Urban Archive   作:うちげば

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交渉 - なんだよエビ人間って?


 

愉快な音楽が鳴るボート、その上で屈強な男たちとエビ共、そして俺が両者睨み合っている。

 

【駄目だ!俺たちの新しい船の動力源には()()が必須なんだよ、渡せるかってんだ!!】

 

ルナからもらった通訳機を介して目前のそいつらと話をするが、一向に話が進まない。

 

「けど俺たちも要るんだよあれが…頼むから譲ってくれないか?」

 

【無理だ…、本社の”WeAreNotPrawnReallyISwear(マジで俺らエビじゃないよマジで)”に言ってもらわないとな。】

 

【ちなみに株式だから買ってくれるとありがたいんだが…興味ないか?】

 

「無い。…あとエビだろ。」

 

エビ(Prawn)なわけあるか!目ェ腐ってんのか!?】

 

【ドラムに詰めて沈めんぞ、お!?】

 

「悪かったから怒鳴り声を出すなよ……。」

 

捜査に来ていたであろうヴァルキューレ生が人語ではない怒鳴り声に驚いて橋からこちらを覗いてきたので「気にしないでくれ」と言って手を振る。

 

「…分かった、じゃ取引と行こう。」

 

「望むものを言ってくれたら…それと交換でどうだ?」

 

【ふん。まあいいだろう。】

 

「すんなり受け入れてくれてありがたいよ。それで?何が欲しい?」

 

【取引先だ。】

 

「取引先?」

 

【ああ、エビ漁をしているからな…どこかに卸せないかと思っている。】

 

「そんな場所知ら―いや、待てよ…いくつかあるぞ。」

 

そう言ってPADを取り出して、ある所に電話をする。

 

「やぁヒナ、ちょっといいか?」

 

<<あら、何なの?>>

 

まず1か所目、ゲヘナ学園だ。

 

「あーっと、給食部の予算ってどれくらいあるか知りたいんだけど…」

 

<<知ってどうするつもり?>>

 

「エビ漁業者が卸先を欲しがってたからどうだろうって思ったんだけど、駄目か?」

「どうにか負けてもらえないかって交渉もするからさ。」

 

【もしOKなら初卸先って事で特別に100(アン)までなら負けてやる。】

 

<<何か聞こえたけど?>>

 

「あぁほんの気持ち多めに負けといてくれるって言ってた、気にしないでくれ。」

 

<<そう……、少し待ってて。>>

 

音声が待機音楽に切り替わってしばらく待つ。

 

 

<<――待たせたわね…あんまり資金的余裕はないけれど、それでもいいならこっちで手配を手伝うって業者さんに伝えてくれない?>>

 

「ありがとう、そうする。恩に着るよ…それじゃ。」

 

<<えぇ、また。>>

 

「よし…まずひとつ、ゲヘナ学園の給食部が許可を出してくれた。」

 

「けど資金振りは悪いらしいからそっちでどうするかは決めてくれ。」

 

ゲヘナ学園の所在地と注意事項…「人語を喋れるやつを連れてけ」をメモし、屈強な男に渡す。

男は力強く乱雑に、しかし破らぬよう繊細にメモを受け取る。

 

「うむ。」

 

こいつ喋ったな?

 

【ひとつ、という事はまだあるのか?】

 

「当然。」

 

2か所目、紫関ラーメン。

 

<<…あァいもしもしィ!?>>

 

「大将…エビ興味ないか?」

 

<<ハ?でかした!今丁度エビを使った新メニューを考えてた所だったんだよ!!>>

 

「って事は…?」

 

<<業者に言っといてくれ、出来る限り正規の値段で買うってな!>>

<<…うぉぁっちい!!>>

 

――そのまま連絡が切れた。

くたばってないよな?あれ。

 

所在地と注意事項を書いて、また手渡す。

 

【まだあるか?】

 

「当然。待ってろ。」

 

3か所目――――――――――――

 

◆=◆=◆=◆=◆

 

「―――こんだけありゃ十分だろ?」

 

結局あの後9件ほど卸先を教えた。

無駄に大変だった…。

 

【いや。また新しい船も要る。】

 

嘘だろそれもかよ

 

「船か。」

 

船ったって…いや、あそこなら――

 

 

「…よぉ。」

 

<<…驚いたな、そっちから電話をくれるだなんて!>>

 

ミレニアムの技術狂い、こいつらなら大丈夫だろ。

 

「今ちょっといいか?船って作れるよな?」

 

<<当たり前だとも、どんな船が必要なんだい?!>>

 

「あー…小型漁船。ボートなボート。」

 

<<漁、船…?>>

 

「そう、漁船…知り合ったエビ漁師が欲しがってるんだ。」

 

「あぁ絶対碌でもない機能は付けるなよ…Bluetoothなんざいらん。健・全・な漁業用ボートだ。」

 

<<ぅぐ、わ…分かった。>>

 

【CDplayerとスピーカーは必要だ、その二つは付けておいてくれ。】

 

「…CDplayerとそれ用のスピーカーは付けろってさ。」

 

<<ほ、本当か!?>>

 

そんな盛り上がる事じゃないだろ…。

 

「ああ。」

 

<<よぅし、そういう事なら任せてくれたまえよ!!>>

 

 

<<さぁみんな!船だ、船を作るぞ!!>>

 

 

そのまま、切れる。

テンション上がってんなぁ……

 

ミレニアムの場所とエンジニア部の事を書いたメモを渡すと、エビ共が満足したのか何か話し合いをしだした。

 

「どうだ?譲ってくれるか?」

 

【そうさな…、船を入手出来次第この船ごとくれてやる、それまでは待てとしか言えん。】

 

「そうか…絶対だぞ?」

 

【無論。証拠の証として本社の新作を飲ませてやる。】

 

ん?エビ人間が飲ませてくる…どっかでそんな噂を聞いたような…。

エビ…蓋の開いた缶…、まさかッ――!!

 

【さぁ、飲め。新作の――】

 

まずい、そう思っていつでも動けるように構える、が―――

 

【…『トロピカルパインソーダ』だ。】

 

――出てきたものは、普通だった。

 

んな訳あるか、絶対何かあるに決まってる。

 

【飲まんか?なら…おい。】

 

「おい」という掛け声で横のエビ共が羽交い絞めにしてきた。

してやられた。

 

足掻いて抜け出そうとするが力が強いようで抜け出せない。

 

「ごほっ…がぼぼぼがぁッッ!!」

 

無理矢理流し込まれる液体。

…ん?

 

「げぁっほッ…、マジで普通の『トロピカルパインソーダ』じゃねぇか…。」

 

【なんだ、警戒していたのか…こっちじゃ羽交い絞めにして流し込む”パフォーマン(演出)ス”は受けが悪いのか?】

 

「当たり前だ…なんなら開いた缶で眠らせて拉致なんて以ての外だ…。」

 

【世知辛いなぁ…。】

 

「…絶対この都市じゃやるなよ?」

 

【だが自販機が壊されたらどうする?絡まれたならどうすればいい?】

 

「あんたら力強いしどうにかなるって…というか多分キヴォトス人相手でも殴り勝てるぞ?」

 

…キヴォトス?

まあいい。

 

「それに治安維持に関してはそこらの巣や裏路地より遥かにマシだ。」

 

【そうか…。】

 

「ああ。それよりさっさと帰るか。」

 

【まぁ焦るな、これも持っていけ。】

 

「…おぉ、ありがとうよ。」

 

 

 

 

 

こうして、不可思議なエビ共との交渉は終わった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

にしてもこの虹色のエビ、なんなんだ?

 


 

戦闘表象 入手 ≪ E.G.Oギフト - 『最高に絶好調だぜ!』

 

”虹色のエビの形をしたギフト。

 果実に似た甘美な匂いと磯の香がする。”

 

効果:

混乱抵抗値の減少率が5%低下。

「破片 - ”蛇の眼”」使用時15%の確率で体力を10回復。

「破片 - ”エビ漁”」使用時の威力+5

 


”ふと、シャーレ近くの道の片隅に自販機が置かれているのに気が付いた。 どうやら四つの商品を扱っているらしい。一つ買ってみよう。”(E.G.O.I.S.T選択)

  • ▼赤い缶 (アビドス)
  • ▼青い缶(パヴァーヌ)
  • ▼紫色の缶(アリウス)
  • ▼”…。”(別の選択肢が発生)
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