最強のハゲには、男の娘かつ最強電気使いの弟がいる   作:雨を呼ぶてるてる坊主

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「明けましておめでとう♪今年もよろしくね♬今日は裏山で、お侍さんに会ったよ。」


七撃目:弟とお侍さん

皆さんこんにちは。ホタルです。進化の家騒動から早数日。突然ですが、僕は日々の日課として裏山で砂鉄剣の素振りをしています。

 

 

今日もその素振りをしていたのですが・・・。

 

 

「剣を構えろ。(ぼう)の腕前を見させて貰う。」

 

 

お侍さんに、勝負を挑まれました。

 

 

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その日ホタルは、飛行能力で裏山に剣術の特訓に来ていた。

 

 

「てやぁ!!」

 

 

掌に砂鉄で構築した剣を握り、舞い散る落ち葉を切り裂いていた。

 

 

「昨日より素早く、落ちる葉っぱを切り裂けるようになれた・・・、やったね。」

 

 

ホタルがそう自画自賛しながら、一息ついたその時・・・。

 

 

「精が出るな。」

 

 

背後から渋い声が掛かった。

 

 

「わぁ!!(レーダー貼り忘れてて、気付かなかったよ~!!)」

 

 

「おっと悪い。驚かせちまったか?」

 

 

「い、いえ!ぼんやりしていた僕が悪いので・・・。」

 

 

ホタルが後ろを振り向くと、そこには身長180cm程の高身長に和服を着こなし、腰に刀を携えた侍が居た。

 

 

「あ、あなたは・・・。あ、自己紹介は自分からしなきゃ。僕はホタルって言います。(お、大きい・・・。)」

 

 

そう自己紹介をすると、侍は感心したように笑う。

 

 

「最近の若造にしちゃあ、礼儀が成ってるじゃねぇか。気に入った!俺は、カミカゼ・・・。S級4位ヒーローのアトミック侍と言えば分かるか?」

 

 

「(アトミック侍さん・・・?き、聞いた事無い・・・。)ご、ごめんなさい。僕、世俗に疎くて・・・。」

 

 

そう謝ると、アトミック侍は快活に笑う

 

 

「気にすんな!世の中の人間全員に知られてるとは思ってねぇからよ・・・。何ならこの機に覚えてってくれ。」

 

 

「分かりました。アトミック侍さん・・・アトミック侍さん・・・。よし!覚えました!!」

 

 

「おう、ありがとよ。・・・ところで、坊は剣の素振りか?」

 

 

アトミック侍の質問に、ホタルは答える。

 

 

「はい。といっても、素人(自分)が作った剣なんですけど・・・。」

 

 

「ほう・・・、見せてみろ。」

 

 

「・・・どうぞ。」

 

 

その言葉に、ホタルはアトミック侍に自信が創造した砂鉄剣を手渡す。そうすると、アトミック侍は様々な角度から砂鉄剣を眺め、評価する。

 

 

「・・・これは、鋼の密度も申し分ねぇ。十分怪人を斬れる一品だな・・・。自分で作ったってのが信じられねぇが、坊の能力か?」

 

 

「はい。電磁力で地中の玉鋼(砂鉄)を取り出してから、電子結合でくっつけて剣にしたんです。」

 

 

「そりゃあ、摩訶不思議な力だな。・・・実は俺も剣を(たしな)んでてな、少し仕合ってみてくれねぇか。」

 

 

その提案に、ホタルは驚く。

 

 

「えぇ?僕、剣は素人ですよ?」

 

 

「だったら、俺が仕合いながら教えてやる。」

 

 

(今まで、剣を誰かに教えて貰う事なんて、無かったな・・・。)

 

 

そう思案すると、ホタルはアトミック侍に頭を下げて懇願する。

 

 

「お、お願いしましゅ!あ、噛んじゃった・・・。」

 

 

そう言って恥ずかしそうにするホタルに、アトミック侍は豪快に笑う

 

 

「ははっ!面白れぇな。なら、さっそく開始だ。剣を構えろ。坊の腕前を見させて貰う。」

 

 

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そうして両者は互いに離れ、各々一刀取り出し向き合う。

 

 

「試合は一本。先に剣を手放した方。負けを認めた方の負けだ。本気で来い。」

 

 

「分かりました。(とは言っても・・・、間違って怪我でもさせちゃったらあれだから、本気の4割くらいでいこうかな)」

 

 

ホタルがそう言い終わると、アトミック侍とホタル、両方が剣を構えた。

 

 

(構え方は素人・・・、だが、何処か隙が無い。面白れぇ。)

 

 

「先手必勝です!」

 

 

ホタルがそう言い終わると同時、アトミック侍に突っ込み袈裟(けさ)切りを繰り出す。

 

 

(速ぇ・・・。だが、振りが大きい。)

 

 

しかし、アトミック侍は袈裟を受け止める。ギィィンと金属音が木霊(こだま)する

 

 

(膂力(りょりょく)はそこまで・・・ん?)

 

 

アトミック侍がそう評価していると、ホタルの剣圧が上がっていく

 

 

(剣圧が上がった・・・だと!?受け流すか・・・。)

 

 

そう思案すると、アトミック侍はホタルの剣筋を流す

 

 

「受け流された・・・!」

 

 

「中々良い剣技だな!!」

 

 

「あ、有り難う御座います。」

 

 

「今度はこっちからだ!!」

 

 

アトミック侍がそう言い終えると同時、真向切りがホタルを襲う!!

 

 

(動体視力強化!!この剣速・・・動体視力を強化して無かったら(かす)ってたかも・・・。)

 

 

さっと避けるが、少し額に汗が浮かぶ。動体視力を強化していたから良かったものの、そうでもしなければ薄皮一枚は持っていかれたとホタルは戦慄する。

 

 

しかし、ホタルの反射神経に驚愕したのはアトミック侍も同じだ。

 

 

「ほう・・・。(今の斬撃を避けたのは、シルバーファングぐらいなんだがな・・・。この坊・・・。)」

 

 

(このお侍さん・・・。)

 

 

そして両者は、同じ結論に至る。

 

 

((強い・・・!!))

 

 

「続けるか?」

 

 

そのアトミック侍の問いに・・・

 

 

「いえ・・・、ここまでにしましょう。だって・・・。」

 

 

「気付いたか・・・。」

 

 

二人が森の方を向くと、三十体を超える怪人達が現れる。

 

 

「ギャオオオオオオ!!」

 

 

「動けるか?」

 

 

アトミック侍のその問いに、ホタルは力強く答える。

 

 

「元気一杯です!」

 

 

「活力に満ちてんのは、良い事だ!!やるぞ!!」

 

 

「はい!!」

 

 

そうして、二人の剣士は怪人の群れに突っ込んだ。

 

 

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そうして数分後、怪人の死体の山が出来上がる。

 

 

「お疲れ・・・、って疲れてる様子じゃねぇな。」

 

 

そう言うアトミック侍の言葉に、怪人達への黙祷(もくとう)を終えたホタルが答える。

 

 

「僕にとっては、電子がエネルギーの様なものなので・・・。」

 

 

「ロボットか・・・。(それにしても、怪人に黙祷を捧げるとはな・・・まぁ、こいつなりのヒーロー道みたいなもんか?)」

 

 

「あはは・・・、よく言われます。あの・・・、お弁当として御握り作ったんですけど、要りますか?」

 

 

そう言うと、ホタルは鞄からシンプルな塩むすびを幾つか取り出す。

 

 

「お、なら一つ頂くか。」

 

 

そう言いながら口に御握りを含むと、アトミック侍の脳に電流が走った!

 

 

(こ、これは!しっかり握られてるかと思いきや、口の中でホロホロ崩れて、米が口ん中で踊りやがる!!)

 

 

「ど、どうですか?」

 

 

そのホタルの問いに、アトミック侍は塩むすびの味を褒めちぎる。

 

 

「いや、想像の千倍美味い。」

 

 

「よ、良かった・・・。(あれ・・・?そういえばこの人さっきから・・・)あ、あの・・・。何で僕の事、坊って呼んでるんですか?」

 

 

そうアトミック侍に聞くと、彼は御握りを飲み込んでから、きょとんとした顔に成り聞き返す。

 

 

「お?名前の方が良かったか?」

 

 

「そ、そうじゃなくて。僕の事、男って思ってくれてるんですか?」

 

 

「あ?そりゃあそうだろ。目を見れば分かる。強くなろうとしてる男の顔じゃねぇか。」

 

 

そう言うと、ホタルの顔がボーっとした顔に成る。

 

 

(男の顔・・・、男の顔・・・。)

 

 

「おーい、大丈夫か?」

 

 

そうホタルの顔の前で手を振ると、ホタルはハッとした表情になり・・・

 

 

「あ・・・。」

 

 

「あ?」

 

 

「ありがとうございます!」

 

 

アトミック侍に感謝を述べた。その行動にアトミック侍は呆気に取られる。

 

 

「ど、どうした?」

 

 

「ぼ、僕ホントは男の子なんですけど、この見た目とか声の高さとかで、昔から初対面で男の子って判別してくれたのが、家族ぐらいで・・・。身分証明書にも女って書かれて、訂正するまでが御約束ですし・・・。」

 

 

そう言って涙を浮かべるホタルに、アトミック侍は気の毒そうな顔に成る。

 

 

「お、おう。苦労してんだな・・・。」

 

 

「アトミック侍さんは、ヒーローなんですよね・・・?」

 

 

「あー、世間じゃそう呼ばれてるな・・・。」

 

 

そう言うとホタルは涙を指で拭い、決意に満ちた表情になる。

 

 

「決めました!僕もヒーローになって、アトミック侍さんみたいに強く、男らしく成ってみせます!」

 

 

その言葉に、眼を瞬かせたあとアトミック侍の渋い顔に笑みが宿る。

 

 

「ははっ!俺を目標にしてくれるってか!?嬉しい事言ってくれるじゃねぇか!!なら、今日から俺達はライバルだな!」

 

 

「ライ・・・バル・・・。そうですね!ライバルです!」

 

 

「ライバル」という響きに、ホタルとアトミック侍は互いに笑い合う。

 

 

「ヒーロー名簿に、お前の名が載るのを待ってるぜ。それじゃあな。」

 

 

「はい。今度はヒーローとして会いに行きます。では、また会いましょう。」

 

 

そうして、二人の剣士はひとまず別れたのだった・・・。

 

 

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そうして場面は変わり、アトミック侍が自らの家に帰ると3人の弟子がおり、そのうちの一人である甲冑(かっちゅう)を着た男が出迎えた。

 

 

「師匠。おかえりなさいませ。」

 

 

彼の名はイアイアン。アトミック侍の三弟子の一人であり、A級2位ヒーローという実力者である。アトミック侍からはイアイと呼ばれている。

 

 

「おう、イアイ。今日は面白い奴と会ったぞ。」

 

 

「面白い奴・・・ですか?」

 

 

アトミック侍の言葉に、首を傾げるイアイアン。

 

 

「あぁ。体は小せぇのに、俺と互角に渡り合いやがった・・・。それに、仕合い中に割り込んできたレベル鬼っぽい奴とレベル虎数体を、汗一つかかずに単独で退治しやがった。お前や、ドリル、カマの第二の師に成るかもな。ガッハッハ!!」

 

 

そう快活に笑うアトミック侍に、カマと呼ばれたA級3位ヒーローのオカマイタチと、ドリルと呼ばれたA級4位ヒーローのブシドリルからも言葉が上がる。

 

 

「私達の師は、貴方だけですよ。」

 

 

そうオカマイタチが言い、ブシドリルがホタルに興味を示す。

 

 

「しかし、師匠と互角に渡り合う奴だ・・・。如何様(いかよう)御仁(ごじん)か気になるな・・・。」

 

 

「あの実力・・・、S級上位に成る事間違い無しだな!!」

 

 

そう笑いながら、アトミック侍は酒を飲み干す。

 

 

「師匠・・・飲み過ぎですよ。(互角に渡り合える人と会えたのが、よっぽど嬉しかったんだろうな・・・。)」

 

 

そう思うイアイを含む弟子三人は、師匠の普段見せない快活ぶりに戸惑っていたとか何とか・・・。

 

 

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そうして場面は変わり、Z市のゴーストタウン。

 

 

「ただいま~。・・・お兄ちゃんどうしたの?あ、ジェノス君も来てたんだね。」

 

 

ホタルが家に帰ると、そこには汗を大量に掻き、思い悩む兄と難しい顔をする弟子が居た。

 

 

「ホタル先生、御邪魔しています。」

 

 

「邪魔だと思ってんなら、今は帰ってくれ!頼むから!」

 

 

そう大声を出す兄の顔は、今まで見た事がないくらいに切羽詰まっている。

 

 

「全然御邪魔じゃないよ~。ゆっくりしてってね。で・・・、お兄ちゃんはどうしたの?」

 

 

そう聞くホタルに、サイタマは絞り出すように答える。

 

 

「重大な問題にぶち当たってんだよ・・・。」

 

 

「重大な問題?」

 

 

「知名度が低い・・・。」

 

 

そのサイタマの言葉に、ホタルとジェノスは首を傾げる。

 

 

「「知名度・・・?」」

 

 

「俺が趣味でヒーロー活動を始めてから、もう3年経つ・・・。今までいろんな怪人だの、地底怪獣だの、テロリストだの、悪の軍団をホタルと一緒に退治してきた・・・。他のヒーローが俺くらい大した活躍をしてる現場なんて、見た事が無い・・・!最早、誰もが俺の存在を知ってて良いんじゃないか?もっと・・・、俺は兎も角可愛いホタルにファンがいても不自然じゃ無いだろ・・・!寧ろこんなゴーストタウンで細々と暮らしている現状がおかしいだろ!!昨日、何て言われたと思う?「お前など知らん」だってよ。あの町の住民も、俺の事を完全にテロリストだと思い込んでやがった。前に怪人が出たときにやっつけたのは、俺だというのに誰も覚えて無かった・・・。」

 

 

そのサイタマの独白に、ホタルも首を傾げる。

 

 

「・・・んー、確かに。一撃で敵をやっつけるお兄ちゃんなんて、インパクトが凄くて忘れられないと思うんだけど・・・。」

 

 

(確かに・・・今朝のニュースでも桃源団を撃退したのは、サイタマ先生でも、音速のソニック(笑)でもなく、「無免ライダー」というヒーローのお陰であると、報道していたな・・・。)

 

 

「顔にインパクトが無いから・・・とか?」

 

 

そんな悪気無いホタルの言葉に、サイタマはダメージを受ける。

 

 

「ぐふぅ!!」

 

 

「ご、ごめんね。お兄ちゃん。」

 

 

そう言いながら、ホタルはサイタマの背中を撫でてやる。その時、ジェノスが思い至ったように声を上げる。

 

 

「・・・まさか、趣味でヒーロとは・・・、サイタマ先生!!それから、ホタル先生も!!」

 

 

「?」

 

 

「どうしたの?ジェノス君?」

 

 

「ヒーロー名簿に登録して無いんですか!?」

 

 

「ヒーロー名簿」とは、全国にあるヒーロー協会の施設で体力テストや正義感テストを受け、一定の水準を超えれば正式にヒーローと名乗る事を許され、ヒーロー名簿に登録される。そうして協会に認められた者は、職業(プロ)ヒーローとして協会の募金に寄付された金額が、働きに応じて支払われる。ヒーロー名簿に登録する際には、実力ランキング等にも登録され、世間は常にそれらのヒーローたちの話題で盛り上がっている。中にはファンクラブを持つヒーローも少なくない。

 

 

なお、世間一般でいうヒーローとは名簿に登録されたヒーローであり、いくら個人で活躍していたとしても、自称ヒーローでは、妄言を吐く変態としか認識されず、白い目で見られる

 

 

ジェノスの説明に、ホタルはアトミック侍の言葉を思い出す。

 

 

「ヒーロー名簿・・・、アトミック侍さんもそんな事言ってた気がする・・・。」

 

 

「アトミック侍?」

 

 

「今日、剣の練習に付き合ってくれた、お侍さんだよ。確か、その人もプロヒーローだったような・・・。」

 

 

ホタルのその言葉に、サイタマは項垂(うなだ)れる。

 

 

「・・・・・・。知らなかった。」

 

 

「プロのヒーローが出てきたのは丁度3年ほど前からです。大富豪アゴーニの孫が、怪人に襲われた時、通りがかりの男性に助けられたらしく・・・、その話を孫から聞いたときにこの制度を思いつき、私財を投じてヒーロー協会を設立したんだとか。」

 

 

そう説明するジェノスにサイタマが聞く。

 

 

「ジェノスは登録してんのか?」

 

 

「いえ、俺はいいです。」

 

 

そんなジェノスに、サイタマが提案する

 

 

「登録しようぜ!一緒に登録してくれたら弟子にしてやるから!」

 

 

そう軽々しく約束を取り付けるサイタマに・・・

 

 

「行きましょう!」

 

 

ジェノスは笑顔で即答し、そんな二人に・・・

 

 

(ジェノス君・・・もうちょっと思い悩むとかしよう・・・。)

 

 

苦笑いを浮かべるしかなかったホタルであった。そんなホタルも、サイタマから誘われる。

 

 

「ホタルもやろうぜ!」

 

 

「僕は・・・。」

 

 

その時、アトミック侍の言葉が脳裏に過ぎる。

 

 

『ヒーロー名簿に、お前の名が載るのを待ってるぜ。』

 

 

その言葉を思い出し、ホタルも了承する。

 

 

「しょうがないなぁ~。」

 

 

「よっしゃぁ!!」

 

 

そうしてサイタマはガッツポーズをする。

 

 

()くして、最強兄弟と弟子はヒーロー認定試験を受けに行く事に成ったのだった。




「男として見てくれた、アトミック侍さん大好き!」
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