Urban Archive 作:うちげば
任務 - アビドス ≪太陽みたいに暖かい夢 - Ⅰ≫【17】
「カイザーと近い区域で、怪しい怪物の噂があるの…長い茶髪でスカートとワンピース、その上からジャンパーを羽織った女性を思わせる姿の怪物の噂が。」
「…モイス………?」
嘘だ。
本当なものか。
「あ…あぁ……」
いいや、何かの冗談だ。
忘れよう。
「は…ぁ…。」
「なにか知って――どうしたの!?」
概念焼却機は今手元に無い……
忘れろ。
閉じろ。
閉じろ。
閉じろ。
閉じろ。
閉じろ!!
「ちが…う……」
カチッという開錠音が何度も脳裏に響く
その音に合わせて景色がよぎる。
思い出して…あの景色を。
そうすれば忘れられて気が楽になるはずだから。
声…?
貴方は気張りすぎなのよ、きっと。
きれい、だ…………
「ラルクスっ!!」
あ。
「…あぁ。」
そうだな。
「勿論、知ってる。けど…言い難いな。」
「それに―――――」
どうでもいい。
面倒だ。
「いや、何でもない。」
あの後
連中がカイザー管轄下の場所へ行ってそのまま借金増えたりなんだったりな。
けどどうだっていい。そんなの些細事だ。
なんせ今は――
「ホシノちゃん…すこしいいかな?」
依頼人からの新たな
内容は簡単…依頼人、シロコ、そしてホシノの三人の会話を録音する事。
今の所上手くいってる。
「ん~…、何?」
「この退部届の事。」
「それ、って…。」
「うへ~、いつの間に?これ…盗ったのはシロコちゃんだね?」
「PMCの拠点から帰る時に盗った…。これ、どういう事?」
「シロコちゃん、いくら何でも先輩の鞄を漁るのは駄目じゃないかなぁ?」
「先生ーちゃんと言っておいてよ~?あのままじゃ、泥棒にでもなっちゃっうんじゃないかっておじさん心配だよぉ~…。」
「うん。でも今はこれについて聞かせて欲しいかな。」
「そっかぁ~…どうしても?」
「そりゃね。」
「…、この退部届は…アビドス対策委員会を抜けようとしているっていう意味合いで合ってる?」
「そうだねー…、でも逃がしてはくれないんでしょ?」
「当然、誰も手から零さないのを目標にしてるからね。」
「はぁ、仕方ないか…。」
「先生、ちょっとその辺を一緒に歩かない?」
移動するのを確認してついていく。
しかし…なんでこんな情報が欲しいんだ?
「けほ、うわぁーもう砂だらけじゃんかさー…」
ここら辺は必要ないな、一旦切ってまた録音を…ああくそ、UIのボタンが全部小さい!
あの
「ホシノちゃんはこの学校が本当に…本当に、大好きなんだね」
「どうしてさ?」
「綺麗な笑顔だもん。」
おぉ…向こうの暖かさとは逆に寒気がしてきた、砂漠はこれだから嫌だ。
「へへ…、砂漠化が進む前はアビドスは大きくて力のある学校だったーってよく言われるけど……」
「そんなことないんだ。最初から全部が全部おかしくって、何一つ真面なものなんかない場所だった。」
「おじさんが入学した時にはもう砂漠の中に埋もれてたし、当時の先輩達だってもう皆いないしねぇ。」
「…でも、好きだった?」
「…うん、ここは引っ越しを繰り返して辿り着いた別館だけど…まだ暖かいから。」
「それに此処に来てからシロコちゃんやノノミちゃん、アヤネちゃんにセリカちゃんにも会えた。」
「けど…」
「…先生はどう?」
「好きに決まってるよ!」
「ここはアビドスのみんなの太陽だからね…だから皆がしっかり護って来た。それに――」
「太陽は一つじゃない…、ホシノちゃんだってきっとそのひとりだよ。」
「えぇ~…なんだかむず痒いなぁ…」
「――でも、おかげで言う気になれたよ。」
「だから、先生…。ちゃんと話すね。」
「うん。」
「私は2年前から変な人達から提案を受けてたの。」
「提案?」
「うん。カイザーからスカウトというか…、アビドスに入った直後からずっと、何回もオファーをね」
「退学して指定の企業に所属すれば、アビドス高校が背負う借金の殆どを負担するって。」
「しかも私の体に10億近い値を付けてる。あからさまに破格だったけれど、でも当時は私がいなくなったらここが崩壊するって思ってたから、ずっと断ってた。けど――」
「アイツらはPMCで使える人材を集めてる。」
「多分悪い事考えてるんだと思うよ、カイザーPMCも組んでるだろうね。私は正体を知らないけど。」
「名前は?」
「私は黒服って呼んでる。黒い服で黒服、単純だよねぇ~。」
黒服、か…。
「怪しい奴だけど、でも別に何か問題を起こしたりはしてなかった。」
「ただ…何なんだろうね。あのカイザー理事ですら、黒服の事は恐れているように見えたけど……。」
「じゃあ、これは」
「んー。ちょっとした気の迷いっていうか……うん、もう棄てちゃおうか」
「余計な誤解をさせちゃってごめんね。ただ、こんな話を皆にしたところで、心配させるだけで良い事なんて何一つ無さそうだったからさ。」
「でもまぁ…可愛い後輩達にいつまでも隠し事をしたままっていうのも良くないし…。明日、皆にちゃんと話すよ。聞かされたところで困っちゃうだろうけど、隠し事なんてないに越したことはないだろうからね。」
「……どうにかなる。だから、大丈夫…信じててよ。」
「いつか…光があるようにって祈ってる。」
「そっか。」
「…じゃ、湿っぽい話はこれでお終いだね!私も帰るから…。おやすみ先生、また明日ね~!!」
「あはっ…あぁ。」
「ユメ…先輩…、きっと…大丈夫だよね?」
◆=◆=◆=◆=◆
「アビドス対策委員会の皆へ。」
スィーネさんの冷たい冷静な声が手紙の文字をなぞっていく。
「まずは…こうやって…手紙で…お別れの挨拶を…する事になったこと…許して欲しい。おじさんには…こういう…古いやり方が…性にあっていてさ……」
ルミスが怒りを滲ませた声でゆっくりと読む。
「皆には、ずっと話していなかった事があって──実は私、昔からずっとスカウトを受けていたんだ。カイザーPMCの傭兵として働く、その代わりにアビドスが背負っている借金の大半を肩代わりする……そういう話でね? うへ~、中々良い条件だと思わない? おじさんこう見えて、実は結構能力を買われていてさ~、凄いでしょ? 借金の事は、私がどうにかする。直ぐに全部を解決は出来ないけれど、まずはこれでそれなりに負担が減ると思う。ブラックマーケットでは急に生意気なことを云っちゃったけれど、あの言葉を私が守れなくてごめんね。でも、これで対策委員会も少しは楽になる筈だから。アビドス高校からも、キヴォトスからも離れる事になったけれど、私の事は気にしないで──勝手な事をしてごめんね。でもこれは全部、私が責任を取るべき事……私は、アビドス最後の生徒会だから。だから、此処でお別れ。じゃあね。」
感情の無い声でラルクスが読み切る。
” 先生へ
実は私、大人が大嫌いだった、あんまり信じてなかった。
シロコちゃんが先生を連れて来たあの時だって、なんか駄目な大人が来たなって思ったくらいだし?
でも、先生みたいな大人と最後に出会えて、私は……いや、照れくさい言葉はもう良いよね。
先生、最後に我儘を云って悪いんだけれど、お願い。シロコちゃんは良い子だけれど、横で誰かが支えていないと、どうなっちゃうか分からない子だから、悪い道に逸れちゃったりしないように、支えてあげて欲しい。
先生なら、きっと大丈夫だと思うから。
シロコちゃん、ノノミちゃん、アヤネちゃん、セリカちゃん
お願い、私達の学校を守って欲しい。砂だらけのこんな場所だけれど……私に残された、唯一意味のある場所だから。
それから、もしこの先どこかで万が一、敵として相対する事になったら……。
その時は、私のヘイローを壊して。
──よろしくね。 ”
「…待ってて。」
私はまだ諦めない。
だって、ホシノちゃんも諦めてないんだから。
「アロナ、生徒に緊急で連絡を入れて。」
『分かりました!!』
「少し本気出さないとねー…!」
『連絡完了です、先生!』
「さっすがー!!」
みんなだってそう。
「鉄指事務所、現所属フィクサー各位揃ってるな?」
「ええ。」
「今回のターゲットはカイザーPMCのアビドス拠点…そこへの襲撃を支援する。文句ある奴は前に出ろ、非常時にぶー垂れるアホはどうなるか力の限り教えてやる。」
「ねぇよ!準備ばっちしってなぁ!!」
「そうか。なら準備でき次第俺たちは持ち場について待機、
待っていて…必ず、日の目を見せてあげる。
「めんどくせぇ事のツケは払ってもらうぞ…クソカイザー共。」
「
「ここからが…皆の青春なんだから!!」
アンケートの結果僅差でアビドスが選ばれたので実質全章でE.G.Oが出てくることになりました。
ネタが切れるか慣れてない脳がストライキするかエタるかのチキンレースが始まったねぇ…。
”ふと、シャーレ近くの道の片隅に自販機が置かれているのに気が付いた。 どうやら四つの商品を扱っているらしい。一つ買ってみよう。”(E.G.O.I.S.T選択)
-
▼赤い缶 (アビドス)
-
▼青い缶(パヴァーヌ)
-
▼紫色の缶(アリウス)
-
▼”…。”(別の選択肢が発生)