最強のハゲには、男の娘かつ最強電気使いの弟がいる 作:雨を呼ぶてるてる坊主
巨大怪鳥がキングの家に押しかけていた頃・・・。ジェノスは小型ロボと交戦していたが、レーザーに苦戦する
(ちっ!このレーザーを何とかしないと、手も足も・・・!)
ジェノスは四方八方を飛び回り、レーザー光線を避け、とある集合団地の螺旋階段に避難していた。
「下りてこい。市民の巻き添えを意識した、愚かな立ち回り・・・甘い!時間の無駄だ!!我の目標はキングのみ!!」
そう言い放つと、更に紫のビームを撃ち放つ。しかしそこへ・・・。
「ふんっ!!」
ジェノスが消火器を投げ付ける。
「ヌッ!!」
ロボは、それを撃ち落とそうとするが・・・。
ブファと消火器が破裂したことにより、白煙によって
「くっ!おのれ・・・!!」
その瞬間をジェノスが見過ごすはずもなく・・・。送水口を破壊し、大量の水をぶちまけたのだ!!そうする事により、周囲の炎も
「水蒸気!!」
そこへ、何処からともなく現れたワイヤーが、ロボを拘束する。
「ぐぐぐぐ・・・
ワイヤーを光線で焼き払おうとするが・・・。
「無駄だ。湯気は光を拡散する。キングを追っている様だが、俺は奴より強い男達を知っている。そしてお前より・・・。」
そう言いながら、ジェノスが拳を握る。
「・・・・・・!!」
「俺が強い!!」
「ヌオオオ!!」
そうして、互いに拳を振り上げた!!
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そして、場面は変わりキング宅・・・。キングは後悔に苛まれていた。
(あの時も。あの時も、あの時も、あの時も、あの時も、俺はタダの被害者だった!!いつも逃げるだけ。その内、誰かがやっつけてくれる。そんな日々を過ごすだけで、金が入って来る。勘違いした周囲が、勝手に貢いでくれるようになったんだ。現場に居合わせただけで、俺が倒したと思ってる。俺は、喧嘩もした事が無い。キング・・・。ヒーローの頂点の風格だとか、生態系最強といった意味が込められて、ヒーロー名が付けられた訳だが・・・笑えるぜ。何もかも間違ってやがる!俺は嘘の塊のような男!!世間が憧れるキングは俺ではない!だが、本物のキングは何処かに存在する!!あぁ・・・言わなければ!今!言わなければ・・・。今、言わないと・・・。死ぬ!)
「・・・キングさん?」
そんなキングを見て首を傾げるホタル。そんな彼ら兄弟に、キングは打ち明ける。
「俺・・・実は・・・!!」
「グギャァァァ!!」
怪人が咆哮をあげたと同時・・・!!
「──────────!!」
キングは、目を閉じながら全てを打ち明けた。その瞬間、肉が潰れる音がする。
(今の音は何だ!?B級の彼は食われてしまったのか!?S級5位の彼も直ぐに動ける状態じゃなかったから、彼と一緒に食われてしまったのか!?あぁ・・・俺が傍に居たからか。・・・すまない!俺に君達を守る力は無かったんだよ!!言うの遅かったけど・・・許してくれ!!)
そして、恐る恐る目を開けるとそこには・・・。
「今の話って本当なんですか?」
「強い評判も、戦歴も嘘だったって。」
少し驚いた顔で、雑巾掛けをしているホタルと・・・。
返り血で染まったサイタマが立っていた。
(な・・・。)
そんな二人を、失禁しながらキングは見つめる。
「・・・今の鳥で、小便漏らすって事はマジなのか。」
(何で、そこに立っている?鳥は?・・・え?こいつ・・・え・・・?た・・・倒したんだ。災害レベル鬼を・・・。)
その時、サイタマとホタルが声を掛ける。
「「大丈夫(でした)か?」」
「・・・・・・!!(この二つの声は・・・!!)」
兄弟の声にキングが思い出したのは、数年前の日常風景。
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数年前の昼下がり、タコの姿をしつつ触手に鋭い爪を生やした怪人が暴れていた。その怪人に市民は逃げ惑う。
「うわぁぁぁ!!何か出た!!」
「逃げろ!逃げろぉお!!」
「災害レベル虎の、タコヅメ男だ!!」
そう逃げ惑う市民達の中に、キングも居た。
「ひぃ!!」
すると、タコヅメ男の爪の生えた触手がキングの目元に襲い掛かる!!
「ぎゃぁぁぁぁあああ!!あがぁぁあああ!!目がぁぁぁ!!ああぁうああああ!!誰か・・・誰かぁぁ!!」
その時、ドガァァァァァンという音と共に、静寂が訪れる。そうして、二人の声が聞こえる。
「大丈夫ですか!?」
「おい、落ち着け!怪人は俺達がやっつけたから。」
その二つの声は、一つは爽やかな声。もう一つは可愛らしい声だった。
「目は開けられますか?」
可愛い声をした方が、キングに聞くがキングは呻き続ける。
「い、痛い!痛い!!」
「僕の力で、痛みを癒してあげます。ほら、深呼吸・・・。」
そう言うと、可愛い声をした方がキングの目元に手を添える。
(あ、あれ?痛みが・・・。)
「見た目より深い傷じゃなさそうだな。痛みが治まったなら、ゆっくり開けてみろ。」
爽やかな声の方が、キングに声をかける。その言葉にキングはゆっくりと目を開ける。
「僕の広げた指、何本に見えますか?」
そう言って指を広げる少年は、オレンジの髪に紫の瞳の可愛らしい顔だった。
「ご、・・・五本?」
そう言うキングに、少年は笑いかける。
「うん!見えてるね!!」
「あ、貴方達は?」
その言葉に、黒髪の男が答える。
「俺ら?う~ん。まぁ・・・、趣味でヒーローを目指してる兄弟だ。いつかヒーローが現れたら、俺達兄弟だぜ!!」
そんな血だらけの男に、キングは心配する。
「・・・!?酷い怪我を!!」
そんなキングに、兄弟は笑いかける。
「こんな怪我、大した事ねー。最悪、弟に治してもらうしな。」
「今日は、大金星だね☆」
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その思い出の人物達と、目の前の兄弟の姿が重なる。
(この人達は・・・!!)
「キングさん?痛い所はありませんか?」
そう聞くホタルの言葉に、更に昔を思い出す。
「うっ・・・うっ。ううっ!!」
そうして泣きだすキングに、サイタマは慌てだす。
「おいどうした!?おい!?キング!?」
「うっ、すみませっ・・・!」
少ししてキングが落ち着くと、兄弟の目の前に正座をするキングという構図が出来た。
「成程・・・。そういえば昔、三本傷の男の人の痛みを抑えてあげた事があったけど、あれってキングさんだったんですね。」
そう言って頷くホタルとは対照的に、サイタマはあまり覚えていないようだ。
「俺はあんま、その時の事とか覚えてねぇけど・・・。というか、楽しいか?お前・・・嘘ついて、ビクビクしながらヒーローやってて。」
「楽しくない・・・。」
そうしょぼくれるキングに、サイタマは話し続ける。
「まぁ俺達は関係無いし、説教する気もねぇけど。」
「いや、サイタマさんとホタルさんの手柄を、俺が貰ってたかもしれません・・・。」
「手柄とか、そういう問題じゃねぇだろ。」
そのサイタマの言葉に、ホタルも同調する。
「そうですよ。嘘も方便という言葉がある様に、キングさんのネームドバリューで救われた人も多くいるのに、こんな所で挫折して人々の期待を裏切るつもりですか?キングさんは、皆のヒーロなんですよ?」
「キング。このまま嘘を通すのか?ヒーロー辞めるのか?」
そう聞く兄弟に、キングは言い淀む。
「中々決める度胸が・・・。」
そんなキングに、サイタマはハッキリ告げる。
「だったら、強く成れば良いんじゃね?」
「え?」
「俺達もう行くわ。じゃあな。」
そう言って立ち去ろうとする兄弟を、キングは呼びかける。
「ちょっと待っ・・・!怒らないのか!?(あんた達は、本気でヒーロー目指してたのに俺は・・・!!)」
そんなキングに、ホタルは笑いかける。
「キングさんの吐いた虚言で、死人が出たなら兎も角、逆に多くの人が救われていますからね。怒りませんよ。」
「そうそう。それに、たまにゲームやりに来るから。宜しく。」
「僕も、訪問する際はタッパーに詰めた御料理持ってくるので。宜しくお願いします。」
そう言って、高層階から飛び降りる兄弟に・・・
「あ・・・、うん。アリガト・・・。」
キングはそう呟いた。
人類最強の友達が出来たホタルであった。
「キングさんの嘘に関しては、そこまで怒って無いよ~。(明日から、また投稿頻度が下がるかも・・・。ごめんね。)」