最強のハゲには、男の娘かつ最強電気使いの弟がいる 作:雨を呼ぶてるてる坊主
迷子となったフラッシュとホタルが珍道中を繰り広げている最中、別の場所では童帝が発信機の場所を確認しながら通路内を歩いていた。そんな彼は、腕時計からホログラムの様に映し出される立体マップを見ながらひとりごとを呟く。
「超高速で位置が移動していたのは、フラッシュさんかな?そのあとピタリと止まったけど、発信機の故障?」
そう考えながら、童帝は暗い怪人協会内を歩き続ける。そんな彼の頭の中は、人質をどうやって助けるかでいっぱいだった。すると、彼の背後からヌッと出刃包丁を持った怪人の影が現れたが・・・。
ピピピという音と共に、怪人は穴だらけにされてしまった。怪人を穴だらけにした物の正体は、童帝が作り出した発明品・・・『ミニタコタンク8号』だ。そして、穴だらけにされた怪人は地に伏せるが童帝はそれを無視して歩き続ける。
すると、童帝は目的の部屋に到着する。そんな彼の目の前には、衝撃の光景が広がっていた。そこには、バラバラにされたメタルナイトの機体があったのだ!!
(凄いな。オーバーなほどの耐久テストを重ねたはずの"ナイト"を・・・。"怪人王"オロチにやられたって言ってたけど、どんな攻撃力が有ればここまで壊せるんだ?うーん・・・会いたくない。)
そう考えながらも、童帝はランドセルからハッキングの為の導線を取り出してメタルナイトの頭部と接続する。そうして数分後・・・、解析されたデータを見た彼は更に苛立ちを募らせる!
なんとそこには、レーダー探知機で人質の部屋までの正規ルートがマッピングされていたのだ!つまりは、メタルナイトは人質を助ける事が出来たにも拘らず協力を拒んできたことになる!!
(レーダー探知機で、人質部屋までの最短ルートが既にマッピングされてる!!あの人は、ここまで分かっていながら・・・!!まぁ、お兄さんのレーダーの御陰で大体の場所を割り当てられたのは嬉しい誤算だっかけど・・・!!お兄さんが協力してくれなかったら、とんでもない事になってた・・・!)
そう思いながら、童帝はメタルナイトが置かれている部屋から退出すると自前のキャンディを取り出し始める。糖分接種をして、メタルナイトへの苛立ちを抑える為だ。そして、キャンディを舐め始めようとしたのだが・・・。目の前の光景に、キャンディを噛み砕いてしまった。
何故なら、ミニタコタンク8号が無惨に粉砕されていたからである。そして、そんな8号の前に一匹の鳥型の怪人が立っていた。その怪人こそ、ガロウを連れ去った怪人・・・フェニックス男である!!
「御前が作ったのか?幼稚なデザインだ。ここへ来たのも、御遊び半分と言ったところか・・・。ガキは、悩みが無くて羨ましいよ。だがな・・・私は、子供相手でも容赦はしない。」
「幹部か・・・?」
「ここでは、中間管理職と言ったポジションだな。幹部ではないが、周りから一目置かれる存在ではある。ある意味幹部より優秀でないと、私の役は務まらん。分かるか?まぁ、組織にはいろんなしがらみがあるって事だ。ヒーローなんて恥ずかしい肩書に目を輝かせるガキには、難しい話だろうが・・・。」
そんなフェニックス男の高説に苛立ちを隠しきれないかのように、童帝はキャンディをボリボリ噛み砕き始める。しかし、フェニックス男は構わず話し続ける。
「少し賢いだけの子供が話題性の為に、S級ヒーローとして持て囃され甘やかされて・・・。その気になった結果、ここで死ぬんだから不幸な話だよな。大人の誉め言葉など、真に受けない方が良かったんだ・・・。私は、自分しか信用していない。この怪人協会も、私にとってただの通過点。いずれ私が、オロチから"王"の座を奪い取るつもりだ。」
そうして数分間に渡る高説を話し終えたフェニックス男は、威嚇するかのように翼を広げると童帝に対して名乗りを上げる!
「私はフェニックス男!!鳥の着ぐるみが脱げなくなり、気が付いたら怪人に成っていた男!!"童帝"・・・時代の犠牲者よ!ここで死んでもらうぞ!!せめて苦しまぬように、即死させてやる!!クチバシ攻撃!!」
そう叫ぶと、フェニックス男は童帝目掛けて一直線に飛んで行く!!そのスピードは、並のヒーローでは肉眼ではとらえられない程!!流石の童帝でも、防ぎきる事は困難・・・では無かった!クチバシ攻撃が当たる寸前で、フェニックス男は見えない壁に攻撃を阻まれたのだ!!
「アンタが喋ってる間に、ワイヤーを射出して張っておいた。この薄く透明なフィルムは、瞬間的に強い耐久性を発揮するんだ。筒状に巻いて持ち運べるし、飴も包んでおける。便利でしょ?まだ試作段階だけど、名付けて『見えない壁』・・・そのまますぎる?『イライラシールド』の方が良いな。」
そんな童帝の言葉にも、クチバシを強打してしまったフェニックス男は何も言い返す事が出来ずにブルブル震えている。しかし、そんな彼に死刑宣告をするかのように童帝は静かに告げる。
「アンタとは、マトモな会話が出来そうだし・・・。生け捕りにして、怪人王の居場所まで道案内させる方法もあったんだけど。今は、虫の居所が悪いんだ。」
そう淡々と告げると、童帝は背中に背負っているランドセルからロボットアームを展開させる。そんなロボットアームには、電動のこぎりや大鎌などの物騒な武器が付けられている!!そして、それらのアームを巧みに使ってフェニックス男を八つ裂きにしてしまったのだ!!
「うぎゃぁぁ!!」
そんな鮮血を撒き散らしながら断末魔を上げて、地に伏せるフェニックス男。そんな彼の死骸を見ながら、童帝は通路の中で独り言ちる。
「野心があるのは良い事だけど、本当に優秀なら怪人協会に所属する筈が無い。プッ・・・それは、僕も同じか。ありがとう、これで少し落ち着いた。」
・・・そうして場面は移り変わり、怪人協会内の牢獄の内の一つ。そこには、怪人協会最大のスポンサーであるナリンキの息子である、ワガンマが幽閉されていた。そして、そんな彼の牢の前には番人の様に怪人達が勢揃いしていた。
そんな中、一匹のカエルが侵入するとワガンマの顔にへばりつく。カエルにへばりつかれたワガンマは、必死に剥がそうと身悶えるがカエルは一向に剥がれない。そんな彼の声に、門番の怪人達は面倒くさそうに話し出す。
「おい、うるせぇぞ。」
「どうした?」
「ガキが騒ぎ始めた。」
「食っちまうか?」
「もう、ヒーロー達は突入してきたんだ。人質の安否なんて、どうでもいいだろ。」
「いいなそれ。」
そう話していると、突然彼等のもとに煙が舞い込んでくる。そんな煙はあっという間に現場を覆いつくしてしまう。すると、番兵の怪人達は苦しみだし地に伏せてしまった!!そう、毒ガスである!!
そうして、怪人達が全員死亡したと同時にワガンマの牢の鉄格子が切断され始める。すると、一人の人物が入って来る。それは、ガスマスクを付けた童帝だった。
「ワガンマ君?助けに来たよ。さ、此処を出よう。」
そう言ってワガンマに手を差し伸べた童帝を、天井にへばり付いている何かが襲撃した!その正体は、災害レベルトラのヘドロクラゲだ!!
「ヘドロプレス!!うっひっひ!!」
そう笑いながら童帝の最期を見届けようとしたヘドロクラゲがったが、童帝は無事であった。傘型のシールドを展開させて己が身を護っていたのだ。
「毒ガスが効かないタイプが居たか・・・。」
それだけ呟くと、童帝はリコーダー型のビームサーベルを展開する。そうして連撃の雨を降らせるが、液状型のヘドロクラゲには効いていないようだ。
(刃物も、効果無し・・・。)
「もしかして御前、大した事無い?」
そんなヘドロクラゲの問いを無視して、ランドセルの刃物型のロボットアームと共にビームサーベルで斬撃を繰り出すがどれもこれも通用はしていないようだ。
「だからさぁ、斬っても刺しても効かないってぇ。ヒッヒッヒッ、俺様を殺す手段を持ってないと見た。やっと俺にもツキが回ってきた!楽してS級の首を貰えるなんてよぉ!!」
しかし、そんな下卑た言葉は直ぐに疑問に変わる。ヘドロクラゲの身体に、一本のチューブが刺さっていたのだ。
「なんだぁ・・・?」
「燃料油。」
それだけ言うと、童帝はヘドロクラゲに向かって一本のマッチ棒を放り投げる。すると、燃料油に引火してヘドロクラゲは燃え盛る炎に飲み込まれてしまった。
「ゲボァァァァ!!」
「焦げ臭いから、早く離れよう!!」
それだけ言うと、童帝はワガンマを連れて日の手から逃れ始める。そうして、暫く走っていると怪人達の気配がほとんどいない通路まで到着する。そして毒ガスの効果範囲外に来た事を確認した童帝は、ガスマスクを外すようにワガンマに伝える。
「ケロケロマスク、外して良いよ。体長はどう?」
「ぷはぁっ!!う・・・、御腹がペコペコだよ。」
「取り敢えずこれ飲んで、栄養ゼリー。猶予は無いから、歩きながら。」
「S級ヒーローの童帝だよね?来るのが遅いんだよ!もうっ!!」
そんなワガンマの言葉に、苛立ちを覚えたのか童帝はギロリと彼の方を見遣る。そんな彼の眼差しに恐れたのか、ワガンマは大人しく首を縦に振る。
「あっ、ごめんごめん・・・。」
そう話している彼等の耳に、ズシンズシンと重厚感のある足音が聞こえてくる。そんな足音に警戒感を覚えた童帝は、リモコン型の小型戦車で迎撃する事にする。そして、曲がり角で小型戦車とは思えない程の火力を叩き込む!!
しかし、戦車は斬撃の様なもので消し飛ばされてしまった。そして、その斬撃を放った者の正体は・・・機械型怪人の、機神G5である!!
「ヒーローですね。名乗らなくて結構、すぐ排除します。」
(機械型!?だったら、これだ!!)
次の瞬間童帝が白いリコーダーを吹くと、黒いミサイル型のリコーダーが召喚されG5の周囲に突き刺さる!そして、電磁波の様なものを発射してG5の動きを止めに掛かる!!
「敵機無力化装置、虫かご君!!高圧電線の檻に封じ込めて、強制停止信号を送り続ける!!」
「いいね!あのロボット、持って帰りたいな!」
しかし、そんなワガンマの呑気な台詞を嘲笑うかのように、G5が剣を一払いすると虫かご君を破壊して電磁波を遮断してしまう!!
「えぇ~・・・、ワガンマ君!下がって!!くっそー、アイテムの消費が激しいけど仕方ない!!」
そう言うと、童帝のランドセルの中から三つの球体がコロコロと零れ落ちる。そして、それが変形すると一匹のロボ犬が出現した!!
「出ろ!忠犬、カマセイヌマン!!23号!24号!25号!!合体!!」
童帝がそう叫ぶと、カマセイヌマン達は組体操のピラミッドのような体勢になる。するとカマセイヌマン達は変形し、先程までの愛くるしい姿は何処へやら。獰猛そうなケルベロスロボへと変形した!!
「狂犬!カマセケルべロス!!」
「強そうじゃん!やったぁ!!ロボット対決だ!!」
「そうだね・・・。」
男心をくすぐるデザインにワガンマは興奮するが、童帝は依然として厳しい顔で前を見据え続ける。すると、G5は腰に刺さった二刀を抜剣する。
「・・・犬程度の人工知能と一緒にされるとは、心外です・・・。」
そう言いながら構えるG5に、カマセケルベロスは獰猛な唸り声を上げながら襲い掛かる!そして、童帝も後方から筆箱のような装置からミサイルを発射する!!
「ペンシルミサイル!!トリモチ弾頭!!」
ミサイルが着弾し、トリモチで動きが制限されたG5。そんな彼に、カマセケルベロスが獰猛な雄叫びを上げて襲い掛かる!
「獰猛犬かき回転パンチ!!」
そうして、巨大な腕を振り回しながらG5に猛攻を加えるカマセケルベロスを囮にして童帝とワガンマは走り出したのだった。
「童帝君、がんばってー。」