最強のハゲには、男の娘かつ最強電気使いの弟がいる   作:雨を呼ぶてるてる坊主

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「今回も、僕の出番なし!!」


六十六撃目:天才少年と、壁を超えた怪人

機神G5を遠ざけた童帝。そんな彼に、ワガンマは疲れた顔をしながら話し掛ける。

 

 

「ね、ねぇ!さっきのやつ・・・、何でロボと一緒に戦わないの?勝てそうだったじゃん・・・。」

 

 

そう。先程、怪人協会所属のロボ侍である機神G5と鉢合わせたのだが、童帝は自身のロボであるカマセケルベロスの戦闘を任せ逃走を選択したのだ。そんな彼に、童貞は振り向きながら答える。

 

 

「アレは強いよ・・・。相手にしてたら時間もかかるし、勝つ事は重要じゃない。」

 

 

「何で?怪人やっつけるのが、ヒーローの仕事でしょ?パパ言ってたよ!ヒーローは皆から集めたお金で生活してるんだから、もっと頑張るべきだって!!」

 

 

「その通りだね。だけど・・・ワガンマ君を、地上まで送り届けるのが僕の使命だから。今は戦うべきじゃない。」

 

 

次の瞬間、柱の陰から巨大な蝙蝠型の怪人が表れるが、童帝はノールックのままランドセルから飛び出た凶器で瞬殺してしまう。そんな彼の実力に、ワガンマはブリキの人形の様に頷く他なかった。

 

 

「勝ったとしても、怪我して僕が歩けなくなったら誰が君の前を歩くの?」

 

 

「うんうんうん!!それはそうだね!!・・・でも、ちょっと休もう!!疲れた!足がくたくたでさぁ~、おんぶして!!」

 

 

そう我儘を言っていたワガンマだったが、そんな彼の目の前に一匹の怪人の死骸が映る。それは先程、童帝が討伐したフェニックス男の死骸であった。そんな怪人の死骸に、ワガンマは恐怖に慄いた声を上げる。

 

 

「ひっ!?怪人・・・!?」

 

 

「大丈夫。さっき倒した死体だよ。」

 

 

そう童帝が説明したとき、ワガンマがとある事に気付いたような発言をする。

 

 

「あ・・・。これよく見たら、ドンカンバードじゃん。」

 

 

「そういえば、着ぐるみって言ってたな。それって、有名なキャラクターなの?」

 

 

「『アニマル帝国』って、コメディ番組のマスコットだよ。ブラックジョークが多すぎて放送中止になっちゃったけど、ドンカンバードはとにかく鈍感で馬鹿だからよく死ぬんだ。」

 

 

そのワガンマの説明に、童帝は眉を顰めてしまう。彼が着目したのはドンカンバードのキャラ設定についてだった。

 

 

「よく死ぬ・・・?」

 

 

「そう!!電線にぶつかったり、焼き鳥にされたりして。だけど鈍感だから、次の放送では何事もなかったかのように復活してんの。」

 

 

「復活・・・。」

 

 

そう深刻そうに繰り返す童帝の様子に、何か嫌なものを感じ取ったワガンマは慌てて話題を逸らそうとするが、一度出た疑問は童帝の中で解消されずにいる。

 

 

「いや、テレビの話なんだけど・・・。」

 

 

「怪人の生態は、予測がつかない。何を根源に、どんなきっかけで発生したのかも。」

 

 

そう言った彼は、天才と称されている頭脳をフル稼働させて熟考し始める。そんな彼の思考に、とある考えが浮かび上がる。それは、死んでも復活するという設定を引き継いだまま怪人化しているとしたら・・・という、なんとも(おぞ)ましいものだ。

 

 

次の瞬間である!!彼等の背後でまばゆい程の光が迸り、光の中から静かなる声が聞こえ始める!!

 

 

「ギョロギョロは言った。死に近づく地獄を乗り越える事・・・。それが、怪人を爆発的に成長させる秘訣だと。」

 

 

その言葉と共に、光の中に一つの影が見え隠れし始める。そんな光が晴れると、そこに居たのは童帝が討伐したフェニックス男・・・。否!先程までのフェニックス男ではない!!

 

 

先程までのフェニックス男の見た目は、コメディチックな鳥の姿であった。しかし、現在童帝の前に立っているのは人型に近い怪人・・・。その名も、転生フェニックス男!災害レベルは・・・驚異の竜である!!

 

 

そんな転生フェニックス男から放たれる熱風に、緊張感を走らせつつも童帝は鍵盤ハーモニカケース型のショットガンを取り出す!!

 

 

「トリモチショットガン!!」

 

 

その声と共に転生フェニックス男目掛けてトリモチ弾を射出するが、フェニックス男から発せられた熱風によりトリモチ弾は消失してしまう!!そんな熱量に危険を感じた童帝は、傘を開いてシールドを展開する!!

 

 

「しゃがんで!!」

 

 

そう叫びながら、童帝は傘を持ちながらワガンマを傘の中に入れて熱風から守り切る!そして、ワガンマを傘に入れたままシールドを蹴破ってフェニックス男に立ち向かう!!

 

 

「クソッ・・・!熱に強い素材だよ!そこでジッとしてて!!」

 

 

「御前はどうすんの!?置いてかないでよ!!」

 

 

そう叫ぶワガンマの声を聞きながら、童帝はリコーダーのビームサーベルに習字セットの箱のシールドを装備する。そしてランドセルから大量の凶器付きアームを取り出しながら、転生フェニックス男の方を見据えて叫ぶ!

 

 

「僕はもう一度、コイツを倒す!!」

 

 

そんな童帝にまたもや熱風が襲い掛かる!!傘の中に居るワガンマは兎も角、外に出てしまった童帝は熱風をまともに受けて無事では済まな・・・。否、童帝は無事であった!!

 

 

「また、透明フィルムか・・・。」

 

 

そう、童帝の前方には幾つにも重ねがけしたイライラシールドが展開されていたのだ。そんな彼を前に、フェニックス男は改めて攻勢に出ようとする。

 

 

「確かめよう。もう一度、クチバシ攻撃で。」

 

 

「さっき負けたのに、凄い自身だね。」

 

 

そう言いながらも、童帝は前方のフェニックス男に集中をしていた。そんな彼の頭は、イライラシールドで詰まったフェニックス男を集中攻撃する事に重きを置いていた。

 

 

そんな彼を前にしても、フェニックス男は怖気づかない。寧ろ余裕そうな表情で目の前の童帝をじっと見据える。そして、再び攻撃の姿勢に移行する。

 

 

「フェニックスエクスプロージョンクチバシ攻撃。」

 

 

そう唱えると、フェニックス男は童帝に向かって真っすぐに直進する!!次の瞬間、フェニックス男の周囲に衝撃波が走った!!そして、彼はイライラシールド全てを破壊してしまう!!

 

 

(全部破った!?やば過ぎっ・・・!!)

 

 

そう考えている童帝に、フェニックス男のクチバシ攻撃が直撃する!!書道鞄型のシールドで、防御していたにもかかわらず童帝はまともに攻撃を食らって壁に叩き付けられてしまう!!

 

 

「ごほっ・・・!!」

 

 

そんな童帝の有様を見たフェニックス男の全身に、高揚感が(たぎ)って来る!!

 

 

「うむ・・・強く成った。この万能感!視界に入る全てが、輝いて見えるぞ!!」

 

 

そんな高揚感を示すかのように、彼は背中の巨大な翼を大きく広げる!!己の圧倒的な力を誇示するかのように!!そして、そんな彼とは対照的にワガンマの心に中には絶望感が満ちていた。

 

 

「童帝・・・。嘘だぁ・・・。S級ヒーローなんだから、大丈夫なんでしょ・・・?」

 

 

「今この瞬間、私が最強になったようだ!!私が!俺が!!俺様が、全生物でナンバー1・・・!!はははぁっ!!泣くな!今度こそ、恐怖を味わう間もなく地獄に送ってやる!!」

 

 

しかし、童帝は恐怖心から涙をしているのではなかった。その涙に含まれるは、自戒の念に他ならない。

 

 

「怖くて泣いてなんかいない・・・。自分の弱さが悔しくてたまらないんだ。不測の事態も考えていたつもりだったのに、幹部ですらない奴が僕の想定を遥かに上回ってきた・・・。こんな筈じゃ無かった、こんな所で・・・。もう、最終兵器を使わなくちゃいけないなんて・・・!!」

 

 

そう言うと童帝は両手をクロスさせて、左腕を上空に掲げるようなポーズをする。すると、左腕の腕時計からシグナルの様なものが発せられる!!

 

 

「来い!ブレイブジャイアント!!」

 

 

その言葉と共に、怪人協会や地上が揺れ始める!!まるで、巨大な何かが地盤を掘り進めているかのように!!

 

 

すると、童帝の周囲に土煙が上がったかと思うと物凄い揺れと土煙が発生する。そして、土煙の中から巨大な手が飛び出てフェニックス男を張り倒す!!その衝撃に、フェニックス男は壁を突き抜けて吹っ飛ばされる!!

 

 

そして、土煙が晴れると・・・そこには巨大な搭乗型のロボットが居り、フェニックス男を見下ろしていたのだ。そんなロボットの中に居るのは、当然童帝である!!

 

 

「こんな事も有ろうかと、予めアジト周辺の地中にパーツを待機させておいたんだ。」

 

 

「何だよもーっ!そんなの有るなら、初めから出せばいいじゃん!!」

 

 

そんなワガンマの言葉に同調しつつも、フェニックス男は童帝がこの武器を出し惜しみしていた理由を推測し始める。

 

 

「確かに・・・。人質のガキを救出した時点でそいつを呼び出し、壁を壊して脱出するのが最善手の筈・・・。それをしないという事は、活動条件に余程の制限が有るとか・・・?」

 

 

そのフェニックス男の推察通り、童帝の眼前に映るブレイブジャイアントの活動限界時間・・・。それは、残り二分三十八秒を示していた。

 

 

(時間が無い・・・。一気に片を付けるぞ!!)

 

 

そう決心すると、童帝は心を落ち着かせるかのように大きく息を吐いたのだった。




「僕も、ブレイブジャイアント乗りたいな・・・。」
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