Urban Archive   作:うちげば

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時系列がいつも以上に変動します。
今度こそ避けたかったけどダメだったよ…(´・ω・`)




任務 - アビドス ≪太陽みたいに暖かい夢 - Ⅴ≫【21】


 

「アロナ、お願い!」

 

『はい!!』

 

大蛇型の大型兵器。

まるで神話に出てくる怪物のような存在が動いている。

 

「…ちょっと、何なのあれ!?」

 

「知らない。けどあんなのさっさと潰しちまえばいいっしょ、社長。」

 

ゆったりと砂を泳ぐそれは、ヘイローを持ち、意思あるかの様にこちらをカメラで見る。

 

「システムよし、……音声繋いで。」

 

『了解しました!』

 

私は目を見つめ返し、そしていつも通り皆に言葉を伝えた。

 

「”やっほー、聞こえてるー?”」

 

「”いつも通り私が指揮に回るから、みんなであの大きいのをどうにかするよ!”」

 

「どうにかする、って…どうやって?」

 

ホシノちゃんが不思議そうに聞いてきた。

 

「”んー…、どうにか?”」

 

「ダメじゃないの!!」

 

「”冗談冗談、ちゃんと考えてるよ。皆の連携が上手く取れるようにね。”」

 

 

「”じゃ、早速戦闘開始!!”」

 

 


 

「爆発音…、始まったか。」

 

「……何故そうも落ち着いていられる?」

 

ほんの数舜だけ、先の戦闘で自前の武器を打ち付け荒れた地面を見る

 

「慣れだろ、ザネリ。」

 

前にヒナから聞いた「長い茶髪でスカートとワンピース、その上からジャンパーを羽織った女性を思わせる姿の怪物」、その特徴と一致する姿のレミントン(ザネリ)を見下すようにして。

 

「U社の海に居る親父から…有毛人魚の毛皮の上着は届いたか?」

 

「まさか…。外郭にあった俺たちの町は潰れたし、もう届きゃしないだろ。」

 

「スィーネ、向こうを手伝って来い。こっちは心配ないさ」

 

「はい。」

 

「…丁度カ()パネルラも居るし、昔の話でもするか?」

 

「へぇ、ジョバンニは僕を思い出してくれたのかい?驚いたな…錠前の効果が思い出そうとする脳の動きに抑制されたんだね。」

 

M社の特異点技術であり精神的苦痛を緩和し防ぐ「月光石」の装飾が入った白いケープマント…恐らくハナ協会の物に身を包んだ青年が、感嘆を口にしながら現れる。

 

「まぁそうだな…何時の日か振りに今と昔の事を語らおうか、ハーブティでもどう?」

 

「またそれかよ…。」

 


 

〔~~~♪、ケンタウロスや~、露降らし~♪……〕

 

〔ちょ、ちょっと?ルミスさんあの状態で呑気に歌ってるんだけど!?〕

 

「セリカちゃん、前!前!!」

 

〔え…わああぁ!!!!〕

 

〔おじさんの盾におはいりー!〕

 

「ナイスホシノ!アル、狙撃で意識を逸らして!!」

 

〔言われないでも!!〕

 

飛び交うミサイルを遮蔽や回避で対処して進んでは虚を突き隙を突く、けれども大型兵器はびくともしない。

どころか首を擡げ、振り下ろし、転がり、突き進んで来もする。

ルミスちゃんがさっきからずっと兵器の目の前を疾走して囮をやってくれてはいるけど、それでも厳しい。

どうにか、どうにか決定打を与えるには――――――――――――

 

「オペレーターの子たちはサポート急いで、ムツキはトラップ設置!!」

 

〔おっけ~♪〕

 

返事があってしばらく、恐らくムツキちゃんがトラップを仕掛けたであろう位置に着いた兵器の足元が爆発した

でもやっぱり効いてないのだろう、咆哮が聞こえるだけだ。

 

「…道中の攻撃で結構ダメージは入ってる筈。」

 

事実ここに来るまでに数百は軽く超える攻撃を与えてるし、アロナとミレニアムの皆によればあと少しで崩れるか機能停止するという分析結果が既に出ている。にも関わらず攻撃の勢いは衰えない。

 

「なら、どうして……」

 

〔遅れました、依頼人。ルミスは迎撃に参加なさい。〕

 

「スィーネさん?!」

 

〔―――――この蛇…、何かおかしいですね。〕

 

〔だよな、なんか硬え。〕

 

「へ?」

 

硬い…?

装甲の材質が特殊なのか。

だとすればもっと人手がいる…、支援部隊から何人か引っ張ってくるべきかな?

 

〔でも覚えがあるんだよな、…確かX社だっけ?あそこの安い合金がちょうどこの硬さだった気がするけどな?〕

 

「何か方法は?」

 

〔無い、叩いて装甲割るなら日が暮れるぞ?あぁでも……〕

 

 

〔俺も参加するから、〕

 

 

 

ガスンッッ!!

 

 

 

〔―――マジに日が暮れる事はないか。〕

 

「嘘…!」

 

〔え˝!?あのデカい奴の鉄板吹っ飛んだんだけど!?〕

 

拝啓、連邦生徒会長様。

もしかするとシャーレが暴力組織と勘違いされる日が来たかもしれません。

 


 

「なん、でだ…お前は裏切ったのか?」

 

天井という天井がぶち抜かれ、吹き抜け状になった廃墟ビルに怪物の声が木霊する。

 

「僕はこいつに会う為にお前を飼ってただけだよ…、まぁその品の無い服装と紫の涙の声を真似して悪戯電話ってのは予想外だったけどさ。」

 

姉さんの遺体を「品の無い服装」呼ばわりされて少し嫌になったのを見て、カムパネルラが軽く謝ってきたが良い気はしない。

 

「さ~さ~おあがりよ、ジョバンニくんの鞄に入ってた紅茶だ。」

 

「けっ、良いザマだなぁーザネリよぉ…。」

 

「あっはは………ね、ザネリ。どうして都市に行った後、義体にしたんだい?どうし川に落ちたお前を助けたジョバンニをだましたんだい?」

 

カムパネルラが営業の笑顔から今にも声を荒らげそうな険しい表情になってザネリに聞く。

 

「完全な、肉体。それが欲しかった……これは若く可能性もあったからな。」

 

「そんな理由で法外な金吹っ掛けて、しかもその金と遺体の両方を持ち逃げした訳?脳だけ残して。」

 

「…。」

 

「…続きは協会にしょっ引いてから聞いた方が良さそうだね。」

 

親友の口がカップから紅茶を綴る。

それを見た俺も、つられて紅茶を綴る。

 

「っぁ、いいねぇこれ…。でさ、どうだい()()()()…こっちは楽しめてるか?」

 

「正直に言って合わない。あっちもこっちも腑抜けてる。」

 

「だよねー、お前はそうだと思ったさ…。一緒の組織に来ない?こっちで僕が立ち上げたんだ。」

 

同じタイミングで紅茶を飲む。

 

「…組織の考えは?」

 

「…お前の今の組織、――シャーレとあともう一つのと同じだよ。

生徒やお前、お前みたいな連中に救いの手を差し伸べるんだ。」

 

救い、ねぇ…。

 


 

〔――装甲全部、無くなり…ましたね。〕

 

「早くない?」

 

外部装甲が只の鉄板と分かってからの皆の行動は早かった

私が指揮をするよりも先に集中砲火を浴びせて全て引っぺがしたのだ。

 

ルミスちゃんに至ってはそれはもうモン〇ンみたいに滅茶苦茶やってた

死んじゃうかもしんないし危ないでしょうがぁーッ!!

 

「それはそうと危ないからルミスは接近戦禁止ね」

 

〔今SMGねっすよ?〕

 

「銃無いのォ!?」

 

〔なっ…おい、誰か予備銃を持っててやれ!〕

 

「イオリ良いから!ステイ!今危険だからこっち!!」

 

〔呑気に話てる場合じゃ無いよ!熱原反応!!〕

 

〔恐らくレーザーです、障害を貫通してくるかと。〕

 

「ビーム?!」

 

ビーム……、避けさせる?

いや、直線上を撃ってくるだけとは思えない。

…発射前の挙動でどうするか考えた方が良さそうかな。

 

あとは少し配置を変え――

 

〔何者かがこちらに凄い勢いで接近しています!〕

 

〔なんか…なに?あの服着た機械〕

 

「うぇ?」

 

 

 

「「「うおおおおおおおおおおおおおおぉぉ!!!!! ぎょ、漁夫の利ぃ!!」」」

 

 

 

「なにあいつら!?」

 

〔…あれ鉄の兄弟の連中だよな?〕

 

現れたのは鉄の兄弟なる三人組。

 

「こ、コンスター、あ、アーノルドい、急ぐんだ!あ、あのデカブツにやられる前に、た、倒しきれ!!」

 

「む、無茶だよモー!で、デカブツがこっちを見てる!!」

 

「あ、アーノルド!し、食券が手に入るかもしれないんだぞ!?」

 

「い、いや新しい義体だろ!?」

 

「こ、このブリキのアホ共が!て、手に入るのは金だろ!!」

 

なにやら揉めている。しょーもない事で。

でもお陰で大型兵器が違う方向を向いた

 

「今だよみんな!最大火力で畳みかけて!!」

 


 

「…今の所はどこに肩入れを?」

 

「所属が曖昧だが…一応シャーレと鉄指、あともう一つの組織に入ってるよ。」

 

「そっか。」

 

暫くの沈黙が流れる。

 

「ね、ジョバンニ。シャーレと鉄指はいいけど、もう一つの組織は抜けるべきだ。」

 

「どうして?」

 

「ねじれの戯言ばかり信じてもあれだろ?それにやり方が雑だし。」

「まぁルナや鉄指の3人は回収してあげるからさ、おいでよ。」

 

確かに良さそうだ、けど色々と()がある。

 

それに都市の約束事は絶対が無い。ひょっとすれば、ルナや鉄指の3人を回収してくれないどころか向こうに連れ戻されるかもしれない。

それだけじゃない、4人とも機械の身である以上破壊処分は免れないだろう。

 

「悪いが無理だ、すまんな。」

 

「ふーん、じゃいいや…。」

 

そう言ってカムパネルラの雰囲気が変わるのを察した俺は咄嗟にカバンを開けて銃と放電マクアフティルを取り出すも、その頃には既に白色のライフルと黒い何かに覆われ槍形の塊となった手が迫って来ていた。

 

「防ぐんだね…これを。」

()()()()、俺はお前を完全に信用しちゃいない…だから監視を付ける事にした。」

 

「名前はカオル、覚えがあるだろう?」

 

「…!あの雨嵐の日の!!」

 

雨嵐の吹き荒れるあの日、町の教会に親父が拾ってきた姉弟と独りの青年、そして他の連中。

なんでもU社のとある海を行く途中に氷塊に船が突っ込んでくたばりそうな所を拾われたらしく、皆面白いやつらだったが…全員徐々に衰弱し、結局翌朝一人残らず駄目になった。

そして、その連中の中に居た姉弟の姉こそがカオル、カオル子だった。

 

「そうそうあいつ驚いたよ…再会できただけじゃなくって、まさかの頭上に輪っかもこさえてたんだから。」

 


 

「「「う、うおおおおおおおおおおおおおおあぁぁぁ!!!!! 」」」

 

 

ズドーン!!

 

 

「「「わ、わあああああああぁぁぁ!!!!! 」」」

 

 

ドガーン!!

 

 

…あほだ。

生粋のあほ三人組が必死になってビーム避けながら巨大な兵器から逃げてる……

 

〔ね、ねぇ…あれって放っておいていいの?〕

 

〔わ…分からん。〕

 

「どうしよ、どうでもいっか。」

 

〔匙を投げないでください先生!〕

 

ノノミちゃん、どうしろと?

愉快な事になってるのにどうしろと!?

あっ鉄塊不審者集団こっち来た来ないで走るな来るな!!!

 

「わああぁ!どうしよ、こっちに来てる!!」

 

〔待ってろ先生、今狙撃を――〕

 

「「「がっ!!」」」

 

こ………………………………

 

 

こけたーーーーーーー!!??

 

 

「も、モー、さ、流石に駄目だもう帰ろう!」

 

「そ、そうだよ!た、ただでさえ結構な距離走ったのに、こ、これ以上は工房製のちゃっちぃ義体の足じゃ到底持たない!!」

 

「う、うるさい!!は、走れ走れ走れ!!」

 

それでもめげずに鉄の兄弟たちは走ってくる、でも――

 

ドスッ

 

イオリの狙撃が着弾、と同時に結構素早く怯んだ。

 

「ひ、ひぇっ!そ、狙撃だぁ!!」

 

「て、撤収!」

 

「お、覚えてろよー!!」

 

〔何しに来たのかしら、あいつら。〕

 

〔…あっ!巨大兵器沈黙しました!!〕

 

〆を持ってっただけじゃんかあの義体たち!!

もう少し活躍してってよ、なにあの三下っぷり?!

 

「お、おっけ~……怪我した子とか居ない?大丈夫そ…?」

 

〔うへ、こっちは大丈夫だよ~、〕

 

〔こちらアコ、負傷者はいません。〕

 

〔こっちもです!でも、先生こそ大丈夫ですか?〕

 

「んー…今ね、凄く休みたい……主に最後の三人組のせいでもの凄く休みたい。」

 

もう…なんなんだろ、あいつら。

 


 

「……向こうが終わったみたいだね。」

 

白色のライフルと槍形の塊が退く。

 

「いいかいラルクス、今の所は黙っておく。でもカオルが何か知ったら…俺たち総出で始末するから。」

 

「それとジョバンニ、もう少し楽しめよ。」

 

「楽しむって…何を?」

 

カムパネルラはそう聞いた俺に、にこやかな顔を見せてこう答えた。

 

 

「ここはさ、ちょっとのミスは笑い飛ばせるんだよ。それに真っ当な光に満ちてる……お前すら変えそうな程にね」

 

 

「それになんでもある…特異点技術以外はだけど。」

 

 

「冒険?いいね!観光?それも一興。誰かと出かける?あぁ、最高だろうね!!」

 

 

「お前が望めば此処は楽園となる筈だよ!」

 

 

「…だからここに慣れろ、そして二度と都市へは帰って来るな…きっと此処がお前の救いとなるから。」

 

 

「それとも…戦争を、ご所望かい?」

 

 

あぁ…また間違えたんだ、俺は。

 

 

「…まぁ、慣れてはみるよ。」

 

 

面倒だな。

 

 

「…そうか、ならいい。早く合流してきな。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うーん、それにしてもホシノか…不完全なE.G.Oを発現したらしいし、ちょっと見に行ってこようかな?」

 


”ふと、シャーレ近くの道の片隅に自販機が置かれているのに気が付いた。 どうやら四つの商品を扱っているらしい。一つ買ってみよう。”(E.G.O.I.S.T選択)

  • ▼赤い缶 (アビドス)
  • ▼青い缶(パヴァーヌ)
  • ▼紫色の缶(アリウス)
  • ▼”…。”(別の選択肢が発生)
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