TS転生幼女は「氷の呼吸」の使い手 作:可愛ケイ@VTuber兼小説家
「――おぬしも鬼になればええ」
鬼の発言はまさかの内容だった。
思わず、声が震えた。
「なにを、言って?」
「わしは”あの方”よりその権限をいただいておる。そうすれば、おぬしも今よりうんと強くなれるぞ。そして……今後は磨いた技のすべてを、人を殺すために使うんじゃ!」
「お前……お前ぇえええ!?」
「かっかっかぁあああ! 鬼を狩るための技で人を狩る……なんと愉快なことか!」
鬼が高笑いしていた。
耳障りな、最低な声だった。
「ほれ、これからは同じく人類の敵と――”
「……く、くくっ」
俺は堪えきれずに声を漏らした。
それは嘲笑だった。
「なにがおかしい」
「いや、だって……くく、あはははっ! 名前? 鬼が名前だって? これが笑わずにいられる? だって、そんなのまるで……」
「――まるで、人間のマネごとじゃない」
「……あ?」
「所詮、人の道を外れただけのできそこないのクセに。あなたの名前になんて、なんの価値もない。どうでもいい。あなたはただの”鬼”。それ以下はあれど、それ以上はない」
「こっ、小娘キサマぁあああ!? ”あの方”がくださった名前を侮辱するかぁあああ!?」
鬼の指がさらに食い込み、ブシュゥ! と俺の肩から血が噴き出した。
痛い! けれど、それよりも……。
つい「あはっ」と笑みがこぼれてしまう。
あぁ、やっぱり……。
「――油断した」
「あん?」
この外見を選んでよかった。
自分の選択は間違っていなかった。
非力だからこそ、幼いからこそ、敵はこうして何度でも油断してくれる。
会話に……
「あーほんと、おっかし……お前は気づいていたはずなのにな。わたしにまだ策があるって」
「じゃから、それがこの氷の刃で」
「突き技じゃあ鬼は殺せない――そんなこと、わたしが理解してないと思う?
「なにをわけのわからんことを。もういい、キサマを――」
……もう十分だ。
俺はこいつを――
「咲け――”
俺は歌うように言った。
同時、俺は密かに切っ先へと送り続けていた冷気を一気に解放した。
「は? な、なんじゃこれは……? ぐおぉおおおッ!? 身体がッ……身体が内側から冷えて――いや、凍っていくぅううう!?」
注ぎ込んだ冷気で相手を体内から瞬時に凍結させる。
固化した血は液体であったときよりも体積を増す。そして……。
――バァアアアン!
限界を超えると同時に、その肉体を内側から炸裂させた。
「ぎぃゃあああぁあああッ!?」
鬼の絶叫が轟いた。
「痛い痛い、凍るように痛い!? いやこれは、実際に身体が凍って……!?」
破裂した鬼の腹部からは、真っ赤に凍った血の華が咲いていた。
それは、まるで真っ赤な
――”
「わたしは……弱いままでいい! 強くなくてもいい! ただ、お前たちさえ殺せればそれで!」
鬼を殺すのは技か?
否――
この技は『型』ではない。
これは、鬼を殺すための力がない……非力な俺が辿りついた、ただの”
俺は吠えた。
「なにが『鬼になれ』だ!? ふざけるな! お師匠さまが教えてくれた剣術は、呼吸は……力はすべて! お前たち鬼を滅ぼすためのものだぁあああ!」
「ぎゃあああッ!? こ、このクソガキがぁあああ!」
鬼はその場から動けなくなっていた。
ヤツはまるで斬首を待つ罪人のごとく、膝を着いて頸を差し出している。
「クソっ、身体が凍って動かぬ!? じゃ、じゃが斬れるものか! お前のような非力な小娘にわしの頸がぁあああっ!」
鬼が頸に力を込める。
メキィメキィ、と強度が増したのがわかった。
「……たしかに、斬れないだろうね」
「ほれ、やはりそうじゃろう!」
「――1回だけじゃあ、ね」
「……お、おぬし、なにを考えとる? なにをするつもりじゃ?」
俺は上段よりさらに上、”大上段”に刀を構える。
これだけの溜め時間と体勢が整えば、たとえ力のない俺でも――刃は通る!
「氷の呼吸・参ノ型・
”参ノ型”を大きな隙と引き換えに強化した技。
ブシュウウウ! とヤツの頸から血が噴き出した。
「ぎぃゃあああ~~~~ッ!?」
それはヤツの頑強な皮膚を貫通していた。
しかし、頸を切断するには至らず、数センチのところで止まってしまっていた。
「か……かかっ! ほれ見ろ、斬れぬではないか! やはり、おぬしではわしを殺せな――」
「――”断頭・雪崩”」
「ぎぃいいいあああっ!?」
俺は