【悲報】一般サラリーマン、目を覚ましたら厳つい男たちに囲まれてた   作:モモンガ大好き倶楽部

14 / 14
13-2話(本編完結)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『オオオオオオオオオオォォォォォ!!!!』

 

『う、うわあああ!! 魔王軍だ!! やめてくれぇ!! もうおれは足を洗ったんだ!! やめっ』

 

『クソ、クソ、クソォ!! なにが魔王軍だ! 死ねぇ! し』

 

『ハハハ!! 死の騎士、来ると思ってたぜ!! どうだ魔王! 倒してやった……ぞ……? はは、追加で3体? 冗談だろ、もう全部使い切っちまったのに……たすけ』

 

『この船は"神"への献上品を載せた船だぞ!! その意味をわかって……ガフッ』

 

 

 

 

 

「ふむ。順調だな」

 

 

革命軍本部にてモモンガは奴隷商人及び、天上金と食糧を運ぶ船に乗る者たちの上げるあらゆる断末魔を聞いていた。

 

送り込んだ2,000を超える死の騎士の内、何体かは返り討ちにあったようだが、即座に増援を送ることで殲滅は順調に進んでいる。

 

天上金と食糧を載せた船の拿捕は呆れるほど簡単であった。この期に及んでまだ『天竜人の威光』を信じ、自分たちが襲われることは無いと信じていたのだろう。

 

 

「船の方で海軍本部に通報している者がいるな。好都合だ。天竜人に関わる者からの通報なら無視できまい。こうして政府側の兵力が分散し、マリージョアから目が離れるほど第二の作戦がやり易くなる。ドラゴン、軍団員による奴隷の解放は?」

 

「それも順調だ。奴隷商の拠点近くに待機させておいた船で順次脱出させている。特に航海術を持つ元海軍の者が非常に役に立ってくれている。今のところ現場に駆けつけた現海軍の者もいない」

 

「それは良い報せだ。あの"人でなし"共に奴隷を回収されては意味が無い。そして殲滅自体はもうじき終わる。奴隷の解放が終わり、ノロマな海軍が拿捕された船の痕跡を探し始めた時。そこが第二の作戦のスタートだ」

 

「……始まるな。モモンガ、イッショウ。打ち合わせには無かったが……おれもマリージョアに出よう。総力戦だ」

 

「いや、ダメだ。ドラゴンにはこの戦いが終わった後に世の混乱を抑え、新世界政府を作るという重要な役割がある。イッショウは連れて行くが、お前は残れ」

 

「しかし……!」

 

「私の"奥の手"はむしろ味方が少ない方が都合が良いんだ。そして撤退させるための隙すら無い可能性もある。ドラゴンを失う訳にはいかない。イッショウは重要な役割があるため外せないが、そういう意味でもここは引いてくれ」

 

「ドラゴンさん。任せてくだせぇ。あっしとモモンガさんであのゴミ共をとっちめてやりますんで」

 

「……わかった。健闘を祈るぞ。モモンガ、イッショウ」

 

「ああ、任せておけ」

 

 

 

幾ばくもしない内に全世界の奴隷商の拠点は壊滅した。奴隷は全員保護された。そして拿捕された天上金を載せた船の捜索のために、海軍の戦力が散らばっていく。

 

それらを見届けたモモンガは己とイッショウ、そして残った全ての死の騎士を"神の地"に転移させた。

 

 

『ご機嫌よう。この世のゴミ共。さあ、魔王たる私は再びこの地を踏んだ訳だが……出迎えは無しか?』

 

 

モモンガのメッセージは『一度会ったことがある相手』には問答無用で送ることができる。そして一度目の"神の地"侵入の際に、完全不可知化を使用していたモモンガは全ての天竜人とこっそり対面していた。

 

つまりこのメッセージは"神の地"の全ての天竜人に伝わったのだ。

 

 

 

魔王の再臨に"神の地"は大パニックに陥った。

 

 

 

しかし彼らは逃げることはできない。

 

気付けば魔王の下僕の死の騎士は下界への出入り口に数十体集まっており、さらに2,000を超える数が"神の地"を囲むように等間隔で配置され、天竜人を脱出させまいと威圧していた。

 

 

「バカめ!! むざむざ姿を現わしおって!! 今こそ魔王を討て!!」

 

 

当然"神の騎士団"は出てくる。

 

しかし、すぐにモモンガに向かう足を止めることになった。突然マリージョア全体に影が落ちたからだ。見上げれば、巨大な物体が落ちてきている。

 

 

「なんだアレは……まさか"隕石落とし"か!? おのれ!!! ここは聖地だぞ!! あんな大きさの隕石が落ちれば何もかも消えてしまう!! なんということを!!!」

 

 

イッショウの力によって、聖地マリージョアを丸ごと潰すことのできる巨大な隕石が落ちてくる。当然、神の騎士団はそれを無視することはできない。

 

なぜなら隕石は一度落ち始めてしまえば、もうイッショウを殺そうとも止まらない。そして魔王軍には一瞬で長距離を移動できる謎に包まれた技術がある。マリージョアがどうなろうと魔王軍は全くダメージを被ることは無い。

 

つまり神の騎士団は魔王などに構っていられず、なりふり構わずに巨大な隕石に攻撃を仕掛け、それを破壊することに全リソースを集中しなければならなかった。

 

 

『ああ、私たちはお前たちの奮闘ぶりをここでゆっくりと見させていただこう。邪魔をするなどという無粋な真似はしない。聞こえるかゴミ共。お前たちの騎士団とやらがこの地を守るために頑張ってくれるぞ。一緒に応援しようじゃないか。さあ、がんばれ、がんばれ』

 

「お、おのれぇ!! 神の騎士団総員!! 全力で隕石に攻撃を仕掛けよ!!! マリージョアを守れ!!!」

 

「が、がんばるえ!! わちきたちを守るえ!!!」

 

 

全ては魔王モモンガの掌の上だった。

 

必死に上空に向かって攻撃を仕掛ける神の騎士団。そしてそれに喉が潰れんばかりに声を張り上げて声援を送る天竜人たち。

 

それを他所に、護衛の死の騎士に囲まれたモモンガは背後に10メートルの青白く光るドーム状の魔法陣を展開する。

 

 

「あ! 魔王のやつ卑怯だえ!! 邪魔しないと言ったのに何かしてるえ!!」

 

「ぐ……くそぉ!! 総員手を止めるな!!! まずは隕石を破壊するんだ!!!」

 

 

ブーイングを飛ばすことしかできない天竜人たち。そして魔法陣に気付きながらも隕石への総攻撃を止めることができない神の騎士団。

 

しかし怒涛の攻撃の前に、すぐそこまで迫った隕石にヒビが入る。

 

恐るべき破壊力だった。なぜあれほど巨大な隕石に飛ぶ斬撃や打撃でダメージを与えることができるのか、モモンガは不思議でならなかった。

 

 

「やはりこの世界の上澄みは規格外だな……正面からやり合うのはリスクが高過ぎる」

 

「モモンガさん。流石に神の騎士団なんて名乗る奴らぁモノが違う。あいつら間に合っちまうなぁ。もう一個、隕石落としやしょうか?」

 

「いや、いい。もう発動する(・・・・・・)。私たちの勝ちは確定した。さて、天竜人諸君。食糧庫の破壊ついでにこの地を本当の不毛の地にしてやろう。そして貴様たちが虐げてきた民たちの痛みを少しでも知るが良い」

 

 

 

神の騎士団は見事に隕石を破壊してみせた。上がる天竜人たちの歓声。そして破壊された隕石の破片が降り注ぐ中、同時に発動したモモンガの魔法を彼らはむざむざと見届けることになった。

 

 

 

「超位魔法。『黙示録の蝗害(ディザスター・オブ・アバドンズローカスト)』。私にしか使えぬ、地獄の黙示録に準えた魔法だ。その苦痛をとくと味わえ」

 

 

 

 

爆発的な光。神の騎士団の目を焼いたソレが収まった時。

 

 

 

天使が降臨していた。その天使の下半身は馬に似ている。そして金の冠を被り、翼と(サソリ)の尾を持っていた。

 

 

 

天使がラッパを鳴らす。その音と共に空間が歪み、何者かが姿を現す。

 

それは巨大な(イナゴ)だった。召喚主と同じく蠍のような尾を持ち、ガチガチと顎を鳴らしブンブンと不快な羽音を撒き散らす凶悪な見た目の蝗。

 

揺らぎは止まらない。蝗たちの出す音はやがて耳を覆いたくなるほどの大音声になり、気付けば数千万もの数が召喚されていた。

 

 

「な……」

 

 

神の騎士団は絶句した。誰が見てもわかる。あの凶悪な姿。そしてアレほどの数。これこそが絶望。どうすれば良いと言うのか。

 

モモンガは呟く。あまりの騒音に、それは隣にいるイッショウにすら聞こえない。

 

 

「ゲーム時代の効果は、『一つのエリア内において存在する飲食アイテムを強制的に破壊』。そして『尾で刺された敵プレイヤーはエリアに存在し続ける限り永続ダメージを受ける』ものだったな。エリアから出てしまえば終わりだし、飲食アイテムなどまた買えば良い。そして痛覚はプレイヤーに存在しないから刺されてもただ鬱陶しいだけのものだ。だが、ここではどうかな?」

 

 

天使の号令で蝗たちは神の騎士団と天竜人たちに襲い掛かる。一匹一匹の戦闘力は騎士団であれば対抗し得るものだった。しかし、その数は数千万。あっという間に飲み込まれていく。

 

ブスリ、と誰かが蝗の蠍尾に刺された。その瞬間、絶叫が上がる。

 

 

「ぎゃああああああああああああ!!!!!」

 

「ぐあああああああああ!!! いたい、いたい、いたいいたいいたいいたいいたいいたい!!!」

 

「た、だすげっ……だずげでぐれぇ!!」

 

 

神の騎士団と天竜人たちはもはや哀れに逃げ惑うのみ。しかし刺された者から崩れ落ち、あまりの痛みに地面をのたうち回った。

 

 

「アバドン。地獄の黙示録に記された『蝗害を神格化したもの』と言われる。黙示録によればアバドンの召喚された蝗に刺されたものは『死ぬことを許されず、5ヶ月に渡り凄まじい痛みに苦しんだ』という。良かったな。たった5ヶ月で終わるらしいぞ? お前たちが虐げてきた人間たちの苦痛には遠く及ばないが……しっかりと味わえ。そして5ヶ月後、全員楽にしてやろう」

 

 

魔王の死刑宣告は誰にも届かない。

 

なにせ神を騙る不届き者たちは、全身の穴という穴から全てを垂れ流しながら苦しむことで忙しいからだ。

 

そして蝗たちが次に目を付けたのは食糧庫。しかし群がったと思えばすぐに通り過ぎ、後には何も残っていない。その繰り返しでマリージョアは本当の更地になった。

 

蝗はパンゲア城も、その地下に眠る国宝も。存在を秘匿されたその全てを喰らい尽くしていく。

 

これがかつて神代の世で恐れられた蝗害を再現する魔法。

 

 

「さて、5ヶ月だ。それだけあれば革命軍が各地の混乱を抑えることもできるだろう。私の出番はここで終わりだ」

 

「まあ、どう見てもこいつらは5ヶ月動くことはできねぇでしょうよ。しかしモモンガさん。あっしが言うのもなんだが、あんた何者なんだい? 出すもの出すもの妙な気配ばっかりで頭がこんがらがっちまってね」

 

「まあ、それはおいおい話そう。今は帰ろうじゃないか」

 

「……ま、そうしやすか」

 

 

 

 

 






モモンガたちが去った後のパンゲア城跡地の地下


???「ぎゃあああああああああああああ」

五老星「な、なんてことだ……」








※切り札切らずに終わりました。経験値消費するアレです。ドラゴン特効らしいので天竜人に効果ばつぐんとか書けたら良かったなぁと思ったり。でもこれで終わりです。

※モモンガさんだけが使える超位魔法はArkadia版に名前だけ出てた気がする(うろ覚え)。名前の元ネタだろうアバドンは実は作物は襲わないとか。でもイナゴなら作物食うやろ、とこの小説では独自解釈しました。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
※参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。