最強のハゲには、男の娘かつ最強電気使いの弟がいる 作:雨を呼ぶてるてる坊主
最終兵器である、ブレイブジャイアントに搭乗した童帝。そんな彼は、ブレイブジャイアントと自身の神経回路を接続する。
(対怪人王オロチの為の奥の手だったんだけど、見られた以上はこいつを逃がす訳にはいかない。・・・ここで、確実に倒さないと!!)
そして童帝はパラソルシールドに包まれていたワガンマを、アームで掴み上げるとブレイブジャイアントの背部の入れ物に収納する。
「わっ!」
「ワガンマ君、ちょっと隠れてて!」
そしてワガンマを無事に収納できたことを確認すると、童帝はブレイブジャイアントのウェポンシステムを作動させる!!すると、ブレイブジャイアントの両腕に文房具の剣と盾が装備された!!
「行くぞ!!」
そう叫ぶと同時、ブレイブジャイアントはフェニックス男目掛けて前進を始める。しかし、流石は災害レベル竜と言うべきか・・・フェニックス男の表情に恐れや動揺などは見えない。それどころか、ブレイブジャイアントと対峙した事を天啓と捉えている様だ。
「フッ。こんなバカでかい着ぐるみを、隠していたとはな。」
「着ぐるみだって?アンタのと一緒にするなよ。ブレイブジャイアントは、僕の科学力を集めたロボット兵器だ。」
「何も変わらんさ。キエエエィ!!」
次の瞬間、童帝を取り囲む風景が無機質な操縦席から一変・・・草原が広がるのどかな大地へと変貌を遂げた。その様子には、余裕の表情でいた童帝も顔色を変える。
「こうして、精神接続できるんだからな。」
「なっ、なんだ!?モニターの故障か!?おいっ!ジャイアント!!」
「故障ではない。ここは、着ぐるみの中だけ共有できる特別な精神空間。そうだな・・・フェニックス空間とでも言おうか。今は俺の心理が、色濃く反映されているがね。」
そう話すフェニックス男の言葉通り、周囲の風景には彼が人間時代に出演していたアニマル帝国のキャラクター達の石像が立ち並んでいた。
「精神・・・空間?」
「古来から、シャーマンが何かに扮して神や霊を内に降ろしたりするだろう?あれが、着ぐるみのルーツだからな。着ぐるみの中は、異界に通じているんだ。・・・まぁ、そんな事はどうでもいい。こうまでして、御前に語り掛けたのは他でもない。」
そうして、次にフェニックス男が放った言葉に童帝は驚きの声を上げる。その提案内容は、予想だにしていなかったものだからだ。
「御前をスカウトしたいのだ。童帝、御前には俺の様なナイスな着ぐるも怪人に成れる素質がある!」
「何だって?」
「自覚はあるんじゃないか?ヒーローの中で、御前が一番闇を抱えているものな。」
そう諭すように物申すフェニックス男に、童帝は彼の持論を笑い飛ばし始める。
「ハハハ!何を言い出すかと思えば!僕の動揺を誘う作戦か?馬鹿にしないで欲しいね。そんな出まかせで、動じる訳無いだろ!大体S級ヒーローは、僕より闇が深そうな人ばっかりだよ!!」
そんな彼の言葉に、フェニックス男は知り得る限りのS級ヒーロー達を連想する・・・。メタルナイトや駆動騎士などの、キラーサイボーグ。タンクトップマスターやクロビカリなどの、筋肉やタンクトップに狂信的な者に、脱獄囚や暗殺者・・・。たしかに、童帝の言う通り闇深そうな連中ばかりである。しかし、フェニックス男は精神誘導の手を緩めない。
「・・・そーいや、そうだが。他の連中は、御前ほどストレスを溜め込んではいないだろう?」
「・・・ストレス?何の事?」
「この空間で強がっても無駄だ。解かるんだよ。」
そう言うと、フェニックス男は童帝の眉間に自らの指をズブッと突き刺す。しかし、精神世界故なのか童帝の眉間に痛みが伝わる事は無かったが、流石に気持ち悪いのか童帝は腕を振り回す。しかし、そんな腕はことごとく空振りしてしまう。
「思念体だ、物理干渉は出来ん。悪かったな、童帝・・・お前を誤解していた。俺と同じ様に、板挟みで苦労してたんだな。それで、すっかり周りを信用できなくなっている。御前は心から信頼できる仲間と、自分を正しく生かせる組織を欲している。」
しかし、そんなフェニックス男の甘言にも童帝は辛うじて飲み込まれない。一呼吸ついて落ち着くと、反抗的な目つきで彼を見上げる。
「フーン・・・僕を見透かしたような口ぶりだけど、実際は全部自分の事なんじゃないの?一匹狼の、参謀さん。」
しかし、今度はフェニックス男はそんな童帝の言葉をあっさりと肯定してしまった。しかし、そんな彼の言葉に童帝は半目になってしまう。
「そうとも!だから我々で手を組み、理想の組織を作ろうじゃないか!!怪人協会など、比較にならんスケールの組織をな!人間共の尺度を使うのも癪だが、我々なら災害レベル神の実現だって夢じゃない!!人間も怪人も一掃し、我々に住み良い世界に作り替えるんだ!!」
(ここまで響かない、口説き文句があるとは・・・。)
「俺達は精神で通じ合える。つまり、
初めは呆れ顔で聞いていた彼も、段々とフェニックス男の話に呑み込まれるように反抗の意思を消失させていく。そんな彼に、フェニックス男は甘言を吐き続けて童帝の手を取る。
「優秀な人材が惹かれ合うのは、自然な事だろう?すぐに番犬マンも、その内の一人になる。・・・共鳴度が増したな。童貞・・・御前の力が必要なんだ。」
そんな彼の言葉に、反抗の意思を示すことなく佇んでいた童帝の身体に異変が生じ始める!体中の血管が怒張し始め、意識が段々と飲まれ始める。
「さぁ・・・怪人化を受け入れて転生するんだ。」
そんなフェニックス男の言葉に、童帝の意識が呑み込まれそうになった瞬間である!!童帝の右ポケットから、淡い光が発せられた!!そして、そんな光は童帝の体を包んだかと思うと彼の手を握っていたフェニックス男にダメージを与える!!
「ぎゃぁぁぁ!!」
その瞬間、フェニックス空間が崩壊して現実に引き戻される!!そして、童帝の意識は現実空間に引き戻される!!
(はっ!!げ、幻覚が解けた!?けど、なんでいきなり幻覚が・・・?たしか、右ポケットが温かくなって・・・。)
そう思いながら、童帝が右ポケットをガサゴソと探り始める。そうして、右ポケットの中を取り出すと彼に手に握り締められていたのは思いもよらないものだった。
(これ・・・!お兄さんのクッキー!!・・・もしかして、このクッキーが助けてくれた・・・?)
そう考えていると、モニター越しにフェニックス男がムクッと起き上がる。そんな彼は、電気ショックの影響が残っているのかヨロヨロと立ち上がりながらも、童帝に凄まじい闘気をぶつける。
「クッ・・・!!何だこの電撃は!!まぁ、初めから成功するとは思ってもみなかったがな!!やはり、力づくで引き入れるのみ!」
そう言いながらもバキバキと指の関節を鳴らすフェニックス男に、童帝はニヤリとした顔を向ける。
「フン!腕ずくなら、僕が寝返るとでも思っているのか!」
「そうとも。この着ぐるみ怪人"転生フェニックス男"の力の素晴らしさを目にすれば、コロッと考えも変わるさ。どうせなら、五体満足で仲間に迎え入れたかったがな・・・。」
そう呟いたと同時、フェニックス男がブレイブジャイアントのモニター画面から消失する。次の瞬間、ブレイブジャイアントの機体の四方八方から衝撃が連続的に加わっていく!!童帝も、ガードを展開するが間に合わない!!
「うぐっ!今度はスピードアップか!!」
「ハハハ!この動き、その着ぐるみのセンサーで追えるかな!?」
そう言いながらも、フェニックスファイヤーファルコンモードに変身したフェニックス男は、ブレイブジャイアントの装甲を削り取るように周囲を旋回し続ける!!
「リンゴの皮剥きの様に、装甲を削り取ってやる!!怪人化した暁には、何度も死線を超えて成長して貰う事になるからな!!根性も見せて貰うぞ!!」
「くっ!!」
しかし、童帝も負けてはいない!!コックピットのアームを前面に押し出すと、ブレイブジャイアントの両腕にロープが掴まれる!!そして二重飛びのように飛びながら、"二万重飛びグラインダー"でフェニックス男を弾き飛ばした!!そして、その勢いで壁に叩き付けられたフェニックス男に向かって突進する!!
「そっちこそ、鉛筆の削りカスみたいにしてやる!!」
そう叫びながら、童帝は逃げ回るフェニックス男を最大ブースターで追い掛け回す!!そのスピードと勢いで、怪人協会内の壁が破壊されるが童帝は追跡を決して諦めない!!
しかし、ある地点に到達したところでフェニックス男から攻撃をされる!!彼の掌から放たれた熱線が、ブレイブジャイアントの両腕を焼き始めた!!神経回路を共有しているのが仇になったのか、童帝自身にもダメージがフィードバックされてしまう!!
「ぐあっ!!」
「ビンゴ!!ファルコンモードの、全方位攻撃を防ぐ手段が無くなったぞ!!」
そう歓喜な声を上げながら、意気揚々とブレイブジャイアントに攻撃しようと突っ込んでいったフェニックス男だったが、謎の壁に進路を阻まれる!!しかも、壁から離れる事が出来ず吸着してしまったのだ!!
「・・・これは!?」
「電磁イライラシールド。飛びながら、そこら中に張って回ったのさ。・・・さぁ!観念しろ!!」
そう拳を振り上げるブレイブジャイアントに搭乗する童帝に語り掛けるかのように、フェニックス男は再度嫌らしい笑みを浮かべながら呼びかける。
「本当に良いのか?真に信用できる、仲間を得るチャンスをフイにしても。」
「・・・っ!しつこい!!」
そんなフェニックス男にブレイブジャイアントの巨拳を叩きつける童帝だったが、そんな彼の拳に異変が生じる!!なんと、拳の温度が急上昇し始めた!!何故なら、フェニックス男が炎形態であるプロミネンスホークモードに変身していたからである!!
「プロミネンス!一万℃フルパワー!!」
「ぐあぁぁああ!!」
「クハハハ!さっさと引っ込めないと、自慢の拳骨が蒸発するぞ!!」
そんなフェニックス男の高熱攻撃に、童帝は打開策を必死に考える。すると、搭乗席の真横にホログラムが浮かび上がった。そこには、"50m下層に水源有り"と書かれている。
「これだ!!出力制限解除!!」
そう叫ぶと、ブレイブジャイアントはフルパワーで怪人協会の最下層まで急降下していく!!
「地下水で冷却しながら、ぶっ潰してやる!!」
「グォォォ!!」
そんなブレイブジャイアントの勢いに、フェニックス男は苦しそうな呻き声を上げる!しかし、同時にブレイブジャイアントからも警告音が流れる。
『縮退乾電池、爆発寸前デス。』
「こらえてくれ!!」
そう叫びながらも、童帝の脳裏には一人の人物が浮かび上がっていた。それは己の事を頼り、一人のヒーローとして見てくれる大好きなお兄さんの顔・・・。
(お兄さん・・・!力を貸して!!)
そう心の中で念じながら、遂にブレイブジャイアントは最下層付近まで到達する!!そして、底無しの穴から斜面に辿り着いたかと思うとそこから一気に滑り落ちていったのだった・・・。
「次回、久しぶりに僕の出番が有るかも?」