TS転生幼女は「氷の呼吸」の使い手 作:可愛ケイ@VTuber兼小説家
「た、炭治郎さん!? どうしてここに!?」
「手紙にも書いたけど、まふゆに手合わせしてもらおうと思って来たんだよ」
そういうことか!
拠点が変わっていたから到着するタイミングがズレてしまったようだが、どうやら幸運にも本来の歴史と合流したようだ。
「関係ねェやつは引っ込んでろ。こいつらは任務に連れて行く」
「いや――ふたりの代わりに俺
「俺たち、だと?」
その声に合わせるように、善逸と伊之助が炭治郎に並び立っていた。
天元は彼ら3人に……いや、炭治郎に視線を向けて言う。
「あァん? なァに言ってやがる。たしかテメェ……派手に、新しく煉獄の継子になったガキだろ。勝手に連れて行けるかボケ。テメェ、親の許可はあるのかよ」
「許可は取っていません!」
「派手にいい返事だなオイ! ナメてんのか!?」
今の彼は杏寿郎の継子なのだ。
もう個人の判断で勝手に行動できる立場にはない。
カナヲが一緒に任務には来れないのと同じ。
とくにしのぶは単独任務で出ており、すぐには連絡がつかない状況だし……。
「なので、これから走って
「待つかドアホ!? 今すぐ人手がいるんだよバカが!」
「じゃあ、とりあえず勝手について行きます! それで移動中に鎹烏を飛ばして確認します!」
「テメェも派手にガンコなヤツだな!? 連れて行かねェっつってんだろ! だいたい、今回必要なのは女の隊員なんだよ。テメェら全員、男だろォが」
「関係ありません! ついて行きます!」
「アホなのか!? テメェは派手にアホなんだな!?」
なんというか、さすが炭治郎というべきか。
あまりの頭の固さに天元もちょっと押され気味だった。
「あーもう、わかった! テメェらを連れて行きゃいいんだろ!」
やがて、そう言って天元が折れた。
炭治郎は直角に頭を下げる。
「ありがとうございます!」
「派手に礼儀正しいヤツだな。ただし勘違いするなよ。この女どもを連れて行くことは決定事項だ。曲がりなりにもこいつらは一度、了承したしよォ」
「それは道理が通らないと思います!」
「まぁ聞け。だから言っただろ、テメェらも一緒に来ることを許可してやるって。そうしてテメェらが協力してやりゃあ、多少はこいつらの負担も軽くなるだろうよ」
「……たしかに」
「だが、煉獄がダメっつったらブン殴ってでも追い返すからな。そこだけは覚悟しとけ」
「わかりました!」
そんなこんなで天元とかまぼこ隊、そして俺とアオイが一緒に任務へ行くことになった。
って、おい! ちょっと待て!?
これ結果的に、天元が俺たちふたりに加えて人手を3つ手に入れただけなのでは!?
炭治郎、騙されてる! 騙されてるからー!?
しかし俺はなにも言わなかった。
だって、この状況はベストではないもののベターだったから。
「で、どこ行くんだオッサン」
伊之助が天元へと尋ねる。
その質問に彼はタメを作って答えた。
「日本一、色と欲にまみれたド派手な場所。鬼の住む――”遊郭”だよ」
* * *
そんなこんなでやってきた東京・吉原。
そこは夜にもかかわらず光にあふれ、大勢の人が行き交っていた。
どこか甘ったるいような匂いがする気がした。
もしかするとそれは、人の欲の香りなのかもしれない。
「すごい。まるで昼みたいだ」
炭治郎も無事に杏寿郎から許可をもらえ、来ることができていた。
もちろん、かまぼこ隊の面々も一緒だ。
「な、なんだこりゃぁー!? 猪突猛進!」
「きれいなお姉さんがいっぱいだぁー!」
伊之助があまりの人の多さに暴走し、善逸がお姉さんの色香に誘われてフラフラと……。
そんな一幕がありつつも、俺たちは『藤の花』の家紋の家を訪れていた。
「オレの嫁が3人、潜入して鬼の情報収集をしてる。だが定期連絡が途絶えた」
通してもらった部屋で、そう天元から状況を説明される。
彼の嫁はいずれも非常に優秀な女忍者――くのいちだ。
彼女らの手紙には「来るときは極力、目立たぬように」と何度も念押しされていた。
なんかもう、めちゃくちゃ目立ってしまったあとな気がするのだが、いいのだろうか?
まぁ、鬼は柱以外の人間はほとんど見分けがつかないらしいけど。
と、そんなことを考えていると部屋にこの家の者がやってくる。
「失礼します。ご入用のものをお持ちいたしました」
その人物が持ってきたのは着物と化粧道具だった。
そして、翌日……。
* * *
「じゃあ、情報収集は地味なお前らに任せたぞ」
「「……えっ」」
俺とアオイはふたりして、ひとつの店に連れてこられていた。
ちょちょちょ、待てぇい!?
「た、炭治郎さんたちの3人は? 彼らをそれぞれのお店に売って回ったのは、情報収集のためじゃなかったんですか?」
「あのアホどもは囮に決まってんだろォが。派手に目立つからな」
女装しているムキムキな男子たち……。
うん! 目立たないわけないな!?
「だから、お前らが本命だ。あいつらが目を引いてる間に店内を探れ」
「さ、探れって言われても」
「というわけでおかみさん、このふたりを頼むよ」
「あらまぁ、ずいぶんな男前! あんたみたいな男の頼みなら仕方がないわねぇ、任せてちょうだいな! 必ず、立派な遊女にしてやろうじゃないの!」
「「えぇーっ!?」」
そんなこんなで、俺とアオイの遊郭・潜入任務がはじまったのであった――!
『遊郭編』――開幕!