最強のハゲには、男の娘かつ最強電気使いの弟がいる 作:雨を呼ぶてるてる坊主
先程まで、ガロウと対峙していたジェノス。そんなとき、乱入してきたバングにジェノスは困惑する。
「バング・・・。どうして此処に・・・。」
そう聞くジェノスに背を向けたまま、バングは頼み込む。
「ジェノス君・・・。悪いがここは、ワシらに譲ってくれんか・・・。」
その時、バングの背後から現れた怪人がバングに拳を振り上げるが・・・
「
怪人とバングの間に割り込んだ、バングの兄であるボンブが自身の流派である旋風鉄斬拳を繰り出し、怪人を輪切りにした。そうしてバングに告げる。
「穴から出てくる化け物共は、こっちに任せろ。お前はガロウを!」
そう言ってくるボンブにバングは片手を上げて礼を言い、ガロウに向き合う
「サンキューお兄ちゃん。さて・・・、久しぶりじゃのう・・・。ガロウ。」
その声に、歯軋りをしながらガロウは声を上げる。
「その声・・・ジジイ・・・。やっぱり、てめぇかよ。」
そんな弟子に、呆れたような声を上げながらバングが告げる。
「なんちゅう姿をしとるんじゃ、おぬしは・・・。終わらせてやる・・・掛かって来な。」
その言葉にガロウはヨロヨロと立ちつつ、血
そうして暫くの間、両者の間に静寂が訪れ・・・。
「がぁぁぁぁ!!」
ガロウが、バングに襲い掛かった。しかし・・・。
「流水岩砕拳!!」
無数の拳の連打が、ガロウに襲い掛かった。そうして、バングは
しかし、ガロウも殴られっぱなしでは無い。一瞬の隙を付き、流水岩砕拳の構えを取り直すと、バングに対抗するかのように流水岩砕拳を叩き込む。
そこから先は、拳と拳の打ち合いである。しかし、やはり練度の差などもあるのだろう。ガロウが段々と押され始める。
その様子を見ていたジェノスは、流水岩砕拳の練度の差を確認しつつも危機感を覚える。
(完璧な攻守一体の動き・・・。同じ流水岩砕拳でも、完成度の差は歴然だな・・・。・・・いや、マズい!このままバングが殴り続ければ、ガロウはまた幼少の頃のいじめのトラウマが蘇り、ヒーローに対する不信感が高まってしまう!)
そう思ったジェノスは大声を上げる。
「バング!一旦止めろ!!」
しかし、周囲の轟音や怪人達の呻き声の所為かジェノスの声は掻き消されてしまう。そんな中でも、バングは一切止まる事を知らない。ガロウに腕を掴まれ蹴りを入れられそうになったが、カウンターの蹴りをお見舞いし、遥か遠くに吹き飛ばす。そして、吹き飛んだガロウが横たわっているところを、マウントポジションから一気に畳みかける。そんな猛攻に、ガロウは戸惑う。
(な・・・何だこの。糞ジジイらしくもねぇ、派手な猛撃・・・。や、やべぇ・・・意識が飛ぶ・・・。ていうか・・・死ぬ・・・。)
そうして力を振り絞り、バング目掛けて目くらましの様に砂を投げ付け四足歩行で逃走する。そんな様子のガロウに、バングは眉を
「なんじゃ、その変な動きは。何処で覚えた。まるで獣じゃな・・・。」
(まだだ!倒れているヒーローを人質にすりゃ、まだ何とかなる!)
しかし、そんなガロウの顔面をボンブが蹴り付ける。
「させねーよ。」
そうして、吹き飛んだガロウに前にバングとボンブが立ち塞がる。
「バング!穴から湧いて出る、化け物共は片付いた・・・あとは、ガロウだけだ。」
「なぁ・・・もしお兄ちゃんだったら・・・。あそこまでの傷を負って、まだ立てるか?」
「・・・あと六十年若ければ、ワシだってあんぐらい頑張れたぜ・・・・・・多分。それ!もう少しだ!!他のヒーロー達が来ちまう前に、決めちまおうぜ!バング!!」
「うむっ!!」
そう言って、ガロウ目掛けて飛び掛かろうとした兄弟だったが・・・ジェノスからストップが掛かる。
「待てバング!!その辺にしろ!奴はもうグロッキーなんだぞ!」
「じゃが、ジェノス君!ガロウにもしも体力が残っていたら、逃げられるかもしれんぞ!」
「だとしてもだ!お前達二人がやろうとしている事は、ただの弱い者虐めにしかならんぞ!何より、ホタル先生はこんなやり方を望んでいない!!」
その言葉に、バングは眉を
「なんで、ホタル君が出て来るんじゃ!?」
「ガロウは、ホタル先生の小学校時代の後輩だからだ!!ホタル先生は、なるべくガロウを傷付け無いようにしたいと言っている!何より貴様はガロウの師の癖に、弟子の言い分も聞いてやらないのか!!」
その言葉に、バングはゆっくりとガロウの方を向き直る・・・
「ガロウ・・・、今の話は本当なのか?ホタル君の、後輩じゃと・・・?」
その言葉に、ガロウが口を開こうとしたその時・・・。ドバッという風圧と共に、鳥型の怪人が降り立ち、ガロウを足で掴み飛び立ってしまった。
「何っ!?怪人だと!?」
「まだ残っておったか!!」
そう言う兄弟の前に立ったジェノスは、両腕を合わせ巨大な砲口を展開する。
「ジェノス君!」
「安心しろバング!ガロウを避けつつ、鳥怪人のみを撃ち落として見せる!」
そう言って、エネルギーを溜め始めるジェノス。その時、鳥怪人が大声を上げる。
「聞こえるかぁ!ガロウは俺が連れて行く!!今地上に居る奴は、全員潰して良い!あとは任せたぞっ!!」
そんな言葉を他所に、鳥怪人のみに照準を合わせたジェノスは
「ムカデ長老!!」
鳥怪人がそう呼び掛けると、ガロウがアジトにしていた廃屋の地面が盛り上がり、そこから現れた"ナニ"かが鳥怪人に当たり掛けていた螺旋焼却砲をガードした。そうして、上空に爆風が巻き起こる。
「なんじゃ今のは!」
そうして、煙が晴れて見えたもの・・・それは、山脈一つを覆い尽くせそうな程の巨大なムカデ・・・災害レベル"竜"のムカデ長老だった。その姿に、ボンブは驚愕の声を上げる。
「な・・・・・・んじゃと・・・!?これも、生き物か!!?」
その時、ムカデ長老が起こした地割れに飲み込まれそうになっているヒーロー達が、バングの目に入る。
「いかん!彼らを保護せねば!!」
その言葉と共に、ジェノス達三人は協力してヒーロー達を救助する。そうして救助を終えた三人は、ムカデ長老を見上げる。
「あの砲の直撃を受けて、傷一つ付かんとは・・・。」
「これは中々、骨の折れそうな相手じゃな・・・。」
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三人が地上でムカデ長老を見上げている中、鳥怪人に掴まれたガロウは暴れまわる。
「あのムカデは・・・。テメェら、横入りして何のつもりだ!」
そう騒ぐガロウと対照的に、鳥怪人・・・改め、フェニックス男は落ち着いた声を上げる。
「いいからここは、ムカデ長老に任せておけ。奴は全てを飲み込む、大災害そのもの・・・。有無を言わさぬ破壊力には、惚れ惚れする。相変わらず詰めが甘いな、ヒーロー狩り。一度倒したら、きっちり息の根を止めるまでやらないと駄目だ。転がっているヒーロー達も、まだ生きているようじゃないか。」
その言葉にガロウは一瞬押し黙るが、次のフェニックス男の声に騒ぎ始める。
「まぁ・・・でも安心しろ。ムカデ長老が全て終わらせてくれる。」
「・・・!!余計な真似をするんじゃねぇ!今すぐ下ろしやがれ!俺の獲物だ!!」
「こらこら、暴れるな。」
「クソが!引き返せ!テメェら、許さねえぞ!!」
「はっはっは・・・何を怒っている。仕留めきれなかったお前が悪いんだ。それに・・・この場でS級二人を消せるのは、我々にとっても都合が言い。S級ヒーローは、怪人協会にとって、最大の難敵だからな。お前も身をもって実感しただろう?」
その言葉に、ガロウは口を閉じる。
「・・・・・・。」
「戦いには、相性と言う物が有る。我らが参謀ギョロギョロに言わせれば、あのムカデ長老とマトモに戦えそうなのは、全ヒーローの中でも僅か五名・・・。強大な超能力を扱う"戦慄のタツマキ"。ヒーロー協会ですら把握しきれない程の軍事力を隠し持つ"メタルナイト"。人類最強"キング"。二年前、ムカデ長老を瀕死にまで追い詰めたトップヒーロー"ブラスト"。そして・・・その気に成れば、この世の全てを原子レベルまで崩壊させ、新しい世を作る事も可能な・・・こう言うのも
その言葉を聞いた瞬間、ガロウはピクリと眉を動かす。
(そんなに強いのかよ・・・ホタ兄は・・・。)
「ムカデ長老は、ブラストへの復讐の為に怪人協会と協力を結ぶ事にしたという。なかなか表に出てこないブラストを、再び戦場へ引きずり出そうと
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ガロウとフェニックス男が上空でそんな話をしているとは露知らず、地上に居る三人はジェノスを挟むようにして、突進してくるムカデ長老に向かって構えを取っていた。
「来るぞ!」
ジェノスが声を出すと同時に、ムカデ長老が突進してくる。そんな状況でもジェノスは動じることなく、ムカデ長老の複数の目に目掛けて熱線を射出した。それは見事ヒットし、それを確認したジェノスは後ろに下がる。
そうすると、ジェノスの後ろに控えていたバングとボンブが拳を構え、凄まじい脚力で地面を思い切り踏み込む。
「旋風・・・。」
「流水・・・。」
各々の流派名を呟き・・・。
「「
そう両者が叫んでムカデ長老の顔面に拳がヒットした瞬間、その技の名の通りに凄まじい衝撃波が空を裂きムカデ長老の巨体を仰け反らせる!その技の威力に、ジェノスは驚愕の声を上げる。
「なんという技だ!あの強度の外殻を、粉々に・・・。これが、技の極致!!」
そう驚いている間にも、バングとボンブは連打を叩き続ける!
「「まだまだまだまだまだまだ!!!」」
その威力にムカデ長老も絶叫をあげるが、最後の悪足掻きの様にバングとボンブに突っ込み両者を弾き飛ばす!
「ぐっ・・・!!いちち・・・油断したぜ。」
「だが、手応えあったぞ。」
ボンブの言葉通り、ムカデ長老の全身にヒビが入り始める。
「衝撃が、全身くまなく巡る。
「ジジイ二人には、一回きりが限度の大技じゃ。当てられてよかった。助かったぜジェノス君。」
そう話していると、遂にひび割れが大きくなり始める。
「終わりじゃ。」
バングの言葉通り、バッキャァァァンという音と共にムカデ長老の外殻が砕け散る。そうして事は終わりを告げる・・・と思いきや、ムカデ長老の身体に異変が生じる。砕け散った外殻の下から、新しい外殻が見えている。そして、メリメリと新しい顔まで浮かび上がったではないか!!
そんな状況に、真顔でバングが呟く。
「マジかよ・・・。脱皮しおったぞコイツ!」
「しかも、さっきよりデカく成ってないか!?」
「そんなんアリか!!」
「こりゃぁ、倒せんぞ・・・!気を失ってるヒーローも、守りながらとなると・・・どうする!?バング!!」
そう聞いてくるボンブに、バングは顎に手を当てて考える。
「距離をとっても追って来るじゃろうし・・・、森林公園の外は市街地じゃ・・・。出たら、一般人も巻き込む事に・・・。」
そう兄弟が話していると、先程まで黙っていたジェノスが声を上げる。
「バング。俺が奴と戦う。あのムカデをできるだけ長くここに留めておくから、御前達は怪我人を連れて逃げろ。」
その提案に、バングは難色を示す。
「ジェノス君・・・一人でやるというのか?それは賛成できん・・・。」
ボンブも同じく、ジェノスの肩に手を置き引き留める。
「勝ち目が無いと分かってて、そんなに無茶するもんじゃない。若モンには、未来がある。」
両者の言葉に、ジェノスは自身の育ても親とも言えるクセーノ博士の言葉を思い出す。
『ジェノス・・・。無茶だけはするでないぞ。』
バングやボンブ。クセーノ博士の言葉を
(本当に・・・。それで良いのか・・・?・・・いや、良い訳が・・・ない!!)
そう決断するとジェノスは人を超えた脚力で跳び、ムカデ長老の背中に乗る。そうして、背中の外殻を走り回りながら焼却砲を連射する。
「無茶じゃ!そいつに砲は効かんぞ!!」
地上からバングが叫ぶが、ジェノスはそれを無視して上空に跳び上がる。
(コイツも・・・昨日の奴も、ガロウも。全ては怪人協会だ。この戦いは避けては通れない。)
そして上空に跳び上がったジェノスは、両腕から剣を生やし急降下した後にムカデ長老の複眼を滅多刺しにする!
「デュアルブレードラッシュ!!(奴等と戦うとは・・・そういう事だ!俺はそれに参加している!!)」
そのとき・・・ムカデ長老がジェノスの足に噛み付き、自身の顔面ごと背中に叩き付けようとする。
「擦り潰れろ!!」
(それが、無茶だというのなら・・・!)
ジェノスは噛み付かれた足を無理やり外し、脱出しようとする。しかし、ムカデ長老の触角に捕まり、大顎で上半身と下半身を真っ二つにされてしまう。
(このままでは、俺は・・・戦力外。)
次の瞬間ジェノスの体が光り輝き、肩からブーストを噴射したかと思うと空中で裂かれた下半身と再結合し、脚部から鋭い刃を出して光る矢の如く突進する。
「ジェットドライブアロー!!」
そうしてジェノスはムカデ長老の歯の一本を砕き、その隙間から口内に侵入した。そして、侵入を許してしまったムカデ長老はジェノスを消化液で溶かそうと
「しまった・・・!数秒で完全に溶かしてやる!!」
しかし、ジェノスも負けてはいない。金属で構成された全身を消化液で溶かされながらも、胸部の砲門を開きエネルギーを溜める。
「溶けるのは貴様の方だ・・・。」
そうしてエネルギーが最大まで溜まると、ジェノスは一気に放出する。
「超螺旋焼却砲!!」
すると、超高密度の熱線がムカデ長老の穴という穴から噴出し、その衝撃で口内に居たジェノスもボロボロになりながら脱出する。しかし・・・威力が足りなかったのかムカデ長老の体が再生し、ニタァと嫌らしい笑みを浮かべる。そんなムカデ長老の姿に、ジェノスは自身の弱さを痛感する。
そして、無情にもムカデ長老の鋭い足がジェノスに突き刺さろうとする。
(またしても・・・。俺では・・・、勝てない・・・。守れない・・・。)
そうして突き刺さろうとした瞬間、バングがジェノスを抱えて走り出す。
「逃げるぞ!お兄ちゃん!そいつら抱えて走れ!!」
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その頃、怪人協会にガロウを連れて行こうとしているフェニックス男が、悔しそうな顔をしているガロウに話し掛ける。
「どうした?結果として、ヒーロー皆殺しの片棒を担いでしまった事が、そんなに嘆かわしいか?」
その言葉に、フェニックス男の足に掴まれているガロウは声を絞り出す。
「そんなんじゃねぇ!こんな決着は不本意なだけだ!!俺は・・・自分の力で奴等を倒したい!そうする事で、俺が恐怖の象徴になっていく・・・!!そこに、ヒーロー狩りの意味がある!」
そんなガロウを、フェニックス男は嘲笑する。
「恐怖の象徴?お前がか?・・・ハハハッ。お前如きが現場に戻ったところで、ヒーロー達と一緒に踏み倒されて終わりだ。今のお前には、ムカデ長老や怪人協会幹部に逆らう力は無い。」
「ぐ・・・。今に・・・見ていやが・・・れ・・・。(クソッ・・・もう指一本動かせねぇ・・・!・・・ごめんな。ホタ兄・・・。)」
意識を失いかける寸前に、ガロウの脳裏に焼き付いたのはヒーロー狩りを始めてから、自分に歩み寄ろうとしてくれた、唯一の存在であるホタルの悲しそうな顔だった。
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地上では、ボンブがヒーロー達を。バングがジェノスを抱えてムカデ長老から逃げていた。そんな中、ジェノスは自問自答を繰り返す。
(どうすれば・・・俺に足りないものは何だ・・・!?あんな奴等が、まだ他に何匹も残っているのか?そんな連中を前に・・・俺はただ、指を
ジェノスがそう考えている間にも、市街地は近付いてくる。そして遂に・・・
「バング!マズいぜ!このままじゃ、森林公園を抜けちまう!町で犠牲者が出るぞ!!あと・・・こんな人数抱えたまま、長くは走れん!今年幾つだと思っとるんじゃ!!」
その兄の言葉に、バングは何かを考えた後ジェノスを近くの木の幹にもたれ掛けさせる。そうして服を脱ぎ、息を整える。
「一か八か・・・お兄ちゃん。人生最後の本気を出すぜ!!」
そうしてバングが構えた瞬間、キーンという音割れが鳴ったかと思うと大声が聞こえる。その声の主は、人類最強の男であるキングだった。
「ムカデ長老~!おい!害虫!!御目当ての"ブラスト"を連れてきたぞ!!」
その内容に、ジェノスは驚愕の声を上げる。
「・・・!?この声は・・・キング!?ブラストだと!?」
「なんと・・・!」
そうして、何かに気付いた様にボンブがムカデ長老に指を向ける。
「・・・!?・・・見ろ!!動きが止まったぞ!反対の方角に振り返っとる!!」
そう、ムカデ長老はキングの声のする方に顔を向けていたのだ。
「ブラスト・・・?」
そう
「あぁ・・・そうだ!!過去にお前が散々叩きのめされて、ビビッて小便撒き散らしながら逃げた相手・・・ヒーローのブラストだ!!もう一度ブラストと戦いたければ、こっちに来い!!・・・どうした!?怖くて動けなくなったか!?腰抜けめ!!おい・・・クソ漏らすなら、家でしてくれよ!お前みたいな弱っちい虫けらは、また地底に帰ってママのおっぱいでも吸ってるんだな!!」
そう言いながら、キングは堂々と立ち続ける。晴天の空に、不自然に轟き始めた雷鳴と共に・・・。
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ヒーロー協会では、オペレーター達が報告し合っていた。
「S市に現れたムカデ長老の現場には、キングと激雷の天使が間に合いました!!」
「良かった!彼等なら何とかしてくれそうだな・・・。」
「えぇ・・・現場にはまだ数名のヒーロー達が取り残されており、彼らが戦闘の余波で巻き添えになる危惧を伝えたところ・・・キングは、「ムカデ長老への挑発材料になる情報が欲しい」と言っていました。恐らく、自らの元へ引き付けて激雷の天使と共に討伐する気でしょう・・・。」
「過去にブラストが深手を負わせつつも取り逃したときは、地底に逃げられたんだが・・・。今回は退治できると良いな・・・。」
「機密情報ですが、ブラストとの因縁を伝えました。あと、戦闘が長引いたり場所を移動してしまえば、周辺地域の被害も甚大になる懸念も・・・。」
「それで、彼は何と?」
「ただ一言・・・「分かった」と・・・・。鳴り響く、キングエンジンと雷鳴と共に・・・。」
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そうして現場では雷鳴が轟く中、キングエンジンを高まらせたキングが呟き始める。
「他に巻き添えがでない様に、こっちに引き付ける・・・。トドメを刺すなら、ダメージを負った敵が地底に逃げる前に・・・。決着を付けるなら短時間・・・。そして、なるべく狭い範囲で・・・。市街地までムカデが吹き飛ぶような攻撃は無しで・・・。以上!!」
そうキングが言い終わると、ムカデ長老が地を這いながら突進してくる。その様子に青ざめつつも、キングは声を振り絞る
「・・・タマ氏?ホタル氏?」
そうしてムカデが目と鼻の先に着た瞬間、キングは最強兄弟の名を叫ぶ。
「サイタマ氏ー!!ホタル氏ー!!」
次の瞬間・・・キングの目の前に降り立ったサイタマがマジ殴りを放ち・・・。
「建御雷神!!」
そう空で叫んだホタルが、ムカデ長老目掛けて一点集中させた極太の落雷を地に落とす!!
その衝撃によって、ムカデ長老は黒焦げになりながら粉微塵に消し飛んだ・・・。
「来世では、復讐に囚われる事無く幸せに生きれますように・・・。」
そうして、ムカデ長老に黙祷を捧げたホタルは少し先で木の幹に寄り掛かる弟子を見つける。
「あれ・・・?ジェノス君?」
「やっぱり此処に居たか・・・。キングの言った通りだったな。」
そうボヤくサイタマに、キングも安堵の声を上げる。
「うん。間一髪だったみたいだし・・・。来て良かったね。」
すると、ホタルはサイタマの顔色が良くなってる事に気付く。
「あれ・・・?お兄ちゃん、心なしか爽やかになってない?どうしたの?」
「なんかちょっと、スカッとした気がする。キングにゲームでやられまくって、ストレス溜まってたからかな。」
そう言うサイタマに、キングは半目になる。
「いや・・・あれはワンパターンすぎるサイタマ氏の戦い方が、良く無いって事を教えてあげようと思って・・・。」
そう三人が話していると、木の枝を杖代わりにジェノスが歩み寄って来る。
「サイタマ先生、ホタル先生。質問したい事が。」
「ん?どうしたのジェノス君?」
そう首を傾げるホタルとサイタマに、ジェノスは質問を投げかける。
「俺に足りないのは何だと思いますか?」
その問いに、サイタマは間髪入れずに答える。
「えっ?パワーじゃね?」
その言葉にジェノスは熱心にメモを取り始め、ホタルは相変わらずのジェノスの天然ぶりに苦笑し、キングはキングで、そんな純粋ぶりに心の中でジェノスを引き留める。
(あああぁ・・・。駄目だよぉぉ・・・多分サイタマ氏を参考にしちゃ駄目だよ、ジェノス氏ぃぃ・・・。)
そして、メモを取り終わったジェノスは何かを思い出したようにホタルに話し掛ける。
「そういえば、ホタル先生・・・。」
「ん?どうしたの?」
そう首を傾げるホタルに、気まずそうにジェノスは報告する。
「・・・先程、ガロウと交戦致しました。」
その報告に一瞬目を大きく開くが、すぐに落ち着いた表情に戻る。
「・・・どうだった?ガロウ君は・・・。」
「・・・申し訳ありません。奴の本心が、あまり分かりませんでした・・・。このような結果になってしまい、大変申し訳・・・。」
そうジェノスが頭を下げようとしたが、それより先に暖かい
「ジェノス君・・・お帰りなさい。よく頑張ったね・・・。」
そう言って、ジェノスの頬を掌で包みながら優しい笑みを向けるホタルの顔に・・・。
「はい・・・。有り難う御座います・・・!」
ジェノスは笑みを浮かべたのだった。
「ガロウ君・・・。無事でいてね!必ず助けるから!!」