Urban Archive   作:うちげば

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かつての愛 - Ⅱ


 

<<あんたの討ち逃がしたやつが、ねじれになって…アビドスでお待ちになってるかもよぉ?>>

 

「…詳細を話せ。あるいは近くに居るんなら姿を見せろ。」

 

殺すべき相手、討つべきねじれ。それが存在する以上本腰を入れないといけない。

全部狩るべきなんだ。ねじれも、悪質な”アイツら”も…。それがフィクサーの仕事(俺の成すべき事)だから。

 

<<残念だけど遠いとこから電話してるから姿は見せられないかな。けど詳細は教えてあげる。>>

 

<<まず蛇と杖は覚えてるね?>>

 

「当たり前だ。忘れるはずがない。」

 

<<その連中がね、あんたを半殺しにしかできなかったって悔しんでてさ…だから――>>

 

<<色々”待遇”してあげたんだよ。>>

 

「それで…それがなんだってんだ?」

 

<<いんやぁ?ただかわいそうじゃないかい?あんたを逃して、しかも自分たちはあんなザマだなんてねぇ…>>

 

<<だから「今から送る場所であんたらの存在意義を示してこい」って、送ってやったのさ。>>

 

「…おれが一文無しだったせいで対価を払えなかった事へのあてつけか?」

 

<<ちがうってば、ただアンタがどうやって約束を守りぬいてくれるのか気になるってだけ。>>

 

<<それに…もしかすると、こっちの方が息子に会える確率が高いかもだし?>>

 

「もういい。死に晒せよ。」

 

そう呟いて電話を一方的に切る。

これ以上はまずいと本能が警鐘を鳴らし、気分をいつものに切り替える。

 

「最悪な奴からのいたずら電話だったよ。ははっ。」

 

「…ねえ。」

 

「うん?どうしたんだ?」

 

「紫の涙は貴方をどうおもっているの?駒?、ねじれっていうのは何?」

 

ああ。そうだよな。そうなるよな。

 

「前者は何とも、後者は心が折れるだとかが原因でなるって事しかまだ分からない。」

 

「そっか。」

 

「ま、面倒ごとが増えたのは残念だが…俺にしか関係ない事なんだ。気負わずにやってこうや。」

 

「関係なくないよ!」

 

「無い」

 

「貴方だけが背負えるほど軽くない、それでいて苦しさを感じる事なんでしょ?だったら…。」

 

「無いさ。」

 

「いいや、ある。」

 

「無いんだ」

 

「あるよ、だって――」

 

「無えんだよッ!!」

 

「…!」

 

チビが咄嗟に依頼人の前に出てきやがる。

 

「だめ。言いかた、きつい。この人はしんぱいしてるだけだよ?」

 

「……悪い、少し苛立ってた。」

 

「いや…、こっちこそ、ごめんね。」

 

「はん。気にすんな。」

 

「あの…大丈夫ですか?」

 

「うん?まあ…大丈夫だ。」

 

ユウカが心配そうに顔色を窺ってきた。

そして俺はそのお節介(暖かさ)をいつもの雰囲気でやんわりと振り払う。

 

な?言ったろ。関係ないって。

俺をどうこうしたいんなら、『綺麗な声』以上の美声を持ってくるこった。

 

「おい、聞こえてんだろ?AI。」

 

「アビドスに行く準備を手伝ってやれ。俺は先に外で待ってる。」

 

◆=◆=◆=◆=◆

 

さぁてそんなこんなで空気の悪い砂漠旅が始まった。

 

「…。」

 

「……」

 

ヒュ―、見ろよこの冷え具合。砂漠の暑さも一気に氷点下だ。

 

「ねぇ……」

 

「ンだよ?」

 

「お水、ない…かな?お茶でも…いい…んだけど……」

 

違うのかよ。んで水かよ。

 

「予備は?」

 

「もうね…ないの。あと…干瓢しか…ない。」

 

なんだよカンピョウって。なんでそれしか無いんだ。

 

「あんた生粋の狂人か?…、俺は丁度一人分…いや二人分?しか持ってきてねえぞ。」

 

にしても、手紙に書いてあった『襲撃』の二文字…焦りと心配が見える筆記体で荒廃している可能性を予想してたが、これほどだったとはな。

砂、砂、砂。昔のパンフレットしかなかったがあれには砂祭りどうこうって書かれてたけど……こんなに砂って多いもんか?

 

ああやこうやと悶々と考え事をしていると、前方から自転車に乗った少女が来た。獣耳ついてんなやっぱ。

 

「…ん。なにしてるの?」

 

「御覧の通りあっちの準備不足の馬鹿たれがグロッキー、俺もそのせいで足止めだ。」

 

「おみずとかないかなぁ?」

 

「こんな状態のとこにそう都合よく飲み水として使える水があると思うか?」

 

あったとしても少量だ、万一オアシスがあったとしてももだいぶ衰退してるだろうし。

 

「うーん…、そうだ。これ。」

 

「スポーツドリンクかなんかか…いいのか?」

 

「ん。」

 

「ありがとな…おい!もうちったぁ歩けるだろ、さっさと来てくれ!!

 

「んうおぉぉ!一歩一歩が遠いよォ!ヴぁああぁぁ!」

 

こういう時の気迫だけは一人前だ。疲弊具合と内容には頭を抱えるが。

 

「はぁ…はぁ…ついたよ。」

 

「良かったな、目的地まであとだいぶだ。」

 

「急に…現実見せてくるね…?」

 

「それよりほら、ちっとはくれるってよ。」

 

「……あり、がとう。ね。」

 

依頼人は手渡された飲み物だけ(・・)を手に取り――

そっから飲んだ。

 

「え…?」

 

「―ふはぁ…。」

 

「嘘だろおい。」

 

ドン引きだよドン引き。コップ出してくれてたじゃねぇかしかも。俺が持ってきたやつだけど。

 

「ありがとうねほんとに…ぁぁ。」

 

「……うん…。」

 

照れてる場合じゃねえよ。普通に事案が起きてるんだぞ?

 

「そういえば…あなたたちは?」

 

「俺たちか。えーと、シャーレ…だったよな?」

 

「そうだよ。私はシャーレから来た先生なんだけど…アビドスってどこか知らないかなぁ?」

 

「ん。シャーレの人たちならついてきて…案内する。」

 

「ありがたいこって。」

 

「…あのぅ。」

 

なんだ?

 

「足が棒になっちゃってるから…おぶってもらってもいいかな?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

誰かァ!こいつしばけェ!もう駄目駄目だァ!!


”ふと、シャーレ近くの道の片隅に自販機が置かれているのに気が付いた。 どうやら四つの商品を扱っているらしい。一つ買ってみよう。”(E.G.O.I.S.T選択)

  • ▼赤い缶 (アビドス)
  • ▼青い缶(パヴァーヌ)
  • ▼紫色の缶(アリウス)
  • ▼”…。”(別の選択肢が発生)
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