最強のハゲには、男の娘かつ最強電気使いの弟がいる 作:雨を呼ぶてるてる坊主
良く晴れた午後の日、最強兄弟は無免ライダーのお見舞いに来ていた。
「無免さん。怪我の具合は大丈夫ですか?」
そう聞くホタルに、無免ライダーは笑顔を向ける。
「あぁ、大丈夫だよ。君達がわざわざお見舞い来てくれるなんて嬉しいよ。サイタマ君、ホタル君。」
「おぅ、バナナここに置いていいか。」
そう言うとサイタマは、ベッドの横にバナナを置き・・・モグモグ食べ始めた。
「君が食べるのか・・・・。」
無免が呆れていると、ホタルは謝りながら見舞いの品を渡す。
「お兄ちゃんが食べたら駄目でしょ!すみません、無免さん。取り敢えず、夜は冷えるでしょうからブランケット買ってきました。」
「ありがとう。やっぱり毛布だけじゃ冷える事もあるからね。有難く受け取っておくよ。」
そんな二人の会話に、サイタマは割り込む。
「ヒーロー協会の新聞にでかでかと載ってたから。たった一人の怪人に数十人のヒーローがやられたって。まぁ、そいつの正体は人間らしいけどな。」
「サイタマ君の言う通り、彼は人間だったよ。・・・それより、何で彼が人間だって知ってるの?協会は彼を、怪人として指定してる筈だけど?」
無免ライダーの疑問に、サイタマは頭を掻きながら答える。
「あ~。もしかしたらの話なんだけどな、そいつはホタルの元後輩かもしれねぇんだよ・・・小学校時代の・・・。」
「えぇ!?ごほっ!!」
無免ライダーは驚きの声を上げるが、喉を怪我しているのか咳き込む。そんな無免ライダーを心配して、ホタルは能力で喉の痛みを和らげる。
「無免さん!喉を怪我してるのに、大声出したら駄目ですよ・・・。」
「あ、あぁ・・・ありがとう。」
無免ライダーが礼を言うと、その隣から・・・。
「それは本当か!?」
何者かが、声を掛けてきた。
(あれ?この声って・・・。)
ホタルが無免ライダーの隣のカーテンを引くと・・・そこに居たのは、タンクトップマスターだった。
「タンクトップマスターさん!無事だったんですね!」
「あぁ・・・何とかな。」
しかし、ホタルとタンクトップマスターが会釈しているその横では、サイタマが無免ライダーに質問していた。
「あの人・・・何か急に会話に入って来たんだけど、誰か知ってる?」
「S級ヒーローの、タンクトップマスターさんだよ。」
「ああ~、そういや新聞に載ってた!!一番ボコボコにされた人だって!」
そう悪気無い顔で言うサイタマに、ホタルは注意する。
「せめて、一番食い下がったって言ってあげようよ・・・。すみません、本当に・・・お兄ちゃんが・・・。」
「いや君が謝る事じゃない・・・。しかし、情けない話だ。この俺としたことが・・・まさか、あんな若造に不覚を取ろうとは・・・まったく、武術とは厄介な物だ・・・。」
そう言って頭を抱えるタンクトップマスターに、ホタルは質問を投げかける。
「武術・・・?流水岩砕拳の事ですか?」
「あぁ・・・こんな事に成るなら、シルバーファングから対処法でも聞いておけばよかった・・・。これまで、どんな怪人が相手であろうと殆ど一撃で倒してきた俺が・・・。」
そんな時、サイタマがタンクトップマスターに声をかける。
「おい。」
「ん?」
そう言って、タンクトップマスターがサイタマの方を向くと、サイタマはタンクトップマスターにバナナを渡す。
「バナナやる。」
「ん?あぁ、ありがとう。」
「で・・・その話。詳しく聞かせてくれ。」
そう言ってニヤリと笑うサイタマに、タンクトップマスターは詳しく話し始める。
「分かった・・・。全ての攻撃が全て
「そりゃそうだ。」
「更には、こちらの動きを読んだカウンターや投げ技。相手のパワーを利用する技術で倍返しされる。関節や急所を狙った突きも厄介だった。やられると、身体機能を著しく損なう。従来の怪人の戦闘方法は、その身体性能に任せて、力一杯暴れる者が殆どだったが、奴は違った。奴は人間を壊す専門技術を持っている。すなわち、ヒーローを倒す方法を知っている!」
その言葉に、サイタマはニヤリと笑う。そんなサイタマの顔に気付かず、タンクトップマスターは懸念する。
「シルバーファングが奴を倒せるか、俺には分からないが・・・。誰かが止めなければ、被害は拡大する一方だ。怪人を名乗る人間による、ヒーロー狩り。これは、社会全体の治安を揺るがす大問題だ。このまま野放しには出来ん。俺もすぐにでも復帰するつもりだ。サイタマ・・・だったか。一部のS級の間で噂に成っているとはいえ、君も気を付けた方が良い。」
その言葉に、サイタマとホタルは反応する。
「噂?」
「お兄ちゃんが・・・ですか?」
そう聞くホタルに、タンクトップマスターは頷く。
「あぁ、なんでも戦闘能力のみで言えば、S級にも匹敵する力かもしれないと、あの唯我独尊のタツマキもこぼしていたからな。」
「そ、そうですか・・・。」
「それから、ホタル君。一つ聞きたい事があるのだが・・・。」
そう言うタンクトップマスターに、ホタルは首を傾げる。
「はい?」
「今回、シルバーファングは元師匠であるという立場から、ガロウ討伐に名乗り出た。ならば・・・元先輩である、君はどう動く?」
その質問に
「・・・僕は。・・・このような回答をすれば、甘いとかヒーロー失格とも言われるかもしれません。でも・・・仮に僕の知ってるガロウ君だったとしても、僕にとっては可愛い後輩です。勿論話し合いで解決するとは、毛頭思いません。ヒーローと怪人と言う立場上、一度は暴力沙汰に成るかもしれません。・・・それでも、僕はあの子を一人ぼっちにさせたくない。多分あの子は、途方もない暗闇を
そう言って決意の籠った目をするホタルに、タンクトップマスターは眩しさを覚える。
「・・・そうか。君は本当に優しいんだな。(名前が人を表すとは言うが、この子はその名の通り、暗闇を彷徨う者の
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次に兄弟が訪れた場所は、チャランコの病室である。
「よおー、爺さんとこのちゃんぽんだっけ?見舞いに来たぞー、大丈夫か?」
入室早々に、自分の名前を間違えるサイタマにチャランコは
「チャランコだ!元気に見えるか!?」
そんな様子に、ホタルは溜息をつく。
「お兄ちゃん、いい加減覚えてあげようよ・・・。」
「ホタルさんは兎も角、何であんたが俺の見舞いなんか・・・気持ち悪いな・・・。」
「本当にすみません・・・。さっき、病院で借りたミキサーでバナナミルク作ってきました。飲めますか?」
そう言ってホタルが差し出してきたバナナスムージーを、チャランコはギプスで固定されていない右手で受け取る。
「え?あ、あぁ。右手は動かせるんで・・・有り難う御座います。」
そう言いながらスムージーを飲むチャランコに、サイタマは気の毒そうな顔を向ける。
「ヒーロー狩りの巻き添え食らったんだってな・・・気の毒に。」
「いや・・・一応、正面から挑んだつもりだったんだけど。」
「ところで話は変わるんだけど。」
そう言って、スンッとした表情に早変わりするサイタマに、チャランコとホタルは突っ込みを入れる。
「「もう話変わるの!?」」
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そうしてサイタマがしてきた相談内容に、チャランコは眉を
「強い武術家と、試合がしたい?」
「うん。」
そんなサイタマに、チャランコは呆れた目を向ける。
「アンタ・・・さんざんバング先生の勧誘をシカトしといて、今更何を・・・。」
「もしかして、ガロウ君と戦う為に?」
そう聞くホタルに、サイタマは頷く。
「まぁ、それもあるけど・・・ちょっと興味が湧いたんだよ。何か
「だったら・・・バング先生だって最高峰なんだから、胸を借りればいいだろ。あんたの事気に入ってるみたいだし。」
そう言うチャランコに、バナナを食べながらサイタマはナチュラルに失礼発言をする。
「お前なぁ・・・老人に無理させるわけにはいかないだろ。」
「ナチュラルに、失礼過ぎるよ・・・。」
そう言って呆れた目を向けるホタルに頷きながら、チャランコは武術の過酷さを語る。
「ホタルさんの言う通りだ。大体、ド素人が武術家といきなり試合だなんて、非常識なんだよ。まずは基本の型を死ぬほど練習して・・・。いや、その前に体力作りだ。何百段もある石階段を往復・・・何なら道場の雑巾掛けから・・・。」
「あぁ・・・お前も、まだ素人の白帯だったな・・・。」
失礼発言を重ね続けるサイタマに、ホタルは少し強めに注意する。
「お兄ちゃん。一回、御口チャックしようか。」
「というか、ホントに見舞いかこれ!?」
そう叫ぶチャランコに、ホタルは申し訳なさそうな顔に成る。
「本当にすみません・・・。」
「まぁ、伝手が無いんじゃ諦めるか・・・。」
そう言って病室から去ろうとするサイタマだったが・・・、それをチャランコが引き留める。
「ちょっと待った!!そういえば・・・流水岩砕拳の一番弟子になって、浮かれてノリで申し込んだ異種格闘技大会があった。たしか、財布の中にチケットが・・・。ほら。」
そう言って差し出されたチケットは・・・。
「シワシワじゃねーか。」
「出場選手として登録したんだけど、辞退するつもりだ。でも、入場チケットには成るから・・・試合を観戦して、参考にしてみるといい。いろんな流派の技が見られると思うぞ。」
そう言うチャランコに、サイタマは礼を言いつつジーっとチケットを見つめる。
「ありがとう・・・。チャランコ・・・棄権するのか」
「まぁ、この怪我だからな・・・。(万全でも、多分一回戦負けだろうけど・・・。)」
「・・・賞金300万って書いてある。」
そう呟くサイタマに、ホタルは
(お兄ちゃん・・・?)
「まぁ、それなりの規模の大会だからな。」
そう言うチャランコの説明を聞いているのかいないのか、サイタマは呟き続ける。
「優勝で日給300万・・・。」
「一応言っとくと、それ俺の名義で登録してるからな。棄権するしかない。やらないと思うけど、替え玉出場なんて出来ないからな。・・・聞いてる?」
そんなチャランコに反応しない兄に、ホタルは嫌な予感をさらに
(何考えてるの?お兄ちゃん・・・。)
「・・・お兄ちゃん。まさか、替え玉出場する気じゃないだろうね・・・。」