最強のハゲには、男の娘かつ最強電気使いの弟がいる 作:雨を呼ぶてるてる坊主
その日の僕は芸能活動も無く暇だった。だから・・・。
「このパンケーキ、フワフワで美味しいですね~。」
「あぁ・・・。」
S級5位の少年と喫茶店でデート中だ。
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目の前でパンケーキを頬張る少年に会ったのは、A市に
初めて会った時に抱いた第一印象は、小柄で実力はあるが、性格面は気弱そうなお人好し。しかし、見事レベル竜を討伐した確かなる実力者だ。
そんな彼の行動で驚いたのは僕が
最初は、『
ただ、僕と違うのは悲しみの表情を浮かべて殺したという事だった。『貴方達に来世があるのなら、次は人の生を歩めますように・・・。』と願いながら。
協会の
特筆すべきは、電子を取り込むことによる無尽蔵の体力と細胞分裂の速度向上による自己再生能力。
つまり、寿命以外で彼を殺す方法は、大地や空間を含めた宇宙空間の破壊という夢物語。
生来の
あの時も恐らく、宇宙人の脳の電気信号に干渉し、幸せホルモンの類を分泌させたり、神経に干渉して、死の間際の苦痛を和らげたのだろう。
そのときの彼の表情は、僕の様な憎悪でも嘲りでもない。悲しみが含まれた慈しみの表情。
初めてだった。僕が今まで出会ったヒーローは、憎悪を以って殺す者、快楽の赴くままに殺す者に、ランキングの為に殺す者。黄色い歓声を浴びる為に殺す者。自らが強いと錯覚し、弱い自分を誤魔化す為に雑魚狩りに精を出す者。淡々と殺す者。僕の掲げるヒーロー像に相応しくない、有象無象な烏合の衆。だからこそ興味が湧いた。何故、
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パンケーキを飲み込んだホタルは、改めてアマイマスクに頭を下げる。
「本日は付き合って頂き、ありがとうございます。」
「いや・・・、僕もオフだったからね。というか、誘ったのは僕だしね。」
そう言って爽やかに笑うアマイマスクに、ホタルは再度頭を下げる。
「あの・・・、A市ではすみませんでした。アマイさんの攻撃を中断させるような真似を・・・。」
「・・・いや、あの時は僕も
「いえ!アマイさんの気持ちも考えずに勝手なことを・・・。」
そう言って申し訳なさそうにするホタルに、アマイマスクは紅茶を優雅に飲みながら持論を説明する
「結果的に君は、あの悪共を殺した。結果的に悪が消えれば僕はなんでも良い。」
「そうですか・・・。」
そう言って困った顔をするホタルに、話題を変えようとアマイマスクは質問する。
「今日、君を呼んだのは聞きたい事があったからなんだ。」
「僕に・・・ですか?」
「君のヒーロー像についてね。」
「ヒーロー・・・像・・・?」
そう言ってキョトンとするホタルに、アマイマスクは話し続ける。
「あくまで僕が知る限りだが、ヒーロー達には正義がある。僕であれば悪は徹底的に殺すとかね。」
「・・・・・・。」
「僕が最初に、君に抱いた印象は偽善者だった。」
その言葉を、ホタルは静かに聞き続ける。
「・・・・・・。」
「怪人という悪でさえも許す自分に酔っている、そんな人間にね。けれども君は、きちんと殺した。ただ、慈愛を以って殺していた。なぜ君は、怪人という悪に慈しみを以って殺すんだ?」
そう質問するアマイマスクに、ミルクティーを一口飲んだホタルは聞き返す。
「・・・アマイさんは、正義って何だと思います?」
「悪を殺す事・・・以外無いと思うけど?」
すると、ホタルは更に質問を重ねる。
「なら、悪って何ですか?」
「弱者を
その言葉に、ホタルは頷く。
「ふむふむ・・・。つまり、弱い物虐めをする存在が悪っていう解釈なんですね?」
「それ以外無いだろう・・・。(何が言いたいんだ?)」
そう言って怪訝そうな顔をするアマイマスクに、ホタルは笑顔で衝撃的な言葉を口にする。
「じゃあ、僕達人間も一部の怪人からしたら悪ですね。」
「は・・・?ど、どういう意味なんだい?」
そう言って愕然とするアマイマスクに、ホタルは持論を話す。
「だって、そうじゃないですか。例えば自然発生した怪人。植物型の怪人とかの殆どは人間が自然破壊したことによる
「それはそうだが・・・。」
そう苦い顔をするアマイマスクとは対照的に、ホタルは穏やかな顔で話し続ける。
「それに思うんです。もしも、怪人ではなく人として生まれたなら、彼らはどんな人生を送ってたんだろうって。」
そう言うとホタルは穏やかな顔で、ミルクティーをストローで掻き混ぜる。
「なら、自ら望んで怪人となった者は?」
「人を一人も殺してないのなら、安らかなる死、もしくは更生の道を与えます。でも、人を殺せば勿論ヒーローという立場上、一思いに殺めます。」
すると、アマイマスクは
「なら・・・、目の前の僕が怪人だったら?」
その言葉に、ホタルはミルクティーを掻き混ぜる手を止める。
「え?」
「怪人の中には、人間に擬態する個体も居る。仮に僕が怪人だったら・・・、君はどうするのかな?」
「えっと・・・、話の脈絡が見えないんですけど・・・。」
そう言って、困った顔に成るホタルにアマイマスクは問い続ける。
「答えてくれ。」
そう言うアマイマスクに、ホタルは綺麗な人差し指を顎に当て、慎重に答える。
「んーっと、何もしませんよ?仮にアマイさんが怪人だったとしても、心はヒーローじゃないですか。怪人から人々を守る心があれば、それは最早ヒーローじゃないですか?」
そう言って、にこやかに笑うホタル。そんな彼に、アマイマスクは毒気を抜かれる。
「・・・。君は優しいんだな・・・。」
しかし、そんなアマイマスクの言葉をホタルは否定する。
「優しくなんかありませんよ。自分が可愛いだけです。」
「と言うと?」
「人であろうと怪人であろうと、誰かが苦しい思いをすると、僕も苦しい。誰かが辛い思いをしていると、僕も辛い。だから、更生の道を歩ませる。もしくは、安らかな死を与えてるんです。」
そう言って笑うホタルを、眩しそうにアマイマスクは見つめる。
「そうか・・・。」
そうして、二人は夕方まで雑談をしていた。
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そうして、夕刻。アマイマスクは外に待たせていた送迎用の車に乗り込もうとする。
「今日は付き合ってくれて感謝するよ。
そう言うアマイマスクに、ホタルは笑いかける。
「こちらこそ有難うございました。あ、ちょっと待ってください。」
「ん?」
「手を出してください。」
いきなりのホタルの要求に、アマイマスクは困惑するが大人しく手を差し出す。
「・・・こうかい?」
そうすると、ホタルはアマイマスクの手をぎゅっと握る。
「え?」
そう言ってアマイマスクは困惑する。すると・・・。
「えいっ!」
そんな声と共に、ホタルはアマイマスクに微弱な電気を流す。
「一体何を・・・、ん?(ライブや怪人退治で溜まった疲労が消えた?)」
ホタルが電気を流すと、アマイマスクの中から疲労が一気に消えたのだ。
「お疲れの様でしたので、生体電流を整えました。如何ですか?」
「・・・悪くない気分だよ。」
そう言って伸びをするアマイマスクに、ホタルは話し掛ける。
「あの・・・。アマイさん。」
「何だい?」
そう言って聞こうとするアマイマスクに、ホタルは少し
「僕はアマイさんとは、怪人に対する思いも違いますし、まだヒーローとしては新人です。だから生意気言ってるように聞こえちゃうかもですけど・・・、完全無欠の人なんて、この世にはいません。神様であっても
そう言って聖母の様な笑みを向ける。
「・・・あ、あぁ。」
そう言って困惑するアマイマスクに、再度笑いかけると今度こそ立ち去る。
「引き止めてすみません。ではまた。」
そう言うと、ホタルの姿は夕焼けの中に消えて行った。
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そうして、車に乗ったアマイマスクは専属運転手に話しかけられる。
「アマイさん、今日は良い事があったんですか?」
「あぁ。有意義な休暇だったよ。少し考えたいことがあるから、事務所に着いたら教えてくれ。」
「かしこまりました。」
そう言って運転に集中する運転手を尻目にアマイマスクは端末を開き、ホタルのヒーロー協会のプロフィール画像をチェックする。
(疲れが嘘のように消えた・・・。S級ヒーロー激雷の天使・・・。いや、ホタル君。マークしておこう。)
そのとき、アマイの脳裏に浮かんだのは、ヒーロー協会とファンの顔。
『君なら、出来て当然の任務だよね。』
そう言って、貼り付けた笑みを見せる職員の顔。
『アマイ様は、きっとなんでも出来るのよ〜。』
そう言いながらも、無意識にプレッシャーを掛けてくるファン達。
続いて脳裏に浮かべたのは、そんな彼等とは違い聖母の様な笑みを浮かべるホタルの姿。
『もっと誰かを頼ってください。そして、心に余裕が出来たらあなたのイケメン仮面の笑顔じゃない、本当の笑顔を見せてくださいね。』
その笑顔を思い浮かべたアマイマスクは、顔を赤らめる。
「・・・っ!(頼って・・・か・・・。そんな事、誰にも言われた事が無かったな・・・。
そんな彼だが、今は自分でも気づかないほど自然に穏やかな微笑みを浮かべていた。
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そして、サイタマ宅で夜ご飯の準備をしていたホタルはクシャミをする。
「クチュン!」
そんな彼を、ジェノスとサイタマは気遣う。
「ホタル先生!風邪ですか!?」
「風邪薬要るか!?今日はもう寝ろ!」
そんな二人を落ち着かせるホタル。そうしながら、今日感じた違和感を考える。
「大袈裟だよー。誰か噂してるのかもね〜。(アマイさんに触れた時に感じた不可思議な電波・・・、アマイさん・・・貴方の正体は・・・。いや、誰にも言わないでおこう・・・。僕とアマイさんの秘密なんだから。)」
「アマイさん、元気に成ったら良いな・・・。」
Q.ホタル君は大声で怒ったりしませんが、ストレスは溜まりませんか?
A.羊毛フェルトで発散してます。本人曰く、無心になれるから。