エロゲ世界転生は地獄   作:ニンカタ

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続いたやつ


第3話

 

 照りつける太陽。辺り一面に咲くヒマワリ畑。そして屋根付きのベンチ。そのベンチに座りながら達郎はふと下を見る。そこには1列に並んだ蟻達の姿があった。

 夏の風物詩をこれでもかと見るとノスタルジックな気持ちを抱く。不思議なものだ。そして…

 

 「うわぁぁ!!!」

 「ん?」

 

 まだ幼さの残る叫び声を耳にして、達郎は上を向く。するとベンチに座る自分の前を、短パン小僧の少年が走り去っていった。

 …まぁ達郎は大体この時点で察しがついたのだが。

 

 【ポ!ポ!ポ〜〜!!!!!】

 「うわ…ショタコン怪異…」

 

 想像の通り。短パン小僧が走り去ったすぐ後、身の丈が8尺は超えるであろう白いワンピース姿の女が走り去っていった。

 頭には麦わら帽子を被り、一瞬だが見えた体は出るところは出て、引っ込むべきところは引っ込んでいる、所謂グラマラスな体型だ。

 外見だけを見れば誰しもが美人だと思うだろう。しかし正体を知る達郎からすれば…

 

 「夏になるとほんっっとうに出るよな…アイツ…」

 

 ある事情により、達郎はショタコンが大嫌いである。なので走り去った女を思い出すと不快そうな態度を隠そうともしない。

 

 

 八尺様。ある界隈では有名な存在なので知っている人もいるだろう。なので細かい説明は省く。

 知らない人は取り敢えず少年を襲う怪異とでも覚えておいてくれればいい。

 

 さてこの世界。エロゲーが基になっているのは周知の事実であるが、エロゲーにも色々な種類がある、中には幽霊と○ッチしちゃった~とか、妖怪に見初められて〜とかである。

 まあ何が言いたいかというと、この世界、幽霊とか怪異とか普通に出てくるのである。

 

 「勘弁してほしい」

 

 達郎が無表情ながらも、そう嘆くのも当然であろう。只でさえ頭を痛める行為がそこかしこで頻繁に行われているのに、更にはオカルト的な存在まで相手にしなければいけないのだ。

 もう脳みそが沸騰しそうである。しかも…

 

 「役に立つやつ居ないんだよな…」

 

 本当ならばショタコン怪異の魔の手から少年を助けだしてあげたいところなのだが、自分にはそんな力が無い。

 かといって頼りになるかと思って訪ねた、近くの神社の神主は…

 

 「八尺様に見初められたんか!??もう終いじゃあ!!」

 「あっはい…」

 

 何か、終いじゃ爺さんが出てきた。これには達郎もコイツ役に立たないだろうな…と直ぐ様その場を後にした。

 怪異に対して役に立たない人材まで再現するのは辞めて欲しい。

 達郎は今頃八尺様の餌食になっているであろう短パン小僧の少年を思い浮かべながら、悲しい気持ちになるのであった。

 

 夏には決まって尺八様が少年を襲う姿を見る事になるのだから、達郎も家とこの町から逃げたくなるのも道理というものだ。

 夏以外ならば大丈夫なのではとも思うだろうが、怪異は一つだけではない、とだけ言っておく。これ以上は思い出すのもダルい。

 

 「何がポポポだよ…どうせ○ンポ○ンポって言ってんだろ…」

 

 我ながら情けないとは思うが悪態をつく事しか出来ない。達郎は蟻達の行進を眺めながら、尺八ショタコン怪異に負け犬の遠吠えをするのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 【ハハハ!!!礼を言うぞ!人間よ!!】

 「」

 

 さて、現実逃避は辞めて目の前の状況に対処する時だ。

 達郎の足元には寂れた祠の残骸が転がっている。

 そう。あれは都会の喧騒から離れたくて森の中に天然イオンを求めに来たときの出来事であった。

 

 

 

 

 「うお!?ヤベ!!」

 

 コケた。すると近くの何かに体をぶつけた。寂れた祠だった。壊れた。何か出てきた。終わり。

 

 

 

 

 

 【我が名は鵺!!平安の都を蹂躙した大妖怪である!!!】

 「そんな強大な妖怪の封印が雑すぎるんだよ…」

 

 鵺。確かにそう云われると猿の頭をしていて、胴体は狸。手足は虎のように見える。尻尾は蛇だ。(○oogleより)身の丈も自分の体の倍以上だ。

 

 ーお前あの封印破ったんか!??もう終いじゃあ!!!ー

 

 ふと壊れた祠を見ると、頭の中に終いじゃ爺さんの声が響いた気がした。

 無理だって。ていうかさっきも言ったけど、そんなに危険なやつならしっかり見張り役付けておけよ。此処まで来るのに徒歩数分で特に柵も無かったぞ?どうしろっていうんだよ…

 

 【フハハハ!!!晴明!先ずは貴様の子孫を根絶やしにしてくれるわ!!そしてその後に百鬼夜行を─】

 「晴明さんも結構フリー素材だよな」

 

 どうやらこの怪異は安倍晴明に負けたらしい。日本屈指のフリー素材は織田信長であるのは満場一致の意見であろが、安倍晴明もフリー素材としては負けてはいないよな。

 人間、生命の危機が迫るとどうでもいい事を考える。

 

 【フハハ!!!ふぅ…さて先ずは手始めにお前から……居ない……フッ…逃げたか】

 

 一頻り自分の計画をぺらぺら喋って満足した鵺は達郎の命を啜ろうと先程まで達郎が居た場所に目を向ける。しかし其処には誰も居ないもぬけの殻。

 流石に我に返った達郎は楽しそうに話している鵺に気付かれないようこっそりと逃げ出したのだ。

 

 【フフ!復活祝いの狩りと思えば楽しみよな!!!】

 

 鵺はそう云うと達郎の後を追い始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 「電話出来ねぇ!!適応力高すぎだろ!!」

 

 怪異あるある、何故か電子機器が使えなくなる。

 

 別に妖怪とか悪魔とかが何か不思議な術使うのは良いよ?でもさ、元はただの人間だったやつがいきなり死んだだけで不思議パワー使えるようになるってズルくない?

 

 「お前平安時代のやつだよな!?今は○和だぞ!!」

 

 適応力が高いと言うと、今話題の○虎羅君が頭をよぎる。でも○虎羅君でも、現代の文化にいきなり対応とか出来ないと思うんだよね。

 ガコンッってしなきゃ駄目なんだよね?

 

 「封印が軽すぎる…!!!」

 

 振るわれる力に対して封印が緩すぎる。よく今まで封印解けなかったよな。達郎は息を荒げながらも何処か冷静にツッコミをいれる。

 

 (あそこに!あそこに行けさえすれば!!)

 

 普通ならばこの後達郎は目出度く第一犠牲者になるのだろうが、ここは怪異だけの世界ではない。エロゲ世界だ。

 故に毒をもって毒を制する事が出来る。これはこの街に引っ越してから見つけた手段だ。

 

 

 

 

 「オッホ!ホ!ホ!ホ〜〜〜!!!」

 (着いた…!後は居るかどうかだ!!)

 

 達郎が向かったのは自身が住むマンションであった。何時もの通り聞こえる獣の声を無視しながらも隣の部屋の呼び出しボタンを連打する。すると…

 

 『……はい……何ですか…?』

 

 寝起きなのだろうか、少し機嫌が悪そうな声がインターホン越しに聞こえる。申し訳ないがそれを無視して達郎は要件だけを素早く伝える。

 

 「怪異です!助けて下さい、義男(よしお)さん!!」

 『あ〜達郎君か………お金あるの?』

 「取り敢えず二万は出せます!!!」

 『うーん………前金だよね?』

 「はい!後で払います!!!」

 

 背に腹は代えられない。学生であろうが容赦なく金を要求する隣人にインターホン越しに頼み込む。実際お金でどうにか出来るのならばそれに越した事はない。

 

 【追いついたぞ…!人間!!!】

 「!?」

 

 何やかんや交渉をしていると、後ろから声が聞こえる。今更ではあるが、おどろおどろしい鵺の声を聞くと体が震え上がる。

 達郎のその様子を見てほくそ笑んだ鵺は猿顔の口を大きく開け、達郎に襲いかかった。

 

 「オラ!女体化!!!」

 【!?】

 (よし!勝ったな!!)

 

 達郎に鵺が襲いかかる瞬間、ドアから出てきた義男は渾身の正拳突きを鵺に食らわせる。

 その攻撃が自分に効いたのを驚く鵺。しかし義男の正拳突きはダメージを与えるだけではなかった。

 

 【オオ!?オオオオオオ!!!???】

 

 見る見るうちに姿を変えていく鵺。達郎の倍以上はあった体躯がどんどん縮んでいく。やがて鵺の姿は変わり果て…

 

 「な、何だこれは!?」

 

 其処に立っていたのは長く伸ばした黒髪の女性であった。服は着ていないので体の造形がしっかりと分かる。

 見た目は二十代後半と言ったところか。

 

 「あ、これ二万円です。」

 「…後で五万円くらいくれない?」

 「時間は掛かりますが、払うので…」

 

 自分の変わり果てた姿に動揺している鵺を尻目に義男と達郎は金銭のやり取りをする。

 これで暫くは新しいギャルゲーが買えない…それが達郎の胸の中に重く伸し掛かった。

 

 「じゃあ義男さん。有難うございました」

 「金払えばまた受けるよ」

 「ちょ、ちょっと待て!?」

 

 達郎は義男に感謝を伝えると自分の部屋に帰っていった。感謝の言葉を軽く受け取り、義男は鵺の腕を引くとそのまま自分の部屋に戻っていた。

 抵抗する鵺だが、非力な人間の体になったためか抵抗出来ずにそのまま家の中に連れ込まれた。

 

 「さーて、暫くヘッドホンしてと…はぁ…貯金が崩れるなぁ……」

 

 どうせこの後起こる事は分かっている。なので達郎は、外の音を遮断するお高めのヘッドホンをしてギャルゲー三昧に耽るのだった。

 明日から少しバイト増やさないとなぁ…という憂鬱な気持ちを抱きながら。

 

 

 

 




達郎
見かける怪異は○ロ怪異くらいだったので今回はビビった。今日もギャルゲーに心を癒やされる。

義男
禿げた中年のおっさん。
この力を使い自堕落に暮らしている。
自分の事を気味悪がらない、やってる事を咎めない、なので何だかんだ達郎への好感度は高い。それはそれとして金は貰うけど。


お前のような人間に以下略。それ以降は大人しくしている。他にも彼女のような怪異が住みついてる。

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