TS転生幼女は「氷の呼吸」の使い手   作:可愛ケイ@VTuber兼小説家

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第36話『次期柱の候補者』

 

「鍛えるって……えぇっ!? し、しのぶさま!?」

 

 しのぶの言葉にアオイが声をあげていた。

 先の発言はつまり、しのぶが俺たちの”育手(そだて)”になってくれるということだ。

 

 だが、そこへカナヲはさらに言った。

 

「じゃあ、私……しのぶさまの”継子(つぐこ)”になりたいです」

 

「か、カナヲ!?」

 

 アオイが百面相をしていた。

 俺からすると、むしろカナヲがしのぶの継子であるほうが自然。

 

 今まで、そうでなかったことのほうが違和感があったくらいだ。

 まぁこれまでは剣士ですらなかったのだから、当然だけれど。

 

「あんた意味わかってるの!? 大丈夫!? だれかに言わされてない!? 継子っていったら、次期『柱』を目指すっていうことなのよ!?」

 

「カナヲ、私もそれには同意できません」

 

 アオイのあとに続けて、しのぶもキッパリとそうカナヲに告げた。

 

「これまでも何人か、私に継子がいたことはカナヲも知っていますね? そして、その全員が死んだことも。私はもうだれかを継子にするつもりはありません」

 

「……」

 

 しのぶの言葉にカナヲがシュンとする。

 そこへ助け舟を出したのはカナエだった。

 

「まぁまぁ、しのぶ。それを決めるのは鍛えてあげてからでもいいんじゃないかしら~? 実力も見ないで『ダメー』なんて、カナヲだって納得できないわよね~?」

 

「……!」

 

 カナエがまるでウインクでもするみたいに、目でカナヲへ合図を送る。

 カナヲはコクコク! と必死に何度もうなずいた。

 

「姉さんはいつも甘すぎます!」

 

「そう言わずに~。そんなに眉間にシワを寄せてたら、せっかくの美人さんが台無しだわ。ほら、しのぶ。笑顔、笑顔~」

 

「~~~~! あ~、もうっ!」

 

 か、カナエ強い……。

 この蝶屋敷で彼女に勝てる人はいないのだ。

 

「わかりました。けれど、私は忖度しませんからね! あくまで本当に才能があると認めた場合しか、あなたを継子にすることはありませんから!」

 

 しのぶはそう叫ぶが、まぁカナヲの才能は間違いないわけで。

 つまり、カナヲが継子になる未来は決定したといってもいいだろう。

 

 ただ、これはおそらくだけど……。

 カナエの説得がなくても、いずれしのぶはカナヲのことを認めていたのではないだろうか?

 

 ……いや、ちがうな。認めざるをえない(・・・・・・・・)

 それくらいの才能が彼女にはある。

 

「まふゆちゃんはどうする~? カナヲと一緒に『柱』を目指してもいいのよ~?」

 

「えっ!? わ、わたしもですか!?」

 

 カナエに誘われて動揺する。

 たしかに、400年前にも継子になるという話はあったが……。

 

「い、いえ。わたしは遠慮しておきます。才能には自信がないし、そもそも最終選別も自力で戦って突破したわけじゃありませんから」

 

「そうなの~? でも、気が変わったらいつでもいいのよ~?」

 

「姉さんが勝手に決めないでください!?」

 

 なるべく歴史は変えたくない。

 まぁ、どのみち才能のない自分が『柱』にまで至ることはないと思うけれど。

 

 それにたぶん、心のどこかに意地があったのだと思う。

 自分の師匠は――縁壱ただひとりなのだ、と。

 

 だから、断った。

 ……少なくとも今は。

 

「いずれにせよ最低限、自分の身を守れるくらいの力はつけてもらいます。隊士になってしまった以上は、強制招集されることもありますから」

 

「わかりました」

 

「それと、これからは同じ鬼殺隊の一員です。お互いの呼びかたも変えなさい」

 

「まふゆちゃん……まふゆ?」

 

「カナヲさん……ううん、カナヲ」

 

 たしかに合理的だ。

 戦闘中に、いちいち敬称なんてつけて呼んでいる余裕はない。

 

「それからカナヲ、本気で継子を目指すなら私のことは『師範』と呼びなさい」

 

 きっと、それがしのぶなりのケジメのつけかたなのだろう。

 今までずっと、姉妹みたいな関係だったのだ。

 

 このままじゃあ、どこかで甘さが出てしまうかもしれない。

 そして、甘さは――戦場で人を殺す。

 

「わかりました、師範」

 

「……はぁ」

 

 ただ、そうは言ったものの……。

 実際にその呼びかたをされたしのぶは大きなため息を吐いていた――。

 

   *  *  *

 

 ……そして。

 

「あ、あんのゲスメガネ、またっ……!?」

 

 ビキビキっとしのぶがこめかみに血管を浮かべていた。

 そんな彼女の前には、俺たちが受け取ってきた隊服が並べられていた。

 

 それは――とんでもないミニスカートだった。

 

 

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