クワイエットと呼ばれるリコリス   作:ぺへ

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4話

深夜十一時。都市部から離れた山道の影に隠れる廃墟。ここが私達の仕事場らしい。それも相手は非常に見られたく無いのだろう。警備はかなり厳重で見回り兵が数人、それも持っている銃はロシア製アサルトライフル『AKS74U』を装備している。

 

服装は私服の様だが歩き方からしてアマチュアでは無い。完全なプロだ。装備から見て恐らく元スペツナズ上がりのマフィアなのだろう。

 

私はチラッとスネークを見る。スネークも視線に気付き小さく頷く。現在、巡回している歩哨は二人。お互い一人ずつ担当すればいい。

 

スネークは回り込む為に匍匐した状態で慎重に距離を詰める。私は近くにあった石を少し遠くの木に投げつけ音を出す。

 

Что это за звук?(なんの音だ?)

 

Пойди проверь это(確認に行け)

 

一人の兵士がAKを構え警戒しながら進む。もう一人も辺りを警戒するも既に遅い。回り込んだスネークが倍の身長はある兵士を掴み地面に叩き付けた。

 

当たり所が悪かったのだろう、そのまま男は気を失った。しかし、もう一人の兵士が音に気付き振り向くもその時には既に私が首に蹴りを入れて昏倒させる。

 

兵士の武器とマガジンを粗方鹵獲し、グレネードやマガジンは背中に背負っているサッチェルバッグへ、AKはマガジンを抜き取り、薬室内の弾を捨て再装填する。スネークも同じ行動をしていた。

 

スネークの装備は一般的なリコリスと少し違っている。腰にタクティカルベルトにハーネスを装備していた。

 

ハーネスには小型のナイフを装備し、タクティカルベルトには彼女の愛銃であろう『グロック17L』に弾薬ポーチ、サバイバルナイフにピッキング用の小道具など様々な物が装着されている。これだけでも彼女が如何に特別なリコリスなのかが分かる。

 

彼女と共に建物の裏口へと近付きノブに手を掛ける。幸いにも鍵は開いていた様で共にAKを構え警戒しながら進む。

 

奥へ進むに連れて明かりが強くなり、幾人かの姿が見えてくる。丁度隠れられそうな場所を見つけた為姿勢を低くして様子を伺う。

 

HQ、こちらスネーク。予定通り屋内へ潜入。ここから引き渡すと思われる商品も視認出来ます。アタッシュケースに入っている為、内容は分からないがかなりの大きさです。

 

『こちらHQ。商品を押収し速やかにランディングゾーンへ向かえ。OVER。』

 

敵は見えるだけでも十人。うち二人はスーツを着ている為、商人なのだろう。その周りには屈強なロシア人だ。流石に二人で殲滅するのは厳しいだろう。こちらもアサルトライフルを手に入れたとは言え、敵も当然の様に持ってる上、扱いはこちらが劣るだろう。

 

どう殲滅するか頭を働かしている中、スネークからAKのマガジンを二つ渡される。

 

囮をお願い。私はその間にブツを手に入れる。私がしくじったら自分の命を最優先して。

 

私はマガジンを受け取り頷いたのち物陰から飛び出し、堂々とAKで敵を撃ち抜く。突然の奇襲にも関わらず的確に対応してくる辺り、流石と言えるだろう。

 

私は銃弾を虫の力を借りて避けつつ真っ先に二人の商人の両足を撃ち抜いた。その後、本格的に彼らとやり合う。

 

私が弾を避け人間離れした動きをする為、いくらプロと言えど動揺が拡がっているのが目に見えてわかる。これこそ勝機だ。

 

素早くマグチェンジを行い二人、三人と頭を撃ち抜く。対して向こうの銃弾はカスりもしない。不利だと感じたのだろう。敵は身を隠しながらこちらの弾切れを狙う事にしたようだ。

 

私は音もなく跳躍し空中で全員の位置を確認後、サッチェルバッグから『M1911A1』を抜き、残りの頭を弾け飛ばす。その際、スネークも見る事を忘れなかった。

 

着地後、すぐさまスネークの元へ移動する。アタッシュケースの中身を確認していたスネークは動かないままだ。

 

「これは・・・いや、流石にマズイでしょ・・・」

 

私も後ろから覗き見ると、砲弾が一発と発射する為の装置であろう物が1つずつ入っている。アタッシュケースは3つあった為、全てを開けて確認するが同一のものだ。

 

「クワイエット。とりあえずランデブーポイントまで急ぐよ。そっちの伸びてる二人をお願い。」

 

拘束用のロープで商人達を縛り担ぎあげる。スネークは拘束用のロープで一つのアタッシュケースを背中に括り、残りの二つは手で持った。

 

しかしどう見ても彼女は焦っているようだった。ブリーフィングの際に出ていた『大道寺』とやらの事だろう。

 

スネークの「行くよ」と言う言葉に私は頷き足早に廃墟を後にしてランデブーポイントまで走る。無事に回収車両に乗り込み任務は終わりを迎えた。

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