橘媛とホタルが出会った海岸。そこには・・・

 

 

「でっかい社だな・・・。」

 

 

サイタマの言葉通り、"光虫(こうちゅう)神社"と書かれた海中鳥居*1が建っていた。

 

 

「・・・ここが深海王が居る神社ですか。」

 

 

そう呟くジェノスに、ホタルはやんわり訂正する。

 

 

「"元"深海王さんね。今は弟橘媛様だよ。夜には沢山の蛍が飛んで、海面にも光が当たって綺麗な景色が浮かぶんだよ。今じゃ、恋愛成就の神社だよ。」

 

 

「・・・・・・。」

 

 

しかし、ジェノスは叩き付けられたこともあってか、神様扱いをするのに不満そうである。

 

 

「しっかし、不思議なもんだよな。怪人が神様に成っちまうなんて。」

 

 

そのサイタマの感想にも、ホタルは訂正を入れる。

 

 

「逆だよ。神様から怪人に成った人が、神様に戻ったんだよ。」

 

 

「へいへい。まぁ、こいつのお陰でB級に昇格したんだし、賽銭でも入れとくか。」

 

 

そう言うと、3人は賽銭箱に小銭を入れる。

 

 

まず最初に、ジェノスが願い事を告げる。

 

 

(貴様に願うのは(しゃく)だが、そうだな・・・、強くなれるように願うか。)

 

 

次にサイタマが、必死の形相で願う。

 

 

(金が入ります様に・・・!金が入ります様に・・・!!)

 

 

そうして最後に、ホタルが穏やかな顔で願う。

 

 

(・・・弟橘媛様の様に、怪人と人間が分かり合える日が来ます様に・・・。)

 

 

そうしていると、ザッパーンという音と共に何者かが海面から現れた。その正体は無論・・・弟橘媛である。

 

 

突然の登場に、サイタマは絶叫する。

 

 

「おわぁぁぁ!!」

 

 

「ホタル様!!来てくれたのですね!」

 

 

そうしてサイタマが驚愕の声を上げたと同時に、弟橘媛がホタルに抱きついたのだ。そんなスキンシップに、初心なホタルは赤面する。

 

 

「お、弟橘媛様!?」

 

 

そうすると、ジェノスが弟橘媛に砲口を向けて威嚇する。

 

 

「貴様!ホタル先生から離れろ!!」

 

 

そんなジェノスの方を向き・・・

 

 

「あ・・・、あの時のサイボーグさん・・・。」

 

 

やはり、ジェノスを前にすると何処か気まずそうである・・・が・・・

 

 

「え、ええと。その・・・、この前は大怪我させて申し訳ありませんでした・・・。」

 

 

素直に謝ったのだ。これにはジェノスも毒気を抜かれ・・・。

 

 

「い、いや・・・、分かってくれれば良い。」

 

 

怒りを鎮める他なかったのだ・・・。

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━

そうして、暫くの間雑談が始まる。

 

 

「それからどうですか?光虫神社の様子は。」

 

 

そう質問するホタルに、弟橘媛は穏やかに笑う。

 

 

「えぇ・・・、あれから参拝客も増えて神の力が戻ってきましたの。昔の様にはいかないけど、ボチボチやっておりますわ。それに、最近ではお魚さんだけじゃなく、一羽の白鳥(しらとり)まで遊びに来てくれるようになりました。」

 

 

「ごみ問題は如何なんだ?」

 

 

そう質問するサイタマに、弟橘媛はとある方向を指差す。

 

 

「あの鳥居の横にある、立て札のお陰でなんとかなっております。」

 

 

「あれは・・・。」

 

 

ジェノスがその方向に目を向けると・・・。そこには筆で描いたような字でデカデカと・・・。

 

 

この地に祀られている弟橘媛の神社と海と海岸を汚した阿保は、叩き切るから覚悟しとけ!!byアトミック侍

 

 

海を治める女神様を悲しませるでない!!!byシルバーファング

 

 

と、アトミック侍とシルバーファングによる警告文が書かれており、その隣には綺麗な明朝体でヒーロー協会環境課からの札が建ててあった。

 

 

この海岸全域に赤外線付き監視カメラを設置しました。夜間の犯行であろうと、この場に不法投棄を行った際は、個人特定をした(のち)に法的措置を執り行います。byヒーロー協会環境課

 

 

そんな三枚の看板を見比べ、サイタマとホタルが呟く。

 

 

「協会はアレだけど・・・。爺さんとアトミック侍とかいう奴が書いた看板、汚ねぇ字だな・・・。」

 

 

「筆で殴り書きにしてそうだよね・・・。」

 

 

そこで、ジェノスが眼球センサーで文字を分析する。

 

 

「『この地に(まつ)られている弟橘媛の神社と海と海岸を汚した阿保は、叩き切るから覚悟しとけ!!byアトミック侍』と『海を治める女神様を悲しませるでない!byシルバーファング』書かれていますね。もしかして・・・。」

 

 

そうしてホタルの方を振り向くと、ホタルはニッコリと笑う。

 

 

「僕が、アトミック侍さんとバングさんにお願いして書いてもらったよ。」

 

 

そうしていると、弟橘媛は三人に改めて礼を言う。

 

 

「最近では、地域住民達(人の子達)が海岸清掃に来てくれるようになりましたの。何から何まで・・・本当にありがとうございます。」

 

 

そんな弟橘媛に、サイタマは手を軽く振る。

 

 

「気にすんな。」

 

 

「でも・・・。」

 

 

そう言い淀む弟橘媛。しかし、その時海中から・・・。「弟橘媛様ー。弟橘媛様ー。」と、彼女を呼ぶ声が聞こえてくる。その声に、弟橘媛は海の方を振り向く。

 

 

「あ・・・。お魚さん達が呼んでる。もう帰らなきゃ。」

 

 

「もう帰っちゃうんですか?」

 

 

そう言って寂しそうにするホタルに、弟橘媛は笑いかける。

 

 

「また会えますよ。ここに来ればの話ですが・・・。」

 

 

「そっか・・・、じゃあまた来ますね。」

 

 

「えぇ!また会いましょう!」

 

 

そう言うと、弟橘媛はジャポンという水飛沫(しぶき)と共に海に帰っていった

 

 

「全く・・・、人騒がせな神様ですね。」

 

 

そう呟くジェノスに、ホタルは苦笑する。

 

 

「あはは・・・。でも、楽しそうでよかったよ。」

 

 

神の人生を変えた、ホタルであった。

 

 

因みに余談だが、深海王(弟橘媛)を煽ってヒーローを馬鹿にした市民Aは、数日間に渡って原因不明の下痢と腹痛、嘔吐症状に苦しみ、脱水症状で緊急搬送されたとか・・・。

 

 

これが海神(わだつみ)による天罰かは、海神のみぞ知る事である・・・。

 

 

そして数日後、サイタマ家に大量の新鮮な海産物が届いたのは別の話・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

帰り道、ホタルは自らが読んでいた古事記の内容を思い出す。

 

 

(そういえば、弟橘媛(おとたちばなひめ)様の旦那さんである日本武尊(ヤマトタケルノミコト)って山神に殺された後、白鳥(しらとり)に転生したんだよね・・・。遊びに来てくれる白鳥ってもしかして・・・。)

*1
海に浮かぶ鳥居の事。現実の神社では、佐賀県の大魚神社などがこれに当てはまる。




「深海王編終了です♪因みに、深海王さん・・・もとい、弟橘媛様を救済しようと思った理由は、作者曰くなんとなくらしいよ。この一件以降、ヒーロー協会はクリーンなエネルギー開発に乗り込んだとか・・・。」
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。