TS転生幼女は「氷の呼吸」の使い手 作:可愛ケイ@VTuber兼小説家
天元に俺とアオイが連れて行かれそうになる。
彼女はカナヲへと助けを求めるように手を伸ばし……。
カナヲはその手を――ためらうことなくギュッと力強く掴んでいた。
あと、ついでに俺の服の裾も。
「連れて行っちゃダメ! い、イヤがってるから!」
「か、カナヲ……」
アオイが「ホっ」とした様子で目からポロポロと涙をこぼしはじめる。
俺も彼女の成長っぷりに目を見張る。
まさか、ここまで心が強くなっていただなんて。
天元はそんなカナヲの行動に、ピキリとこめかみに青筋を立てる。
「あァあああん!?
「っ……!」
さすがは柱。
その威圧感にさしものカナヲも怯むが、しかし身体を縮こまらせながらも耐えきる。
「チッ、派手にしつこいヤツだな」
「「「と、突撃ーっ!」」」
三人娘がそんなカナヲに加勢するように天元へと飛びかかる。
しかし、あまりにもささやかな抵抗だ。
このままでは、いずれ俺たちは本当に連れて行かれてしまうだろう。
だから……炭治郎ぉ~! お願いだから早く来てくれぇ~!?
そう内心で助けを求める。
しかし……。
「あれ?」
いつまで経っても炭治郎が現れない。
いやちょっと、いくらなんでも遅すぎないか?
「テメェらもいいかげん地味に理解しろ。ほら、もう行くぞ」
カナヲたちを引きずりながら天元は歩き出してしまう。
彼はその外見からもわかるとおり、非常に力が強い。
別格である行冥はさておき……腕相撲ランキングでも、柱の中で2位につけているとか。
カナヲたちでは力じゃ敵いっこなかった。
「ど、どうして」
なんで、炭治郎が来ないんだ!?
俺の記憶ではもうとっくに任務から蝶屋敷へと帰ってきているハズ……あっ。
「あぁ~っ!?」
「今度はなんだ! 耳元で派手に叫ぶんじゃねェよ!」
完全に失念していた。
そうだ。炭治郎たちは今、煉獄家の屋敷じゃないか!
ま、マズいマズいマズい!?
このままでは彼ら抜きで次のイベントがはじまってしまうぞ!?
さすがに、それほどの穴を俺ひとりで埋めるのはムリだ!
い、いったいどうすれば!?
「今からでも煉獄家の屋敷に……」
いや、間に合うわけがない。
じゃあ、ほかのだれかを助っ人に呼ぶか?
それこそ柱を複数人集めて、これから戦う鬼を袋叩きに……できるなら苦労しないんだよなぁ。
じつは、すでにそれとなくしのぶに相談は投げてあるのだ。
だが、聞けば……まぁ、半分知っていたことだが。
これから行く目的地では、すでにかなりの潜入調査が行われているとのこと。
そのうえで、いまだに鬼の居どころが掴めずにいる。
俺もさすがに”店”の名前までは覚えてないし……。
そんな状態で多数の人員を送り込んでも、時間を浪費するだけ。
悲しいくらいに、鬼殺隊はいつも人手不足だ。
柱となればなおさらだ。
彼らとそれ以外の人間とでは時間の価値がまったくちがう。
柱ほど貴重で強力な人材となると抜けたときの穴も大きく、そうそう動かせない。
やむを得ない。ここは……。
「わ、わかりました。では、わたしは一緒に任務へ行きます。だから、どうかアオイさんだけは解放してあげてください」
俺はそう天元に懇願した。
ひとまずは俺だけで向かって、道中で炭治郎たちに鎹烏を飛ばそう。
本来の流れとは異なってしまうが、あとからでも合流してもらおう。
アオイを巻き込んだり、俺だけで挑むよりはずっとマシなはず。
「ま、まふゆ……」
そんな提案した俺に、アオイは潤ませた目を向けてくる。
しかし、天元には通じなかった。
「あァん? 派手にお断りだね! つーか、上官命令に地味に口ごたえしてんじゃねェよ。だいたい、テメェひとりじゃあ人手が足りねェ」
「じゃあ、あとから応援を呼びますから!」
「ったく、なにを勘違いしてやがる。そもそもテメェらに拒否権はねェんだよ。それを、さも恩を着せてやったみたいな言いかたしてんじゃねェ」
「うっ……」
まったくもって正論だった。
あぁ、もうっ!?
頭の回転も早ければ、口もうまいなぁっ!?
反論が思いつかず、ついに俺も言葉に詰まってしまった……そのとき。
「わ、わかりました。じゃあ――あたしも一緒に行きます!」
アオイが意を決したように、そう叫んでいた。
いやいやいや!
「あ、アオイさん!? わかってるんですか!? 鬼と戦うかもしれないんですよ!?」
「わ、わかってる」
アオイの顔は恐怖で青ざめている。
だが、彼女は震えながらもぎこちなく笑って見せていた。
「だ、大丈夫よ。弱いかもしれないけれど……あたしだって、あんたのお姉ちゃんなんだから。まふゆひとりでなんて危険な場所に行かせられない」
「わたしは大丈夫ですから!」
「でも――あんただってさっき、任務を断りたがってたじゃない」
「い、いえ。それは……」
あくまで、自分ではなくアオイのためだったのだが。
しかし、彼女が自分から「行く」と言い出してしまった手前、説明しづらい。
「ごめんね、あたし自分のことしか見えてなかった」
「えっと?」
「そうだよね。まふゆだって同じ……ううん、あたしよりも小さな女の子なんだもんね」
「???」
なんの話か分からずに困惑する。
しかし、アオイは俺の感情に気づかず、決意した表情になっていた。
「あんな大ケガして、2ヶ月も昏睡して。まふゆだって鬼との戦いが恐くなることくらいあるわよね。大丈夫、お姉ちゃんが絶対にまふゆをひとりきりにはさせないから!」
「!?!?!?」
な、なんかめっちゃ誤解されてるー!?
どう返すの正解かわからず固まっていた、そのとき。
「――その手を離せ!」
……! こ、この声は!
俺たちは門のほうへと視線を向けた。
そこには市松模様の羽織を纏った少年――竈門炭治郎が立っていた。
お、遅ぇじゃねぇかこの野郎ぉ~~~~っ!