Urban Archive 作:うちげば
「目覚めたか?」
「…なんで居るんだ?」
昨日会った男が、何やら書類らしきものを持って立っている。
「…実は謝っておくべき事とこれを忘れていてな」
「謝っておくべき事?」
「ああ、紫の涙なんだが…どうやら平行同位体が存在している。私のミスのせいで発生したらしい。」
「へぇ…待て、平行同位体ってなんだ?」
「違う世界線や時間軸、或いは別次元から来た完全な同一個体。」
……………ん?
確か頭の連中が都市には同じ存在が何人もいてはいけないとかって…まずいんじゃないかこれ!?
「終わった…。」
「それと、今回の時間軸を埋め込む過程で不備が生じてな…、あぁ不備というのは具体的には『本来のシナリオが想定以上に崩れかけている』という状態だ。」
ツーアウトじゃないか…。
「完璧だと思ったんだが…人生どうも上手くいくとは限らなんな。」
「どこが完璧だ……」
「まだあるぞ。ルミス、スィーネ、ルナの三人は機械で構築した存在なんだが…他にもいる。」
「その他ユニットの一部が逃亡し行方不明になった。」
もう帰れあんた。
「まぁあの二人はどうせお前がやったんだって思ってたし、ルナも不思議ではないけど…それより機械で構築した存在って大丈夫なのか?」
「…全個体とも、認識フィルターや認識阻害の類はついていない。ルナに至ってはかつてのL社の様にAIの代用品として「あれ」を使っている。」
つまり技術で姿を誤魔化さずに完全な人の形で造ったって訳か……。
そしてルナはL社の噂と同じ手法を使ったと………
え?
嘘だろ?都市じゃそんな機械、とりわけ人工知能やAI搭載機は全部ご法度…見つかれば全て破壊されて開発者は処刑なんて事になってもおかしくはない筈…。
なんなんだコイツは!?禁忌ばっかりじゃないか!!
「くっ……………一応関係的には俺が部下だから殴れないってのがなんか嫌だな。」
「最後にいくつか捨てられたものを含めた特異点技術を無断使用している。すまない。」
「謝ってどうにかなるもんじゃないけどなぁそれェ!?」
特異点技術――。数多の超大企業の一つ一つ、「翼」が持ち得たるオーバーテクノロジー…折れた翼の物ならまだしも本来ならば大枚はたいて手に入れられる現役の翼の物を遠く離れたここキヴォトス…とかいう場所で無断使用?馬鹿でもしない。なんなら猿でもしない。
やれば速攻頭の連中が血眼でどうにかこうにかかっ飛んできてえらい事になる。
ひょっとして”蛇の眼”の世界線がダメになったのってコイツのせいじゃないか?!
しかもそんな事をやっておきながら平謝りとかなんなんだコイツは本当に!!
「話は終わりだ。書類はここに置いておく。」
「おう。」
全てを諦め書類を見ると、ちゃっかりJ社の特異点「錠前」特有の模様が浮かび上がっている。
さっそく碌でもない方法で情報漏洩を防いでるな……
「鍵はお前自身だ…故に目を通せない事はないだろう。」
「…そうだ、あのラーメン屋が爆発したらしいぞ?」
「唐突だなオイ!!」
「あんた達…よくもこんな酷いことを…ッ!!」
「いやあの、これはちがくて……」
「何が、違う…?」
どうも皆さん知っているでしょう?
先生で御座います。
ラーメン食べてたら便利屋68の子たちが爆弾誤爆させちゃってさぁ大変。
みんなも来ちゃってもう大騒ぎですよ
あっこらこらラルクス、相手はキヴォトス人なお陰で耐久凄いけどそう殴ろうとしないの
いま貴方顔が怖いから落ち着こう一旦、ね?
「はい座ろう、ひとまず落ち着こうか…。」
「クソ外道共が……。」
「――そっ…そうよ!これでわかったでしょうアビドス、私がどんなに悪党か!!」
(終わったー!もうどうにでもなぁれ!!)
「ア、アルちゃん…。」
「…スィーネ。」
「誤爆です。」
「…。」
カバンが露になり、鍵が開いた。
まずい。本当にまずい。
どうする?ラーメンすすって場を濁す?
…いや、ふざけたらかえって刺激しちゃうか。
「ルミス、どうにかならない?」
「勿論、と言いたい所ですが大将が怪我してるんでねぇ……」
「もういい、さすがに限界だ。」
「こんな事あってたまるかってんだ……」
「…覚悟しろ。」
「今日、都市の星がひとつ沈む事になる。」
「………」
「あらぁ、どうやら選択を間違ったみたいっすな。」
(な…
◆=◆=◆=◆=◆
便利屋68の子たちとの交戦を開始してしばらく、両陣営とも息が上がり始めた頃。
「…終わりか?」
「ちょ…あ、あんた達…なんでこんなしぶと…」
そこまでアルちゃんが言いかけたその時
耳が潰れんばかりの音と共に砲撃が降り注いだ。
「チっ。」
〔3km先に大勢の擲弾兵を発見!!〕
「誰だ?!」
ルミスちゃんの声をかき消して更なる砲撃が降ってくる。
〔兵隊の所属確認できました、ゲヘナの風紀委員会!一個中隊の規模です!!〕
「へぇーゲヘナねぇ…。ここに何の用かな?まあ大体の予想はついてるけど……」
「ん、便利屋を狙ってる。」
「あの迫撃砲だな」
「68、あんたらは大将を頼む、その後身を隠せ。」
「え?」
「待って――」
あれ?そういえばなんで私だけ無事なんだろ?
もしかして―――――
「私も狙いの一つに含まれているのかな?」
〔皆さんご機嫌よう、私は天雨アコ。ゲヘナ学園風紀い…いえ、我々は業務の一環として来ただけですよ?!〕
通信が入って早々に図☆星☆!
なーんでこうも分かり易いんだろうか…。
「へぇーたった四名の便利屋の為だけにこんな数…随分と随分だね?」
「知りたいなーその魂胆、その目的、私が居るのに砲撃した意図、知りたいなーあ!?!?!?」
〔ン…兎に角、私達は業務の一環で来ただけですので!!どうかご協力を頂けませんか!?〕
「焦りが凄いよー?どうしたー?」
「まさか本命私じゃないよねぇ?で独断で人がご飯中に動いたとかじゃないよねぇ!?」
「…いずれにしても、このまま大人しく引き渡すつもりはない」
〔……、大人の先生が担当する超法規的な部活「シャーレ」と聞いて…あのぅ〕
〔…ど、どう考えても、怪しいじゃないですか?〕
〔そういう訳で――〕
「や、どういう訳?」
〔…。〕
黙っちゃったかぁ。
「いや、まぁ…怪しいは怪しいし謝るけどさぁ……」
「無いよね、計画性が。」
「あと独断で動いたら駄目だと思うんだけど?」
〔……。〕
「仕事も増えるだろうしさぁ……」
〔ぁ、ごもっともで……。〕
〔アコ。〕
〔ねえ、今どんな状況なの?〕
〔委員長…!〕
〔…あぁ、大体わかったわ。後で始末書と反省文、書いてもらうから…反省文は500枚ね。〕
〔……はい。〕
〔じゃ、そっちに向かうから。〕
〔え?〕
◆=◆=◆=◆=◆
「……大体の事情は分かった。正式な文書はあとで送るとして、この場で謝罪させてもらう。」
「今後許可なく風紀委員会がアビドスの自治区に踏み込むことはないから……帰るよ、回復したら撤収作業開始。」
掛かる重圧の中、とぼとぼとゲヘナのみんなが撤収作業を始める。
「あなたが小鳥遊ホシノ……?1年生の時とはずいぶん変わった、人違いじゃないかと思うくらいに」
「うん?私のこと、知ってるの?」
「会ったことはないけど、知ってる…。情報部にいた頃、要注意人物として登録されていたのを見たから。」
「あなたが先生ね。カイザーの件は知ってる?」
「勿論。」
「そう、ならいいわ。それより…あれ、何?」
「ふえ?」
エビ人間だ。
エビ人間が大将の救助と修復を行っている。
全員が慣れた手つきだ。
……………じゃなくて!!
「なに…あれぇ??」
「あいつら…来てたのか。」
「…まあいいわ。それよりもう一つ…」
「カイザーと近い区域で、怪しい怪物の噂があるの…長い茶髪でスカートとワンピース、その上からジャンパーを羽織った女性を思わせる姿の怪物の噂が。」
「…モイス………?」
(肉体として)選ばれたのは、お姉さんでした。
都市都市してきましたねぇ……。
”ふと、シャーレ近くの道の片隅に自販機が置かれているのに気が付いた。 どうやら四つの商品を扱っているらしい。一つ買ってみよう。”(E.G.O.I.S.T選択)
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▼赤い缶 (アビドス)
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▼青い缶(パヴァーヌ)
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▼紫色の缶(アリウス)
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▼”…。”(別の選択肢が発生)