ゲルショッカーが壊滅した事により滝がアメリカに帰る事になった。滝が帰る日の前日に滝の送別会が開かれ、その夜に俺は買い出しをすべく立花レーシングクラブを発っていた。
「滝ともお別れか、あいつの仕事の都合とはいえ寂しくなるな」
そんな独り言を言いながら夜道を歩いていると、俺の前方に一台の自動車が停まった。その車は車体前部に二門のガトリング砲が装備され後部にはブースターの様な物が付いている、本郷達の乗るサイクロンに似たカラーリングのオープンカーだった。
ん……?何処かでこんな車を見たような?更にその車から1人の人物が降りて来た。そいつは仮面ライダー1号2号にそっくりだったが、金色のマフラーを装着していて、四肢には枷が嵌められていた。こ……、こいつは……!
「お前は!!」
「俺は仮面ライダー3号。仮面ライダーギンガ、貴様の命を頂戴する!」
間違いない、彼は映画『スーパーヒーロー大戦GP』に登場した仮面ライダー、仮面ライダー3号だ。彼は本来『仮面ライダー』には存在しない人物だった筈なのだが、どうして居るのだろうか!?俺のそんな疑問を他所に、仮面ライダー3号は俺に向かってくる。俺もすぐさまギンガに変身する。
『ギィンギンギラギラギャラクシー!宇宙の彼方の!ファンタジー!仮面ライダー!ギンガ!』
「とうっ!」
「うおっ!?」
俺は3号に回し蹴りを喰らわす。しかし3号は咄嗟にガードし、反撃してくるが俺はその攻撃をいなして逆にパンチを叩きこむ。3号は俺の攻撃を受けて後ずさる。
「やるなギンガ!だが俺の敵ではない!」
3号はそう言って俺に殴りかかるが、俺も負けじと応戦する。そしてしばらく格闘戦が続くが、やはり3号は強い。このままでは分が悪いと判断した俺は、距離を取って必殺技を発動しようする。俺はギンガドライバーを押し込んだ。
『パンチオブザギンガ!』
俺の拳にエナジープラネットを纏わせパンチを行うが3号も
「ライダーパンチ!」
必殺パンチを放ってきた。俺と3号の必殺パンチがぶつかり合う。
「ぐおっ!?」
「むうっ!?」
パンチ対決は引き分けに終わり、俺と3号はそれぞれ後方へ吹き飛んだ。
「はあ……はあ……!」
「く……!流石だな、ギンガ!」
3号は肩で息をしながらも余裕を見せているが俺はそうはいかない。ライダーパンチ同士のぶつかり合いに加え、エナジープラネットを纏わせた拳の衝突だ。いくらダメージは少ないとはいえ肉体にも相当に負担がある!しかし3号の方もふらついている所からして、無傷ではなさそうだな。
「どうした?もう終わりか?」
と挑発してくる3号を余所に俺は考える。このままでは負けるかもしれない……。ていうか、そもそも何故3号は俺の命を狙ってくるんだ?
「おい、仮面ライダー3号と言ったな?何故俺の命を狙う?」
俺の尋ねに対し3号は、
「俺はお前達仮面ライダーに勝たなくてはいけない……!さもなければ俺の妻子の命が無いからだ!!」
と叫ぶ。妻子だと!?そういえば記憶の彼方の片隅に仮面ライダー3号こと黒井響一郎には妻子が居たという情報があったような無かったような……。彼の言い分が本当なら彼は家族を人質に取られていると言う事か……!
「お前の事情は分かった。だが、お前は俺達に勝てると思うか?1号や2号は俺よりも強いぞ!」
俺の挑発に対し3号は
「何!?」
と驚きの声を上げる。そしてしばらく考える素振りを見せると……。
「俺のスペックは1号や2号よりも高性能な筈だ!そんなハッタリに引っかかるか!」
くっ……、確かに映画だと3号は一度は1号と2号を倒す事に成功している。確かに信じられないか……。ならば、
「なあ、わざわざ家族が人質に取られているってことはアンタはいい人な筈だ!何処のどいつがバックに居るか知らんが言いなりのままでいいのか!?」
と俺が言うと3号は
「いい人……か。確かにお前の言うとおりかもしれん。だが、家族の為に俺は戦うしかないんだ!」
と言う。そうか……。彼は妻子を人質に取られながらも仮面ライダーとして戦わざるを得ない状況にあるんだな……。なら、
「分かった!俺も一緒に戦ってやるよ!アンタの奥さんと子供を助ける為にな!」
と俺が言うと、3号は
「いいのか?お前は1号や2号の仲間だろう?」
と聞いてくるが俺は
「俺にいい考えがある。俺に賭けてみないか?」
と答える。3号は少しだけ考えて、
「分かった。その提案に乗ろう」
と答えた。こうして俺と3号のタッグが決定したのだった……。
翌日俺は滝の送別会を中座し、本郷と一文字に連絡を取った。
『どうした昴?何かあったのか?』
と聞く2人に俺は
「ああ、実はな……」
と昨日の出来事を話した。すると2人は驚いた様子だったが、すぐに落ち着きを取り戻し、そして
『分かった。じゃあこういう事だな、“俺に合わせてくれ”と』
俺は頷いたのだった。
◇ ◇ ◇
ゲルショッカーの残党達は仮面ライダー3号、黒井響一郎の連絡を受けて廃工場に来ていた。来たの数人の戦闘員と、合成怪人、チーターカタツムリとアリマンモスだった。チーターカタツムリは黒井に、
「ライダー共を捕えたのは本当だな?しかし何故直ぐ殺さなかった?」
と尋ねる。すると黒井は
「奴等を徹底的に痛めつけ、絶望の淵に叩き落してから殺した方がいいだろう?」
とチーターカタツムリに言う。チーターカタツムリは
「成る程……。流石は仮面ライダー3号だ、いい判断だな」
と黒井を褒めた。
「それで、捕えたライダー共は何処だ?」
そう質問するアリマンモスに黒井は
「待て、その前に俺の妻子を解放してくれ。それがお前達の為に働く条件だった筈だ」
と返す。チーターカタツムリは
「ああ、そうだったな。おい!お前達!」
と黒井に言われて戦闘員に指示を送る。すると黒井の妻の美佐代と娘の愛理が現れた。美佐代は黒井に
「貴方……」
と不安げな声で言い、愛理も
「パパ……!」
と涙ぐんでいる。そんな妻娘を前にした黒井は
「……大丈夫だ、俺が必ず守るから……」
と2人に言う。そしてチーターカタツムリは黒井に
「よし、じゃあ早速奴らを始末しようぜ!」
と言うが、黒井は首を横に振る。
「いや……、その前に俺の妻子を完全に解放してもらいたい」
と返す。チーターカタツムリは苛ついた様子で
「ああ!?何言ってんだ?お前は俺達の奴隷になるんだろ?ならお前の妻や娘も当然俺達の物だ!お前に選択する権利は無いんだよ!」
と言い、アリマンモスも
「とっとと捕まえた仮面ライダー共を見せろ!」
と黒井に詰め寄る。
「くっ……!」
黒井は悔しがるが、チーターカタツムリに殴りかかられ壁に吹き飛ぶ。更にアリマンモスにも蹴飛ばされて地面にうずくまる。そんな夫の様子を見ていた美佐代は
「貴方!やめて下さい!」
と夫を助けようとするが、愛理を人質に取られてしまい動けなくなる。チーターカタツムリは倒れている黒井の首根っこを掴んで立ち上がらせる。そして、
「何故見せない!まさか嘘を付いていたのではないな!?」
と凄むがその時、
「半分正解だ!!」
と声が響く。チーターカタツムリとアリマンモス振り返ると、美佐代と愛理を捕えていた筈の戦闘員の内3人が他の戦闘員を倒していた。
◇ ◇ ◇
「何っ!?」
驚く2体の怪人の前で戦闘員に変装していた俺達は変装を解く。
「貴様は本郷猛!」
「一文字隼人と天川昴も!」
俺達は黒井の家族を助ける為に廃工場に呼び出された戦闘員に紛れ込み、黒井達を救出するタイミングを狙っていたのだ。そして俺達が戦闘員を倒した事で美佐代と愛理は解放された。チーターカタツムリとアリマンモスは黒井から離れる。
「貴方!」
「パパ!」
「美佐代、愛理!無事だったか……!」
「ああ、俺達が助けたからな!」
と俺と本郷は言う。黒井はそんな俺達を見て
「お前達……、ありがとう……」
と言うので俺はこう返した。
「言っただろ?奥さんと子供を助けるってな!」
それを聞いたチーターカタツムリは怒り心頭になり俺達に襲い掛かるが、俺達はそれを捌きそれぞれ変身する。
「「「「変身!」」」」
仮面ライダー1号・2号・3号・ギンガが並び立った。
「おのれライダー共!」
「皆殺しにしてやる!」
チーターカタツムリとアリマンモスが俺達に攻撃してきた。俺はチーターカタツムリの攻撃を躱して、
「とおっ!」
とパンチを繰り出すがチーターカタツムリは素早く回避する。そしてアリマンモスも加わり俺達に攻撃を仕掛ける。激しい格闘戦が展開され、チーターカタツムリは粘液をまき散らして、俺達の動きを封じようとした。
「くっ……」
何とか躱すが、その隙にアリマンモスが俺に体当たりを仕掛けてきた。俺は吹き飛ばされたが、体勢を立て直して反撃を試みる。チーターカタツムリも俺に攻撃しようとしたが、背後から3号に蹴飛ばされた。
「ぐおっ!?貴様……!」
チーターカタツムリが体勢を立て直して構えようとする。しかし、俺達の攻撃は止まらない!俺はチーターカタツムリに向かい、ギンガドライバーを押し込む。
『ギガンティックギンガ!』
必殺の破壊光弾が発射され、チーターカタツムリに命中する。
「うぐあっ!?」
更に3号が
「ライダーキック!」
必殺キックでチーターカタツムリを追い打ちした。俺達の必殺技を喰らったチーターカタツムリは、
「む、無念ん~!」
その場に倒れ込み爆散する。アリマンモスも1号と2号を相手に怪力を対抗しようとしたが、歴戦の戦士である2人の勢いを止められず、
「「ライダーダブルキック!!」」
必殺のコンビネーション攻撃を受け、アリマンモスもまた爆散する。こうして黒井の家族は解放された。俺は変身を解除し、黒井に
「お前はこれからどうする気だ?」
と質問する。家族が居るとはいえ、黒井もまた改造された身、これからの事をどうするか気になったからだ。すると黒井は
「俺は……、この力を家族を守る為に使うまでだ」
と言う。そして、俺達に
「お前達も一緒に戦ってくれないか?俺1人では家族を守り切れるかどうか不安だ」
とお願いしてきたので俺達は快諾した。こうして黒井はゲルショッカー残党達を倒す為に俺達に協力する事になったのだった……。
◇ ◇ ◇
黒井の家族が立花レーシングクラブに保護された後、滝は改めてアメリカに帰国することになった。
「俺は、皆の事を決して忘れない……」
そう言って涙ぐむ滝。そして本郷と握手する。立花のおやっさんが、
「また帰ってこいよ!」
と言い、俺も
「こっちも手はまだまだ足りないですしね」
と言った。滝は
「ああ!昴も元気でな!」
と言ってアメリカに帰っていった。立花レーシングクラブのメンバーも手を振り、本郷と一文字も笑顔で見送った……。こうして1つの戦いの区切りがついたのだった……。
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