最強のハゲには、男の娘かつ最強電気使いの弟がいる   作:雨を呼ぶてるてる坊主

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「今回、僕の出番はちょっとだよ。」


二十九撃目:兄と敵将

アマイマスクとの共闘が終わったホタルは、上空に居るタツマキの元に戻る。

 

 

「タツマキさん!」

 

 

「ようやく終わったのね。ったく、あんた達がごちゃごちゃやってる間に、砲口全部潰して暇だったのよ。」

 

 

そう言いながら、フワフワ浮いているタツマキに笑いかける。

 

 

「あはは・・・、じゃあ僕も本気出しちゃいますね。・・・建御雷神+雷槍+砂鉄槍!!」

 

 

そう唱えると、晴天の空に雷雲が滞り、地中に埋まっていたであろう砂鉄が形を成し・・・轟音と雷鳴と共に、数十本もの稲妻や無数の槍が、戦艦に直撃したのだった。

 

 

その様子に、タツマキは戦慄する。

 

 

(エレクトロキネシス・・・。前にも似たような能力者が居たけど、ホタルの出力と応用力では月とスッポンね・・・。これだけで落ちるんじゃない・・・?)

 

 

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一方船内では、サイタマとボロスが向かい合っていた。そして、ボロスが名乗りを上げる。

 

 

「俺の配下をことごとく・・・。素晴らしい!戦う前に名を聞いておこう。俺は暗黒盗賊団ダークマターの頭目であり、全宇宙の覇者。ボロスと言う者だ。」

 

 

「俺は趣味で・・・じゃなくて、プロのヒーローをやっているサイタマと言う者だ。全宇宙の歯医者が地球に何の用かは知らないが、町をぶっ壊そうとしたお前らは、逃がす訳にはいかねぇな。」

 

 

サイタマのその言葉に、ボロスは語り始める

 

 

「何の用・・・か。予言があったのだ。」

 

 

「予言?それって・・・。」

 

 

そう反応するサイタマを無視し、ボロスは話し続ける。

 

 

「宇宙中を荒らしまわり、俺に歯向かう者も誰一人居なくなり退屈してたんだ。」

 

 

「・・・・・・。」

 

 

「そんな時に、ある占い師が言ったんだ。遠く離れたこの星に、俺と対等に戦い楽しませることができる者が居るとな。20年前の事だ。ここまで来るのに時間が掛かった・・・。手下共は、あの予言は俺達を一時的に遠ざける為のデマだと思っているが・・・。」

 

 

「・・・・・・。」

 

 

「今確信した。さぁ、俺の生に刺激を与えてくれ。その為に来たんだ・・・。」

 

 

次の瞬間・・・。ドッゴォォンという音と共に、サイタマがボロスを吹っ飛ばした。そして、ボロスは幾つもの柱を突き抜け、数十本目あたりで停止した。

 

 

「馬鹿かお前。退屈な人生に刺激が欲しくて他の星を襲うなんて、OLでも考えねぇぞ。」

 

 

そう呆れるサイタマだったが、ボロスが起き上がる。

 

 

「ん?」

 

 

そう言ってサイタマが目を凝らすと、ボロスの着ていた鎧が砕け始める。

 

 

「強大過ぎる俺のパワーを封印する役目を持つ鎧が・・・今、砕かれた。」

 

 

だが、この様な台詞を前にしても・・・。

 

 

「そうか。」

 

 

緊張感の欠片も無いのが、我らが最強であった。

 

 

「ぬぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!」

 

 

ボロスがそう叫ぶと、辺りに閃光が(ほとばし)った

 

 

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その頃、地上では・・・。

 

 

「てやぁぁぁ!!」

 

 

ドッガァァンという音と共に、槍と表現するのがおかしい程の巨大な数百の槍を宇宙船に射出するホタルと・・・。

 

 

「さっさと・・・落ちなさいよ!!」

 

 

バゴォォンという音と共に、被害が無い建造物を利用できない為、ホタルが空気中の水分を凍らして生成した幾つもの巨大な氷塊をぶつけまくる、タツマキ。

 

 

ヒーロー協会最強のキネシスコンビが槍と氷塊(質量爆弾)を投げ付けまくっていた。

 

 

「へぇ!!あんたの能力って電気を操るだけかと思ってたけど、氷塊を作る事も出来るのね!!」

 

 

そう賞賛するタツマキに、ホタルは苦笑いする。

 

 

「アハハ・・・。氷塊を作ってるんじゃなくて、空気中の分子運動を停止させて、任意の範囲の温度を絶対零度まで冷やしてるだけですよー。」

 

 

「チート過ぎよ・・・。ところであんたの兄貴、全然出てこないけど大丈夫?」

 

 

「多分・・・いや、絶対大丈夫ですよ。」

 

 

「絶対って・・・理由は?」

 

 

「信じているからです。」

 

 

さっきのような絶対的な信頼を寄せる瞳に、タツマキは一瞬押し黙る。

 

 

「あんたの兄貴も、あんたの事心配してないみたいだけど・・・?」

 

 

「だって、僕とお兄ちゃんは最強ですから。」

 

 

そう自信満々に言うホタルに、タツマキは少し思案する。

 

 

「へぇ・・・。(私を差し置いて最強ね・・・。あのハゲと手合わせでもしてあげましょうか・・・。)」

 

 

そんな話をしながら質量爆弾をぶつけ続けるが、戦艦が落ちる気配はない。

 

 

「全然落ちませんね・・・。」

 

 

「そうね。」

 

 

「暇ですね・・・。」

 

 

「そうね。」

 

 

すると、ホタルが提案する。

 

 

「しりとりでもしませんか?」

 

 

「・・・しょうがないわね。しりとり。」

 

 

厘秤(りんばかり)。」

 

 

「理科室。」

 

 

「釣り。」

 

 

栗鼠(りす)。」

 

 

陶工(すえつくり)。」

 

 

此処でタツマキが違和感を感じるが、取り敢えず続ける。

 

 

「・・・リゾット。」

 

 

「時計回り。」

 

 

「倫理。」

 

 

厘取(りんど)り。」

 

 

そして、ここで違和感の正体に気付く。

 

 

「さっきから、『り』責めばっかりでズル過ぎるわよ!!」

 

 

「あ、バレましたか。」

 

 

そう言ってペロリと舌を出すホタル。

 

 

民間人に対する被害が一切出ていないのと、砲口を全て潰した事で暇に成った二人はしりとりによる攻防を広げていたのだった。

 

 

そんな中、地上組もぼやき始める。

 

 

「全然落ちねぇな。」

 

 

「あれ程の質量爆弾を食らっても浮かんどる・・・。」

 

 

そう話す金属バットと、シルバーファング。そんな中、アマイマスクが推察する。

 

 

「船内に、核の様な物が有ると踏んだ方が良いだろうね。」

 

 

「そうだな・・・。」

 

 

「それにしても・・・、ホタルちゃんとタツマキちゃん・・・。」

 

 

ここで、全員が心の中で疑問を呈ずる。

 

 

(((何言い争ってんだ?あの二人・・・。)))

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━

その頃宇宙船内では・・・。

 

 

「うぉぉぉぉぉぉっ!!」

 

 

ボロスが、残像が残るほどのラッシュを叩き込み

 

 

「・・・・・。」

 

 

サイタマは無表情でそれらを受け止める。

 

 

両者がラッシュを叩き、飛び回り、船内の柱を粉砕していた。

 

 

「オ゛ォッ!!」

 

 

ボロスが叫ぶと、サイタマに腹パンを食らわしてぶっ飛ばす。ドォォンという音と共に、サイタマが柱にぶつかる。

 

 

「ガァッ!!」

 

 

次いで、サイタマに飛び蹴りを食らわし、天井を突き破り船外に叩き出した。

 

 

二人が降り立ったところでは、雷雲が浮かび上がり無数の雷が落ちていた。

 

 

「良い動きだ!流石に強いな!!」

 

 

ボロスが褒める中、サイタマは弟の事を考えていた。

 

 

(・・・この落雷。ホタルが動いてるんだな・・・。さっさと終わらせて帰りてー。)

 

 

「このボロスと互角に戦える者は、お前が初めてだ!サイタマァァァァァ!!」

 

 

そう叫ぶと、ボロスは胸部からエネルギーを発射する。

 

 

「はぁっ!体内にある莫大なエネルギ-の放出!!雑魚がこれに触れれば、骨すら残らん!!」

 

 

ドッガァァンという音と共に、戦艦の天板が抉れた。

 

 

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その頃地上では・・・。ドッゴォォンという音に、タツマキが驚いていた。

 

 

「・・・!!??な、何よこの音。」

 

 

「派手にお兄ちゃんが暴れてるみたいですね・・・。」

 

 

「仮に、ボス格と戦ってると考えても大丈夫なの?あんたの兄貴。」

 

 

そう聞くタツマキに、ホタルは宇宙船のボスの心配をする。

 

 

「・・・と言うより、ボスの人が五体満足で生きていられるかが心配です・・・。」

 

 

「そ、そう・・・。と言うかそんなに強いのに、なんでB級なのよ・・・。」

 

 

「筆記がズタボロだったんです。」

 

 

ホタルのその言葉に、タツマキは納得する。

 

 

「あー・・・成程ね。というか、力が全てのこの業界で何で筆記試験があるのかしらね・・・?」

 

 

「さ、さぁ・・・。でも、筆記が無かったらS級だったと思いますよ?」

 

 

「へぇ・・・。」

 

 

そう言ってニヤリと笑うタツマキに、ホタルは質問する。

 

 

「もしかして、お兄ちゃんと戦いたいとか思ってます?」

 

 

その言葉を、タツマキは慌てながら否定する。

 

 

「は、はぁ?そんな訳無いでしょ!?というか、いつ墜落してもおかしく無いから衝撃を和らげる準備をするわよ!!」

 

 

「分かりました。じゃあ、イオンクラフト効果で船を下から押し上げつつ上空から船を持ち上げますので、手伝ってもらえますか?」

 

 

「言われなくても分かってるわよ!」

 

 

そう言って(なか)ば半ギレになっているタツマキの頭を、ホタルは撫でる。

 

 

「はいはい。」

 

 

「頭を撫でるな!あんたより年上なんだからね!!」

 

 

「はーい。」

 

 

そう言いつつも、ホタルはタツマキの頭を撫で続ける。宇宙人との決着まであと少し・・・。




Q.ホタル君のダッシュや飛行時での速度はどのくらいですか?


A.めっちゃ速い。全力で行けば第5宇宙速度くらい?空気の摩擦熱で服が燃えないのは、温度調整をしているから。(適当)
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