最強のハゲには、男の娘かつ最強電気使いの弟がいる 作:雨を呼ぶてるてる坊主
キング宅から帰って来ていたホタルと、そんな彼を見たフブキは互いに呆然としていた。
「ホ、ホタル・・・君?」
「ふ、フーちゃん先輩・・・?」
「え?何?お前ら知り合い・・・?」
そうサイタマが問いかけると同時・・・。
「フーちゃん先輩!!」
ホタルが、フブキの元へ駆け寄り両手を握ったのだ。
「フーちゃん先輩!お、お久しぶりです!!」
ホタルのその言葉に、フブキも困惑しながら答える
「ひ、久しぶり・・・!え、えっと、どうしてホタル君が!?」
「え?だ、だって・・・
「えぇ!?って事は・・・サイタマは、貴方の・・・兄?」
「そ、そうですね・・・。えっと・・・小学生以来なので、10年振りくらいでしょうか・・・。」
「そ、そうね・・・。」
そう。本作の第5話にして、第四撃目でホタルが夢の中で話していた虐められっ子の超能力使い。それが、フブキであったのだ。
しかし、ここで現在置いてきぼりを食らっている
「えっと・・・ホタル氏?そこのフブキ氏との関係って?」
キングに続いて、サイタマも質問する。
「俺もめっちゃ気になってんだけど・・・。」
「あ、えっと・・・、実は・・・。」
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「成程。つまり、小学生時代の先輩と後輩の関係で、約10年振りの再会であったと・・・。」
そう言いながらも、ジェノスはフブキに砲口を向けている。
「う、うん。」
「取り敢えず、その砲口下ろしてくれない・・・?」
そう言うフブキに・・・
「ふん。先程までサイタマ先生を、新人潰しの対象にしていた貴様を信じられるか。」
そう。ジェノスは先程まで師匠の片割れを新人潰しの対象にしていた女を信じていないのである。
しかし、ここで・・・。
「え?新人潰し?」
ホタルが反応を示した。そんなホタルに対し、フブキは目を
「・・・・・・。」
「フーちゃん先輩・・・。どういう事ですか?」
そう困った顔で聞くホタルに、フブキは観念したように答える。
「・・・ごめんなさい。私は、貴方の兄を新人潰しのターゲットにしていたの・・・。」
「・・・?どういう事か、説明して頂けますか?」
「・・・はい。」
そう返事をしながら、フブキはホタルに説明したのだった。
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フブキが説明を終えると、ホタルは難しい顔をしていた。
「フーちゃん先輩・・・。僕が少し怒ってるのは分かりますね?」
「・・・えぇ。」
「確かに、タツマキさんの超能力は凄い力です。そして、そのタツマキさんに勝ちたいとフーちゃん先輩がどうにかしようとしてる気持ちも分かります。僕も、その頑張りは認めてあげたいです。でも、事情を知らないヒーローの人達を新人潰しの対象にするのは、いただけませんね・・・。」
「・・・。」
そんなホタルの説教に、フブキは
「ですが・・・、一つ言えるのは、フーちゃん先輩はフーちゃん先輩。タツマキさんはタツマキさんと言った所でしょうか・・・。」
その言葉に、フブキは顔を上げる。
「・・・え?」
「
そう言って微笑むホタルに、フブキは困惑した様に声を絞り出す。
「お姉ちゃんが・・・?私に・・・感謝?」
「はい。・・・それにしても、もうこんな時間ですが大丈夫ですか?」
そう言って壁時計を見るホタルに、フブキは少し慌てる。
「え?あ、も、もうこんな時間・・・。」
「もう遅いので、僕が送りますよ。」
「あ、ありがとう・・・。そういえば、マツゲと山猿が下に・・・!」
そう言って部下の心配をするフブキに、ホタルは微笑む。
「では、彼らを回収しがてら帰路につきましょうか。お兄ちゃん、フーちゃん先輩を送って来るね。」
ホタルのその言葉に、サイタマは軽く返事をする。
「おう。」
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そして、フブキ組に彼らを送り届けた後、二人はフブキ宅に居た。
「御部屋に上げて貰わなくても、良かったのに・・・。」
そう言って、苦笑いをするホタル。
「め、迷惑だった?」
そう問いを投げるフブキの顔は、何処か不安そうである。
「い、いえ!迷惑だなんて・・・。」
「そ、そう・・・。」
そこから、
「そ、それにしても
「そう言いながら、少しは勘付いてたんじゃないの?」
そう言って
「あはは・・・、バレましたか・・・。で、でもフーちゃん先輩も僕がS級に成ってたことは知ってたんじゃないですか?」
「えぇ・・・。でもサイタマの弟だったなんて・・・。」
「あはは・・・、似てませんからね~。」
すると・・・グルルルルと、腹の虫が鳴く音がした・・・。その出所は・・・。
「え?」
「・・・・・・。」
顔を赤らめている、フブキである。そんな彼女に、恐る恐るホタルは提案する。
「あ、あのー。良かったらご飯作りましょうか?」
「え?でも・・・余り物しかないわよ?」
「余り物があれば何でもできますよ?」
「え、え!?い、いいわよ・・・。サイタマ達が待ってるかもしれないのに・・・。」
「こんな夜遅くに、女性一人を残す方が心配です。お兄ちゃん達にはLINEしておきますので。」
「あ、ちょっと!」
しかし、制止も聞かずに携帯端末に文字を打ち始めるホタル。
「OK出ました~。ドンドンパフパフ~。」
そう言って拍手をするホタルに、フブキはポカーンとする。
「・・・。(ご、ご飯作っちゃうのぉ!?)」
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そうしてホタルは、フブキ宅の冷蔵庫の前に居た。
「じゃあ、冷蔵庫見させて貰っても良いですか?」
「ど、どうぞ・・・。」
フブキの許可が下りると、ホタルは彼女に背を向けて材料を物色し始める。
「ふむふむ。しめじが一
「え?これで?」
そう言うフブキに、背を向けていたホタルはくるりと半回転し彼女に向き直る。
「はい!今日の献立は、メインはグラタン。副菜はもやしのナムルです!ニンニクやオリーブオイルはありますか?」
「え、えぇ。一応・・・。」
「じゃあ~・・・。Let's cooking!!」
そう言って可愛らしい笑顔で拳を突き出すホタルに、フブキも乗っかる。
「お、お~。」
そうして、ホタルは調理に取り掛かる。
「じゃあ、まずはグラタンから作っちゃいますね。」
「え、えぇ。」
そして、
「・・・良い匂い。」
そう言ってテーブルの椅子に座っているフブキに、ホタルは照れ笑いを浮かべる。
「えへへ・・・、時短の為なら市販のホワイトソースを使っても良いんですけど、折角フーちゃん先輩に食べて貰うんですから、手の込んだ感じにしたいなーって。」
その言葉に、フブキは顔を赤らめる。
「そ、そう。ちょ、ちょっと御風呂に入って、部屋着に着替えて来るわ。」
「分かりました~。」
そして数分後・・・。入浴を済ませ部屋着に着替えたフブキが戻って来ると・・・。
「お待たせ・・・って、もう完成してる!!もしかして待ってた感じ?」
「・・・・・・。」
ホタルは、ボーっとしていた。そんな彼の目の前で、フブキは意識があるかを確認する為に手を振る。
「ちょっと?ホタル君?」
そうすると、ホタルはビクッと反応して声を上げる
「え?あ。い、いえ!全然待ってませんでしたよ!?丁度完成したばかりでしたから。」
そんな言葉に困惑しながら、フブキは席に着く。
「そ、そう。それじゃあ・・・。いただき・・・。」
そう言って「いただきます」と言おうとしたフブキを、ホタルは制止する。
「あ、ちょっと待ってください。どうせなら・・・。コホン、手を合わせてください。心を込めて、頂きます。」
その挨拶の仕方に、フブキは懐かしそうに反応する。
「あ!それ小学校のときの給食の挨拶!」
「えへへ・・・少し童心に帰ってみたくて。」
「懐かしいわね・・・。じゃあ、いただきます。」
そう言うと、フブキはスプーンで
「ど、どうでしょうか。」
ホタルが緊張した面持ちを浮かべると、フブキはスプーンを置いた。
「え!?(す、スプーン置いちゃった!?も、もしかして・・・。)」
「・・・・・・。」
目を閉じて、深呼吸をするフブキに恐る恐るホタルは聞く。
「お、お口に合いませんでしたか?」
しかし、その言葉をフブキは否定する。
「そうじゃないのよ・・・。」
「え?」
「美味しすぎるのよ!クリームソースはトロトロで、中に入ってるベーコンとか
「そ、そうですか。良かった・・・。」
そう言いながら、ホタルもグラタンを口に含む。すると、いきなりフブキは・・・。
「将来、ホタル君と結婚する子は幸せね・・・。」
そのフブキの何気ない発言に、ホタルは驚いたのかグラタンを喉に詰まらせる。
「んんっ!!」
「だ、大丈夫!?ほら、御水!!」
そう言われて差し出された水を、ゴクゴク飲み干す。
「
「ご、ごめんなさい。変な事言っちゃって。」
そう謝罪するフブキに、ホタルは自らの異性関係を告白する。
「ぷはぁ~。だ、大丈夫ですよ。と、というか、結婚相手どころか彼女も居ませんし・・・。」
その言葉に、フブキは驚愕する。
「そ、そうなの?ホタル君はS級だし、顔立ちも整ってて優しい性格だからモテると思ったけど・・・。ファンクラブも出来てるって
そんなフブキの言葉に、ホタルは手を振る。
「そんなそんな。ファンクラブはあるらしいですけど、恋人的な意味合いとしては、アマイさんみたいな高身長の人なら兎も角、僕みたいな低身長な人は見向きもされませんよ・・・。成長期終わっちゃったし・・・。」
「じゃ、じゃあ、今はフリーって事?」
何故か緊張しながら聞くフブキに、しょんぼりしながらホタルは答える。
「未だにフリーですよ・・・。」
「そ、そっか・・・。そ、それにしても凄いわね。ヒーロー認定試験の初っ端で、S級認定されちゃうなんて。」
そう言って話題を変えホタルを褒めるフブキに、ホタルは
「そんな事ありませんよ。アトミック侍さんの推薦もあっての事ですし、
「でも、その後は実力のみで順位を保持し続けてるんでしょう?・・・いつまでも、B級で自分より弱い手下を集めて強く成った気でいる私とは大違い・・・。私も、あの日私を虐めっ子から救ってくれた、貴方の様に強かったら・・・。」
そう言って、
「・・・え?」
フブキが顔を上げると、優しい笑みを浮かべているホタルの顔があった。
「フーちゃん先輩。怒らないで聞いて欲しいんですけど・・・、フーちゃん先輩が自分の弱さを知っているっていうのは、とても偉い事なんですよ?」
「え・・・?ど、どういう事・・・?」
そう聞くフブキに、ホタルは説明する。
「僕のお兄ちゃんが良い例ですけど、強い人って、自分より弱い人の事を思いやる事が難しいんですよ。自分が弱くないから。だから、自分の弱さを認めれるフーちゃん先輩は、思いやりのある優しい人だと思いますよ?お兄ちゃんに至っては、隕石事件のときに二次被害で家が無くなった人に「てめぇらの事なんざ、知るか!」って言ってましたからね?」
そう言って苦笑いをするホタル。
「・・・それはそうだけど。」
「だから、もっと自信を持ってください。フーちゃん先輩は、とっても優しい人なんですから。」
そう言って、ニコリと笑うホタルだったが・・・フブキの顔はまだ晴れない。そんな彼女を落ち着かせるかのように、ホタルは再び
「焦らなくても良いんです。ゆっくりと、フーちゃん先輩の中で整理を付けるのが良いと思います。自信を持つかどうかは、フーちゃん先輩自身なので・・・。」
「・・・・・っ。」
そう言うと、ホタルは食器を洗い帰る
「じゃあ、今日はここで失礼します。ちゃんと、
そう笑いかけると、ホタルはフブキ宅から去っていった。
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そして、ホタルが帰って数分後・・・。フブキはベッドの上で赤面しつつ、
「はぁぁぁ・・・。(まだ心臓が激しく波打ってる・・・。まるで夢でも見てたみたい・・・。まさか私の"初恋の人"が、さっきまでこの部屋に居て、二人きりで御喋りしてたなんて・・・。)」
一方ホタルは・・・。
「・・・っ!!」
赤面しながら息を整えつつ、家まで走っていた。
(どうしよう・・・!僕・・・"初恋の人"の家に入っちゃったよ!!ぼ、僕、変な顔とかしてなかったよね!?だ、大丈夫だよね?お説教しちゃったけど、嫌われてないよね?)
そう考えていたホタルの一方で、フブキもまた思案していた。
(私・・・変な事、言ってないよね・・・。)
こうして、バトルも交えつつも二人の甘酸っぱい両片思いが始まろうとしていた。
「フーちゃん先輩、美人さんに成ってたな・・・。部屋着姿も可愛かった・・・って、こんな事考えてるなんて変態さんみたいだよ~!」