最強のハゲには、男の娘かつ最強電気使いの弟がいる 作:雨を呼ぶてるてる坊主
「フーちゃん先輩!!」
ホタルが遠目でも確認できたのは、元先輩かつ初恋相手でもある地獄のフブキが、女怪人によって窮地に陥っている光景であった。
現場は数分前に遡る・・・。
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その日、地獄のフブキは発生した怪人対処の為にヒーロー協会から要請を受け、組員たちと怪人討伐に当たっていた。そして、SM嬢の風貌である怪人姫弩Sと交戦していたのだが・・・、仲間は
「ちょっと・・・貴方達・・・!簡単に怪人の手に堕ちてるんじゃないわよ!!」
そう焦りながら部下に語り掛けるフブキを、弩Sは嘲笑う。
「焦っちゃって可愛い~。呼びかけなんて無駄無駄♡。こんな筈じゃ無かった?固い絆で結ばれていれば、洗脳されないとでも思ってたかしら?残念でした。その子達は、もう私の奴隷!ウフフフフッ!手下を奪われた気分は如何だい!?」
そうして、フブキ組や他のヒーロー達がフブキに襲い掛かる。
「くっ!!」
歯ぎしりしながら攻撃を避けるフブキを見て、弩Sは更に攻撃を仕掛ける様に奴隷達に命じる。
「ほらほらぁ!反撃しないと殺されちゃうよぉー!?かつての仲間達に遠慮してるのかい!?気の毒だね、ウフフ・・・。そうだ・・・だったら、あんたも仲間に入れてあげるわ。死ぬまでこの弩S様の奴隷としてね!!」
そう言って鞭が振り下ろされるが、フブキも念動力で受け止める・・・が・・・。
(重い!この鞭の威力が
その時フブキの頭に
(お前は生き残れない。自分より強い怪人が現れても、手下は助けちゃくれねーぞ。)
しかし、そんな言葉を頭から振り払う様に・・・。
「うるさい!」
そう叫びながら、自身の周りのヒーロー達の動きを食い止める。だがそんな努力を嘲笑うかのように・・・。
「そうね・・・傷付けずに無力化するにはそれしかないかもね。この人数を一度に止めるなんて、中々やるじゃない。でも、そんな事に集中力を割いたらアンタ・・・私の鞭の餌食じゃない!!」
そう言って弩Sは鞭を振り下ろすが、フブキはそれをも止めてみせる。が・・・彼女の現在の出力では鞭と洗脳されたヒーロー両方を完全に止めることは不可能である。そして遂に・・・。
「いつまで
バチィィンと鞭がフブキの背部に直撃した!
「・・・かはっ!!」
その一発を皮切りに、無数の鞭の乱打が打ち付けられる!!
「う・・・ぐ・・・!!」
そう呻き声を上げるフブキを、弩Sはクスクス笑う。
「クスッ♡効いた効いた♡」
そうしてフブキが倒れると同時、無数のヒーロー達が襲い掛かる!筈だったが・・・。バタバタバタと突然倒れ伏したのだった。そんな謎の現象に、フブキは困惑の声を上げる。
「・・・え?」
しかし、そんな奴隷達の醜態に黙っていないのは弩Sである。
「ちょっと!あんた達何やってんだい!!さっさとそいつを取り押さえな!!」
しかし、ヒーロー達は動かない。何故なら・・・
「zzz・・・。」
「ね、寝てる?」
そう。フブキ組の組員やヒーロー達は、鼻提灯を出しながら穏やかな顔で寝ていたのだった。しかし、そんな奴隷達の醜態に黙っていないのが弩Sである。
「ね、寝てるだって!?ふざけんじゃないよ!!さっさと動き・・・!!」
そう言って鞭を振り上げようとすると・・・。
「そこまでですよ。」
制止の声と共に、フブキの目の前に
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「ホタル・・・君?」
ズタボロの状態になりながらも、震える声で自身の名を呼ぶフブキに、ホタルは笑いかける。
「フーちゃん先輩。無事・・・ではないようですね。でも、間に合ったみたいで良かった。よく一人で頑張りましたね。」
そんなホタルの笑顔に、フブキは頬を薄桃色に染める
「え、えぇ・・・。」
その時、そんな二人の甘酸っぱそうな空気をぶち壊すように弩Sが大声を上げる
「なぁに?また私の恋奴隷が現れたって言うの!?良いわ、そこのあんたと知り合い同士みたいだし・・・あんたの大事なそこの奴を、私の恋奴隷にしてあげる!!」
そう言いながら弩Sが鞭を振り上げ、ホタルに叩き付けようとしたが・・・。ピタッとホタルに当たる寸前で、鞭が停止したのだ。
「ちょっと、今はフーちゃん先輩とお話ししてるのに水を刺さないでくださいよ!!人が話してるのに邪魔するのは、めっ!ですよ!!」
そう言ってホタルが注意するが、弩Sは自信の鞭が当たらない事に愕然とする。
(は・・・?な、なんで鞭が止まって?こいつも超能力者!?・・・けど、さっきの女みたいに手を広げたりする、バリアを張る様なモーションは無かった・・・何で!?)
「聞いてるんですか!?」
「お前・・・、何で私の鞭が当たらない?しかも、どうやって私の恋奴隷達を無力化したんだ!?」
そう聞いてくる弩Sに、ホタルは説明してやる。
「質問は矢継ぎ早にするものじゃありませんよ・・・まぁ、強いて言うなら他のヒーローさん達が倒れたのは、僕が遠隔で脳波をα波にして、無理やり入眠させた事によるもの。と言っても、レベル鬼以上やS級ヒーローさん達レベルの実力者を眠らせる場合は、側頭部に直接触れなければならないんですけどね。鞭が当たらないのは当たる瞬間、貴方の鞭に⊖電子を付与したから。そうすると、空気中の⊖電荷と反発して絶対に当たらないでしょう?というか、少し静かにして貰えますか?フーちゃん先輩の怪我を治したいので。フーちゃん先輩。少し痛みを和らげるのでピリッっとしますよ。良いですね?」
「え、えぇ・・・。」
「えいっ!」
そうすると、ホタルはフブキの身体に微弱な電気を流して痛みを和らげた。
「どうですか?」
「痛みが・・・消えたわ。」
「えへへ・・・良かった。・・・さてと。」
そう言うと、ホタルは弩Sの方に向き直る。
「な、何だい!?やるってのかい!?」
弩Sはそう言って身構えるが・・・。
「やり合いませんよ。というか、どちらかと言うと早く帰って欲しいんですけど。」
そのホタルの言葉に、弩Sは間抜けな声を上げる。
「・・・は?」
「だって、今からフーちゃん先輩とそこで寝てる人達を運ばなきゃいけないし、貴方に構ってあげる時間が無いって言うか・・・。それに正直言って・・・洗脳能力が優秀なだけで、貴方がそこまで強そうには思えないので・・・。」
なんと、此処で特大の煽り発言である*1。しかし、そこは怪人。雑魚扱いをされて黙っていられるはずもなく・・・。
「誰が雑魚だって!?ぶち殺してやるよ!!」
そう言って、襲いかかるが。
「・・・忠告はしましたよ。風術、瞬間最大風速!!」
次の瞬間えげつないレベルの気流が生じ、弩Sは遥か彼方に吹っ飛ばされた。
「どわぁぁぁぁ!!」
そう叫びながら吹き飛ぶ弩Sの方を見ながら、ホタルは呟く。
「・・・ふぅ。大人しく投降してくれれば、手荒な真似をせずに済んだのに・・・。」
「・・・今の気流って?ホタル君の能力は電気を操るだけじゃなかったの!?」
そう質問するフブキに、ホタルは種明かしをする。
「イオンクラフト効果による気流で、吹き飛ばしただけですよ。さて・・・この人達を運びましょうか?あ・・・そ、その前にフーちゃん先輩の破れた御洋服直さないと!で、でも御裁縫用の道具が無い・・・ど、どうしよう!!」
そう言って、さっきまでの落ち着きぶりは何処へやら・・・顔を真っ赤にして慌てるホタルを、フブキは落ち着かせようとする
「だ、大丈夫よ!戦闘で服が破れるなんて結構あるし、今回は背中だけだったし・・・。」
しかし、近づいてきたフブキにホタルは顔を赤くする。
「あ、あぅぅ。」
ピュア男子にとって、背中だけとはいえ女性の肌が露出している状況は刺激が強すぎるのである!初恋相手であれば
その時・・・上空から声が掛かった。その主は戦慄のタツマキである。
「ホタル!?こんな所で何やってんの!?」
「あ、タツマキさん!」
そして、実姉の登場にフブキも声を上げる。
「お姉ちゃん!?」
「タツマキさんが此処に居るって事は、協会からの呼出しですか?」
ホタルの質問にタツマキは答え、フブキの方をじろりと見る。
「そんな所よ・・・。それにしてもフブキ。この状況は?」
「お、お姉ちゃん。こ、これは・・・。」
そう口籠りながら答えようとするフブキを、タツマキは制止する。
「あー、大体分かったわ。そこの有象無象共が人質に取られて、動けなくなってたところをホタルに助けて貰ったんでしょ。・・・・毎度毎度、忠告してるわよね。ホタルみたいな強い奴なら兎も角、こんな雑魚共を寄せ集めた程度じゃどうにもならないって。」
その言葉に、フブキは歯を食いしばる。
「・・・っ!」
「大体アンタは・・・。」
タツマキが御説教モードに入ろうとした瞬間、ホタルがフォローを入れる。
「あ、あー。タツマキさん。ここの処理とかは僕とフーちゃん先輩でやっておきますので、タツマキさんは他の所に行ってあげてください。」
「・・・分かったわ。それからホタル。あんたもフブキと付き合ってんなら、ちゃんと四六時中傍に居て守ってあげなさいよ。」
そのタツマキの言葉に、一瞬フリーズした後ホタルは顔を赤らめる。
「・・・へ?・・・へぇぇ!?つつつ、付き合ってませんよ!?」
「はぁ!?思い出したのは最近だけど、私がフブキと再会するまでの間に虐めっ子からフブキを守ってくれたのってアンタなんでしょ!?昔の知り合いなのに付き合って無いの!?」
「だ、だって僕みたいなナヨナヨしてる人なんかより、どっしりしてる人の方がフーちゃん先輩には釣り合ってますよ!?」
そう言い合うS級二人に、フブキが割り込む。
「お姉ちゃん!一回黙ってよ!!ホタル君も!!」
「・・・はぁ~。まぁ、あんた達が付き合おうが付き合わまいがどうでも良いわ。但しフブキ、これ以上お友達とつるむのは止めなさい。今回みたいに足元
そう言って、S級2位は飛び去ったのだった。
「えっと・・・フブキ組まで行きましょうか?」
その言葉に、少しムッとしながらフブキは答える。
「・・・そうね。(ホタル君の馬鹿・・・何で否定しちゃうのよ・・・。告白してない私も私でヘタレだけど・・・!!)」
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そうしてフブキ組前でフブキと別れた後、ホタルはヒーロースーツを着たサイタマとばったり会っていた。
「お兄ちゃん!?大会は!?」
そう聞くホタルに、サイタマは気まずそうに答える。
「えっとな・・・替え玉がバレた・・・。」
「何やってるの・・・?ホントに・・・。」
そう呆れた目を向けるホタルの視線から逃げる様に、サイタマは話を変える。
「そ、それよりな、怪人が会場に何匹か向かってるっぽくてな。お前も来るか?」
「僕は・・・。」
その時・・・。「誰かぁぁぁ!!助けてくれぇぇ!!ヒーロー!!ヒーロー頼む!来てくれぇぇぇ!」という助けを求める悲鳴を、ホタルの強化された聴覚がキャッチした。
「・・・良いよ。その代わり、あとでチャランコさんにお詫びに行くからね。」
「・・・うす。」
しっかりと、サイタマに説教をしたホタルであった。
「タツマキさんに色々バレちゃった~!(明日から学校だから、また投稿頻度下がっちゃうかも。ごめんね・・・。)」