Urban Archive   作:うちげば

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任務 - アビドス ≪太陽みたいに暖かい夢 - Ⅱ≫【18】


 

決行日、当日。アビドス正門前にて、今回の救出作戦に参加する全員で簡易的な会議を行いつつ最後の準備を始めていた。

各々が各々の装備を点検しては提案を出し、それを私が安定して作戦を遂行できる形にまとめて、そのデータを元に皆に役割を割り振っていく。

 

「…。」

 

「ラールークースーのーだーんーなー、どうするさ?」

 

「ルミス…、彼にとってこれは重要な事ですから。」

 

「けどなぁ、大事だろ?」

 

いつもの三人はどうやら慣れているようで、ブリーフィングを終わらせるとすぐに装備の再確認をしつつ伸び伸びと寛ぎ始めた。

 

一方のアビドスのみんなは大真面目、ホシノちゃんの救出をしくじるまいと無言で準備を進めている。

 

 

「先生、準備できました!!」

 

「おっ、それじゃぁ行こうか!」

 

皆準備できたみたいだし早速出発だー!!

うん?

 

…あー、はいはい。

 

いやなラブレター(黒服からの連絡)、来ちゃったねぇ。

 

「…ごめん、ちょっと火急の用が出来ちゃったみたいで……」

 

「え?!」

 

「いや、厄介なのが来ちゃってね…。まぁでも、ミレニアムにとりあえるしトリニティへの支援要請もできるから…でも離れる訳にはなぁー……」

 

「…おい。」

 

「ラルクス?どうしたの?」

 

「向こうから連中が来てる、多分クソカイザー共だ。」

 

「はいィ!?」

 

「であんたは用事だろ?なら話が早い、ココは任せてくれ。」

 

「…ゲヘナも込みで指揮、できる?」

 

「あたぼう、昔何回か大規模の指揮をやった事がある。だが俺は今通信をあんたとあと一人としか繋いでいない、余裕があればアンタもやってくれ。」

 

「そっか、じゃぁ…お願い。あとはミレニアムにもとりあうだけだね」

 

「…コネでミレニアムの連中に連絡を入れたからそいつらに会議場所近くの座標を送れ、んで話が終わったらその足でトリニティに行け。迎えはアンタが送った座標に来るはずだ。」

 

「ありがと。」

 


 

『ク…ククッ、ようこそお越しくださいました。』

 

「ッ先生!!」

 

「やっほー、…さすがに貴方のラブコールに苛ついたからね。忙しいのにさーなんで今送ってくるかね?」

 

『申し訳ございません、それと…お気の毒ながら既に彼女はこちらにサイン済ですので。』

 

「確かにそうだね。でも、まだ顧問がオーケーを出してないよ。」

 

『はて…顧問、とは?私が知る限りでは現時点での最高責任者は委員長である彼女だけの筈…。』

 

『…いえ、居ましたね。貴女という顧問が。』

 

「話が早くて助かるな。まぁそういう訳で、貴方がやった事は余裕でアウトだから。」

 

『ええ、確かにこの一連の物事はアウト…と言えるでしょう。』

 

『ですがそれが何か?』

 

「その契約は無法もいいとこ、しかも子供特有の至らなさにつけ込む最悪な手法で追い込んだ上で結ばれそうになってる。」

 

「それだけじゃ無い…生徒としての全ての権利を譲渡、つまりいち学生、いち子供としての自由を総て奪われた挙句、奴隷の様に扱われて…さらに実験に使われるだなんて―――」

 

「あんまりだよね?」

 

『ほう…。』

 

「それに、大人がなってない。大人の責任があったもんじゃない。」

 

『―成程、大人の責任ですか。』

 

『……、それが貴女の想う大人であればそうなのでしょう。否定は勿論の事、批判や拒絶、糾弾や拒否もいたしません。』

 

『ですが我々ゲマトリア、ひいては私の在り方は、その形とはまた別な形状のもの…大人の()()と言えるものだとは思いませんか?』

 

『物販店が顧客の欲望と要望、願望を叶え満たすべく物を売るように。』

 

『病院の医療従事者が患者を治療し、精神的に支えるように。』

 

『教師が様々な物事を教え、世界を広く見られる知識を覚えさせるように。』

 

『そしてその全てが、対価や()()()犠牲の元成り立っている。』

 

『…我々の行うこれらもまた、そうだとは思いませんか?先生。』

 

「変な事いうんだね。」

 

『そう言われるとは残念です…何分私は、貴女は我々と良い関係を築けるかと思っていましたので。』

 

「ならないならない、だって仮にそうなっても私の望んだ未来なんて来ないもの。」

 

『…では、一体貴女の望みとは?』

 

「彼女達が知るべき事を教えて、至るべき方へと案内して、堕ちぬよう懸命に…けれど邪魔にならない様に寄り添う。」

「大人の責任は、そういう事。私の望みはこれだけ。」

 

『クク…。ならば、貴方にとって我々は……』

 

「…もう、わかったよね?」

 

『―えぇ、確かに仰る通りです。』

 

『私達は他人の不幸を用いて自らの利益を手に入れようとした事は否定しません。私達の行動は善か悪かと問われればきっと悪でしょう…、しかしこれはルールの範疇です』

 

『それに…弱者が強者に利用されるのは常々有り得るもの――』

 

「もういい。ともかく、私は仲間にならないしホシノは返して貰うよ。」

 

『…最後にお聞きしたいのですが、貴女自身を蔑ろにして他人の為に他人を救うのは…何故?一体何故なのですか?』

 

「答えは全部言った。」

 

『ククク…そうですか。』

 

『にしても、悪趣味ですねェ…、ゲヘナも巻き込むとは。』

 


 

――1日前――

 

「急にごめんねー?至急ヒナと面会したいんだけど…あぁもし居なかったらマコト議長でいいよー」

 

「こんにちは、軽くご用件はお聞きして…え……?」

 

「あ駄目?」

 

「当たり前だ、ただでさえ忙しい委員長にそんな簡単に会えるわけないだろう。まぁ、土下座して私の足を舐めるんならっておい待て馬鹿何を――」

 

「イオリ!」

 

「ヒィ!」

 

「んぇ?」

 

「な、あ…えぇ?!プライドとか迷いとかないのかっ!?」

 

「プライドは浜で死にました。」

 

「なに訳の分からない事を……というか離れろ!!」

 

「…あら?何かあった?」

 

「ひ、ヒナ委員長?どうして此処に?」

 

「万魔殿との定例会議中だったのだけど連絡が入ってね…ホシノがPMCの手に落ちたんでしょ?」

 

「うん、電話で話した通りだよ。」

 

「ほう、連邦生徒会が何かと思えばそういう事か…。ゲヘナ学園へようこそ先生、万魔殿の議長である羽沼マコトだ」

 

「同じく万魔殿の議員、棗イロハです。」

 

「よろしくね。それでなんだけど、状況は把握してくれてるよね?」

 

「無論だ、こちらは既に人員をそちらに割く準備が整ってる。できれば戦車も出したかったがな。」

 

「風紀委員も準備できてるから、いつでも命令をちょうだい。」

 


 

『―子供を戦争に加担させる、それこそ大人の責任がないのでは?』

 

「戦争じゃないよ、ただ取り返しに来ただけ。」

 

『取り返しに、ですか……ではもし仮に私がここで貴女を始末すると言えば?』

 

「これだよ。」

 

『おぉ…心臓に悪いですね。それは…大人のカードはいずれその代償を以て、貴女を我々と同じにしますよ?』

 

「知ってる。けど、だからって皆を天秤の錘には使えない。」

 

『ククッ…覚悟の上でですか。』

 

『――ああ、御足労様でしたでしょうし、ひとつ、忠告を。』

 

『ラルクスの宿敵が一人、レミントン…彼は我々と共に在りません。』

『ですのでどうか、お気を付けて。』

 


 

「間に合ったァーーッ!!」

 

「いいから引き継げ!数が多い!!」

 

あーもう乱雑だなぁ…あれ?

 

「トリニティに行くの忘れてた!」

 

やば、どうしよう…。

 

「あほか…どうにかやるっきゃねえぞ!」

 

〔正面方向に敵を確認!かなりの規模の部隊です、もう直ぐ接敵します!!〕

 

「対応準備――」

 

 

 

 

 

 

 

 

音が鳴る。

 

 

 

 

 

 

 

 

砲撃が飛ぶ

 

 

 

 

 

 

 

そして――――――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

「…支援、砲撃?」

 

シロコがそう言って視線を向けた先に、牽引式榴弾砲と見慣れた制服の軍勢が現れた。

 

〔L118…トリニティの牽引式榴弾砲です!一体どうして…?!〕

 

〔あ…あぅ。私、です〕

 

聞き覚えのある声、確かヒフミちゃんだったっけ?

でもどうして??

 

「あっ!ヒフ―」

 

〔ちっ違います、私はヒフ…ファウストです!!〕

 

〔えーっと…?〕

 

「わあ、ファウストさん!自分で名前を言っちゃいそうになってましたがそこはご愛嬌ということで!」

 

「あ、あれっ…と、ともかく…このL118はトリニティの牽引式榴弾砲ですがし、射撃を担当してる方も含めてトリニティ総合学園とは一切関係ありません!」

 

成程ね…無関係を装って介入か。

 

「すみません、このくらいしかお役に立てずに…」

 

「無いよりマシだ、急げ!!」

 

ヒフミちゃんが喋ってる途中でしょうがー!

まあいいか、さっさと次の手を考えよう。

 

「は、はい!……えっと、みなさん、頑張ってください!!」

 

「アヤネ!相手はどうだ!?」

 

〔はい!敵はさっきの砲撃で混乱状態にあります!〕

 

「了解、それじゃあ畳みかけよー!!」

 


”ふと、シャーレ近くの道の片隅に自販機が置かれているのに気が付いた。 どうやら四つの商品を扱っているらしい。一つ買ってみよう。”(E.G.O.I.S.T選択)

  • ▼赤い缶 (アビドス)
  • ▼青い缶(パヴァーヌ)
  • ▼紫色の缶(アリウス)
  • ▼”…。”(別の選択肢が発生)
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