最強のハゲには、男の娘かつ最強電気使いの弟がいる 作:雨を呼ぶてるてる坊主
自宅に帰ってきたホタルは、フブキがファミレスの件でサイタマに怒鳴る姿を見届けながら、自室に
『・・・もう一回言ってもらえる?私の聞き間違いじゃ無ければ、フブキを怪人協会の突入メンバーに入れるって聞こえたんだけど。』
「聞き間違いじゃありません・・・。タツマキさん、フーちゃん先輩を怪人協会の突入メンバーに入れてくれませんか?」
少し声色を低くして話す、戦慄のタツマキだ。そんな彼女は、ホタルの話を聞いたが申し入れを却下してしまう。
『・・・あんたほどの奴が言うんだから、何か考えはあるんでしょうけど・・・。無理よ。フブキを危ない目に合わせられないわ。』
「そうですか・・・。」
しかしここで、ホタルはタツマキにとって耳が痛くなるような言葉を放つ。
「タツマキさん。怒られるかもしれないけど・・・一つ聞いても良いですか?」
『・・・怒るかもしれないけど、聞くだけはタダって言うし・・・一応聞いてあげるわ。何よ?』
「フーちゃん先輩の事が心配なのは分かりました。じゃあ・・・どうしてフーちゃん先輩に、ヒーローを辞めるように言わないんですか?」
その言葉に、タツマキは一瞬押し黙る。
「前々から、少し引っ掛かってたんです。タツマキさんは、フーちゃん先輩に危ない目に遭って欲しくない。けれども、ヒーロー活動を辞める様には言っていない。それって、ある程度はフーちゃん先輩の事を認めてるんじゃないかって。」
『・・・・・・。』
「じゃあ、何が気に入らないのかっていうとフーちゃん先輩の周りの人達が、フーちゃん先輩を守れるほど強く無いっていう事。だから、フブキ組の活動に否定的なんですよね?」
ホタルのその言葉に少し黙った後、タツマキはある言葉を呟く。
『・・・いざという時に、誰かが助けてくれると思ってはいけない。』
「え?」
『・・・私が研究施設にいた頃に、助けてくれたヒーローの言葉よ。ヒーローの名は・・・ブラスト。』
その名前に、ホタルは驚きの声を上げる。
「えっ!?ブラストさんって、S級1位ヒーローの!?」
『そうよ。・・・ねぇ、あんたはツクヨミって知ってる?』
「ツクヨミ・・・夜を支配する、月の神様の事ですか?」
そう言うホタルの言葉を、タツマキは否定する。
『違うわ。ツクヨミっていうのは、私を監禁してモルモットにしていた超能力の研究組織よ。最低最悪のね。名前を思い出しただけで、反吐が出るわ。』
「モルモット・・・?大丈夫だったんですか!?」
『大丈夫だった・・・って言ったら嘘になるわね。まぁ、地獄のような場所よ。けど、そんな所から救ってくれたのがブラストだったのよ。その時に言われたのが、さっきの言葉よ。』
「そうだったんですか・・・。それで、フブキ組の活動に反対してたんですね。」
『そういう事よ。あんな有象無象達に、フブキを守れるわけが無いし。・・・ねぇ、どうしてもフブキを参加させたいなら条件があるわ。』
「条件ですか?・・・それって、どういった物ですか?」
『フブキに、誰かしら・・・せめて、S級上位クラスの護衛を付ける事。それが約束できるなら、フブキを突入させてやっても良いわ。』
その言葉に、ホタルは頷く。
「分かりました。僕は恐らく、能力を行使した際の余波でフーちゃん先輩を巻き込んでしまうかもしれないので、S級3位のバングさんと、バングさんの兄であるボンブさんに同行して貰う事にします。」
『・・・因みに、そのボンブって奴はどのくらい強いの?』
「ジェノス君曰く、ムカデ長老っていう怪人さんの全身を粉々にするくらいには・・・。」
『ムカデ長老!?それって確か、ブラストが取り逃がしたっていう・・・。』
「はい。僕も又聞きなので、詳しい事は分かりませんがS級上位クラスの実力は有されていると思います。」
その言葉にタツマキは少し考え込む。
『・・・分かったわ。ただし、ホタル・・・。』
「はい。」
『・・・もしも、作戦中にフブキが死にかけたりするような事があったら・・・
タツマキのその忠告に、ホタルも覚悟を決めたような声になる。
「それは勿論、心得ています。僕も、フーちゃん先輩に危ない目に遭って欲しくないのは同じですから。」
『・・・そう。それじゃあ、会議のときにまた会いましょう。』
「はい。ではまた。」
そう言うと、ホタルは電話を切る。そうして自室を出ると、ジェノスがキングと押し問答をしていた。
「現状マトモに戦えるのは、お前だけだキング!敵が接近している!外で迎え撃て!」
「え?」
「ここで戦う訳にはいかない!」
「何で?」
「早く外へ!!」
「あっ!ちょっと待って、押さないで?ちょっと待って、落ち着こう。どゆこと?」
そう言ってキングが宥めようとするが、ジェノスはキングの背中を押し続ける。
「安心しろ!敵は一体だ!!」
「何で?」
そうして遂に、キングは外に押し出されてしまう。そんな様子に、ホタルはジェノスに質問する。
「えっと、ジェノス君どうしたの?」
「怪人が来たようなので、キングに任せました。」
その言葉に、サイタマは軽く引く。
「うーわ・・・お前さぁ・・・。」
しかし、ホタルは首を傾げる。
「うーん・・・。レーダーが捉えた電波の感じからして、怪人さんじゃない様な気がするけど・・・。」
そう話していると、キングが帰って来る。
「・・・げ、玄関の前に居た・・・。」
両肩に重火器が付いた、宇宙服のようなものを着ている人物と共に。
「お客さんです。」
そんなキングの行動に、ジェノスは声を荒げる。
「なっ・・・キング!?招き入れてどうする!!・・・チッ!」
そう言いながら、ギギギと体を文字通り軋ませつつジェノスが構えるが、それを目の前の人物は制止する。
「あー、待て待て。また酷く壊れたな。それ以上、無理に動いてはいかん。ワシじゃよ、ジェノス。」
そう言うと、黒く塗りつぶされていたヘルメットが透明になっていく。そして、そのヘルメットを被っていた人物は・・・。
「クセーノ博士!!」
そう。ジェノスの命の恩人であり、育ての親ともいえるクセーノ博士であった。そんな人物の登場に、ジェノスは驚愕の声を上げる。
「何故ここに!?そんな武装をしてまで・・・。」
「ちょっと気になってのう。オヌシの様子を見に来たんじゃ。直したばかりなのに、再び救難信号が届いたもんじゃから、たまにはドローンでオヌシを回収するだけじゃなく、直接ワシが現地まで出向いて状況を確かめる必要があると思ってのう。」
そんなクセーノ博士の言葉に、ジェノスは謝罪を述べる。
「はぁ・・・。心配をお掛けしてすみません。もう負けないと言った矢先に・・・。」
そんなジェノスの惨状に、クセーノ自身も驚愕の声を上げる。
「驚いた・・・。基本性能も火力も、かなり向上させたはずだったんじゃが・・・。まぁ気にせんで良い!大事な事は、勝つよりも生きる事じゃ!して・・・オヌシを、そこまで破壊した敵は?」
そのクセーノの質問に、ジェノスはサイタマとホタルの方を見る。
「いつも通り、サイタマ先生とホタル先生が倒しました。」
その言葉に、クセーノは目を見開く。
「・・・!そうか、オヌシ達がジェノスの師匠・・・。サイタマ君とホタル君か。」
その言葉にホタルは会釈しつつ、さり気無く泥落としマットを床に敷く。
「はい。ジェノス君からお話は聞いています。・・・取り敢えず、マットで靴を綺麗にして頂ければ・・・。」
その言葉に、クセーノは恐縮しながら泥を落としスーツを脱ぐ。そうして、改めて自己紹介を始める。
「ワシはクセーノ。元々はしがない機械工学者で、訳あって今はジェノスの正義活動のサポートをしている者じゃ。」
「俺はサイタマ。宜しく。」
「僕はホタルって言います。改めて宜しくお願い致します。」
そう言って挨拶をするサイタマとホタルに、クセーノは感慨深そうにする。
「そうか・・・ジェノスに、こんな立派な師匠が出来たとは・・・。感慨深いのぉ。ワシとジェノスが出会った頃は、ワシ等に味方は誰もおらんかった・・・。たった二人で闇を
そうクセーノが話す中、ホタルは頑張って長話による睡魔に抗おうとするが、そんなホタルの努力を無下にするかのように、サイタマがさっさと話を切り上げようとする。
「迎えに来てもらえてよかったなジェノス。じゃあ部屋も狭いんで、ここらへんで解散って事で。またな、クセーノ。」
そんなサイタマに、クセーノは持参したトランクを
「まぁ、そう言わずに・・・。恐らくここが、例のサイタマ君とホタル君の家だと思って手土産があるんじゃ。気に入って貰えると良いんじゃが・・・。」
そんなクセーノの様子に、ジェノスが問いを投げかける。
「先生達用の、強化パーツか何かですか?」
「いや、俺もホタルも生身なんだけど。」
しかし、そんなジェノスの予想に反して取り出されたのは・・・
「なかなか手に入らん、究極のプレミアム牛肉極上セット。最高級品じゃ。サイタマ君とホタル君は、スーパーの安売り牛肉によく反応しているとジェノスから聞いたもんで。これは普段、ジェノスが世話になっている御礼として受け取ってくれんか?」
一目で高級品だと分かる牛肉セットだ。そんな贈り物に、サイタマだけではなくバングやボンブも感嘆の声を上げる。
「ほぉ・・・あれは良いの~。」
「ワシも肉は、久しく食ってねーなぁ。」
そんな周囲の反応を他所に、サイタマはゴホンと咳払いをすると凛々しい顔に成る。
「クセーノ・・・ゴホンッ。いや、クセーノ博士。どうやらジェノスを見守る者同士、語り合える事が多くありそうだ。また是非、いつでも家に遊びに来てください。」
そんなサイタマの様子にフブキはちょろ過ぎると愕然とし、ホタルは兄の現金っぷりに少し呆れた表情を浮かべつつクセーノに改めて礼を言う。
「クセーノ博士、有り難う御座います。美味しく頂かせてもらいますね。じゃあ、この御肉も御鍋に入れちゃおっか。他に入れるのは御豆腐に・・・。」
そう呟くホタルに、フブキは声を上げる。
「え!?そんなに良い御肉なのに、鍋なんかに入れちゃうの?」
「え?駄目なんですか?」
「いや・・・駄目って訳じゃないけど、勿体無いわよ。赤ワインソースで、ステーキにしたりとか・・・。」
その言葉に、ホタルは困った様な顔に成る。
「うーん・・・。僕はそもそも、お酒に弱いですし・・・。お兄ちゃんも、ワインとか飲むタイプじゃ無いですから・・・。」
「そ、そう・・・。」
そんなフブキに、サイタマは突っ込みを入れる。
「というか、お前等まさか食ってく気じゃないだろうな!?関係ない奴等は、ここで解散だっつーの。ほら、キングも爺さん達も帰った帰った。」
そんなサイタマの額に、ホタルはペチッと軽いしっぺを食らわせる。
「もー。お兄ちゃん、そんな事言わないの。それに、皆で食べたほうが美味しいよ?じゃあ、作っていくね。」
そうしてエプロンを付けるホタルを見たフブキも、手伝い係として名乗りを上げる。
「あ、じゃあ私も何か手伝うわ。」
「本当ですか?じゃあ、食器とかIHコンロの準備を御願いしますね?」
そう言うとホタルは手際良く料理を作り始め、フブキは全員分の食器や
(((なんか、あの二人新婚みたいだな・・・。)))
Q.ホタル君はS級で収入も良いのに、高級食材を買ったりはしないのですか?
A.ホタル君は倹約家なので、バカスカ使ったりはしないタイプです。