「〜♪」
「あー……朝か…」
近くにあったスマホを取り、アラーム音を解除する。たとえ転生したとしてもこういった日常の風景は余り変わらないらしい。
欠伸を1つ。まだまだ眠いが自分は一人暮らしだ。このまま二度寝にしけこんだならば誰も起こすものは居ない。遅刻確定である。
なので仕方なく、自分は名残惜しい温かな布団の中から出ていく。
「────!!」
「だる……」
顔を洗い、歯を磨く。ここまでくると、ある程度眠気は飛んでいく。しかし今度は学校に行くのかという、憂鬱な気持ちが芽生え始めてくる。
まあこれも仕方ない。この世界は現代社会に一応似ている。なので最低限頑張らなければいけない。
転生してもこれかという気持ちはあるが、生きているのだからしょうがない。
「───ホオォ゙ォ゙!!」
「食パンでいいか…」
朝から色々と用意するのは面倒臭い。なので大体朝食はパンにしている。おにぎりとかでもいいのだろうが、個人的には朝からだと少々重たいのでパン派である。
「─よりも気持ちいいの〜!!」
「良かったね」
さて、先程から何度か割り込んでくる声の話をしよう。
これはお隣に住む、人妻の真辺さんだ。初めて会った時は、おっとりとしていて接しやすい人だった。しかし最近、如何にもチャラ男といる事が増えてからはかなり変わってしまった。
30代でギャルはキツイって…とはチャラ男と真辺さんが野外プレイをしていた時に思った達郎の感想。
「──ンホォ゙ォ゙ォ゙!!」
「さてと、そろそろ学校行くか」
声がうるさい。そもそもここマンションだから筒抜けだぞ、などというツッコミはこの世界では通用しない。
何故ならばこの世界の住民は、誰しもが突発性難聴になるからだ。後は突発性盲目か?
「や、止めてください……」
(何時ものか)
ガタンゴトンと揺られながら、満員電車の中で本を読む。手慣れた動きから座席を確保するのは最早熟練の技である。
と、そんなどうでもいい事は置いておき、達郎の目の前では○漢が行われている。
ターゲットは女子高生。○役は太ったサラリーマンのおっさんだ。
「ああ…!そんな……」
(ノリノリだな)
達郎が止めないのは、何だかんだやられ役がノリノリだからだ。口ではどうこう言うがこのやり取りは何度も見た。
なので達郎はその2人をチラリと見た後、お気に入りのライトノベルを読むことに集中した。
途中何度も声が聞こえてきたが、この世界でのこの声は、小鳥のさえずりくらいによく聞こえるものだ。いい加減慣れた。
「ああ…!ああ…!」
(おお…!こんな展開になるのか…)
よくある事だが女子高生は電車の扉に押しつけられ、そういう行為をされている。
しかし他の乗客はこの行為に気づかない。先程言った突発性難聴と突発性盲目からだ。
普通気づくだろ、とかはこの世界では野暮な疑問なのだ。
「うぅ…酷い…」
(おっ、着いたか)
悲劇のヒロインぶる女子高生を無視し、達郎は荷物を持って電車から降りる。
勿論下にある変な液体は避けてだ。他の乗客は気にせずに其処を歩いている。
…こういう光景を見ると、一種の現実改変なのではないかとすら思う。
ちなみにこういう変な液体は、次来た時には消えている。流石にこの現象は少し、いやかなり怖いとは達郎の談。
「であるから…んん…!して…!」
(ちゃんと授業やれよ)
先月までは独身であった数学教師は、今では近くにいる男子学生の玩具だ。何でも○ナニーをしている所を撮られ、脅されているようだ。
そりゃ、あんなにうるさくトイレでやってればな。達郎は前から気づいていたが、特に関わりたくないのでスルーしていた。
経緯に詳しいのは屋上で飯を食っていた所、2人のやり取りが聞こえてきたからだ。皆、屋上好きだね。
大体屋上に行くと、何かしらのイベントが起こっている。純愛系だったり、鬼畜系だったりとジャンルは様々だが。
「…先生、どうかしましたか?」
「い、いや…何でもないわ…!」
「…そうですか」
(相変わらず気づかないな。コイツ等…)
あからさまに見える○ーターには目もくれず、優等生の男子学生が教師の様子を見て、心配そうに尋ねる。
恐らくこれはイベントであろう。気づかれそうでヤバい的な感じのやつだ。まあ結局は誰も気づかないのでどうも思わないのだが。
しかし○役男子は肝を冷やしたのか少し焦った様子だ。
…普通バレるに決まってんだろ。馬鹿なのか?とは思うが、この世界でバレないのは経験済みなので特に何も言わない。
ちなみにこんな授業は日に4回くらいある。なのでそういう時の授業は話半分に聞いている。
ちゃんと授業やれよ教師共、とは思うが数が多すぎて指摘するのも面倒なので、自習している。
…こんな時に前の世界の授業の有り難さを感じるのはとても悲しい気持ちになる。
「おい…香織…分かってるな?」
「……はい…」
(また○TR系か…)
放課後。クラスのマドンナとか呼ばれている女子に近づく小太りの男子。コソコソ話している風だが普通に聞こえる。
しかし他の学生達は突発性(ry)になっている為か気づかずに楽しそうに話している。
1人気づいている感じの奴もいるけど、どうせ○取られ役だろうから実質0である。
相変わらず酷い世界だなと思いながらも達郎は帰路についた。
…助けないのか?昔に何回か、可哀想なのは助けたけど結果的にそういう末路になるので、途中から阿呆らしくなって止めた。
助けた次の日に○取られるってどういう事だよ…
という訳で達郎はこの世界ではこういった行為を目に入れないようにしている。たとえ認識したとしても、今日は○取られの季節か…とか思ってスルーしている。
しかしそんな達郎にも、関わらなければいけない案件がある。それは…
「…………」
「ここ日本だぞ…?ファンタジー系じゃないからな…?」
帰り道に女子高生が倒れているのを発見した達郎。此処は貧民街か?と脳内でツッコミを入れるが、現にこういう出来事は稀にではあるが遭遇するので、受け入れるしかない。
「はぁ…電話電話」
勿論掛けるのは警察ではない。何故かこういう時に掛けると鬼畜系の○役に電話が繋がるので、警察は頼りにしていない。
別に普段からも頼りにはしていないが。何だよ…鬼畜系か、単純にクズな奴にしか通じない救急電話って…
と、そんな風に内心で愚痴っているとお目当ての相手に電話が繋がった。
『達郎か。どうした?』
「……何時ものヤツです」
『ああ…それか…』
電話相手の名前は
しかしその裏の顔は、気に入った女を調教して自らのペットにするという変わった趣味の持ち主だ。
ここまでならば鬼畜系の奴と大差は無いのだが、松下さんは自分のペットにした女には優しい。なので比較的マシな方である。
という訳で面倒そうな女は大体松下さんにぶん投げている。
『ふむふむ…見た目は細いが悪くないな…』
「…どうですか?」
『気に入った!今何処だ?』
「えーと、場所は─」
倒れている女子高生を見ながら自分の居場所を伝える。断られたらそのままにするつもりだったが、彼女は幸運だったようだ。
大体こういう行き倒れ系女子高生の末路は碌でもない。玩具にされるか、もしくは…
こういった思考や行動に戸惑いが無くなった辺り、自分も染まってきたのだなと嫌な実感が湧いてくる。
「はぁ……終わった、終わった」
「──ンホォ゙ォ゙ォ゙ォ゙!!!」
玄関の扉を開け、我が家に帰る。あの後色々とあったがそこは割愛しておく。
隣から聞こえる獣の声をスルーしながら、玄関の扉を閉める。すると備え付けになっていたポストの中に何かがあるのを見つけた。
「…チラシ?今時珍しいな」
内容は新しいテーマパークのお知らせであった。しかしこの世界はアレな世界。普通のテーマパークではない。
開園記念サービス有り!!
フリー○ックスOK!従業員との楽しい○Pも!
年齢不問です!皆様を○楽の宴に─
「………………この国大丈夫か?」
「──オッホ〜〜!!!」
こんなモノを許可したお偉方を思い浮かべると頭が痛くなってくる。この痛みは久し振りだな…と達郎はチラシを破り捨てながらゴミ箱に捨てた。
一応R18にならないようにしましたが、アウトならば別の所に。
達郎
○貞。だってこんな世界で女性と関わるの怖いし…との事。