最強のハゲには、男の娘かつ最強電気使いの弟がいる 作:雨を呼ぶてるてる坊主
ポカポカとした晴れの日、サイタマ宅には5人も人が集まっていた。
そして、そんな家内では怒声が飛び交っていた。
「だー!くっそー!何でミサイル状態なのに、キングに追いつけねぇんだよ!!」
「サイタマ氏は中間順位あたりで発動したんだから、最下位のときよりも短くなるのは当たり前だよ。ミサイル状態の時間が一定だったら、ゲームバランス崩壊しちゃうでしょ?」
「そんなもん知るかぁぁ!!」
「ちょっ!コントローラー、ミシミシいってるけど!?壊さないでね!!」
キャラクター達が様々なアイテムを使用し、レースを行うゲームをしているサイタマとキングに・・・。*1
「・・・・・・。」
PCに向かって、何やら作業をしているジェノス。そして・・・
「ふ、フーちゃん先輩。チョコチップクッキー、味見してくれませんか?」
「え、えぇ・・・。うん、美味しいわね。」
台所でチョコチップクッキーを作るホタルと、それらを味見するフブキが居た。
「えへへ・・・。あれ?」
初恋相手に御菓子作りの腕を褒められたホタルが、突然レーダーに何か引っかかった事に気付く。
「どうしましたか、ホタル先生?」
「んー。レーダに何か引っかかって。多分この電波は・・・有機物特有で怪人さんが発する電波じゃない・・・。他のヒーローさんか、一般の人がマンションに近づいて来てるのかな?」
「強盗かもしれませんから、俺が出ます。」
そう言って立ち上がろうとするジェノスを、ホタルは引き止める。
「大丈夫だよ、僕が行ってくるから。」
「気を付けてなー。」
そのサイタマの言葉を背に、ホタルはマンションの外に出た。
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そして、ホタルが階下に向かうと、そこにはマンション前で右往左往している男が居た。その正体は・・・。
「あれ?チャランコさん?」
「うおわぁぁ!!ホタルさん!?」
バングの一応、一番弟子のチャランコである。
「どうしたんですか?こんな所で。・・・もしかして、僕達に何か御用でしょうか?」
ホタルがそう聞くと、チャランコは気まずそうに頷く。
「・・・ま、まぁそんなとこです。ちょっと、あのサイボーグとも話したいんすけど、上がらせて貰う事って出来ますか?」
チャランコのその言葉に、ホタルは笑顔で承諾する。
「えぇ、もちろん大歓迎ですよ。」
そんなホタルの笑顔に、チャランコは一瞬見惚れる。
「・・・!」
「チャランコさん?」
しかし、ホタルの一言で目を覚ます。
「な、何でもないっす!!(たまに、この人が男かどうか忘れちまうんだよなぁ~。めっちゃ可愛いし・・・。)」
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そして二人がサイタマ宅に入ると、チャランコはシルバーファングの様子がおかしい事を告げる。
「バングの様子がおかしい?何かあったのか?それに、その怪我は?」
ジェノスのその疑問に、チャランコは答える。
「急に実践稽古だと言って俺をボコボコに・・・。あの温厚なバング先生がこんな事するなんて・・・、絶対に何かある筈!バング先生と交友関係のある、あんたらなら何か知ってるんじゃないかと思って来たんだ。」
そんなチャランコに対し・・・
「俺は知らんな。」
ジェノスはハッキリ伝え・・・
「バングって、あのS級のシルバーファング?」
ホタルと作ったチョコチップクッキーを頬張りながら、フブキが答え・・・
「あのバングさんが・・・、想像がつかないです。」
ホタルは、信じられないといった表情をし・・・
「・・・・・・。」
サイタマは、話を聞いているのかいないのか、分からない表情をし・・・
「話終わったら、ゲームの続きやろうぜ。」
キングは、ゲームの続きをするよう促す。そんな中、ジェノスが仮説を立てる。
「だが、ある程度の推察は出来る。恐らく、人間怪人"ガロウ"の話が絡んでいるのだろう。」
その回答に、チャランコは驚愕する。
「ガロウ!?ガロウって・・・バング先生の道場で暴れて、破門に成ったっていう・・・。何故そんな奴が!?」
「なんだ、弟子の癖に何も聞いて無かったのか。バングの元弟子ガロウは、ヒーロー協会本部に凶悪怪人として指名手配され、バングはその討伐に名乗り出た。」
「怪人!?ガロウって奴は、人間じゃなかったのか!」
「協会本部で何かあったらしい。協会側はその事実を隠している様だが、激しい戦いに成れば周囲の人間を巻き込みかねない。だからバングは貴様を遠ざけ・・・。」
その時・・・。先程まで黙っていたホタルが、絞り出すような声を出す。
「う、嘘・・・だよね。ガロウ君が・・・?」
「ホタル君?」
その異変にフブキが気付くが、ホタルはジェノスに質問する。
「ジェ、ジェノス君。一つ聞いて良い?」
「はい?」
「そ、そのガロウって人の見た目って、白の髪色に髪型がV字に成ってる子だったり・・・しないよね。」
「そうですが?・・・一応S級ヒーロー全員に、ガロウの顔写真が配布されている筈ですが・・・。もしかすると、協会のミスでホタル先生の所には届いて無かったかもしれませんね。一応こちらですが・・・。」
そう言ってジェノスが差し出した写真を見ると、ホタルは
「・・・っ。ガロウ・・・君。」
そう言って項垂れるホタルに、キングが疑問を呈する。
「
その言葉を、ホタルは肯定する。
「・・・ガロウ君は、僕の小学校高学年のときの元後輩です。この写真・・・目付きは鋭くなってるけど、ガロウ君の面影が残ってる・・・。」
その言葉に、フブキは息を呑む。
「嘘でしょ・・・。高学年って事は、転校先の学校で出会った感じ?」
「・・・はい。でも、未だに信じられないです。だってあの子は・・・フーちゃん先輩と同じように、いじめられっ子だったから・・・。」
「・・・もしかしてそいつって、あの写真立てに写ってるあいつか?」
サイタマがそう聞くと、ホタルはコクリと頷いた。その様子に、チャランコは大声を出し質問をする。
「待ってくれ!その話が本当なら、どうしてガロウは協会本部で暴れたんだ!?元とはいえ、虐められっ子がそんな事するとは思え無い!!」
その問いに、キングが答える。
「元虐められっ子・・・だからじゃないかな?よく言うでしょ、昔虐められっ子だった子が虐めっ子に対抗する為に力を付けて、今まで溜まったフラストレーションを爆発させる様に、大暴れするっていう事とか・・・。」
その言葉に、ホタルの顔が悲しみに染まる。
「・・・そんな。(僕のあの時の言葉は、ガロウ君に届いて無かったの・・・?)」
そんなホタルを慰めつつ、ジェノスはサイタマに質問する。
「ホタル先生が気にすることはありませんよ。・・・それにしても、サイタマ先生。先生は、バングの行動をどう思いますか?」
「あの爺さんと、別にそんなに親しい訳じゃねーからなー・・・。・・・一つ、気掛かりな点があるな。」
そして、チャランコの方を向きつつサイタマが放った一言は・・・。
「誰だお前?」
「先生。バングの、現一番弟子チャランコと言う名の雑魚です。前に会いました。」
サイタマとジェノスがそんな話をしている中、ホタルは俯き続けている。
「・・・・・・。」
そんなホタルを見かねて、キングとフブキは寄り添う。
「・・・ホタル氏?・・・ごめんね、あんな事言っちゃって。それに、まだガロウがホタル氏の元後輩と決まった訳じゃ無いから。同姓同名の瓜二つの人かもしれないし・・・ね?」
そう言って、コントローラから手を離したキングが宥め・・・。
「そうよ。仮に本人だったとしても、ホタル君が信頼してた子なんだもの。何の考えも無しに、そんな事するような子じゃないわよ。」
ナチュラルに、ホタルの頭をフブキがポンポン撫でる。
「・・・はい。」
そう弱々しく返事をするが、ホタルの心からモヤモヤが取れる事は無かった・・・。
「冗談・・・だよね。」