最強のハゲには、男の娘かつ最強電気使いの弟がいる   作:雨を呼ぶてるてる坊主

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「アマイさんと、初会話・・・緊張する~。」


三十一撃目:弟と罪との向き合わせ方

宇宙人を撲殺しようとしたアマイマスクを、ホタルは縛で止める。

 

 

「アマイさん、少し待ってください。」

 

 

そのホタルの言葉に、アマイマスクは少し殺気を出す。

 

 

「ホタル君・・・?僕は今から正義執行をして、次の撮影現場に向かわなくちゃいけないんだけど。」

 

 

「分かりました。要件は単純です。その宇宙人達の処分を、僕に任せて貰えないでしょうか?」

 

 

「・・・どういう事かな?」

 

 

「そのままの意味です。」

 

 

自らの殺気にも怯まず、堂々とした目をするホタルにアマイマスクは一旦引き下がる。

 

 

「・・・お手並み拝見といこうじゃないか。」

 

 

「・・・ありがとうございます。」

 

 

そう言って宇宙人の方に向かうホタルを、ジェノスが心配そうに呼び止める。

 

 

「ホタル先生・・・。」

 

 

「大丈夫だから。・・・ね?」

 

 

そんなジェノスを安心させる様に笑うと、ホタルは宇宙人の方に歩を進めた。

 

 

━━━━━━━━━━━━━

アマイマスクとの会話が終わると、ホタルは宇宙人達に向き直る。

 

 

「さて、宇宙人の皆さん初めまして。僕の名前はホタル。先程貴方達の宇宙船を破壊した、張本人です。」

 

 

ホタルがそう言うと、宇宙人達は怯えた表情となる。

 

 

「い、今からどうするんだ?お、俺達を殺すのか?」

 

 

そう問いかけると・・・。

 

 

「そうですね。貴方達にはA市を破壊しようとした罪。つまりは器物損壊未遂と殺人未遂の疑いがあるのと同じ。それ故にこのまま解放。それは無いものと思ってください。」

 

 

そう言い切るホタルに、宇宙人たちは怯えた顔に成る。

 

 

「・・・・・・っ!」

 

 

「質問させてください。何故貴方達は、A市を狙ったのですか?・・・あぁ、僕には他人の脳波を読み取ることによる、読心術があるので嘘をついても無駄ですよ。」

 

 

そう質問するホタルに、宇宙人達は震えながら答える。

 

 

「た、単純な話だよ・・・。地球侵略以外にあるか?」

 

 

「・・・このっ!」

 

 

ここでアマイマスクが拳を振りあげようとするが・・・。

 

 

「アマイさん。ストップ。」

 

 

「・・・くっ!」

 

 

ホタルの声に、アマイマスクは拳を下ろす。

 

 

「・・・分かりました。貴方達の罪は到底許されるものではありません。けれども、私は貴方達個人を恨むつもりはありません。」

 

 

そう言い放つホタルの顔は、憤怒の形相ではなく憂いの表情である。

 

 

「え・・・?」

 

 

そう呆ける宇宙人達に、ホタルは話し続ける。

 

 

「罪を憎んで人を憎まず。この言葉がある様に、貴方達の罪は恨みますが、個人としては恨みません。下っ端の貴方達に怨恨を抱いても意味はありませんから。それに、例え大罪を犯したとしても、殺人は起こってないですからね。」

 

 

そうホタルは、困ったように笑う。しかし、ここで・・・

 

 

「・・・殺してくれ。」

 

 

一人の宇宙人が、死を懇願したのだ。これには流石のホタルも、一瞬呆ける。

 

 

「え?」

 

 

「殺してくれって言ったんだよ。」

 

 

そう言う宇宙人の一人を、他の仲間は制止する。

 

 

「お、おい!!」

 

 

「何言ってんだ!せっかく見逃してくれようと・・・。」

 

 

しかし、そんな言葉を無視するように懺悔(ざんげ)を始める。

 

 

「もう嫌なんだよ!生きているのが!逆にお前らはなんとも思わねぇのか!?ボロス様の命令だったとはいえ、俺達はなんの罪もない民族を殺してきた!こんな事言っちゃあ盗賊団失格だと思われるだろうが、今まで俺達は虐殺を繰り返してきた!今回はこの星の民族に死人が出なかったけど、今まで犯してきた罪が帳消しになるわけじゃねぇ!!それに毎晩聞こえるんだ!今まで殺してきた民族の恨みの声が!!もう嫌だ・・・お願いだ、そこの地球人。楽にしてくれ・・・。」

 

 

その言葉に、他の宇宙人達も言い淀む。

 

 

「そ、それは・・・。」

 

 

「・・・確かに、俺達も向き合わなきゃいけないのかもな・・・自分の罪と・・・。」

 

 

そう呟く宇宙人達に、ホタルは声をかける。

 

 

「・・・お話し合いは、終わりましたか?」

 

 

その言葉に、観念した顔に成る宇宙人達。

 

 

「・・・地球人、俺達も戦士だ。介錯を頼むっ・・・!」

 

 

「分かりました。では、始めます。」

 

 

すると、ホタルは宇宙人達の頭に電気信号を流し始める。その電気信号を長せれた宇宙人達に、睡魔が襲い掛かる。

 

 

(何だか、眠く・・・。)

 

 

ホタルは、宇宙人達の側頭部に電気を流し、幸せホルモンを分泌させつつ、電気信号をシャットアウトさせる事で、安らかな眠りにつかせたのだ。

 

 

「貴方達に来世があるのなら、次は人の生を歩めますように・・・。」

 

 

黙祷を捧げるホタルの後ろから、アマイマスクが声をかける。

 

 

「終わったかい?」

 

 

「はい・・・脳内の電気信号をシャットアウトさせました。」

 

 

そう言って(うれ)いを帯びた表情をするホタルに、アマイマスクは質問する。

 

 

「・・・どうして、僕に正義執行をさせなかった。君が泥を被る必要は無かっただろう。」

 

 

「それは、自らの罪を認めた宇宙人さん達に恐怖心を抱いたまま死んで欲しくなかったのと、貴方の心が辛そうだったから・・・ですかね。」

 

 

その言葉に、アマイマスクは困惑する。

 

 

「え・・・?」

 

 

「言葉では言い表せないんですけど、貴方の脳波を読み取った際に、焦燥感で溢れていたんです・・・。そして、何処か心労もあった。だから、貴方が今まで味わってきた負の感情に比べれば微々たるものかもしれませんが、少しでも心労を貴方に与えたくなくて、この様な選択をしました。迷惑だと思っているのなら申し訳ございません。」

 

 

そう言って、ホタルは頭を下げたが・・・

 

 

「・・・別に迷惑とは思っていないさ。撮影があるから、ここで失礼するよ・・・。」

 

 

そう言い放つと、アマイマスクは去っていった・・・。すると、緊張から解放されたようにアトミック侍が声を上げる。

 

 

「今度こそ・・・一件落着で・・・、良いんだよな?」

 

 

「そうじゃのぉ・・・。」

 

 

そう呟くバングを尻目に、ジェノスはホタルを称賛する。

 

 

「しかし、あの男を納得させて立ち去らせるとは・・・、流石はホタル先生です。」

 

 

「・・・うん。」

 

 

しかし、当の本人は浮かない顔である。そこへ、遠くから様子を見ていたタツマキが近付き、ホタルを心配する。

 

 

「どうしたのよ?・・・浮かない顔してるわよ。」

 

 

「あ、いえ・・・。えっと、今回の宇宙人さん達・・・本当に殺しちゃうしか道は無かったのかな・・・?」

 

 

そう呟くホタルに、タツマキは驚く。

 

 

「はぁ?」

 

 

「どういう事ですか?」

 

 

そう質問するジェノスに、ホタルは自分なりの答えを絞り出す。

 

 

「その・・・、深海王さん・・・弟橘媛様のときみたいに、御話し合いをして分かり合える事も出来たんじゃないかって・・・。」

 

 

そう俯きながら話すホタルに、タツマキは一喝する。

 

 

「・・・あのねぇ、あんたは色々夢見すぎ!そもそも、深海王・・・弟橘媛だっけ?それも、そいつ自体に人間を殺す意思が無かったから和解が出来たんでしょ!?そんな平和主義の怪人なんて、片手で数えるくらいしかいないんだから、そんなに気に病む必要なんて無いわよ!!」

 

 

厳しい言葉ながらも、慰めの言葉を掛けてくれているタツマキに、ホタルは弱々しい笑顔を向ける。

 

 

「・・・そう、ですね・・・。」

 

 

「タツマキの言う通りですよ。そもそも、人間だって同じじゃないですか。」

 

 

「え?」

 

 

そう疑問の声を呈するホタルに、ジェノスは自分なりの見解を述べる。

 

 

「良い心を持った人間と悪い心を持った人間が居るように、人間に害をなそうとする怪人とそうでない怪人が居る・・・、最後まで反省をしない怪人もいれば、今回の様に自らの罪を認める怪人もいる。それで良くないでしょうか・・・?」

 

 

その言葉に、ホタルの目に光が戻る。

 

 

「・・・そうだね。二人とも有り難う。少しすっきりできたかも。」

 

 

するとそこへ・・・ガッシャァァンという音と共に、サイタマが宇宙船の壁をぶち破って出てきた。

 

 

「お、出れた。」

 

 

そんな兄の元へ駆け寄り、ホタルは抱き着く。

 

 

「お兄ちゃん!!」

 

 

「お、ホタル!頑張ってたみたいだな!」

 

 

「うん!頑張ったよ!!」

 

 

そう言って笑顔を向けるホタルの頭を、サイタマは撫でてやる。

 

 

「よーしよし。」

 

 

「えへへ〜。お兄ちゃんの手、あったかいね。」

 

 

そんな様子のホタルとサイタマを見ながら、タツマキは一人考える。

 

 

(あれは・・・ふーん、あの様子だとマジでボス格を殺ったっぽいわね。B級の雑魚かと思ってたけど、少しは期待できそうね。)

 

 

そう思考を巡らせると、タツマキは用が済んだように飛び立っていった。

 

 

長いようで短かったエイリアン討伐作戦は、この瞬間に終結したのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━

サイタマ家にて・・・、時刻は21時頃。そんな時間にも関わらず、家にはホタルだけしかいなかった。

 

 

「月から持って帰ってきた石を質屋に売りに行くって言ってたけど、遅すぎないかな・・・?」

 

 

するとそこへ・・・、プルルルルと電話が鳴った。

 

 

「・・・電話?えーっと、・・・非通知?」

 

 

非通知である事から一瞬出るのを躊躇ったが、一呼吸してから電話に出た。すると、聞こえてきたのはアマイマスクの声だった。

 

 

「もしもし、アマイマスクだけどホタル君の電話であってるだろうか?」

 

 

深夜の時間帯にも関わらず、No.1アイドルが電話を掛けてきた。そんな出来事に、ホタルは混乱する。

 

 

「・・・?ふ、ふぇぇ!?あ、アマイマスクさん!?おはにちばんは!!」

 

 

そう言って「おはよう」、「こんにちは」、「こんばんは」の挨拶をMIXさせてしまう程慌てるホタルに、電話口のアマイマスクは笑いながら呆れた声を出す。

 

 

「フッ、挨拶が混じってるよ・・・。まぁいい、少し君にお願いがあってね・・・。」

 

 

「お、お願いですか?」

 

 

「明日は暇かい?」

 

 

「え、えぇ・・・。」

 

 

そう答えるホタルに、アマイマスクは衝撃的な提案をする。

 

 

「じゃあ、僕と喫茶店でお茶して欲しいんだけど。」

 

 

「へ?」

 

 

「時間と場所はメールに送るよ。それじゃあね。」

 

 

そう言うと、アマイマスクは電話を切ってしまった。後に残るはツーツーツーという音だけである。

 

 

一呼吸置いてから、状況を把握したホタルは驚愕の声を上げる。

 

 

「・・・え、えぇ~!?」

 

 

トップアイドルに、デートに誘われたホタル・・・。果たしてどうなる!?




「アマイさんの心が晴れる日が来ますように・・・。」


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