最強のハゲには、男の娘かつ最強電気使いの弟がいる 作:雨を呼ぶてるてる坊主
Z市にある、寂れたゴーストタウン。そこには一つの影があった。寂れた町の雰囲気に似合わない美女・・・そう、地獄のフブキだ。
(フブキ組が機能しなくなった・・・。ホタル君が入眠させてくれたから良かったものの、あの女怪人の洗脳が完全に解けてないメンバーが大勢いる・・・。これは緊急事態。ここをフブキ組の支部として、会議する必要があるわね・・・べ、別にホタル君に合法的に会う為じゃないし?作戦の為だし?)
そう自分に言い訳をしながら、フブキはホタル達が住む部屋のチャイムを押す。そうすると、ドアが開くが・・・。
「はーい。・・・お?お友達かな?」
出迎えたのはボンブだった。そんなボンブの登場に、フブキは混乱する。
(ホタル君・・・じゃない!?誰、このお爺さん!?もしかして部屋を間違えた!?)
そんなフブキを他所に、ボンブはフブキをサイタマ宅に招き入れる。
「さぁ、入って入って!お客さんだぞ~、サイタマ君。ささ、どうぞ奥の方へ。」
そうして、奥に入ったフブキが見た物は針治療を施されているバングに、自分自身を修理しているジェノス。対戦ゲームをしているキングとサイタマだった。
そんな状況を見たフブキは愕然とする。
(な・・・何この状況は?)
そうフブキが考えている間にも、各々はマイペースに
「ん?何でお前居んの?」
そう能天気に聞いてくるサイタマに、フブキは大声を上げる。
「緊急事態よ!!フブキ組が機能しなくなってるのよ!今回の怪人組織は、かなり危険よ!ゲームとかしてる場合じゃなくて・・・、あんた・・・いま何が起きてるのか分かってんの!?」
そう言うフブキに対してサイタマは肘を床に突いて、ごろ寝する。
「そんなに怒鳴らなくても・・・さっき帰ったばっかで、一服してただけじゃねーか。」
「横になるなって!!」
そんなフブキに、ジェノスが顔を顰めて苦言を
「サイタマ先生の言う通り、こっちも難敵を相手にしていたんだ。自分達だけと思うな。」
「まぁ・・・それは、その姿を見れば分かるけど・・・。・・・そういえば、ホタル君は何処に行ったの!?もしかして、危ない目に合ってるんじゃ・・・。」
「それに関しては問題ない。ホタル先生は、外に出て怪人協会のアジトの正確な位置を把握しに行っている。お前が気にする事じゃ無い。」
「そ、そう・・・。キングは前にも居たけど・・・。何で今度は、シルバーファングまでサイタマの家に居るの?」
その質問に、呻き声を上げながらバングは答える。
「ワシも一緒に戦ってたんじゃが、サイタマ君の家で休ませてもらってんだ。ちょいとはしゃいだ所為で、腰をやっちまって動けなくってな・・・。さっきまでホタル君に電気マッサージしてもらってたんじゃが・・・調べ物があるからというて、出て行っちまって。」
バングの言葉に、ボンブも呻き声を上げながら座る。
「ワシは膝にきた・・・。久々の轟気空裂拳がこたえたな・・・。」
「そう・・・それなりに修羅場だったようね・・・。(なのに何で!?何でこの男は、いつも通りでいられるの!?)」
そう一旦納得しかけたフブキだったが、満身創痍のS級ヒーロー達とは正反対に無傷で
「きっと、すんご~い強かったんでしょ!?怪人協会の奴等半端じゃないわ!!ねぇ、サイタマ!落ち着いたフリして流石にちょっとは焦ってんじゃないの!?」
「いや・・・別にいつもの事だし・・・。」
「はぁ!?この状況が、いつもの事な訳無いでしょ!!」
そう激しいツッコミを入れるフブキの言葉を聞き流しながら、サイタマはキングに聞く。
「なぁ・・・何で怒ってんの?あいつ・・・。」
そうのんびり聞いてくるサイタマに、流石にキングもツッコミを入れる。
「俺が言うのもなんだけど、いつもの事ではないと思うよ・・・。」
そう話していると、いつの間にかちゃぶ台に正座していたフブキがバンバンとちゃぶ台を叩く。
「ここに座って!ホタル君が居ないのがあれだけど・・・、今から皆で作戦会議を開くわよ!!」
「っていうか、何で居るの・・・。」
そう聞いてくるサイタマの言葉を無視し、フブキはジェノスに質問を投げかける。
「ジェノス!あなたS級なんだから、ヒーロー協会の幹部から今後の作戦とか聞かされてない!?」
そう聞いてくるフブキに、サイタマから「答えとけ」と言われたジェノスは渋々答える。
「昨日から、サイタマ先生の武術大会の応援と戦闘で忙しかったからな。協会用の通信機器も、溶けて無くなってしまったし。」
「あ、ワシも地割れに落としてしまった。」
そう言うバングに続き、キングも通信機が壊れた事を告げる。
「俺のも、気付いたら壊れてた。サイタマ氏のパンチと、ホタル氏の落雷の衝撃の所為かな・・・?」
「じゃあ、これからどう動く?奴等との戦争が始まる訳だけど!」
フブキがそう言うが、ジェノスは自分がすぐ動けない事を告げる。
「俺は、修理をしなければならない。」
「まぁ・・・それはそうだけど・・・。」
「クセーノ博士は、昨晩徹夜して俺を改造してくれた。あれから、まだ半日も経っていない。きっと、博士はまだ休んでいるだろうし・・・。丸一日は戦闘不能のままだな。」
そう言うジェノスに、サイタマが何気なく聞く。
「ホタルの能力で、治せないのか?」
「俺も聞いてみましたが、ホタル先生曰く部品が既に融解されていた事もあって、価電子の共有結合による修復が困難であったとの事です。」
「そうか・・・。お前の博士も、まさかパワーアップさせた数時間後に壊れてるとは思わないもんなぁ・・・。」
そのやり取りに、バングとボンブも呻き声を上げる。
「ワシ等も、もう少し時間を置かないと多分動けんな・・・。」
「年には勝てんなぁ・・・。」
「そう・・・なら、キングは?」
そう聞いてくるフブキに、キリッとした顔でキングは答える。
「・・・俺も少し、別件の用事があったような・・・。」
キングのその言葉に、フブキはサイタマの方を見る。
「じゃあホタル君が居ない今、動けるのは私とサイタマだけって事ね・・・。ねぇねぇ、どうする?本部は本部で、特別対策班が作戦を立ててると思うんだけど、こういう時にB級以下ヒーローの行動の起こし方が、今後の評価に響くわけだし、私達も何か活躍できれば・・・。・・・聞いてる?」
そうフブキが熱弁するが、サイタマはボーっとした顔をしている。
「今回の敵は、本来自分勝手な怪人達が珍しく徒党を組んだ形の大きな集団よ。まぁ、でも恐らく組織の構造は組むというより支配という形で、ボスが指揮している可能性が高いわね。」
フブキの言葉に、バングとボンブも頷く。
「そうだな・・・。怪人集団・・・ガロウもそこに加わってるとなると、ちと厄介だぜ。」
「あぁ・・・単独のガロウを襲うチャンスは、二度と来ないかもな。あのムカデ並みの奴も、まだ怪人側に控えているとしたら・・・。駄目だな。もう、ヒーロー辞めた方が良いぞ。バング。」
そうバングとボンブが話していると、キングがサイタマに話し掛ける。
「そういえば、サイタマ氏。さっきの現場にガロウが居たっぽいよ・・・。入れ違いになったらしいけど・・・。」
「帰り道に聞いたよ・・・。またいっぱい、ヒーロー狩られたって・・・。」
そう言うサイタマの脳裏に、とある情景が浮かび上がる。それは毎晩、涙で枕を濡らしながら
『ガロウ君・・・ごめんね。僕がもっと
愛しい弟の悲しむ姿を思い出したサイタマは、真顔で声を絞り出す
「・・・許せん。」
「え・・・?な、何が許せないの?サイタマ氏?」
そう聞いてくるキングに、サイタマは目を据わらせたまま答える。
「俺を狙いに来ない事に関してもムカツクけど・・・。ホタルを悲しませてる事に関しては、もっと許せん。」
そう言うと、ブラコンモードと化したサイタマはヒーロースーツに着替え始める。その様子に、キングとジェノスは驚きの声を上げる。
「サイタマ氏!?」
「サイタマ先生!?」
「ちょっと行ってくるわ。」
その言葉に、ジェノスが質問する。
「ガロウの居場所が、分かるんですか!?」
「探すんだよ。あいつを見つけ出して、俺の弟を悲しませんなって説教してくる。あとついでに、白菜買って来る。」
そう言うと、サイタマは家を出たのだった。
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サイタマが出て行った後、バングは少し弱々しい声で呟く。
「なぁ・・・お兄ちゃん。ワシは間違っとったんかもしれんのぉ・・・。」
「何がだ?」
「・・・あのとき、ガロウに攻撃を加えるのではなく・・・。話しの一つでも聞いてやれば、結果は違ったんじゃないかと思うてのぉ・・・。ホタル君にも、ちょいと怒られちまったし・・・。」
そう言ってバングが思い出したのは、眉を寄せながら自分とボンブに説教をするホタルの姿だ。
『バングさん・・・チャランコさんに大怪我を負わせた事に関しては、ガロウ君に対して怒る気持ちも分かります・・・。ただ、もう少しやりようはあったんじゃないですか?』
その言葉に、バングは道場に来たばかりの頃のガロウの姿を思い出す。あの頃のガロウは現在のように荒々しくも無く、
とは言え、鍛錬を続けていく事で恵まれた体格に育っていったのだが。
(そういえばガロウは、自分より強い門下生には突っ掛かったりしてはいたが、自分より弱い門下生には優しくしていたわけじゃ無かったが、いびったりとかはしない奴じゃったな・・・。何で今まで、その事を忘れとったんじゃ・・・ワシは・・・。)
そう考えながら溜息をつくバングに、ボンブは話し掛ける。
「バング・・・。確かに、ワシらのやり方は間違っとったのかもしれん・・・。今度はガロウに会ったら・・・拳を交える事はあっても、しっかりガロウに向き合えるようになろうぜ。特にお前は、ガロウの師匠なんだからな・・・。」
「そうじゃのぉ・・・。」
「しかし、ホタル君だったか・・・。あの子も、ヒーローだったとは・・・。何と言うか、芯の有りそうな子だな・・・。」
「そうじゃの・・・。あの子は芯が有るだけじゃない・・・。相手の立場に立って、相手が欲している言葉を掛けてやる事の出来る本当に優しい子じゃ・・・。人間相手であろうが、怪人相手であろうがな・・・。」
その時バングが思い出したのは、深海王の件が終了した際に自身の元に訪ねて来て、土下座をしてまで頼み込んできたホタルの姿だ。
『海や海岸のゴミを無くす為に、バングさん
話の内容を聞いた時は、目を見開く程驚いた。ヒーロー協会が発足してから早数年・・・。バングも発足当初からヒーロー活動に取り組んできた。
そんなバングも、土下座をしてきたホタルの願いの内容には衝撃を受けた。何故なら、今まで出会ってきたヒーロー達は"人を助ける"事はあっても、"怪人を助ける"なんて事をするヒーローは一人も居なかったからだ。
しかし、ホタルは土下座をしてきた。怪人を"殺す"為ではなく、"救う"為に。
(あの深海王・・・。いや・・・弟橘媛が、海や人を愛する女神に戻れたのも、ホタル君の優しさがあってのものかもしれん・・・。さすれば、ガロウを止める
そう決心するバングに、ボンブは笑いかける。
「どうしたんじゃ?お兄ちゃん。そんな顔して・・・。」
「いや、迷いが吹っ切れたみたいで何よりだ。」
「・・・そう見えるかのぉ?・・・イテテ。気合を入れ過ぎた所為で、また痛んできたぜ。」
そう言いながら、バングは再び顔を
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その頃ホタルは・・・。
「
怪人協会のアジトに繋がる入口を複数箇所見つけ、童帝に位置情報を共有したのだった。
「アジト発見!イサム君に共有っと。」