最強のハゲには、男の娘かつ最強電気使いの弟がいる 作:雨を呼ぶてるてる坊主
この日・・・童帝は相変わらずモニターに向き合いながら、怪人協会のアジトを探し続けていた。
そうして、出て行かせた職員達に内緒でメタルナイトと通信を繋ぎ、アジトの場所を聞き出そうとしたのだが・・・。
『隣に居る人間を信用するな。正義を成すなら、自分一人で事足りる。』
そう言い残し、メタルナイトは通信を切ってしまった。そんなメタルナイトに、童帝は苛立ちを覚えながら大きく息を吸う。
「はぁ・・・やっぱりメタルナイトは頼りにならないか・・・。あのへそ曲がり・・・。あぁ~・・・お兄さんのジャスミンティーが恋しいよ・・・。」
そう溜息を吐く童帝の脳裏に現れるのは、自分の事を気遣って毛布を掛けてくれたり間食を作ってくれた、母性溢れる年上のヒーロー・・・激雷の天使の姿だ。
「それにしても・・・、ガロウがお兄さんの事を
そう言いながら思い出したのは、先日ホタルから頼まれた件だ。約束通り童帝は突入組のS級ヒーロー達に討伐ではなく、捕獲優先で動くように伝える様に
「・・・ガロウは何を考えているんだ?怪人を名乗るなら、民間人やヒーローを殺害していてもおかしくないのに・・・。現時点で被害に遭っているのは数名のヒーローに、協会上層部の幹部やスポンサー達・・・。しかも、殺害までには至ってない・・・。・・・冷静に考えたら、ガロウって怪人を名乗ってるだけのチンピラにしか思えないよ・・・。」
そう言いながら、アジトの場所を突き止めようとモニターと睨めっこをしようとした童帝の脳内に
「あれ・・・?よくよく考えたら、お兄さんってZ市に住んでるんだよね・・・。しかも、本人曰くゴーストタウンに・・・。・・・・え?まってまって・・・。え・・・もしかして、お兄さんが住んでる所の近くに、案外アジトがあったりしない?」
そう自問自答する童帝・・・。そして携帯端末をしばらく見た後、意を決して電話をする。その相手は、もちろんホタルである。
『もしもし・・・?イサム君どうしたの?』
「もしもし!?お兄さん、御話ししても良いですか!?すみません、ムカデ長老戦での疲れが残ってるかもしれないのに・・・。」
『全然大丈夫だよ?・・・それでどうしたの?』
「その・・・変な事を聞くようで申し訳ないんですが・・・。お兄さんって、怪人協会のアジトを突き止めたりしていますか・・・?」
『・・・えぇ!?どうしてそう思うの!?』
「それが・・・。」
そうして童帝が話した内容を聞いた後、ホタルは唸り声を上げる。
『うーん・・・僕の家の周辺にアジトがある可能性・・・かぁ~。・・・もしかして、僕達が怪人協会のスパイって疑われてたりとか・・・?』
ホタルの不安げな声に、童帝は慌てて首を振る。
「そんな訳無いじゃないですか!寧ろ、お兄さんみたいに底抜けに優しい人が怪人協会のスパイなら、僕は完全に人間不信になりますよ!!」
その声にホタルはホッと息を吐き、いつもの声色に戻る。
『そっか・・・ありがとうね。でも、本当にアジトがあるかどうかは分からなくて・・・。あ・・・、でも・・・。』
「でも!?」
『んっとね、僕が能力の応用でレーダーを張れるのは知ってるでしょ?』
「はい。存じていますよ?」
『この情報が、作戦の助けに成るかは分からないけど・・・。レーダーに、怪人特有の電波が一ヶ所に集中してる時があるんだ。毎日って訳じゃないけど、ほぼ同じ場所に。』
ホタルのその言葉に、童帝は椅子から勢いよく立ち上がる。
「本当ですか!?場所は!?教えてください!!」
そう一気に
『い、イサム君・・・。落ち着いて・・・、耳がキーンって・・・。』
「あ・・・。す、すみません・・・。つい、興奮しちゃって・・・。」
『と、取り敢えず・・・。・・・あと、何日以内に探さないといけないの?』
「二日ですね・・・怪人協会が設けた、タイムリミットまで・・・。」
童帝のその言葉に、ホタルは臆することなく声を出す。
『分かった・・・。取り敢えず、目ぼしい場所に行って調べてみるね。怪人協会のアジトが分かったら、位置情報を共有するから。』
「分かりました。本当に、何から何までありがとうございます・・・。」
そう御礼を言ったあと、童帝は衝撃的な事を口にする。
「あの・・・お兄さん。更なる御願いで、申し訳ないんですけど・・・。今回の作戦・・・S級メンバーを主に怪人協会内に突入させようと考えていますが、お兄さんのお兄さん・・・つまり、B級7位ヒーローのハゲマントも突入メンバーに起用しようと考えています。」
その言葉に、ホタルは困惑しながらも了解を出す。
『お、お兄ちゃんを!?・・・別に大丈夫だけど、どうして?』
「それは、お兄さんとハゲマントが今作戦の
そう言い
『・・・分かった。お兄ちゃんはマイペースだから、この話に乗ってくれるかは分からないけど・・・。話せるだけ話してみるね。お兄ちゃんはあれとして、僕やジェノス君達はどうしたら良いかな? ・・・一応、キングさんにバングさん。それから、バングさんのお兄さんであるボンブさんも居るんだけど・・・。』
「ボンブ・・・?その方は一体・・・。」
『なんでも、旋風鉄斬拳っていう流派の使い手の人なんだって。僕もさっき調べたんだけど、武術界の大御所に数えられるくらいに強い人なんだって。』
その言葉に童帝はしばらく考え込み、ホタルに再度伝える。
「・・・分かりました。とりあえず今は、アジトの解明と戦力増強が優先事項になります。他者の嘘を見抜く事が出来るお兄さんがそこまで言うのなら、きっとボンブという方も信用に足る人なのでしょう・・・。重ねてお願いしますが、そのボンブさんも・・・。」
『うん。作戦の事は伝えとく。きっと、参加してくれるはずだよ。・・・お兄ちゃんは参加するかどうか、分からないけど・・・。それじゃあ、お互いベストを尽くそう!頼りにしてるよ!イサム君!!』
ホタルがそう言うと、電話が切れる。そうして、通話を終えた童帝は先程のメタルナイトとの通話後の陰鬱な気分が晴れている事に気付く。
「・・・やっぱり、お兄さんって優しいな・・・。・・・お兄さんって、観音菩薩の生まれ変わりか何かなのかな?」
そう呟く自身に渇を入れる様に、童帝は己の頬を叩く。
「よし・・・!僕も頑張るぞ!!」
誰も居ないモニター室でそう叫ぶと、童帝は改めてモニターと向き合ったのだった。
「僕達は次回出るからね~。」