【悲報】一般サラリーマン、目を覚ましたら厳つい男たちに囲まれてた   作:モモンガ大好き倶楽部

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短いがキリがいい






第9話

 

 

「"神の地"にて許されざる罪を犯した天竜人を1人暗殺し、"聖地に篭っていれば安全"というゴミ共の安全神話を破壊する。その映像を世界経済新聞に我が"魔王軍"の名でリークし、全世界に発信させる」

 

 

ドラゴン、イワンコフは静かな怒りを燃やす魔王の顔を黙って見ていた。

 

天竜人の殺害という禁忌に対し2人は何も反対せず、会議室は静かだった。

 

しかし今から己らが為そうとしていることの重大さに。ここから世界を変えるのだという強い決意を胸に。

 

そして天竜人という存在すら許されない悪鬼に対する憎しみを抱き、その場の全員のその目はギラギラと輝いていた。

 

会議室の3人(・・)は同じ決意を胸に抱く同志であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

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死神(モモンガ)による天竜人への死刑宣告がなされる少し前。

 

ジニー救出が決定した会議室にてモモンガ、ドラゴン、イワンコフ、くまの4人による会議は継続して行われていた。

 

 

「マリージョアに侵入し、ジニーを救出するにあたっていくつかのクリアせねばならぬ問題点があると私は思う。ただし!!」

 

 

モモンガはゆっくりと周りを見渡し、改めて己の規格外さを宣言する。

 

 

「基本的に私に常識は通用しない(・・・・・・・・)と思ってもらって良い。『名案だと思っても現実的に無理そうだ』というような案でも、私なら実現できる。逆に言えば、私には無い発想こそが私の持つ魔法の限界をさらに超えた成果を生み出す可能性を持つ。だからドラゴン、イワンコフ、くま。忌憚なくどんどんアイデアを出して欲しい」

 

「頼もしいな……わかった」

 

「ンン〜〜〜〜わかったわ!!!」

 

「わかった」

 

 

誰しもが活発に発言したおかげでブリーフィングはつつがなく進んだ。

 

そうして定められた作戦目標は以下の四つ。

 

 

 

一つ、侵入するメンバーはモモンガとくま。作戦行動中は『完全不可知化(パーフェクトアンノウンアブル)』で完全に姿と気配を隠蔽する

 

一つ、ジニーの解放に併せ、他の奴隷もモモンガの魔力が保つ限り『爆発する首輪』を破壊し解放。即時"変装"したイワンコフの待つ拠点にニキュニキュの力で飛ばす。これでモモンガの魔力(リソース)を転移ではなく首輪の破壊に集中させ、より多くの奴隷を解放することができる

 

一つ、"神の地"の住人に、此度の襲撃に革命軍が関わっていることは絶対に悟らせない。逆に魔王軍の仕業であることは全力でアピールする。故にくまは顔を隠し、モモンガは常の姿のままで行動する

 

一つ、ジニー救出後に万一戦闘となった場合、くまは即時離脱しモモンガと下僕が殿を務める。ただし2人がジニーのもとへ辿り着く前に戦闘となった場合、モモンガは派手に暴れて時間を稼ぐ。その間にくまはジニーを連れて脱出する

 

 

 

「目標は多く挙げたが、絶対目標はジニーの解放である。私の名と恩師の言葉にかけてこれは必ず達成する」

 

「決まったッチャブルね!! 決行時期はいつかしら!? ンン〜〜〜〜ドキドキしてきたわ!!」

 

「ああ。革命軍始まって以来の超難易度の任務だ。くま、その時が来れば必ずやり遂げてこい」

 

「任せてくれ、モモンガ。しかし今更だが……ジニーは今マリージョアにいるのか? 天竜人の中には奴隷を連れ回す者も多くいる。もしかしたらジニーも……」

 

 

モモンガは手でくまの言葉の先を制した。戸惑うくまに対し、モモンガが優しく声を掛ける。

 

 

「くま、先程も言っただろう。私に常識は通用しないとな。実はジニーの特徴を教えてもらった直後から全世界の下僕に通達していた。ジニーを見つけ居場所を報告せよ、とな。そして我が下僕は先ほどの我々の会議の間に見事に成果を上げたようだ」

 

 

ガタッ!! と音を立てて椅子から立ち上がるくま。そのまま目を血走らせてモモンガに歩み寄る。それをいつの間にか傍に立っていたドラゴンが止めた。

 

 

「くま。落ち着け。この計画の鍵はお前だ。冷静になるんだ」

 

「……ああ、すまない。居ても立っても居られず……モモンガ、それでジニーは」

 

「ああ。我が魔王軍に不可能は無い。見ろ、この海図を」

 

 

モモンガの手に握られたソレを受け取ろうとしたくま。その体が突然に力を失い、前のめりに倒れた。

 

モモンガはくまの体を優しく抱き止める。そして片手でドラゴンとイワンコフを制した。

 

 

「ベッドを用意して欲しい。くまはおそらく何日もロクに寝ていないのだろう。不意打ちになったが睡眠魔法をかけさせてもらった。くまはこの作戦に必須であり、万全の体調で臨んでもらわなくてはな」

 

「……今更お前が裏切るとは思わん。だが、驚いたぞモモンガ」

 

「そうね。でも確かにくまちゃんはここ1ヶ月ずーっと動きっぱなしだったし……一番良いベッドに寝かせてあげましょう」

 

 

イワンコフがくまを抱えて出て行く。

 

 

「して、モモンガ。もはや言わずともわかるが……いるんだな。ジニーはマリージョアに」

 

「ああ。誘拐したと思われる天竜人も確認した。そして……今まさに奴の筆舌に尽くし難い所業も下僕を通して私は見ている」

 

 

この場を今すぐに飛び出したい者はくまだけではない。モモンガとてそうだった。しかし焦りは失敗を招くこともまた知っている。

 

故にモモンガは耐えた。襲撃は夜が良い。闇夜に紛れ、作戦の成功率を上げることができる。

 

ドラゴンはそれを全て察した。

 

 

「……事が終わればジニーと思われる女性の映像をお前とイワンコフに見せよう。もしかしたら他人の空似ということもあるかもしれない」

 

「モモンガ。可能ならば今見せて欲しい。我々とて革命軍。そして今や魔王軍の同盟者だ。お前だけに背負わせる訳にはいかないだろう」

 

「ヴァターシも同じ意見ね。モモンガちゃん。ヴァターシたちは仲間よ。良いことも悪いことも分かち合うの」

 

 

丁度戻ってきたイワンコフもまた優しい言葉をかける。モモンガはやはり革命軍を同盟相手に選んで良かったと心から思った。

 

 

「では見せよう。『水晶の画面(クリスタルモニター)』。見えるか? ゴミが人間を嬲る様子が」

 

「見える。そしてこれがこの世で当たり前に行われている光景であることもおれは理解している。改めて……モモンガ。絶対に打ち倒すぞ。このようなゴミを蔓延らせている政府上層部を。そしてこのゴミ……天竜人たちを」

 

「ああ」

 

 

そして時は冒頭に戻り、モモンガによる死刑宣告が行われた。

 

作戦決行は今夜。くまが十分な睡眠を取り、気力を取り戻したタイミングで開始される。

 

 

 






〜会議中の一幕〜



「"ここ"に現れた時のように、マリージョアに転移魔法で直接乗り込むことはできないか?」

「"今は"できない。目的も無く赴くにはリスクが高かったからな。だが今回行けば今後はいつ何時であっても行けるようにはなる。転移の条件は『私が一度その地を訪れること』だ」

「ほう、つまりお前は実は"ここ"に一度来ているという訳だ。全く気付かなかったぞ。その隠密能力はマリージョアでも存分に発揮して欲しい」

「もちろんそのつもりだ。しかし、すぐ離れたとはいえ拠点に無断で侵入したことに対して謝罪をしていなかったな。すまない」

「不問としよう。我々の目的のためには些事に過ぎん」

「ンン〜〜〜〜許す!! ヴァターシのシャワーも覗いてないみたいだしね!!!」

「だから言っているだろう……シャワーは覗いてはいないと」

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