Urban Archive 作:うちげば
「……ぎは~■■■■、■■■■です。」
「お降りのお客様は――――――――」
「どこだ?ここ。」
列車の車内か?
なんだっけな…。
あぁ、そうだ。
「…帰って来て寝たんだな、そういや。」
外を見る。
上は黒い星空。
下は青い青空。
二つの空の境界線には裂け目が、そしてその裂け目には色とりどりの水晶柱が乱雑に突き刺さっている。
「しかしあのフィクサーの会話の内容が思い出せないなぁ…いっそ誰かに頼んで錠前を開錠するか?」
懐かしい名前だったのだけは覚えている…えーっと確か…なんだった?
「分からねぇな、まぁいいさ。内容自体は重要じゃないんだろ。」
「――にしても…天気輪の柱は無いのになんでこの夢を見てるんだ?」
景色こそ違えど、本質はいつも天気輪の柱と呼ばれる装置がある丘で寝ている時にだけ見れたあの夢と同じ…一体こんな夢をなんで……
「あっ、起きた!」
「ん?」
「えっと…こんばんはラルクスさん、私はシャーレの連邦生徒会長です、よろしくお願いします♪」
シャーレの連邦生徒会長…?
「…噂で聞いた、失踪したんだって?」
「貴方は知らないうちに沢山情報を手に入れてるっていう話を耳にしたんですけど、すごい特技ですよね!!」
「はぐらかしたつもりか?」
「んぐっ…。」
眼を見つめる。
眼は情報を吸出す為のポートとするには最高だ、相手の本心をある程度知れるからな。
「…あのぅ、あんまり見つめられると…………………………」
「なんだ?」
「恥ずかしいというか、なんというか……」
「ま、許せよ。」
「うぅ…。」
「………………よし、それで?」
「じ―――――――」
生徒会長が喋ろうとすると、直ぐとなりの線路の上を裂け目の水晶柱と似た何かが恐ろしい勢いですっ飛んでいった。
「うぉっ――!!」
「…御覧に、なられましたよね?今の。」
「あ、ああ……何なんだあれ?」
「分かりません…だいぶ前に裂け目が出来て星空に変わった時からずっとあれが飛び交っているんです。唯一分かっているのは、あれがひとつ砕ける度に全てが振出しに戻るって事くらいで…。」
「砕ける度に、全てが振出しに戻る…?まさか、ドゥノのやつこんな技術を使って……!!」
「ッ!落ち着いてください!!」
ギシャーーーーーッッ!!
ドゴッ!!
「うおあぁ!!」
「きゃぁっ!!」
「くそったれ!なんなんだよ!?」
「あんまり大きい声を出すとっ、こっ、こっちに飛んで来るんですよ!!」
灰色の結晶柱が列車の車体を弾丸並のスピードで擦りながら壁を貫通し車内を通過していくのを避け、体勢を立て直す。
「怖え…あんなの食らえばひとたまりもないな。」
「冷静ですね…、私あれが壁を突き破って入ってくるのを初めて見ましたよ……」
「んで何だ?話か?」
「あっはい、そうでした!実は今、キヴォトスの運命が狂いはじめているのですが…なにかご存じですか?」
「さらっととんでもない事を言うな。でもあぁ知ってる…何なら元凶は知り合いだ。ドゥノって言ってな、出来れば俺がしばきたいがルナが世話になってるせいでどうにも出来そうにない。」
「捻れて歪んだ終着点を変えてほしいと先生にお伝えしたのに……このままじゃ、変わらないどころか皆が死んでしまう。」
「へぇ…そんなに事態がやばいのか?」
誰かがポカやって死人が沢山なんて事例は腐るほどあるだろうに…。
でもこいつはまだ子どもか。
「やばいなんてもんじゃないですよ!というかアビドスに至っては偶然どうにかなっただけで、下手をすれば私が回避したかった状況よりももっと酷い事になってたんですからね!?」
「…あー、具体的には?」
「…言えません、あれを思い出すだけでとても恐ろしくなるので。」
「そうか。まぁ十中八九トチ狂ったドゥノ辺りが精神汚染ばら撒いたか誰かが精神壊れて殺しまくったんだろ。」
「なんでわかるんですか!?」
「その手の事案は聞いた事があんだよ!!こっちで聞きたか無かったけどな!!」
「……っ!」
よせ、その顏は。
まるで「まさか幼少期からずっとそんな恐ろしい世界に…!?」みたいなその顔は止せ。
「まさか幼少期からずっとそんな恐ろしい世界に…!?」
「予想通りの台詞どうも!あと幼少期は…まぁ、普通だったよ。他所から来た客がくたばったり親友が川で溺死してそいつと最近再会したりもしたけど。」
「全然普通じゃないですよ!メンタル鋼…というよりも、傷だらけ??あと死んでしまった親友と再会って何ですか!?」
「おっと心はガラスどころか火薬だぞ?言葉には気を付けろよな。」
「あっごめんなさい…、でもよかった。貴方を知ってる人と事前に知り合ってて。」
「は?」
俺を知ってる人?
「カオルさん、でしたっけ?貴方の事を凄く心配してました…。お姉さんの事もですし、都市に出てからの事も。」
「けどカオルはハナ協会の関係じゃ…。」
「ええ、でも不本意だそうですよ?」
「不本意?」
「はい、どうやらそのハナ協会のあるフィクサーから「ラルクスを監視するか、かつての親族の巣の永住権を永遠に取り消すか」の2択を迫られたみたいで…渋々彼らに従わざるを得なかったみたいです。」
ハナ協会にもえげつない事をする奴が居たもんだな、まぁ都市じゃ普通か。
「いつものだな…ま、だからって俺は容赦はするつもりないけど。」
「容赦というと?」
「要するに…まぁなんだ、そういう事だ。俺は都市の人間でも裏路地寄りだし、何より出は外郭の町だからな。」
「…駄目です。」
「どうしてだ?あんたにゃ関係ないだろ。」
「誰かが貴方をこの物語の軸に接ぎ木した以上は絶対に駄目です!」
「あの馬鹿ッ…!」
顔の宇宙コマを回しながら「許せ」と平謝りするドゥノが脳裏に浮かんだ。
もうあいつは送り返すべきじゃないか?前も言ったなこれ。
「ん˝っ、まあいい。他には何か?」
「うーん……あっそうだ、ホシノさんの服と銃が変わった理由が知りたいです」
「あれか…事例は稀にしか無いらしいがE.G.Oとかって聞いた事があるぞ?」
「E.G.O…エゴって、あんまり良いイメージが湧かない名前ですね。」
「実際自身のエゴに忠実な奴は発現する可能性があるだろうからまぁ仕方ないさ。」
「でも違う形になる可能性もあるんですよね?」
「ねじれか?あいつら現象としては都市悪夢級だが個体毎に危険度が変わるんだよ、あれの対処に追われる有名事務所の奴等は可哀そうなもんだよなぁ~…。」
「それはそれとして、ねじれの発生し始めた時期を元に考えるとE.G.Oが出る条件が揃ってない筈なのに何で発現したのやら……………」
ねじれが発生し始めた時期より少し前、旧L社から突如光線が放たれ白夜と呼ばれる現象が。更にその後に発生した黒昼と呼ばれる現象の二つが発生した。恐らく諸所の原因はそれによる何らかの変化だろう。
3日間光に照らされた都市は得体の知れない暖かさに包まれ、4日間もの間黒一色の昼夜を過ごした世界はまるであの白昼夜が嘘の様に混沌としていて、経験した俺は最早訳が分からずてっきり軽めの幻聴・幻覚作用がある「エンケファリン」を用いるライターの燃料を酒と間違えて飲んだのかと自問自答した。
だがこのキヴォトスには白夜・黒昼の痕跡と言えそうなものは何も無い、つまり有り得ないんだ。
「声か。」
有り得ない筈だ。
なのに何故か発現した。
ともすれば、原因はあの日以来聞こえる様になった綺麗な声だろうか?
「…まさかな。」
「どうかされましたか?」
「あぁ、いや…可能性は低いぞ?でもああなった要因を見つけた気がしてな。」
「――少し前からだけど…綺麗な声が聞こえるような気がするんだ。もしかするとそれと同じものじゃないかって。」
「…お休みを取られた方が良いんじゃないですか?きっと過労ですよそれ?!」
「いやいい、仮に過労だとして今更だよ。」
『ラルクスおきろー』
『ラルクスさん、起きてください!』
「…なんか聞こえたな。」
「過労じゃないですかやっぱりぃー!!」
「いや…チビ助ともう一人、聞き覚えのある声がした。そろそろ起きるよ。」
「へ?起きるよ…って、自力で目を覚ませるんですか?」
「勿論。知り合いに鍛えられたからな。」
「むぅ…そうやって起きるのは体に障りますよ?」
「へいへい。」
◆=◆=◆=◆=◆
「んぉぐ、うぅ…ゴァッ!!」
「んぎゃー!!」
「ねぇ…なんで、ごっつんしたの?」
「ぁ…うぉぉ……知らん…。」
「ったぁ…あ、おはようございます!!」
「おう、…で誰だ?」
「えと…あった、名札!今日からハナ協会所属フィクサーからの頼み事で監視者の代役として来ました、黒川カオルです!!」
満面の笑み、しかしどこかひきつった表情で自己紹介をしてきたのは、カオル子だった。
頭上には形こそ独自だが見慣れた輪が浮いている。
「こっちの子はルナちゃんでしたよね?かわいーですね!」
「…ドゥノの意向により慣れ合うつもりはありません。」
「…!!」
フラれたな。
「ラルクスさん…。」
「そんな泣きそうな顔で見るなよ…。」
そう言って体を起こし外に出る、すると――
「や、ラルクス。遊びに来たよ。」
「!?」
寝起きドッキリとでも言わんばかりに、あの胡散臭いフィクサーが立っていた。
「いや~ホシノって子に興味が湧いてね、ザネリ達と一緒に来ちゃったよ!」
どうやら
休暇なんて無えよ()
ドゥノのやらかしが与えた影響は大きく、紫女量産計画事件等に加えて夢空間混沌パーリナイッ!ヒヤリハットもあるよ!!まで発生していた。連邦生徒会長は泣いていい。
黒川カオルが何故ひきつった表情なのか、それはラルクス!お前がカンパネルラの提案に乗らなかったが故に、彼女が利用される羽目になったからだ!つまりお前のせいだな、イシュメール!! (とばっちり)
胡散臭いフィクサー(カンパネルラ)御一行はホシノに熱烈アタックを仕掛けるつもりみいたいです。興味心自制しろ☆
”ふと、シャーレ近くの道の片隅に自販機が置かれているのに気が付いた。 どうやら四つの商品を扱っているらしい。一つ買ってみよう。”(E.G.O.I.S.T選択)
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▼赤い缶 (アビドス)
-
▼青い缶(パヴァーヌ)
-
▼紫色の缶(アリウス)
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▼”…。”(別の選択肢が発生)