TS転生幼女は「氷の呼吸」の使い手   作:可愛ケイ@VTuber兼小説家

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第97話『ナンバーワン決定戦』

 

 ハッキリと天元は己の考えを述べた。

 それを聞いて、しのぶは「わかりました」と頷いた。

 

「まふゆもそれでいいですか?」

 

「……」

 

 俺もコクリとうなずく。

 もとより俺は天元に罰など求めていなかったしな。

 

「では宇随さん、こちらお薬です。飲んだあとはしばらく安静にしていてください」

 

「おう。胡蝶……一応だが、礼を言っておく。テメェ、本当はオレが地味に鬼殺隊を辞めようとしているのに気づいて、発破をかけに来たんだろ」

 

「……さぁ、なんのことでしょう」

 

「相変わらず、腹の読めねェやつだ。だが安心しろ。あくまで今後、動きやすくするためにそうするだけだ。あくまで勝つため(・・・・)だ」

 

「ふふ……そうですか」

 

 そう言って、しのぶはうっすらと笑った。

 天元も笑いながら、彼女にもらった薬を嚥下する。

 

 でも、なぜだろう? しのぶの笑みにどこか黒さが滲んで見えるのは。

 そのことに天元も遅れて気づき「ハっ!?」と薬から口を離した。

 

 だが遅かった。すでに全部飲んだあとだった。

 次の瞬間、天元のお腹が……。

 

 ――ぎゅるるるうぅ!

 

 と、すさまじい音を鳴らした。

 天元はお腹を押さえて、真っ青な顔でうずくまった。

 

「はぅあっ!?」

 

「ふふっ、うふふ……」

 

 プルプルと震える天元を見下ろしながら、しのぶが笑っていた。

 それから煽るように彼へと話しかける。

 

「もしもーし、どうかされましたかー? まるで下剤でも飲んだみたいじゃないですかー」

 

「て、テメェ……一服盛りやがったのか!? 忍に――耐性のあるオレに派手に効く毒とか、これマジでシャレになってねェぞ!?」

 

「失敬な。毒ではなく薬です」

 

「量がちがうだけで同じモンだろうが、そりゃァ!?」

 

「あらあら、私は宇随さんの体内に残っているかもしれない毒を排出させるお手伝いをしているだけなのに、そんな風に言われるだなんて心外です」

 

「ああ言えばこう言いやがってェ!?」

 

「まぁ、仕方ありませんよね。宇随さんの覚悟はわかりましたが――それとこれとはべつですし。やはり、きちんと罰は受けてもらわないと。ケジメというやつです」

 

「ぐゥっ……!? わ、わかった。わかったから、そこを通してくれ」

 

「ん?」

 

「もう本当に限界で……ふぐぅっ!? す、すまねェ! ――オレが(・・・)悪かった(・・・・)ァーっ!?」

 

「……いいでしょう」

 

 次の瞬間、天元の姿がドロンと消えた。

 大ケガだったのにあんなに走って大丈夫かな……。

 

 ともかく、そうして俺のカタキ? は討たれたのであった。

 彼を見送ったしのぶは「うふふ」と笑い続けていた。

 

「お腹は読むものではなく、下すものですよね。ね、まふゆ?」

 

「ソ……デス、ネ……」

 

 俺は改めて、しのぶには絶対に逆らわないでおこうと思った。

 だから「お腹は黒いもの(・・・・)、の間違いじゃ?」という言葉も当然飲み込んだのであった――。

 

   *  *  *

 

 それから1か月後。

 俺はようやく手足とアゴの包帯が取れていた。

 

 ずっと流動食ばかりだったから、ご飯がおいしい。

 そしてなにより普通に話せることのありがたみを、文字どおりに嚙みしめていた……が。

 

「なんだか……まふゆ、前よりも幼くなっているような?」

 

「んー?」

 

 炭治郎が俺の顔を見て言った。

 となりで禰豆子が彼のマネをして、首を傾げていた。

 

「うぐっ……!?」

 

 俺は炭治郎の発言にうめいた。

 それでマフラーを引き上げて、自分のアゴもとを隠した。

 

 今回、遊郭の一件で俺は禰豆子への好感度の低さを危惧した。

 それで、仲良くなるためにせっせと遊びに来ていた……。

 

 わけではなくたまたま居合わせただけなのだが。

 でも……やっぱりそうだよなぁ。

 

「しのぶさんが傷痕が残らないように、かなりきれいに治療をしてくれたんだけど……」

 

 どうしても限界はあるようで、一度砕かれてしまったアゴは以前より丸くなっていたのだ。

 そのせいで、もとから幼顔(おさながお)だったのに、さらにそうなってしまっていた。

 

 ま、まさか歳を取るどころか、逆に外見が若返ることがあるなんて……。

 気のせいだと思いたかったが、人と会うたびに言われてしまうのだから認めざるをえない。

 

「ところで……あのー、カナヲ? なんでわたし抱き着かれてるの?」

 

「ふふんっ」

 

 なぜかカナヲが炭治郎に見せつけるみたいに、俺をぎゅ~っと抱きしめていた。

 それにどこか自慢気だった。

 

「まふゆが好きなのは私、だから」

 

 あー、そっか。

 カナヲはまだ炭治郎のことが好きだと自覚してないから、いろいろと自分の感情を誤解してしまっているんだろうな。

 

 この前も彼が俺をカナヲの前で褒めたとき、ほっぺを膨らませていたし。

 そして、炭治郎も炭治郎で天然だから……。

 

「そっか! カナヲはまふゆのことが大好きなんだね! 姉妹の仲がいいことは、とってもいいことだと思う! 俺にも大切な妹がいるから、すごくよくわかる!」

 

 なんてことを言っていた。

 まったく、カナヲが好きなのは炭治郎なのになぁ?

 

 そんなやり取りをしている俺たちを見ながら、天元としのぶが会話をしていた。

 

「あー、いいのかアレ。なんか3人が3人とも派手に誤解をカマしてるように見えるんだが」

 

「あら、いいじゃないですか。子ども同士、ほほえましくて。そういうことに大人が口を挟むのは野暮ですよ。その寄り道まで含めて、恋愛なんですから」

 

「オレにはわかんねェな。惚れた相手は全員まとめて幸せにするのが甲斐性だろうが。とっとと結婚なりしちまってよ」

 

「まぁ、嫁が3人もいるあなたにはわからないでしょうね」

 

「そうかァ? まふゆにゃオレと同じ血が流れてる気がするがな」

 

「や、やっぱり天元さまとまふゆちゃんは血縁っ!?」

 

「「……」」

 

 天元としのぶは須磨の発言をスルーした。

 それから、しのぶは「心外だ」という風に彼の言葉を否定する。

 

「同じ血? まふゆをあなたと一緒にしないでください」

 

「……まっ、だれだって好きな相手にゃ目が曇るもんだわな」

 

「なんですか? どういう意味ですか?」

 

「いんや、なんでも。ま、かくいうオレもそういうのが嫌いなわけじゃねェしな。どうせなら派手にやれ、派手に!」

 

「――みなさん、すこし騒がしすぎますよ」

 

「あっ、アオイお姉ちゃん!」

 

 言って、この場へさらにお盆に薬を載せて持ってきたアオイが加わってくる。

 たしかに、本当に騒々しいことになってるな。

 

 まぁ、それも当然か。

 なにせ今、この病室には俺とカナヲ、炭治郎と禰豆子、それから天元とその嫁3人にしのぶまで集まっているのだから。

 

「……」

 

 と、俺は気づく。

 カナヲがなにか衝撃を受けたような顔で俺とアオイを交互に見ていた。

 

 

「――アオイ……お姉ちゃん(・・・・・)?」

 

 

 そして、俺の発言を繰り返すみたいにつぶやいていた――。

 

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