最強のハゲには、男の娘かつ最強電気使いの弟がいる   作:雨を呼ぶてるてる坊主

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「武道大会開幕~。」


四十四撃目:弟と武道大会

皆さんこんにちは。ホタルです。何やかんやあって、結局お兄ちゃんが替え玉出場する武道大会に来ました。早速観客席に行こうとしたのですが・・・。

 

 

「ねぇねぇ、君って今暇ー?暇だったら大会が始まるまで、お茶でも行かなーい?」

 

 

今回のトーナメントの優勝候補と言われる、スイリューさんにナンパされました。

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━

(とき)は少し(さかのぼ)り、晴天が広がる昼前頃。ホタルとジェノスはサイタマが出場する大会に、観戦に来ていた。

 

 

「え~と、此処みたいだね。」

 

 

「その様ですね。今回もサイタマ先生の立ち振る舞いから、何かを学べると良いのですが・・・。」

 

 

ジェノスの言葉に、ホタルは苦笑する。

 

 

「あはは・・・。お兄ちゃん素人だから、学べる物なんて無いと思うけど・・・。・・・少し開会式の前に、お手洗いに行ってくるね。」

 

 

「お気をつけて行ってらっしゃいませ!!」

 

 

そうして、用を足したのだったが・・・。

 

 

「あ、ねぇねぇ君。君可愛いね~。実は俺シードだから、結構暇なんだよね。御茶行かない?てか、SNS何かやってる?連絡先交換しない?」

 

 

「え、え~と・・・。」

 

 

今大会の優勝候補であるスイリューに声を掛けられ、冒頭の状況に成ってしまったのだ。

 

 

「えっと、僕・・・あまり、連絡先とか交換した事無くて。や、やり方が分からないんですよね。だから、此処で失礼・・・。」

 

 

そう言って去ろうとするホタルを、なおも引き留めるスイリュー

 

 

「え?じゃあ、俺がやり方教えてあげるよ。てか、今時僕ッ娘って珍しいね~。」

 

 

「い、いえ。というか、早く席を取りたいんですけど・・・。」

 

 

ホタルが少したじたじに成り始めたその時・・・。

 

 

「貴様!ホタル先生に何をしている!?今すぐ離れろ!!」

 

 

ジェノスが駆け付けた。そんなジェノスに、スイリューは怪訝そうな顔に成る。

 

 

「何って・・・ナンパだけど?お兄さん、この子の知り合い?それとも彼氏?」

 

 

「俺は、この人の弟子だ!それ以前にナンパと言っていたが、貴様男色家か?」

 

 

「え、別にそういう訳じゃないけど?てか、俺別に男をナンパしてるわけじゃ無いんだけど。」

 

 

そんなスイリューに、自分の事を女と勘違いしている事に気付いたホタルは、顔を赤らめながら訂正する。

 

 

「・・・ぼ、僕・・・男です・・・。」

 

 

「え!?マジで!?」

 

 

「・・・・・・。」

 

 

無言で頷くホタルに、スイリューは合点のいった顔に成る。

 

 

「あ、もしかして男の娘って奴か!あ~・・・ごめんね。」

 

 

「い、いえ!誤解が解けたなら何よりです!!」

 

 

そして、一刻も早くスイリューからホタルを引き離したいのか、ジェノスがホタルの背中を軽く押す。

 

 

「ホタル先生。丁度見晴らしの良い場所が取れたので、早く行きましょう。」

 

 

「う、うん。じゃあスイリューさん頑張ってくださいね~。」

 

 

そう言って立ち去るホタルに、スイリューはポカーンとする。

 

 

「え、あ、うん・・・。(マジか・・・、あの見た目と声色で男・・・。ヤバイ、何かに目覚めそうになった・・・。)」

 

 

呆然とする、優勝候補であった。

 

 

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そうして二人は、観客席に着いた。

 

 

「ホタル先生、こちらの席になります。」

 

 

「ありがとね、ジェノス君。わぁ・・・確かに見晴らしが良いね。」

 

 

そうして二人が座ると、アナウンスが流れだした。

 

 

「ご来場の皆様!大変お待たせいたしました!!第22回スーパーファイト・・・全選手の入場です!!」

 

 

そう言い切ると、選手達が一斉に入場する。

 

 

「まずは初出場!A級ヒーロー現在19位「イナズマックス」の名でも活躍中のこの男!今大会でも、ド派手な蹴り技が炸裂するか!?"ハイパー空手"マックス!!」

 

 

司会がそう言うと、イナズマックスが入場する。

 

 

「優勝しか見えねぇ!!」

 

 

「紅一点!電光石火の早技は、最早芸術!!女子格闘界では、戦う相手が残っていないと(なげ)いております!!"掌鈴拳"リンリン!!」

 

 

そう言うと、チャイナドレスに髪飾りなのか大きな鈴をつけた女性が現れる。

 

 

「早く試合したい・・・」

 

 

「道場荒らしでジワジワと名を上げてきた酷道流を束ねし男が、公の大会に姿を現しました!!"酷道流"ベンパッツ!!」

 

 

「ヌフフフフ・・・やっと出場まで漕ぎ付けたぞ。」

 

 

そう不敵に笑うのは、キ●肉マンに登場するラーメ●マンのような髪型をした男だ。

 

 

「ベスト4常連!そのしなる腕は、何処までも相手を追い詰め、確実に仕留めます!!A級ヒーロー最下位の男!!"蛇咬拳"スネック!!」

 

 

「最下位とか言う必要ある?」

 

 

スネックの登場に、ホタルは心の中で声援を送る。

 

 

(あ!スネックさんだ!!頑張ってくださーい!!)

 

 

「幼少期の落雷事故が、彼を此処まで強力なファイターにするとは誰が想像したでしょうか!?超帯電体質!"雷々拳"ボルテーン!!」

 

 

「ふんっ・・・。」

 

 

そう鼻を鳴らす男からは、バチバチ電流が流れる。その様子に、ジェノスは思案する。

 

 

(あの男・・・ホタル先生と同じような能力者のようだが・・・。見た感じ、実力や能力の応用レベルに関してはホタル先生の方が強そうだな・・・。)

 

 

「その決着は、いつも90秒以内!!一撃の破壊力に、とことん(こだわ)り抜いた無骨なスタイルで、優勝まで突き進めるか!?"バズズ流爆拳"バズズ!!」

 

 

「ガハハッ!!前大会までの俺と同じと思うなよ!!」

 

 

そう叫ぶのは、筋骨隆々の上裸にモヒカンの男だ。

 

 

「終わる事の無い技のコンビネーション!!その恐ろしい連撃に捕まった選手は、トラウマに成る程の恐怖とダメージを負う事に成ります!!"数撃当流術"ガトリン!!」

 

 

「連打こそ、最大の防御なり。」

 

 

そう構えるのは、フードを被った青年だ。

 

 

「女性や子供でも扱える技を教えてくれると評判の、護身術道場から初出場!!説得力の無いガタイの良さが、その強さを匂わせます!!"ひまわり道場の優しい護身術"ハム吉!!」

 

 

「月謝二千円です。宜しくお願いします。」

 

 

ハム吉と紹介された男性は、大柄な傷だらけの身体とは対照的にお、穏やかな顔で手を振る。

 

 

「今大会最重量!!しかし、ただの肥満では無い!!高い跳躍力を活かしたボディプレスは、何人も病院送りにしてきました!!"巨漢流圧殺法"デーブ!!」

 

 

「ふーっ!ふーっ!」

 

 

そこに現れたのは、如何(いか)にも肥満体質そうな男だ。

 

 

「相手の心理を分析・誘導し、試合を有利に運び勝利する・・・らしいです!文科系の星に成るか!?"心理分析格闘戦術"ロジー!!」

 

 

「心理ロジックに従って、格闘界に革命を起こしてみせましょう。」

 

 

ロジーと呼ばれた青年は、インテリ系の雰囲気を(かも)し出している。

 

 

「事前アンケートでは、全選手を見下す趣旨(しゅし)の発言が目立ちました!!不敵な笑みを浮かべる謎の男の実力は如何に!?"選民血族格闘術"チョゼ!!」

 

 

愚民(ぐみん)共・・・見ておけ・・・。」

 

 

そうして現れたのは、選民思想が強そうな男だ。

 

 

「刺激の強い香辛料を練りこんだ拳で、相手の目を露骨に狙います!!反則扱いしないのは、スーパーファイトだけ!!"香辛拳"メンタイ!!」

 

 

「今日は、赤トウガラシでかますぜっ!!」

 

 

そう叫ぶのは、鼻頭に絆創膏を張っている青年だ。

 

 

「プロレスラーが殴り込み!!本人曰くメンタルが弱い為、紹介であまり煽らないで欲しいとの事!了解しました!"ギガプロレス"ジャクメン!!」

 

 

「興行の宣伝に来ただけなのに、殴り込みとか乱暴な言い方されると・・・うん・・・。」

 

 

ジャクメンと紹介された男は、大柄な見た目の割にメンタルが弱いのか緊張している。

 

 

「元流水岩砕拳の実力者が独立し、旗揚げしました!上手く結果を残し、門下生大量獲得成るか!?"ニガムシ流拳法"ニガムシ!!」

 

 

「うっ・・・オエッ!緊張すると吐き気が!!」

 

 

そう言うと、ニガムシはタダでさえ(しわ)の寄った顔を(しか)める。

 

 

「七回連続出場!諦めを知らない男の姿に魅了され、支持するファンも増えてきました!今回こそ初戦突破が期待されます!!"猪突猛真拳"ザッコス!!!」

 

 

「この日の為に、死に物狂いで修業してきた。初白星を取り、プロポーズする為にな。」

 

 

そう言いながら、ザッコスはサングラスを華麗に外す。

 

 

そして遂に現れたのはこの男・・・。

 

 

「控室では漫画を読み、アンケート用紙には「頭を狙わないで欲しい」と記入した男!本当に戦いに来たのか!?しかし、チケットさえあれば誰でも出場できるのが、このスーパーファイト!!"水球炭酸拳"チャランコ!!」

 

 

しかし、何故か観客たちからは「ブーブー」とブーイングが混じっている。

 

 

「何で、既にブーイング混じってんだよ。」

 

 

そうボヤくサイタマだったが・・・。ジェノスとホタルだけは、拍手をしていた。そんなS級二名に、観客達はどよめく。

 

 

「なぁ・・・あれ、S級ヒーローのジェノス・・・じゃね?」

 

 

「隣に居るのって・・・S級5位の、激雷の天使・・・だよな・・・。」

 

 

「格闘技とか見るんだ・・・。」

 

 

そんな中、ホタルは必死に正体バレしないかの心配をする。

 

 

(お兄ちゃん・・・絶対バレないでよ・・・。というか、水球炭酸拳って何!?流水岩砕拳じゃないの!?)

 

 

「スーパーファイト史上最強と目されるは、過去2度優勝のこの男!恐ろしい事に、これまで全ての試合がこの選手による一方的な蹂躙(じゅうりん)・・・凄惨な内容のものばかりです!対戦相手の中には選手生命を絶たれた者も居るにも(かかわ)らず、本人はまだ本気を出していないとの事です!鬼と呼ばれる男・・・"闇地獄殺人術"バクザン!!」

 

 

そこに現れたのは、悪人面をした大男だった。

 

 

「今日の優勝にこそ、意味が生まれるのだ。」

 

 

「そして・・・彼もまた無類の強さを誇ります・・・。7大会ぶりに姿を現しました!過去に4連覇を果たした、若きレジェンド!!"冥躰拳"スイリュー!!!」

 

 

紹介が終わると・・・あたり一斉が歓声に包まれた。そこから現れたのは、スイリューである。

 

 

「イエーイ!イエイッ!!」

 

 

「行方知れずだった、この三年間遊び歩いていたとの事で・・・今回も、賞金のみが目的だと言っています!」

 

 

そう紹介されたスイリューは、観客席に居るホタルを見つけると手を振る。

 

 

「あ!さっきの可愛い男の娘発見!!おーい!頑張るから応援しててねー!!」

 

 

そんなスイリューに、ホタルも小さく手を振る。

 

 

・・・は、はーい・・・(注目されるの恥ずかしいから、やめてくださいよー!!)」

 

 

「地位と名誉に固執しない故の強さか・・・しかし!!今大会には、バクザン選手も出場しています!順当な予想では、決勝戦はこの二人の激突が見れそうです!!」

 

 

そう司会が紹介するが、ホタルは気の毒そうにバクザンを見つめる。

 

 

(司会の人は、ああ言ってるけど・・・バクザンさん、2回戦でお兄ちゃんと当たるんだよね・・・。御愁傷様です・・・。)

 

 

ホタルがバクザンに対し、憐れみを含んだ黙祷を捧げたと同時にスーパーファイトが開幕したのだった・・・。




「スーパーファイト、開幕だよ~。」
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