TS転生幼女は「氷の呼吸」の使い手   作:可愛ケイ@VTuber兼小説家

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第37話『新たなる隊服』

 

 数日後、俺とカナヲは隊服姿をみんなにお披露目していた。

 それを見て、しのぶは頭痛でもしたかのようにこめかみを押さえていた。

 

「ええっと、なんでまだスカートのままなのかしら?」

 

「……、……」

 

 問われたカナヲは、アタフタとしていた。

 

 俺たちが最初に渡されたのはとんでもないミニスカートな隊服だった。

 それで採寸し直してもらってきたのだが……。

 

「うふふっ。ふたりに持たせた油とマッチの量が足りなかったのかしらねぇ?」

 

「……っ、……っ」

 

 カナヲは慌てた様子でブンブンと首を横に振る。

 

 俺たちは採寸しなおしに行く際、しのぶにそれらを渡されて「隊服を目の前で燃やしてやりなさい」と言われていた。

 けど、さすがにそこまではできなくて……。

 

「じつは私が最初に渡されたのも、胸元が丸出しな上に非常に短いスカートだったのよ」

 

 俺たちの服飾を担当してくれたのは”前田まさお”という(カクシ)だった。

 聞けば、胸元丸出しの某柱の隊服も彼のデザインなのだとか。

 

 えっ? アレと同じのをしのぶに渡したの?

 それは、なんというか……命知らずというか。

 

「カナヲは本当にそれでいいの? 遠慮しなくていいのよ? あたしも最初は変な隊服を渡されたけど、普通のに戻してもらったし」

 

 アオイが心配そうにカナヲに問うが、彼女はモジモジとしたあとコクリと頷いた。

 問題ない、と。

 

「そう? まぁ、カナヲがいいならそれでいいけれど」

 

 今のカナヲの隊服は長めのスカートだ。

 あの前田まさおという男……しのぶの名前を出されても、その丈を長くはしたものの絶対にスカートだけは譲らなかった。

 

 す、すさまじい胆力。

 いや、変態力……?

 

 残念ながら、俺には目の前で押し切られるカナヲを見ていることしかできなかった。

 ないとは思うが、カナヲをズボンにすることで歴史に影響が出ても困るし。

 

 変えなくていいことは、なるべく変えたくない。

 まぁ、そのせいで……。

 

「まふゆもいいの?」

 

「えっと、はい。カナヲひとりだけってわけにもいかないですし」

 

 アオイに問われて、うなずく。

 俺も巻き添えを食らって、カナヲと同じく長めではあるがスカートになってしまっていた。

 

 これは必要経費として割り切るしかない。

 それにデザインはちがえど、性能は申し分ない。

 

 通気性がいいうえに燃えにくく濡れにくい。

 ザコ鬼の爪や牙では裂くことすらできないというのだから、なんというオーバーテクノロジー。

 

 なんてことを考えていたら……。

 カナヲがギュッと俺のスカートの端を摘んできた。

 

「まふゆとおそろい」

 

「う、うん……、そうだね」

 

 敬語、ではなくため口で頷く。もう同じ鬼殺隊の一員だから。

 でもあの、そういう風に引っ付かれると恥ずかしいというか。

 

「あらあら~」

 

 カナエが微笑ましそうな声で言った。

 そういうんじゃないから!? あーもう、顔が熱い!

 

 でも、この時代にミニスカートってもう存在したのだろうか?

 もしまだなら、あの男なにげに最先端ファッションを生み出したすごいヤツなのでは?

 

「いや、ないな」

 

 あれは間違いなく、スケベ心100パーセントだった。

 ただ、これが大正時代でよかったとは思う。戦国時代とちがい、下着が存在するから。

 

 和服のときはちゃんと腰巻があるし。

 洋服のときも、現代でいうショーツはまだないものの……。

 

 キャミソールにも近いシュミーズ、ドロワーズにも近いズロース、ショートパンツにも近い半股引などいろいろある。

 ブラジャーではないが、胸バンドまですでに存在する。

 

 ……え? 俺やカナヲがなにを着てるかって?

 そ、それはノーコメント。

 

「じゃあ、隊服に着替えたことですし特訓をはじめましょうか?」

 

 そんなこんなで、いろいろあったものの……。

 しのぶによる稽古がはじまったのであった――!

 

   *  *  *

 

 それから数日後。

 蝶屋敷に来客があった。

 

「ごめんくださーい」

 

「はーい」

 

 と、俺が出迎えたのだが。

 そこに立っていたのは……。

 

「……”おかめ”?」

 

 あるいは、おたふく。

 そう呼ばれるお面をつけた人だった。

 

 それが合わせてふたり。

 俺が困惑しながら見ていると、その人は言った。

 

「私たちは刀鍛冶です。新しい隊士さんの日輪刀を打って、持参してきました」

 

「……えっ!?」

 

 俺はますます困惑した。

 だって刀鍛冶がつけている面は”ひょっとこ”だとばかり思っていたから。

 

 なにより、その人たちは――”女性”だった。

 

 それが「日輪刀を打った(・・・)」?

 鍛冶場は女人禁制だったはずなのに……!?

 

「どうかされましたか?」

 

「あ、いえ。とりあえず上がってください」

 

「助かります」

 

 ドクンドクンと心臓が鳴り、汗が溢れそうになる。

 こんなのは俺の知っている歴史には存在しなかった。

 

 また俺の知らないところで、歴史が大きく変化している――!?

 

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