TS転生幼女は「氷の呼吸」の使い手   作:可愛ケイ@VTuber兼小説家

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第23話『蝶屋敷の新たな家族』

 

 冨岡さんとしのぶが討伐したのは、べつの鬼!?

 

 ちょ、ちょっと待ってくれ!

 じゃあ、熱を生み出す鬼のほうはどこへ行ったんだ!?

 

「あ、あの!? ほかに、わたしの周りにはなにもありませんでしたか!?」

 

「ほかに、ですか? すいません。あなたを助けるのに精いっぱいで気づきませんでした。なにせあなたが雪とガレキの中から見つかったときには、瀕死の状態でしたので」

 

 聞けば、俺は衣類まで含めて全身ボロボロ。

 心肺停止の状態で、凍傷も引き起こしていたという。

 

 ……凍傷?

 いや、まさか。そんなことがありえるのか?

 

 もしかして俺は、極低温状態になって……400年間ずっと冬眠していたのだろうか?

 ある種のコールドスリープによって、時を越えてきた?

 

「その場にいたのが、特別に医学と薬学に詳しい私でなければ助けられませんでした。すこしは感謝してもいいんですよ?」

 

「えっ、あっ!? ありがとうございます……すいません、助けられたのにお礼もまだでした」

 

「ふふっ、気にしないでください。今のはちょっとした冗談です」

 

 でも、そうなると熱の鬼はいったいどこへ?

 もしかして、まだ生きているんじゃ!?

 

 そんなイヤな想像をしはじめたとき……。

 

「だから、そうですね。あと一緒に埋まっていたのは――”灰”くらいですね」

 

「灰? ……はぁぁぁ~っ」

 

 俺は心底から安堵の息を吐いた。

 よ、よかった~!? ちゃんと、あの鬼は滅んでいたんだ!

 

「……そりゃそうか」

 

 考えてみれば、あの鬼が灰となるところはちゃんと自分の目で見ていたのだ。

 ただ、それでも……。

 

 ――ヤツなら、生き延びていてもおかしくないのでは?

 

 そう思わせるほどに、あの鬼は強かったから。

 ヤツは俺に怯えていたが、本当は俺だって同じくらいヤツに恐怖していたのだ。

 

「よかった……よかった。本当によかった……」

 

 安堵したせいだろうか。

 ポロポロと涙が溢れてきてしまう。

 

 しのぶがその涙をそっと指先で拭ってくれる。

 それから……。

 

「もう大丈夫です。大丈夫ですからね」

 

「わぷっ!?」

 

 しのぶがやさしく俺を抱きしめていた。

 頭を撫でてくれていた。

 

 というか、胸が顔に当たって……!?

 おかげで涙が引っ込んでしまった。

 

 これはちょっと、あのっ!?

 今でこそ女性だけれど、前世が男性だったから……その、アレだからぁ~!?

 

「わ、わたしは平気です! 平気なので~っ!?」

 

「あら、そんなに恥ずかしがらなくてもいいのに」

 

 俺はぐいっとしのぶの身体を押しのけた。

 か、顔が熱い……。

 

「まぁ、すこし話を戻すと、鬼はあなたを保存食にするつもりだったのかもしれませんね」

 

「保存食ですか?」

 

「えぇ。たとえば熊なんかは、食べきれなかった分のエサを地面に埋めて保管する習性があるでしょう? それと同じことをしたのかも」

 

「なるほど……」

 

 俺はしのぶの想像を否定しなかった。

 今はまだ本当のことを告げるべきかわからなかったから。

 

 ただ……彼女自身もその説明にどこか納得いっていない様子だった。

 おそらく、現状で考えられる可能性がそれしかなかった、というだけなのだろう。

 

「最初は付近の町や村から攫われたんだと思っていたのだけれど、あなたを知る人がいなくて。それにケガも酷かったから、やむを得ずウチまで連れてきたのです」

 

 ウチ、というのはこの場所――”蝶屋敷(ちょうやしき)”のことだろう。

 しのぶは自身の屋敷を、負傷した隊士などの治療所として開放している。

 

「それで、あなたさえよければ――」

 

「あ~~~~!? しのぶさま~! その子、目を覚ましたんですか!?」

 

「あら、アオイ。ちょうどいいところに」

 

 隊服の上から看護師服を重ね着した少女が、大声を上げてこちらを見ていた。

 ツインテールに蝶の髪飾り……。

 

 彼女のことは知っている(・・・・・)

 神崎アオイ……ここで患者の手当てなどを手伝っている、鬼殺隊の隊員だ。

 

「ケガは痛む!? 大丈夫!? お名前は!?」

 

「こらこら、アオイ。あまり質問攻めにしてはいけませんよ」

 

「え~!? でも気になるじゃないですか! この真っ白な髪もすごいし! どこから来たの!? もしかして外国とか!?」

 

「え、えっと」

 

「ごめんなさいね、騒がしくて。それでアオイ、そのことなんだけど……どうやらこの子、襲われたショックで記憶が混乱しているみたいなの」

 

「そうだったの!? ご、ごめんね!?」

 

「あ、いえ……お気になさらず」

 

「てことは、行く当てもないってこと!?」

 

「そう、なるのでしょうか?」

 

「よしっ、決めたわ! しのぶさま、この子……」

 

 

「――ウチで面倒を見ましょう!」

 

 

 そうアオイが言った――。

 

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