TS転生幼女は「氷の呼吸」の使い手 作:可愛ケイ@VTuber兼小説家
湯煙が晴れ、玄弥と炭治郎に対面してしまう。
わ、忘れてた……今の俺は裸なんだった。
――ドパっ!
玄弥の鼻から血が吹き出した。
一方の炭治郎は完全にいつもどおりで……。
「やぁ、まふゆ! キミも里に来てたんだ!」
いや、それはそれでどうなんだ、という反応だった。
そして、次の瞬間。
「クソがぁあああ! テメェ、見てんじゃねぇえええ!」
ブスーッ! と炭治郎の目に玄弥が指突き刺していた。
炭治郎が「ぎゃーっ!?」と悲鳴を上げて、ばしゃんばしゃんと湯の中で身もだえする。
「目がーっ!? い、いきなりなにをするんだー!?」
「うるせぇえええっ! あと安心しろ! オレも自分の目をつぶしたッ!」
「なんでぇっ!?」
炭治郎が困惑した様子で叫んでいた。
実際に玄弥の閉じられた目からはボタボタと血の涙が流れていた。
い、いやぁなんというか、思春期まっただ中の玄弥には悪いことをしたな。
こんなムチムチでダイナマイトでセクシーなボディを見せつけてしまうとは。
「……うん」
なんか、言ってて自分で悲しくなってきた。
あと、ちなみにだが俺のほうはとくに見られて恥ずかしいとかはない。
言ったとおり戦国時代の温泉は混浴が普通だったし……って、あれ?
考えてみると、なんでここの温泉って混浴なんだ?
今の時代より前――明治時代には、もう混浴は取り締まられていたはず。
ここが辺境の里の中だから、まだ浸透していない?
あるいは、里長の趣味だったりして……。
というか、うん。そっちのほうが可能性が高そうだ。
「いったいどうしたんだ、玄弥! ただまふゆとお風呂が一緒になっただけじゃないか!」
「テメェこそアタマどーかしてんのか!? なんでこの状況でそんなに冷静なんだよ!?」
「ん? あぁ、俺は長男だから。妹たちをお風呂に入れてあげることもあったし」
「そそそ、そういうのとは全然ちげぇーだろーが!? バカかテメェは!?」
「えぇっ!? 玄弥が聞いたんじゃないか!」
わーっ! ぎゃーっ! と玄弥と炭治郎が騒いでいた。
う、うーん……これは仲良くなったと言えるのか、言えないのか……。
* * *
それから俺たちは一緒に温泉を上がって宿へと戻って来ていた。
なお、入浴中はふたりとも目つぶしされていたので、あれ以上は裸を見られることはなかった。
「そうだ、玄弥! このあと一緒に夕食を摂らないか!」
「あぁん!? だれがテメェなんかと……」
「まふゆも一緒にどうかな?」
「じゃあ、そうしようかな」
「っ……!?」
俺が炭治郎の誘いに乗ると、玄弥は動揺したようにピクリと震えた。
しかし、なぜか俺を見た瞬間に固まって、顔が真っ赤になって……。
「おおお、オレはいいっ!」
そう叫んで、逃げるように去っていってしまった。
さっきの今だから、恥ずかしくて顔を見れなくなっているようだった。
うーん、作戦失敗だったようだ。
そんなわけで、俺と炭治郎がふたりで廊下を歩いていると……。
「――ん~~~~っ! おいし~~~~っ!」
そんな楽しそうな声が部屋の中から聞こえてきた。
俺たちは顔を見合わせて、そこへと入っていった――。
* * *
「すごいですね!」
俺たちは同じテーブルを囲んで料理に舌鼓を打っていた。
炭治郎は先に食事をはじめていた蜜璃に尊敬するようなまなざしを向けている。
そんな彼女の前には空になったどんぶりやお皿が何十個も……。
彼女は褒められて、照れながら笑う。
「え、えへへ……そうかな? 今日はまだそんなに食べてないけど」
と、そこへ追加注文していたのだろうおかわりが続々と蜜璃の前へと届いた。
それもまたとんでもない量だった。
「ボ、ボリュームリッヒ」
そう俺が慄いている間に、蜜璃はまるで吸い込むみたいにそれらを平らげていった。
なんとすさまじい食いっぷり。見てて気持ちがいい。
たしか、彼女の筋肉密度は常人の8倍あるんだったか。
そのため最低でも常人の8倍は食事を摂らなければ、逆に栄養不足で弱体化してしまうらしい。
「俺もいっぱい食べて強くなります!」
炭治郎は負けじと、ばくばくと食事をかきこ……んではないな。
きっちりと入念に咀嚼してから飲み込んでいた。ほんとマジメだな!?
「そういえば炭治郎くん、煉獄さんの継子になったって聞いたけれど」
「はい! 現在は煉獄さんのお屋敷でお世話になっています!」
「ということは……きゃーっ! つまり、炭治郎くんは私の
「甘露寺さんも煉獄さんの継子だったんですか!?」
「そうよー! 私、弟弟子ができたのなんてはじめてだわ! うれしい! 炭治郎くんも、ぜひ私のことを『お姉ちゃん』って呼んでね!」
「え、えぇっ!? ……蜜璃、姉さん?」
炭治郎は気恥ずかしいのか、顔が真っ赤だった。
いつもハキハキしている彼にしては珍しい。
「きゃーっ! うれしーっ! もっと言って、もっと言ってー!」
「うっ……ま、まふゆ! 助けてくれ! 俺、今までずっと長男で……兄や姉はいなかったから、どう接したらいいのかわからない!」
「んー、まぁテキトーでいいんじゃないかなー」
「まふゆーっ!?」
「あ、炭治郎くんが弟ってことは、こっちの禰豆子ちゃんは私の妹になるのかしら!」
言って、机の下に潜り込んで遊んでいた禰豆子を蜜璃が捕まえた。
頬ずりしながら、彼女は言う。
「やだもうどうしよう! こんなにもステキな弟と妹が一度にできちゃうだなんて! 胸がキュンキュンしすぎて死んじゃいそう!」
それから蜜璃は禰豆子に「こしょこしょーっ!」と襲いかかっていた。
禰豆子は「きゃっ、きゃっ!」と楽しげに笑っていた――。