最強のハゲには、男の娘かつ最強電気使いの弟がいる 作:雨を呼ぶてるてる坊主
ガロウと再会してから数日後。ホタルはヒーロー協会の息の掛かった病院の医務室で、ヒーロー協会の指示の
そんな中、ホタルは一つの病室を訪れる。その病室で寝ていたのは、金属バットだった。
「あれ!?ホタルさんじゃないっすか!?」
全身を包帯で巻かれたまま声を掛けてくる金属バットに、困った様な笑みをホタルは向ける。
「バッド君、久しぶり・・・。大丈夫・・・ではなさそうだね。」
「・・・まぁ、ちょっと無茶をしすぎましてね。ホタルさんは、何で此処に居るんですか?」
「僕は協会からの依頼で、ヒーローさん達の手当かな。僕には電気刺激による細胞分裂速度の向上で、相手の怪我を治す能力もあるから・・・。」
「相変わらず、半端ない能力っすね・・・。イテテ・・・。」
「大丈夫?怪人さんにやられたの?」
そう心配そうな顔で聞くホタルに、金属バットは顔を
「いや、まぁ怪人にもやられましたけど・・・ガロウっつー、人間怪人にやられましてね。ホタルさんのとこにも来てると思いますよ?奴の手配書。」
その言葉にホタルは少しだけ目を伏せるが、それを見逃す金属バットではない。
「ホタルさん・・・?どうしたんですか?ガロウについて気になる事でもあるんすか?」
そう聞いてくる金属バットに、ホタルは恐る恐る聞く。
「・・・バッド君。バッド君って学生だよね。」
「え?まぁ、そうですけど・・・。」
「じゃあ・・・、一つ変な質問をするけど・・・。例えばだよ?」
「はい?例えば・・・何ですか?」
そう聞き返してくる金属バットに、ホタルは意を決して質問する。
「もしも、自分を
その問いに、一瞬呆気に取られた様な顔をしながら金属バットは堂々と答える。
「そっすね・・・俺だったら、そいつの頬を思いっきりぶん殴って目を覚まさせます!」
その答えに、ホタルは少し疲れた顔に柔らかい笑みを浮かべる。
「そっか・・・バッド君らしいね。」
その様子に自身の事を馬鹿と自称しつつも、何処か察しの良い金属バットはホタルに核心的な質問をする。
「あの・・・ホタルさん。変な事聞いても良いっすか?」
「な、何?」
「まさかとは思いますが・・・ガロウがホタルさんの元後輩だった。とかいうオチじゃ無いっすよね・・・。」
その言葉に、ホタルは少し溜息をつく。
「バッド君は・・・察しが良いんだね。」
「マジっ・・・すか!?人間怪人が、ホタルさんの元後輩!?」
そう大声を出す金属バットに、ホタルは慌てて声のボリュームを落とすように言う。
「バ、バッド君。あまり大きな声で言わないで・・・。」
「す、すんません。・・・
「僕のお兄ちゃんに、ジェノス君。それからキングさんに、タンクトップマスターさん。C級1位の無免ライダーさんに、B級1位の地獄のフブキさんだよ・・・。」
その言葉に、更に口をあんぐりさせる金属バット。
「え、S級の連中の何人かも知ってるんですか・・・。」
「うん・・・。」
そう神妙な顔で言うホタルに、金属バットもまた神妙な顔で聞く。
「この事実って、協会の幹部連中は知らないんですよね・・・。」
「うん。僕が今まで話した人たちの誰かが、幹部の人達に話してなければ。」
「俺に話してくれた理由って・・・、何なんですか?」
その言葉に、ホタルは大きく息を吸い・・・金属バットに頭を下げた。
「バッド君。御願い。」
「うぇ!?な、何すか!?きゅ、急に頭下げて!」
「この先、バッド君がヒーローとして復帰した時に、もしもガロウ君にもう一回出会ったら・・・理由も聞かずに襲わないであげて欲しいんだ。」
「・・・それっていうのは。ガロウが元後輩だからっすか?」
「うん・・・。ごめんね、完全なる僕の私情で・・・。でも・・・どうしても、ガロウ君を傷つけたくない・・・。」
そう
「こんな事を頼んで、本当に申し訳ないとは思ってる・・・。でも、どうかお願い。せめて、ガロウ君と再会したら僕に一報入れるだけでも・・・。」
そう言おうとしたとき、金属バットはホタルの言葉を遮る。
「分かりましたよ。腹割って話すくらいはしようと思います。」
その言葉に、ホタルは顔を上げる。
「え・・・?」
「勿論、あいつにボコされた事を恨んでない訳じゃないっす。・・・けど、あいつからは怪人みたいな卑怯っぽさが無かったって言うか。俺とあいつの戦いを止めようとゼンコが割り込んできたときも、拳を納めてましたし・・・。はぁ~・・・話し合うくらいはしてやりますよ。」
その言葉に、ホタルは涙を流しながら感謝する。
「バッド君・・・。本当にありがとう・・・!」
そうして、面会時間が過ぎるまで二人は近況報告という名の談笑をしていたのだった。
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そうして病院を出たホタルは、怪人発生数の報告の為に協会に居た。そうしてシッチを含む協会幹部達に報告に行き、家に帰ろうとしたとき・・・。一室からガラガラガッシャーン!という物音が響いた。
「何!?今の音!」
そうして件の部屋に向かうと、そこには・・・疲労の余り、椅子から転げ落ちたのであろう童帝がいた。そんな彼に、ホタルは駆け寄る
「痛たた・・・。」
「イサム君!大丈夫!?」
「あ・・・お兄さん。有り難う御座います・・・。お兄さんはどうして此処に・・・?」
そう言って弱々しく笑う童帝の顔を見て、ホタルは顔を歪める。
「僕は、怪人の発生数とかの報告に来てたんだよ・・・。それにしてもイサム君・・・。最後に寝たのはいつ?」
「え?ど、どうしてですか?」
「目に
「あぁ・・・少し調べ物とかが多くて。でも、大丈夫ですよ?このくらい日常茶飯事ですから・・・。」
「そっか・・・でも本当に凄いね。こんなにいっぱい調べてるなんて・・・。」
壁のスクリーン一面に映っている
「そんな事ありませんよ・・・。」
そんな童帝に、ホタルは笑いかける。
「そんな事あるよ!本当にイサム君は凄いなぁ・・・。そうだ、少しお茶でも飲んで休憩しない?軽食用に自作したクッキーと、水筒の中にもジャスミンティーがあるし。」
「え・・・?いいんですか?」
「うん!・・・だって、イサム君疲れちゃってるでしょ?無理は禁物だから・・・ちょっと机借りるね。」
そう言うとホタルは、机の上にクッキーやジャスミンティーを手際よく並べる。
「さぁ、どうぞ!・・・と言っても、イサム君の口に合うかどうかは分からないけど・・・。」
そう言って舌を出すホタルに、釣られて童帝も笑顔になる。
「そんな事ありませんよ。丁度、糖分補給したかったので。・・・いただきます。」
そう言ってクッキーを咀嚼し、ジャスミンティーを飲んだ童帝はホッとした顔に成る。
「美味しいです・・・。糖分が脳に染み渡ります。」
その顔に安心したように笑いながら、ホタルも自作したクッキーを頬張る。
「良かった・・・。うん、我ながら美味しいね。」
そのとき、童帝も口を開く。
「お兄さん・・・さっき僕に疲れてそうみたいな事言ってましたけど、お兄さんも少しやつれましたか・・・?何か悩みが有るなら聞きますよ?」
「え・・・?やっぱりそう見える・・・?さっき、病院でバッド君にも言われたんだけど・・・。」
そう言って少し
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数分後、童帝はポカーンとした顔で
「は・・・え?も、もう一回言って貰えますか・・・?」
「だ、だから・・・ガロウ君は僕の元後輩で・・・。この前、町でばったり会って・・・。」
その言葉に、童帝は眉間の
「えっと・・・つまり、ガロウはお兄さんの元後輩で・・・。元々は虐められっ子だったって事ですか?」
「う、うん・・・要約すると・・・。」
その言葉に童帝は、頭を冷やすかのようにジャスミンティーを一口
「・・・大体分かりました。因みに、この事を知っているのは・・・。」
「僕のお兄ちゃんに、ジェノス君。それからキングさんに、タンクトップマスターさん。C級1位の無免ライダーさんに、B級1位の地獄のフブキさん・・・。それから、バッド君だね・・・。」
「結構居ますね・・・。・・・お兄さんは、どうしたいんですか?」
童帝のその言葉に、ホタルは
「・・・僕は、ガロウ君を何としてでも止めたい。そして、もしも怪人に成ってしまったとしても人間に戻してあげたい。あの子は・・・本当は心優しい子なんだ。」
その言葉に、童帝はしばらく考え込む。
(・・・お兄さんが嘘を言っているようには思えない。それに、報告によるとガロウはヒーロー狩りとは称しているけど、ヒーロー達の殺人までは起こしていない・・・。)
そう考えていると、ホタルが心配そうな顔で童帝の顔を覗き込む。
「イサム君・・・?」
その声に、ハッとした様に意識を取り戻す。
「だ、大丈夫です・・・。・・・分かりました。取り敢えず、人間怪人ガロウに関しては討伐対象では無く、捕獲対象という形で話をするよう職員に掛け合ってみます。」
その言葉に、ホタルは童帝の両手を握る。
「イサム君・・・!本当にありがとう!!」
「あ、あくまで進言するだけですからね!・・・上手くいくかは分かりませんが。」
「それでも十分だよ!あ、でも無理だけは絶対しないでね!」
「はい・・・。」
そうこうしていると、日頃の疲労が
「イサム君・・・?大丈夫?」
「大・・・丈夫です。」
そう言いながらもウトウトしている童帝の頭に、そっと指をホタルは置く。
「・・・無理は駄目だよ?少し休んだ方が良いかもね・・・。」
そう言うとホタルは童帝の頭に電波を流し、脳波をα波に変える。そうすると、童帝は重くなってきた自身の
そうして、童帝が眠りに入るとホタルは近くにあった毛布をそっと掛けてやり、部屋から静かに出て行ったのだった。
「イサム君・・・、ゆっくり休んでね・・・。」
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そうして数十分後、デスクに突っ伏していた童帝はゆっくりと
「あれ・・・。お兄さんは?」
そして、視界がはっきりすると同時に目の前に何かが置いてあるのを見つける。それは、サランラップで覆われた平たい皿に乗っけられている、
イサム君へ、起きたかな?さっきは、無理やり眠らせちゃってごめんね。イサム君が疲れてそうだったから少し休んだ方が良いかなって思った、年上のお節介だけどね(照れ)
机の上に、協会の食堂から拝借した御米と卵で作った御握りと卵焼きを置いています。お腹が空いたら食べてくれると嬉しいな♪因みに卵焼きは御砂糖を入れた甘めの味付けだよ♪
その書き残しをぼんやり見た後、ゆっくりとサランラップを外し卵焼きを口の中に入れる童帝。
「・・・あぁ、温かくて・・・甘くて美味しいなぁ・・・。本当に・・・お兄さんは優しいなぁ・・・。」
そう言いながら、一心不乱に食べ続ける童帝。そんな彼の頬に一筋の涙が流れ落ちた事は、本人も含めて誰も知らなかった。
「イサム君が協力してくれそうで良かった・・・」