【悲報】一般サラリーマン、目を覚ましたら厳つい男たちに囲まれてた   作:モモンガ大好き倶楽部

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13-1話

 

 

 

 

 

 

 

革命軍本部 バルティゴ

 

 

 

会議室にてモモンガとドラゴン、イワンコフ、そして半年前に新加入しそのまま一気に幹部まで登り詰めたイッショウの4人は極秘の会談を行っていた。

 

ちなみにくまは早めの産休に入ったジニーにつきっきりである。本作戦に是非とも参加したいと申し出てきたが、幹部陣全員の反対を受けて今回は居残りである。

 

 

 

「時は来た。我が死の騎士の軍勢の総数は2,700と少し。予定よりもだいぶ少ないが……むしろ決行の時期を早められたことを喜ぶべきだろう」

 

「ああ。"魔王の呪い"の映像がよほど効いたらしい。あの一件以来、世界中の奴隷商たちがより闇の中へと身を潜めた。廃業した者も少なくはない。事実確認済みだ」

 

「ンン〜〜〜〜素晴らしいわ!! 同胞たちの活躍のおかげで各地の奴隷は続々と解放されているし、バッカみたいに強いイッショウちゃんも加入して大活躍してくれてるし、天竜人を崇めるクソ政府の打倒はもう目の前ね!! ヴァターシ、ドキドキし過ぎて胸から心臓が飛び出そうッチャブル!!!」

 

 

3人の表情は明るい。残る1人も少し顔を綻ばせてから、今一度空気を引き締めるためにチン、と鍔鳴りを行う。

 

 

「油断しちゃぁいけねぇ。あっしはこの通りの目なんで見れていねぇが、モモンガさんのやつぁよっぽどの映像なんだろう。だってのに、奴らは懲りちゃいねぇ。また動き始めていやがる。いやはや……廃業したと見せかけて陰でコソコソと活動するなんて姑息な真似、あっしには到底真似できやしませんね」

 

「確かにイッショウの言う通りだ。奴らは懲りぬ。だが人というものは忘れる生き物だ。それが恐怖であろうとな。だからこそ奴らが慢心し、少しずつ動き始めたこのタイミングで今一度思い知らせてやる」

 

 

魔王・革命同盟軍の目標は罪なき民衆を救うこと。そのためには天竜人の廃絶と腐った政府上層部の一掃は不可欠。

 

そして今、革命軍がその前身たる自勇軍であった頃から長年求めてきたそのチャンスが訪れている。

 

故に、革命軍のリーダーたるドラゴンがモモンガの言葉の後を続ける。

 

 

「わかってはいたが、天竜人擁する世界政府上層部には一切反省の気配が無い。未だ天上金の減額は無し。飢える民たちから取り上げる食糧の量もそのままだ。奴隷の解放と同時に、諸悪の根源を叩かねばなるまい」

 

「ンン〜〜〜〜情状酌量の余地無し!! 奴らは根絶やしね!!」

 

「人様に迷惑をかけちゃあいけねぇ。投げた石は必ず返ってくる。それをアイツらに教えてやりやしょう。何ならあっしが隕石を"聖地"に落としてやってもいい」

 

 

ズシズシの実の能力者、イッショウ。

 

重力を操る彼は隕石すら引き寄せることができる。その広域破壊能力はモモンガを超え、罪無き民のために奮戦する姿勢も相まってあっという間に革命軍の軍隊長を任された実力者である。

 

 

「それもアリではある。だが、隕石に潰されてあっさりとお陀仏など奴らの死に様には相応しくはなかろう。長年に渡り民を苦しめてきたのだ。相応の報いを受けさせねばなるまい。ちょうど良い魔法がある。だからそれは私に任せてもらおう。まあ、最初の一発くらいは景気付けにやってもらっても良いがな」

 

「おお、任せときんさい。デカいのを落としやしょう。しかしおっかねぇな。モモンガさんの"魔法"ってやつはどうも恐ろしいやつばっかりで敵わんね。本当にお前さん、そんな力を持っていながらよく善良な心根でいられたもんだ。もう叶わねぇが、是非とも顔を見てみたい」

 

「そう褒められても何も出ないぞ。そして私の顔面はただの骸骨のソレと変わらん。さあ、話はもう終わりだ」

 

 

モモンガが目配せをする。この場にはいずれも覚悟完了した心身共に強者が揃っている。誰1人として日和っている者はいない。

 

 

「ここで一気に叩くぞ。奴隷制度をこの世から駆逐し、そして天竜人を地獄に叩き落とす。奴隷制に与する者には未来永劫安寧は訪れないと奴らに思い知らせるのだ!!!」

 

「「「おう!!!」」」

 

 

 

今回の作戦目標は二つ。

 

 

 

一つ、全世界の奴隷商を拠点ごと潰す。モモンガの『転移門』にて各地に次々と死の騎士を送り込み、隠れ潜む奴隷商を皆殺しにした上で拠点を完全に破壊する

 

一つ、天竜人を"神の地"に幽閉した上で兵糧攻めを行う。マリージョアでは作物を育てることができない。故に下界から食糧を徴収している訳だが、その運搬船を全て拿捕する。そして供給を絶った上で"神の地"をモモンガ、イッショウ、死の騎士で包囲。トドメに"神の地"の食糧庫を破壊する

 

 

 

前者は簡単だ。

 

なにせ既に標的の拠点には諜報用の下僕が潜入済みで、拠点の内部構造及び監禁されている奴隷の位置は完全に把握できているため、スムーズに進むことは間違いない。

 

 

後者、特に天竜人の幽閉という点が比較できないほど難易度が高い。

 

何故なら『天竜人を敢えて苦しめて殺す』ために長い時間が必要となり、今までモモンガが行ってきた暗殺のようにすぐに終わるものではないからだ。

そして首尾よく天竜人を閉じ込めたとして、その救援に来る政府側の強者たちとの激しい戦いが起きるだろう。

 

確実に世界を揺るがす戦いになる。

 

ただし勝算が無いわけではない。モモンガは勝ち目の無い戦いはしない。そしてその根拠の一つとして、現在の革命軍は海軍に勝るとも劣らない巨大な勢力と化していることが挙げられる。

 

イッショウのような在野にいた強者や、『天竜人という世界の癌を野放しにしておきながら、これまで決して民衆に手を出していない魔王を敵対視する』上層部に対し疑問を抱き、海軍を脱退した強者も多く合流している。

 

さらにモチベーションという点でも革命軍と政府側戦力では天と地ほどの差がある。もちろん革命軍に利があるという意味で。

 

革命軍が戦う相手は"世界の敵である天竜人及びそれを守ろうとする人でなし"だ。躊躇する要素など何一つ無い。

 

一方で政府側の主戦力である海軍兵士たちは、勝ったとしても天竜人の支配が続くだけで何も得られるものは無い。むしろ自分たちが勝てば、それ即ち民衆に対して『民衆より天竜人の方が大事』というメッセージを発信することと同義になってしまう。

 

つまりはモチベーションが全く違う。

 

多くの者が天竜人に苦しめられてきた事実は変わらない。未だ海軍に残る者たちの中にも、天竜人を快く思っていない者の方が多いだろう。

 

故にモモンガはこの作戦を採用した。奥の手(・・・)もある。いざとなればそれを切る覚悟で、犠牲となった数多の罪無き民の恨みを晴らすためにもこの作戦を実行すると決めた。

 

 

そして魔王・革命同盟軍は侵攻を開始した。

 

 

 

 

 

 

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