最強のハゲには、男の娘かつ最強電気使いの弟がいる   作:雨を呼ぶてるてる坊主

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「ある~日~。研究所の中~。虫さんに~。出会ぁ~た~♪」


六撃目:弟と新人類

地下の通路、そこでは最強兄弟とジェノスが歩いていた。

 

 

「地下めっちゃ広いじゃん。テンション上がるな。」

 

 

「子供の頃、こういう秘密基地に憧れたなぁ~。」

 

 

そう最強兄弟が気の抜けた会話をしていると、ジェノスが声を上げる

 

 

「この奥に生体反応・・・、同じ反応?クローン人間か?」

 

 

そして、レーダーを張っていたホタルも反応する。

 

 

「あ、何か来るね。」

 

 

ジェノスとホタルが呟いたと同時、バンバンバンと大きな音が奥から響いてきた。そこから現れたのは・・・。

 

 

「おう居た居た!!3匹居るけど、どいつらだ?」

 

 

「ぐは・・・、真ん中と右だ・・・。」

 

 

「じゃ、左のこいつは要らねぇんだな!!」

 

 

そう言い合いながら突進してくる阿修羅クワガタと博士を掴みながら突進してくる阿修羅カブトだった。

 

 

「じゃ、潰しますかぁ~。」

 

 

そう言うと、阿修羅クワガタがジェノスを叩き潰した。

 

 

「ジェノス!?」

 

 

そうサイタマがジェノスの方を見ると、ジェノスの頭部は壁にめり込んでいた。

 

 

「ジェ、ジェノス君!?え・・・?」

 

 

「お、おい・・・。」

 

 

そんな弟子に、最強兄弟が困惑していると阿修羅クワガタが話しかけて来る

 

 

「俺達は、阿修羅クワガタと阿修羅カブトってんだ。戦闘用実験ルームがあるからよぉ~。そこでそれぞれ2組のタイマンでやろうぜ~。」

 

 

その提案に・・・

 

 

「ジェノス君をこんなにして・・・。」

 

 

「上等だ!!」

 

 

最強兄弟は乗ったのだった。

 

 

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戦闘用実験ルームに入った、2人と2匹。すると、阿修羅クワガタVSホタル。阿修羅カブトVSサイタマ。以上の2組に分けるように、透明のシャッターが下りた。

 

 

「お兄ちゃん!?」

 

 

そう言ってホタルがシャッター越しに兄に話しかけるが・・・

 

 

「~~~~!!~~!」

 

 

防音性なのか、ガラス越しのサイタマの言葉は聞こえない。

 

 

「何て言ってるの!?」

 

 

そう困惑するホタルに、阿修羅クワガタが嘲笑う

 

 

「無駄だぜぇ~。このガラス盤は、防音製で核弾頭でもぶっ壊れねぇからな・・・。じゃ、殺し合いますか。」

 

 

次の瞬間ドォォンという音と共に、何とか復活したジェノスが阿修羅カブトと向かい合っていた。それに、阿修羅クワガタが憤る。

 

 

「お?さっきのポンコツサイボーグ・・・。生きてたんだな。しっかし、カブト野郎に攻撃するとは・・・。俺の方が弱いって言いたいのかよぉ!!」

 

 

そう地団駄(じたんだ)を踏む阿修羅クワガタを、敵である筈のホタルが慰める。

 

 

「だ、大丈夫だよ!た、多分君も強いだろうし・・・。」

 

 

「お、おう。ありがとな・・・。って、なんで敵に賛辞を述べてんだ!阿保なのかお前は!!」

 

 

「ふぇ?お、怒られた・・・。」

 

 

その言葉に阿修羅クワガタは一旦深呼吸すると、気持ちを切り替える。

 

 

「取り敢えず、殺り合うぞ。」

 

 

「今・・・?」

 

 

「今以外に、いつがあるんだよ・・・。(やりにっく・・・、調子狂うぜ・・・。)」

 

 

やる気満々の阿修羅クワガタに、ホタルは疑問を投げかける

 

 

「・・・君は、生きたいとか思わないの?」

 

 

「は・・・?」

 

 

「君は、実験の過程で生まれたんでしょ?もし、人間に生まれてたら、してみたい事とか無いの・・・?」

 

 

その質問に少し押し黙ると、阿修羅クワガタは答えを出す。

 

 

「・・・そんなもん無ぇよ。俺は、人類を撲滅するために作られた兵器だからな・・・。強ぇ奴と殺り合えて死ねるんなら本望だぜ!!」

 

 

「・・・そっか、分かった。じゃあ、君の全力を出せる様に戦ってあげる。付いて来てね。運動神経伝達速度向上・・・。雷光剣・・・。」

 

 

そう言うと、ホタルは掌に光り輝く剣を生成する。

 

 

(血を極限まで吸ったモスキート娘とクリケットマンに無傷で勝った奴だ・・・、気を引き締めて・・・。・・・!!)

 

 

そう思いつつ阿修羅クワガタが踏み込もうとしたが、足を止め後退する。

 

 

「・・・?どうしたの?」

 

 

そんな阿修羅クワガタに、ホタルが疑問を投げかけるが

 

 

(あ、危なかった・・・。今、無鉄砲に突っ込んだら死んでいた・・・!!)

 

 

「ん?」

 

 

ホタルからは、その小さな体に似合わない程の濃度の殺気が出ていたのだ!

 

 

「お、お前・・・、すげぇ気迫だな。どうやってそんな力を手に入れた!」

 

 

「どうやってって言われても・・・、生まれつきかな?お兄ちゃんは筋トレで強くなったぽいけど・・・?」

 

 

その答えに、阿修羅クワガタはツッコミを入れる。

 

 

「筋トレで、獣王を殺せるか!!」

 

 

「そ、そんな事言われても・・・。3年間エアコンも付けずに、腕立て伏せ100回上体起こし100回スクワット100回ランニング10kmを毎日やってたくらい・・・らしいよ?」

 

 

その言葉に阿修羅クワガタは一瞬唖然とするも、気持ちを切り替える

 

 

「・・・。あぁ・・・邪魔して悪かった。続けるか。」

 

 

「う、うん。」

 

 

そう言って両者が構え直すが・・・

 

 

((会話を挟んだせいで、続け辛い・・・。))

 

 

敵同士の(はず)なのに、何処かぎこちない二人である・・・。

 

 

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場面は変わり、阿修羅カブトとサイタマの区切りである。阿修羅クワガタ同様に、阿修羅カブトもサイタマの殺気を感じ取っていた。

 

 

「貴様ァァァァ!!それほどまでの力!!一体どうやって手に入れたんだよぉぉぉ!!」

 

 

その声に、ジーナス博士と自らの焼却を跳ね返され、アフロになったジェノスが反応した。

 

 

「!?」

 

 

「!!!」

 

 

そんな三人の反応に、サイタマの目が真剣になる。

 

 

「・・・お前も知りたいのか?良いだろう。ジェノスもよく聞いとけ。」

 

 

(この場で教えて貰えるのか?サイタマ先生の・・・強さの秘訣を・・・。危険だ。止めなくて良いのか!?こいつらに、そんな事を教えて良いのか!?)

 

 

そんな弟子の心配を他所(よそ)に、サイタマは地震の強く成った秘訣を明かす。

 

 

「いいか。大切なのは、このハードなトレーニングメニューを続けられるかどうかだ。」

 

 

その言葉に、ジーナス博士と阿修羅カブトも反応する。

 

 

(トレーニング?改造手術でも遺伝子操作でも、秘薬でもなくトレーニング?)

 

 

(一体どんな・・・。)

 

 

そして、サイタマの口から出た言葉は・・・

 

 

「良いかジェノス、続ける事だ。どんなに辛くてもな。俺は、3年でここまで強くなった。腕立て伏せ100回、上体起こし100回、スクワット100回、そしてランニング10km。これを毎日やる!!もちろん、一日三食きちんと食べろ。朝はバナナでもいい。極めつけは精神を鍛える為に、夏も冬もエアコンを使わない事だ。最初は死ぬほど辛い。一日くらい休もうかと、つい考えてしまう。だが俺は強いヒーローになる為に、どんなに苦しくても、血反吐をぶちまけても、毎日続けた。足が重く、動かなくなってもスクワットをやり、腕がプチプチと変な音を立てても、腕立てを断行した。変化に気付いたのは1年後だった・・・。俺はハゲていた。そして、強くなっていた。つまり、ハゲるくらい死に物狂いで己を鍛えこむのだ。それが、強くなる唯一の方法だ。新人類だの進化だのと遊んでいる貴様等では、決してここまで辿り着けん。自分で変われるのが、人間の強さだ!!」

 

 

そうキリッと言い切ったサイタマに、三人の反応はと言うと・・・

 

 

(な・・・なんだと?)

 

 

(こいつ、本気か?)

 

 

(先生・・・、貴方という人は・・・。)

 

 

次の瞬間、ジェノスがサイタマに怒鳴りかける。

 

 

「ふざけないでください!!それは一般的な筋力鍛錬だ!!しかも大してハードでもない、通常レベルだ!俺は・・・、俺は強くならなければならないんだ!そんな冗談を聞くために、貴方達の元に来たのでは断じて無い!!ホタル先生の電子操作能力(エレクトロキネシス)はともかく、貴方の強さは明らかに体を鍛えた程度のものではない!!俺はそれが知りたいのです!!」

 

 

そんな弟子の怒りの声に・・・

 

 

「ジェノス・・・、んな事言われても、他に何もねーぞ。」

 

 

「!」

 

 

と気の抜けた表情で言い、ジェノスはその声に驚愕する。そしてそれと同時、阿修羅カブトの肉体に変化が起こる

 

 

「そーかい・・・。」

 

 

その変化に、ジーナス博士が慌て始める。

 

 

「阿修羅カブト?よせ・・・、また暴走するつもりか!?」

 

 

「秘密を教えるつもりがねえなら構わねぇぜぇ!!どうせ俺よか強くはねぇんだ!!ただし、むかついたからてめぇは(なぶ)り殺す!!!阿修羅モード!!」

 

 

そう言うと、全身の色が紫に染まり獰猛(どうもう)なオーラを放ったのだった。

 

 

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そうして、隣の区画では阿修羅クワガタも気合を入れ始める。

 

 

「お・・・、向こうもフィナレーだな・・・。俺達もやるか!!どっちが死のうが恨みっこゼロだぜ!!」

 

 

「望むところだよ!!」

 

 

そう言って構える両者・・・しかし、そんな二人の間には負の感情ではなく、爽やかな雰囲気が流れていた。まるで青春漫画にある、土手で殴り合うシーンの様に。

 

 

「阿修羅モード!!」

 

 

そう言うと、阿修羅クワガタの全身の色が阿修羅カブト同様に紫に染まる。

 

 

「雷光剣!!砂鉄剣!!二刀流!!」

 

 

そしてホタルも、右手に光り輝く雷光剣。左手に鈍い色を放つ鉄の剣を持った。

 

 

「うおらぁ!!」

 

 

阿修羅クワガタが、ホタルに向かって蹴りを放つが、ホタルはそれを避ける。しかし、その蹴りの風圧で部屋の壁が崩れ去る。

 

 

「てやぁ!!」

 

 

次にホタルが放ったのは、空中に浮かび上がった無数の砂鉄槍。

 

 

「砂鉄槍!!20連!!」

 

 

そう叫んだと同時に20の槍が戦闘実験用ルームの天井をぶち抜き、空が見えるほどの大穴を開けた。

 

 

「そんな事して何になるんだよぉ!!」

 

 

阿修羅クワガタが拳を振るうが、ホタルは勝利を確信したかのように表情を動かさない。

 

 

(勝ち筋は作れた・・・あとは集中・・・。)

 

 

すると、天気予報では晴天だった筈の空からゴロゴロゴロゴロと、雷鳴が(ほとばし)る。

 

 

「僕の能力は、電子を操る能力。空気中の水分を分子運動の抑制により、氷になるまで冷やして氷粒(ひょうりゅう)に変えた後に⊕電荷と⊖電子を付与して雷雲を作って、落雷を引き起こす・・・。技の名前は・・・建御雷神(タケミカヅチ)・・・!」

 

 

そうホタルが叫ぶと目を覆う程の閃光が(ほとばし)り、雷が阿修羅クワガタに直撃した!

 

 

「・・・・・・うぉぉぉぉ!!!(これは・・・、落雷か・・・。最初の槍の飛来は天井に穴を開けて、落雷が俺に当たる様にする為・・・、二刀流になったのは、剣で戦うと思わせるブラフ・・・。この威力・・・、助からねぇな・・・。けど、痛みも苦しみも感じねぇ・・・。最後の最後に身の程を知れて良かった・・・。)」

 

 

そう思いながら、阿修羅クワガタは安らかな眠りに入る。

 

 

「・・・来世では、人の生を歩めます様に・・・。」

 

 

(楽しませてくれて・・・、ありがとな・・・。)

 

 

そう願うホタルの姿を目に焼き付け、阿修羅クワガタの生命活動は停止した。

 

 

それと同時にサイタマが阿修羅カブトを「今日がスーパーの特売日じゃねぇかー!!」と叫びながら倒したのだった。

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━

戦闘が終わると、そこにはやつれた研究者が残された。

 

 

「ははっ・・・私の研究成果が・・・。全て無駄だったのだな・・・。」

 

 

すると、ホタルがジーナスの前に立ち、両手を取った。

 

 

「本当にそうでしょうか・・・?」

 

 

「・・・どういうことだ?」

 

 

ジーナスの疑問に、ホタルは優しい眼差しと声色で答える。

 

 

「あなたは、力の使い方を間違えただけです。もちろん自らの我欲の為に、罪無き実験動物を作り出した負の業は許されません。でも・・・、その負の業と同じ量の正の業を積んで相殺してくださいませんか?その頭脳があれば、もっと多くの人達を笑顔に出来るはずです。」

 

 

「私に・・・善行を積めと・・・?」

 

 

「はい。」

 

 

そうホタルは笑いかけるが・・・

 

 

「だが、私は罪を作り過ぎた・・・。今更、私に善行を積めるとでも・・・?」

 

 

「いいえ、出来るはずです。貴方の頭脳は、神様の様に優れているのですから。貴方の努力は、ちゃんと貴方の力に成っていますよ。」

 

 

そう言いながら、ホタルはジーナス博士の手を優しく(さす)

 

 

そのとき、ジーナスの脳裏によぎったのは、自らを認めなかった研究者達の声・・・。

 

 

『そんな実験、誰も興味を抱かないよ。』

 

 

『君を神童だと思っていたのは、間違いだったようだ。』

 

 

『君の様な者を何と呼ぶか、知ってるかい?マッドサイエンティストだよ。』

 

 

『荷物を(まと)めて出て行きたまえ。』

 

 

そんな負の思い出を振り払うかのように、ジーナス博士は首を振りながら答える。

 

 

「・・・。今からは無理だ・・・、地道に出来る事からやってみるよ。」

 

 

その言葉に、ホタルは柔らかく笑う。

 

 

「分かりました。貴方の歩む(いばら)の道に、(さち)有らん事を願っています・・・。では、僕はこれで・・・。今日は、スーパーの特売セールなので。」

 

 

そう言って去っていく。

 

 

「・・・行ってしまったか。・・・クローン技術で、たこ焼き屋でもするかな。」

 

 

新人類の創造という夢から、たこ焼き屋という、遥かに夢がランクダウンしたジーナス博士。

 

 

しかしその表情は、どこか晴れやかであった。

 

 

マッドサイエンティストの人生を変えた、ホタルであった。




「これで、改心してくれたらいいな・・・。皆様、良いお年を。」
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