最強のハゲには、男の娘かつ最強電気使いの弟がいる   作:雨を呼ぶてるてる坊主

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「怪人協会編って、いろんなヒーローさんや怪人さんにスポットが当たって複雑だよね・・・。」
後書きに、お知らせがあります


六十三撃目:弟と可愛いワンちゃん(レベル竜)

突入が始まってから数分後、ホタルは怪人協会内を走り回っていた。もちろん、どこかに居るであろうガロウを探す為に。

 

 

(レーダーに、ガロウ君の信号がヒットしない!・・・まさか、怪人化の影響!?)

 

 

だが、何故かレーダーにガロウの反応がヒットしない。ホタルのレーダーは万能ではない。あくまでも、人間か怪人かを見分ける事が出来るかどうかであり、特定の人物の居場所は簡単に察知する事は出来ないのだ。一応、人間態時のガロウの信号は記憶はしているのだが、それが反応しない・・・。という事は、怪人化が進行しているのではないかとホタルは結論付ける。

 

 

(急がないと・・・!ガロウ君が、ガロウ君でなくなる前に!!)

 

 

そう思いながら進んでいると、目の前から数体の怪人達が襲い掛かって来る!

 

 

「激雷の天使だぁ!ぶっ殺せぇ!!」

 

 

そう叫びながらかかってくる、大勢の怪人達。しかし、そんな彼等は一瞬の内に凍らされてしまい、ホタルが生み出した鉄傀儡達によって地上に送られる事に成る。

 

 

「怪人細胞分離実験のサンプルは多く集まってる・・・!これで、大勢の怪人さん達が人間に戻れたらいいんだけど・・・。」

 

 

そう言いながらも、セキンガルからの通信によって凍結保存されている怪人達が、無事に地上に護送された事を知るとホタルは走り出す。

 

 

そんなホタルが必死にガロウの痕跡を追っていると、また数人の怪人達が目の前に現れる。

 

 

「おい見ろよ!激雷の天使だぞ!!」

 

 

「先鋒の連中は全滅したが、此処に居るのはレベル鬼と虎だ!!流石の激雷の天使も、ただではいられ・・・。」

 

 

そう言おうとした怪人達を、ホタルは一瞬で凍らしてしまう。そんな中、わざと一体だけ首から下のみを凍らして会話が出来る状態にする。

 

 

「ヒィッ!す、すまねぇ!!イキってすんませんしたぁ!!殺さないでぇ!!」

 

 

「大丈夫、質問に答えてくれたら殺さないよ。ガロウ君・・・、人間怪人さんが何処にいるか知ってる?」

 

 

「に、人間怪人?や、奴なら、怪人王であるオロチ様と戦って敗れたって聞いてる!!その後は、参謀のギョロギョロ様によって牢獄に監禁されてるらしいが、それ以上の事は知らねぇ!!本当だ!!」

 

 

そう叫ぶ怪人の脳波を読み取り、怪人が嘘を吐いていない事を確認したホタルは彼と氷漬けにした怪人達を鉄傀儡に運ばせようとする。

 

 

「そっか・・・。情報提供有り難う、地上まで送るね。ヒーローさん達がいっぱい居るけど、悪いようにはしない・・・。」

 

 

しかし、ホタルがそう言おうとした瞬間・・・前方から異常なほどの闘気が()てられる。そして、前方の通路の奥から獣の唸り声のようなものが上げられる。

 

 

「グロロロロ・・・!!」

 

 

そんな唸り声にホタルが首を傾げると同時に、氷漬けにされている怪人が叫び出す。

 

 

「ま、まずい!ポチだ!!」

 

 

「ポチ?ワンちゃん?」

 

 

「ワンちゃんとか、可愛いもんじゃねぇよ!!正真正銘の、バケモンだよ!!怪人協会の幹部!災害レベルは竜だ!!」

 

 

次の瞬間、前方の通路が明るく照らされたかと思うと高熱の光球が襲い掛かって来る!!そんな光球が氷漬けに成っている怪人達に当たりそうになったが、即座に氷の壁と鉄壁を重ね合わせた防壁をホタルは作り出して熱線を防御する!!

 

 

続いて地中の砂鉄を利用して鉄傀儡を作成すると、鉄傀儡達に怪人達を運ばせる。そうして、怪人達が運び終えられたのを確認すると、ホタルは改めて目の前に居る怪人と向かい合う。

 

 

(空気が震えてる・・・。それに、さっきの攻撃も本気じゃないのかもね。)

 

 

「ゴルォォォォ!!」

 

 

その咆哮と共に、また熱線が発せられるがホタルには当たらない。超人的なスピードでポチの後ろに回ると、ポチの背中に乗っかり始める。

 

 

「ワンちゃん!・・・じゃなかった、ポチちゃん落ち付いて!!そんなに攻撃したら、ここが崩れちゃって危ないよ!!()し潰されちゃう!!」

 

 

そう言いながらも、ポチに瓦礫が当たらないように原子レベルまで瓦礫を分解し始めるが、ポチは構う事無く走りながら光球を吐き出し続ける!!

 

 

ホタルもホタルで、分子内の電子の瞬間的な分布の揺らぎによって生じるファンデルワールス力*1を使って、ポチから振り落とされないように必死にしがみ付く。そんな中でも、ホタルは必死に思考を働かせ続ける。

 

 

(う~。このままじゃあ、ずっとポチちゃんの背中に乗っかったままだよ・・・。何か手を考えないと・・・!何か、何か・・・そうだ!!)

 

 

ポチを落ち着かせる方法を模索していたホタルは、名案を思いつくとポチの背中を必死に進み始め、ポチの耳の付け根辺りに到着する。そうして、ホタルはそこにスッと手を(かざ)し始める。

 

 

「上手く行くか分からないけど・・・。一か八か!!」

 

 

そう言いながら、微弱な電気を流し始めると段々とポチのスピードが落ちていく。そうして、遂に止まったかと思うと心地よさそうな鳴き声を上げ始めたのだ。

 

 

「ゴロロ・・・。」

 

 

そう鳴き始めると、次第に四足歩行の状態から伏せの状態に早変わりをする。そんなポチからホタルが降りると、ポチは甘えるように尻尾を振りながら、ゴロンと仰向けに成って腹を見せ始める。

 

 

そんなポチを見ながら、ホタルは作戦成功といったように微笑みながらポチに近づいていく。

 

 

「どう?気持ち良かった?僕の電気マッサージは。」

 

 

そう微笑むホタルの方をジッと見ると、仰向けの状態からうつ伏せに戻りつつ尻尾を振りながら舌を出してホタルの顔を舐め始める。そんなホタルは、ポチのベロベロ攻撃に溺れそうに成りながらも、なんとか言葉を吐き出す。

 

 

「わぷっ!き、気持ち良かったんだね。なんというか、怪人さんというか・・・。文字通りに、育ち過ぎたワンちゃんみたいだね・・・。」

 

 

そう言いながらも、ポチの目の間・・・。というより、眉間辺りを優しく撫でるとポチは六つの目を気持ちよさそうに閉じて喉を鳴らし始める。

 

 

「よしよーし、可愛いねぇ。」

 

 

そんな両者の間に流れる空気は、怪人とヒーロー言うより忠犬と忠犬を甘やかしたくて仕方が無い飼い主の様だった。そんなホタルが、ポチに尋ね始める。

 

 

「ねぇ、ポチちゃん。ガロウ君って知らない?こう・・・。髪の毛が逆立って、Vの字に成ってる感じの。髪の毛の色は銀色で・・・。あ・・・でも、ジェノス君曰く赤色に変わったって言ってたっけ?」

 

 

そんなホタルを不思議そうに見ながら、ポチは踵を返して歩き出す。しかし、ホタルの方を振り向いて唸り声を上げる。まるで、「気持ち良くしてくれた御礼に、案内してあげる。」とでも言っているかのように。

 

 

「案内してくれるの?有り難う!!」

 

 

そう言いながらも、S級ヒーロー(激雷の天使)災害レベル竜(育ち過ぎたポチ)は隣り合って歩き出す。そんな二人の間に敵意のようなものは存在せず、まるで散歩に出かける飼い主と飼い犬のようだ。

 

 

「ポチちゃんは、どうしてそんなに大きいの?」

 

 

「ゴル・・・?グルルル?」

 

 

「分かんない?」

 

 

「ゴルル・・・。」

 

 

「そっかぁ、分からないならしょうがないよねぇ・・・。ねぇ、ポチちゃんは走ったらどれくらい速いの?」

 

 

「ゴル?」

 

 

「こう・・・。足を動かしたら!!って言っても、伝わんないよねぇ・・・。そうだ!駆けっこしよう!!どっちが先にガロウ君を見つけられるか勝負だよ!!」

 

 

そう言うホタルの駆けっこという言葉に反応したのか、ポチの目に光が宿る。そうして、一人と一匹は横に並ぶと両者揃って足に力を入れる。

 

 

「それじゃあ、僕が作った雷球が弾けたらスタートね!いくよー・・・、よーい・・・。」

 

 

その言葉に、ポチの後ろ脚が地面に()り込み始める。そして、雷球が花火の様に弾けるとホタルの合図と同時にポチが唸り声を上げる!!

 

 

「ドン!!」

 

 

「グルォォォォ!!!」

 

 

次の瞬間、衝撃波と共に一人と一匹は同時に走り出した。そして、その二人のスピードは音を置き去りにする程だ!!

 

 

「風が気持ち良いね!ポチちゃん!!」

 

 

「ウ゛ォウ!!」

 

 

「もしもポチちゃんが僕のワンちゃんだったら、毎日遊んであげたいなぁ~!」

 

 

「ウォウ!ウォウ!!」

 

 

そんな両者の間には、爽やかな風が流れる・・・。否!次の瞬間、ホタルがポチにストップを掛ける!!

 

 

「ポチちゃんストップ!!危ない!!」

 

 

「ウォウ!?」

 

 

そう驚くポチは急に止まったが、次の瞬間ポチの片足から少量の血が流れ始める。

 

 

「ポチちゃん!!大変・・・膝から血が!!」

 

 

そんなホタルは、ポチに駆け寄ると目を凝らし始める。そんな彼の視界には、光り輝く糸のような物が映っていた。

 

 

(これは、ピアノ線・・・?いや、鋼線かな?)

 

 

そう考えると、ホタルは急いで治癒能力でポチの怪我を治し始める。しかし、怪我を治し終えた瞬間である!急に炎の斬撃が襲い掛かって来たのだ!!しかし、ホタルは氷壁を創造してそれを弾き飛ばす!すると、通路の奥から声がする。

 

 

「どういう事だフレイム?お前の火遁が打ち消されるとは・・・。閃光のフラッシュは、氷遁の術でも使えたのか?」

 

 

「そんなはずはない。だが、この圧倒的なスピードを出せるヒーローはフラッシュ以外には居ない筈だが・・・。」

 

 

次の瞬間、通路の壁に掛けられてある松明に一斉に火が灯る。そんな松明が照らし出したのは、二つの陰であった。そんな影が明るみに成ると、そこには長髪の偉丈夫と黒髪を逆立たせた偉丈夫が立って居た。

 

 

「オレンジの髪に、紫の瞳・・・。フラッシュめ、変化の術でも使ったのか?」

 

 

「そんなはずは無い。そもそも、里では変化の術などは教わっていない筈だ。・・・おい!貴様は何者だ!!」

 

 

そう叫ぶ黒髪の男に、ホタルは困惑しながらも声を掛ける。

 

 

「あ、あの・・・。まずは、自分から名乗るのが礼儀なのでは?」

 

 

「何だと・・・?」

 

 

そう言いながら青筋を立てる黒髪を制しながら、緑神の長髪の男が胡散臭い笑みを浮かべながら自己紹介をする。

 

 

「ふん・・・、これは失礼した。死にゆく者の手向けとして教えてやろう。俺の名は、疾風のウィンド。怪人協会の幹部だ。隣に居るのが、同じく幹部の業火のフレイム。・・・さぁ、俺達は名乗ったぞ。御前は何者だ?そのスピード・・・、里の出身と見受けるが・・・。まさかとは思うが、終わりの44期の生き残りなのか?」

 

 

「里?・・・僕は、Z市のゴーストタウンに住んでいますよ?里・・・と言う所には、行った事も有りませんが・・・。」

 

 

「何・・・?」

 

 

そう眉を顰めるウィンドの隣で、フレイムはポチの方を見ながらウィンドに負けず劣らずの勢いで眉を顰める。

 

 

「待て、何故ポチがヒーローであるお前を攻撃しない?催眠術の使い手なのか?」

 

 

「え?ポチちゃんは・・・。撫でてあげたら、大人しくなりましたよ?ね、ポチちゃん?」

 

 

その言葉に、ポチはホタルに甘えるように擦りつこうとする。その瞬間、ポチの身体に業火の斬撃が当たってしまう!!

 

 

「ギャン!!」

 

 

「ポチちゃん!!」

 

 

ホタルがポチの怪我を治しに向かおうとした、次の瞬間である。ポチに向かってウィンドとフレイムが襲い掛かるが、ホタルはポチを庇う様に、フレイムとウィンドの斬撃を砂鉄剣の二刀流で抑え込む。

 

 

「ポチちゃんに何するんですか!!」

 

 

「フン!怪人協会の幹部という席を設けられているにも拘らず、ヒーローに()えなく屈するとはな!!文字通り、牙の抜けた駄犬に成り下がったという訳だ!!」

 

 

そう蔑むような言葉を吐き捨てるフレイムに続き、ウィンドも嘲笑しながら話し始める。

 

 

「牙の無い駄犬に、利用価値は無い。貴様らヒーローからしても、怪人協会の幹部が一人消えるんだ。御互いにとって得策だろう?」

 

 

そんな両者の斬撃を弾き飛ばして後退したホタルは、ウィンドとフレイムに向かって大声を上げる!!

 

 

「そんな事無い!!こんなに可愛くて良い子なポチちゃんに、価値が無いなんて有り得ない!!これ以上ポチちゃんを侮辱して虐めるなら、僕が許しません!!」

 

 

「フン!ヒーローでありながら怪人を庇うなど、貴様もそこの駄犬同様に腑抜けのようだな!!」

 

 

そう言うフレイムを見据えながら、ホタルはポチの火傷を治しつつも小さい声で話しかける。

 

 

「ポチちゃん・・・。僕に構わずに逃げて。」

 

 

「ウ゛ォウ・・・?」

 

 

「あの二人の眼差しを見たら分かるんだ。あの二人は、絶対にポチちゃんを追いかけ続ける。そして、僕はポチちゃんに痛い目に遭って欲しくない。だから、今は逃げるんだよ。良いね。」

 

 

「ウォウ・・・。」

 

 

「ポチちゃん!行って!!早く!!」

 

 

ホタルのその大声に驚いたポチは、踵を返して走り始める。そんなポチを見ながらウィンドとフレイムは御互いに話し合い始める。

 

 

「どうする?あの駄犬を追うか?」

 

 

「いや。先程のスピードを見るに、このヒーローの実力は閃光のフラッシュと同等かそれ以上だ。厄介な存在は、先に潰しておいた方が良い。あの駄犬は、あとで殺せばいいからな。」

 

 

そう吐き捨てるフレイムは、ホタルに向かって剣を構え始める。そして、ウィンドも剣を構えると三人の間に濃密な闘気が溢れ始める。

 

 

「さぁ、初め・・・。」

 

 

そうフレイムが言おうとした瞬間、既にホタルは動いておりウィンドを超高速のスピードが乗った状態で遥か彼方に蹴り飛ばす。ついで、フレイムの襟首を掴むとウィンド同様に投げ飛ばしてしまう!!

 

 

「何ぃ!?」

 

 

「この小さいな体躯の、何処にそんな膂力(りょりょく)が!?」

 

 

そう叫びながらも二人は、数十メートルは飛ばされると受け身を取って起き上がる。

 

 

「ウィンドよ、無事か?」

 

 

「問題は無いぞ、フレイム。ただ、この男の実力を見誤っていたようだ。」

 

 

「ならばどうする?」

 

 

「決まっている、全力で叩き潰す・・・。」

 

 

そう話す二人の前に、ホタルが現れると話し始める。

 

 

「先の攻防で、力の差は分かったでしょう?早急に投降してください。そうすれば、悪いようには致しません。」

 

 

「ふん。そう易々と、従うとでも・・・。」

 

 

そうウィンドが言おうとした瞬間、ウィンド目掛けて閃光が(ほとばし)った!

 

 

「風刃脚!!」

 

 

その声と共に放たれた回し蹴りを、ウィンドは天井に張り付いて避ける事にする。そうして、舞い上がった土煙が晴れると閃光の正体が露わになる。それは・・・。

 

 

「フラッシュさん!?」

 

 

「不自然な闘気が近くで渦巻いていると思えば・・・。激雷の天使、何故お前が此処に居る。」

 

 

「え、えっと・・・。実は・・・。」

 

 

そうしどろもどろに成りながらも、ホタルが先程の状況を正直に話すとフラッシュは顔を顰めながら呆れたように話し始める。

 

 

「フン・・・。地上では容赦なく怪人共を制圧していた事から、少しは見直していたんだが・・・。やはり甘いな。怪人協会の幹部なら、お前が見逃した黒い犬の怪人もレベル竜は妥当だろう。そんな存在を、抜け抜けと見逃すとは・・・。」

 

 

「ご、ごめんなさい。でも、本当に良い子なんですよ?本当に、大きくなっただけのワンちゃんって感じで・・・。」

 

 

「弁明は、後で聞いてやる。今は、この二人を倒すぞ。少しでも、この二人相手に情けなどを見せてみろ。この二人の代わりに、俺がお前を斬るからな。」

 

 

「うぅ・・・。分かりました。」

 

 

そう言うと、フラッシュとホタル・・・。ヒーロー協会のスピードコンビが剣を構えて、怪人協会の忍達と相対したのだった。

*1
ヤモリが壁に張り付く事の出来る能力の正体




「作者が、この小説のイメージソングをAIで作ってみたらしいよ~。ぜひ聴いてみてください。」
共生の夢
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