Fleet Gear~狂った歯車~   作:刹那・F・セイエイ

3 / 7
第一話ということもあって、ちょっち張り切りすぎたかも。


下準備編
#01 提督着任


ここはとある辺境の鎮守府、執務室。そこにはうら若き乙女が数人、思い思いに過ごしていた。だが、そこにいるのは、ただの乙女ではない。彼女達は、突如として現れた深海棲艦(しんかいせいかん)と呼ばれる不明勢力に対抗するため、帝国海軍の艦船を模して開発された艦娘(かんむす)と呼ばれる生体兵器である。

その中の一隻、重雷装巡洋艦北上が超弩級戦艦大和に声をかける。

 

「ねぇ、大和。今日新しい提督が着任するんだってね」

「ええ、これで10人目の提督」

 

それを聞いて急に黙った北上を不審に思い、大和が声をかけようとして、やめた。北上とは初代提督が着任する前からの付き合いで、彼女が何を言わんとしているのかはおおかた予想がついた。

それにしても、奇妙な偶然があるものだ、と大和は苦笑する。この岩川基地が稼働してから10年目、そして、その節目に着任する提督が10人目。これで提督の転属が10回目だったら笑うしかない。

 

「大和さん、どうかされましたか?なにやら楽しそうですが……」

「なんでもないわ、赤城。ところで、加賀はどこに?」

「大和さん、失礼ですが「どちらの」加賀をお探しでしょうか?私の相方のほうなら昼寝中ですが……」

 

大和に加賀の現在地を聞かれ、つい聞き返してしまう赤城。この岩川基地には加賀型が二種類おり、空母型の加賀型と、戦艦型の加賀型の同じ名前の艦種の違う艦娘が存在している。ちなみに、巡洋戦艦型の赤城も存在しており、そちらは天城型の二番艦となる。

 

「起こして」

「了解」

 

相方の加賀を起こしに執務室を出た赤城と入れ違いに、戦艦の加賀が入ってくる。

 

「基地周辺海域、哨戒終了。周辺海域に敵影、及び不明船の反応、認められず」

「了解、あとは休んでいいわ」

 

加賀はひとつ礼をとって執務室を出て行き、今度は空母の加賀と赤城が入ってくる。加賀はまだ寝起きなのか、眠そうな顔をしている。

 

「赤城、加賀、特命よ。13:00(ヒトサンマルマル)着任予定の新提督をお迎えにあがって」

「「了解」」

 

赤城と加賀はふたりそろって礼をとり、執務室から立ち去る。特命を下してひと息ついたのか、大和は疲れた表情を浮かべて眠りだした。よほど疲れていたのだろう。そんな大和を見て、北上が微笑む。

 

「お疲れ様、大和()()

 

 

「ここか、岩川基地。俺の次の転属先」

 

佐世保鎮守府で借りたクーペから一旦降りて岩川基地の全景を眺める男。しばらく眺めて満足したのか、再びクーペに乗り込み、エンジンをかける。

 

「申し訳ありません、いくら行き先が同じとはいえ、図々しく便乗を頼んでしまい……」

 

ピンク色の髪色とは似つかわしくないクールな感じを漂わせるこの少女は、陽炎型駆逐艦の二番艦「不知火」。しかし、今はそんなクールな感じは微塵も感じられず、ただただ申し訳なさそうにしている。

 

「いや、構わんよ。どうせ雪風(おつれさん)はヘトヘトだったんだろ?」

「ええ、そうですが……」

 

ふと、後ろからそーっと覗くような視線を感じ、振り返るとびくりと身体を震わせてシートの陰に隠れる彼女は、陽炎型駆逐艦八番艦「雪風」。「不沈艦」「幸運艦」ともてはやされた彼女が、何故こうも他者との接触を拒むのか、いずれ聞く必要がありそうだ。

 

「まぁ、いいさ。いずれわかることだ」

「………?どうされましたか、司令?」

「いや、なんでもない。急ごう」

 

不知火にややせかされるようにしてアクセルを踏み込み、岩川基地へと急ぐ。その先で待ち構えている運命の歯車の導きも知らずに……

 

 

新提督到着予定時刻から早30分を過ぎたころ、加賀は夢の世界の住人と化そうとしていた。それを度々赤城が起こして連れ戻す。

 

「加賀、起きなさい。新提督の前でだらしない姿を晒したいの?仮にも一航戦の正規空母が」

「知らないわ、そんなこと。第一、こんな中途半端な時期に転属する新提督が悪いのよ」

 

赤城の叱責に対し、加賀は我関せずといった具合に「だらしない姿」を晒す。まったく、戦闘以外はだらしないんだから……とヘボい相方につい泣きたくなる赤城。こんな空母で大丈夫か?

そんなこんなでだらしない相方を叩きつつ、新提督の着任を待つことさらに30分。ようやく一台のクーペがこちらに向かってくるのを見た。おそらくは、ハンドルを握っているのが今回着任する新提督だと思うのだが、車内にはなぜか本日転属予定の陽炎型の二隻の姿も見える。道に迷ったから拾ってもらったのか?そんな風にボーっと考えていると、自分たちの前にクーペが停車し、中から新提督と陽炎型の二隻が下りてくる。

 

「到着時刻、60分をオーバー。あまりにも遅いので帰ろうかと思いました」

「申し訳ない、もらった略図が役に立たなくてな。それより、お隣の相方が立ったまま寝てるようだが、起こさなくていいのか?」

 

結局寝たのか、と相方の焼き鳥製造機に失望しつつ、赤城は新提督にあいさつする。

 

「岩川基地、第一航空戦隊所属、赤城型航空母艦一番艦、赤城です。そして、隣で立ったまま器用に寝てるのが、同じく第一航空戦隊所属、加賀型航空母艦一番艦、加賀です。って、起きなさい、この死に損ない」

「誰が死に損ないよ、この人殺し長屋。相方が大・大・大好きなお姉様でなくて、こんな死に損ないの欠陥空母で悪ぅございましたね~」

 

人殺し長屋と相方に言われてキレたのか、相方の煽るような見下すような言い回しにムカついたのかはよく覚えてないのだが、新提督と陽炎型駆逐艦二隻を無視して隣の元戦艦空母に掴みかかる。

 

「なんですって、この鈍足空母!!鈍重な戦艦ベースの空母だからいつもいつもノロノロとして隊列乱して、ムカつくのよ!!」

「元巡洋戦艦だからって、速力鼻に掛けてるんじゃないわよ、この慢心女王!!私なら姉代わりになれると思ってたけど、こんな憎たらしい妹、邪魔なだけよ!!」

 

みっともない姿を晒してぎゃあぎゃあと互いを罵り合う一航戦の二隻。互いが互いしか見ていなかったため、どちらも気づくことはなかった。当基地の最高司令官がこちらへ向かってきていることに……

 

 

一航戦の二隻が唐突に喧嘩を始めたため、どうしていいものかと陽炎型の二隻と提督がオロオロしていると、空母二隻が一隻の超弩級戦艦の両脇を固めるようにして闊歩している姿が見えた。何をするつもりだ?

 

「新提督が遅れるのは想定の範囲内でしたが、昼間からくだらないことでみっともない喧嘩をするのはやめなさい」

「「黙ってなさい、この戦艦ホテル!!」」

 

止めにきたのであろう戦艦に対しても暴言を吐いた二隻の空母に呆れ果てたと思われる彼女は、突然両手を握り締めて空母二隻にワンツーパンチを食らわせる。鳩尾にクリーンヒットし、意識を刈り取られた一航戦の二隻を無視するようにして自己紹介をはじめる。

 

「お見苦しいところをお見せしてしまい、申し訳ございません。岩川基地、連合艦隊旗艦、大和型戦艦一番艦、大和です」

「ああ、まさか10回目の転属先がこんな賑やかなところだとは思わなかったよ。本日付けでリコリス・ヘンダーソン基地より転属となった、刹那だ。よろしく頼む」

 

深海棲艦が現れてから数十年、こうして迎撃するための艦娘や前線基地が世界中のあちこちに点在しているのだが、市民の中には非人道的な艦娘の運用を反対する声もあり、時折プラカードを掲げてデモを起こしている。そんな市民から身を守るために、軍属に所属する者は通名を名乗るのが暗黙の了解となっている。

 

「本日付けで呉鎮守府より転属となります、陽炎型駆逐艦二番艦、不知火です。ほら、雪風。隠れてないで挨拶しなさい」

「か、陽炎型駆逐艦八番艦、雪風です……」

 

ややビクついた感じで挨拶し、終わったら終わったでさっと不知火の陰に隠れる雪風。………ホントに何があったんだ?

 

「第五航空戦隊所属、翔鶴型航空母艦一番艦、翔鶴です」

「同じく、第五航空戦隊所属、翔鶴型航空母艦二番艦、瑞鶴よ」

「翔鶴、瑞鶴、提督に岩川基地を案内して差し上げなさい」

 

どうやら、この基地の現司令官は大和らしく、慣れた感じで五航戦の二隻に指示を下す。その指示に従い、五航戦の二隻は慣れた手つきで提督たちを案内する。五航戦のうち、翔鶴が提督を、瑞鶴が陽炎型の二隻を案内することになった。

 

「提督、こちらが執務室となります」

「小奇麗だが、さっきまで誰か使ってただろ?絶対」

「あっ、はい。先程まで大和司令がおられましたが、それが何か?」

 

ここじゃ、艦娘が提督を務めるのか……珍しい基地もあるもんだな、とボーっと考えていると、陽炎型の二隻を案内し終えたであろう瑞鶴が、いつの間にか翔鶴の隣に立っていた。

 

「瑞鶴、いいの?」

「次は提督の案内でしょ?翔鶴姉、どの辺から案内したらいい?」

 

五航戦の二隻が次に案内する場所を考えているのか、ああでもないこうでもないと思案している。そして、案内先が決まったのか、翔鶴姉妹がいそいそと準備を始める。

 

「翔鶴、瑞鶴、これからどこへ?」

「提督、これから我が基地を支える工廠ドックへご案内します」

「道中暇だろうし、聞きたいことあったら聞いてよ」

 

生真面目な姉に、フランクな妹。奇妙だが、面白い姉妹だ。さて、何を聞こうか……

五航戦、就役からわずか二ヶ月ほどで真珠湾攻撃に参加、さらに珊瑚海海戦で空母レキシントンを撃沈する大戦果を挙げたエリート部隊。ミッドウェー海戦後は一航戦の座を引き継ぎ、レイテ沖海戦で矢尽き刀折れるまで奮戦した。

 

「………あの、提督?」

「ん?どうした」

「最近、工廠ドックの妖精さん達が新兵装の開発に行き詰まっているらしく、作業も滞っているそうです。提督のお力添えがあれば、工廠ドックに活気が戻るやもしれません」

「おかげでみんなだらけちゃってさ、サボってばっかし」

「………そいつは問題だな、そのうち「気が乗らないから艤装修理しません」とか言いかねん」

 

個人の範疇なら問題はないのだろうが、基地運営においては致命的問題だ。なんとかやる気を取り戻してもらわないと……

その後は特に会話らしい会話もなく、提督と翔鶴型の二隻は工廠ドックへと着いた。見ると、確かに翔鶴の言うとおり各班の作業状態は芳しくなく、瑞鶴の言うとおりサボってばかりいる。だが、全員が全員サボっているわけではないらしく、工廠長と思われる女性の張り上げる声がこちらにまで聞こえてくる。そのまま翔鶴の案内であちこち見回っていると、先程の声の主がこちらへ向かってきた。

 

「悪い悪い、新兵装の改修作業が滞ってイライラしててな。つい怒鳴っちまってよ。ん?あんたが今日着任するって言ってた提督かい?あたしはここの工廠長をやってる三石(みついし)ってんだ、よろしく頼むよ」

「ああ、よろしく頼む。ところで、新兵装というのはどちらに?」

「ああ、今案内するよ」

 

工廠長の三石に案内され、改修作業中の新兵装のもとへと行く提督。どうやら、工廠長は新兵装とやらに否定的らしく、度々「なんであんなモン改修しなきゃなんねーんだ……」とか「次の大規模な作戦で必要とはいえ、あれを改修してどーしようってんだ……おかげでうちの若いもん連中がへこんでんじゃねぇか……」とか愚痴っている。工廠長すら嫌がる新兵装ってなんなんだ?

 

「………これだよ、作業が滞ってる原因。こいつのせいで、若いもん連中のやる気がなくなっちまったんだ」

 

工廠長に案内された先にあったものを見て、提督はようやく工廠長の愚痴の意味を理解する。なるほど、そういうことか。それなら、作業が滞るのも、無理はない。

 

「………こんなモン、何に使おうってんだ……?」

「提督さんよぉ、そらこっちが聞きてぇよ。まだ作戦ってやつは始まっちゃいないらしいからまだ安泰だろうけど、実装するってわかったら暴動が起きるぞ……恨むぜ、対潜女王さんよぉ……」

 

対潜女王とやらがいったい誰を指しているのかは不明だが、この基地に所属している艦娘の誰かであろうことはなんとなくわかった。

 

「おい、若造共。何チンタラやってんだ!!とっとと作業に戻れ!!」

 

工廠長の怒鳴り声に、蜘蛛の子を散らすようにして作業に取り掛かる作業員たち。工具を片手に作業を再開した工廠長に別れを告げ、再び五航戦に案内される。

「ああ、そういえば、我が艦隊の艦娘達を紹介していませんでしたね」と翔鶴が思い出したように所属している艦娘達の紹介を始めたため、聞きに徹することにした。さて、どんな話が聞けるのだろうか……

 

 

気絶させた一航戦の二隻を入渠施設へ放り込み、イライラした感情を抱えながら執務室へ戻ろうとする大和。まったく、普段はああも喧嘩っ早い二隻ではないのに……何があったんだ?

そんなことを考えながら廊下を歩いていると、廊下の手すりに腰掛けている北上を見つけ、北上もこちらに気づいたのか、片手を挙げて呼んでくる。

 

「大和、ちょうどいいところに来たね、探す手間が省けたよ」

「何の用?北上」

「ああ、ささやかながら提督着任の歓迎パーティーでもやろうかと思ってさ。ほぼ一年ごとに提督入れ替わってるようなもんだけどさ、歓迎はしたいじゃん?」

 

にひひ、と楽しそうな笑みを浮かべる北上に対し、「まぁ、いいでしょう」と歓迎パーティーの開催を許可する大和。もっとも、北上の性格だから、自分が許可を出さなかったとしても勝手に進めるだろうから単に歓迎パーティーのお誘いに来たのだろう。

 

「ところで、開催はいつです?どうせ今日なんでしょう?」

「察しがいいね、大和。20:00(フタマルマルマル)開催予定、仕事あるんならそれまでに済ませといて、遅刻厳禁だよ」

 

北上はそう言い残して、腰掛けていた手すりから飛び降りる。相変わらず器用なやつだ、陸上でバックロールエントリーをやってのけるなど。毎度思うのだが、よく頭をぶつけないな。

とりあえず、北上のことは頭の隅に追いやり、執務室の片付けの続きをしようと執務室へ入ると、妹の武蔵の姿が見え、大和は慌てて目をこする。やはり幻覚だ。今度の提督は本当に大丈夫なのだろうかと散らばった書類を片付けつつ、机の上の整頓を始める。

 

あまり気負うなよ、大和。一度全部信じて任せてみろ、そう悪い男でもないだろう?

 

ふと、妹の声が聞こえた気がして、慌てて辺りを見回すが、やはり武蔵はいない。幻覚に引き続き、今度は幻聴か。疲れているのか?それとも私は、心のどこかで妹のぬくもりを求めているのだろうか?

 

お前は昔から考えすぎて空回りする理屈タイプだ、感情に任せて行動するというのも、悪くはないはずだ。少しは北上を見習え、あいつの自由奔放さは見てて飽きん。

 

………言いたいことはわかるが、何故北上を引き合いに出すのだ我が妹よ。正直、北上と並んで何を考えているのか全然わからない妹には毎度振り回されがちだったが、いなくなって感じたのは心細さと寂しさだけだった。今はどこで何をしているのか、そもそも生きているのかさえ分からない。

よろよろと執務室の壁にもたれかかり、妹のことを思い出し、涙する。ねぇ、あなたは無事に生きてるの?今どこで何をしているの?どうして帰ってこないの?

 

「ねぇ……武蔵」

 

あなたは今……何をしているの?

 

 

基地施設の案内を受けている途中に出会った北上の予告通り、歓迎パーティーが始まった。点在するテーブルに並ぶ数々の料理は、連合艦隊旗艦の大和が腕によりをかけて振舞ったものらしく、かなり気合の入ったレパートリーとなっている。………これでいつものメニューとか言ったら、いろんなところからクレームが飛んできそうだ。

どの料理を取ろうかと少々悩んでいると、大和に呼ばれ、基地にいる艦娘を紹介したいとのことで招集をかけようかと持ち掛けてきたのだが、やんわりと断る。艦娘の紹介なら、五航戦の翔鶴から受けている。そこでふと、翔鶴から受けた各艦娘の紹介を思い出す。

 

まず紹介を受けたのは大和型、基地司令を兼任する連合艦隊旗艦、大和は岩川基地が稼働してからずっとここにいるらしく、幾多もの艦娘や提督の入れ替わりを見てきたのだそうだ。妹の武蔵は、建造を工廠ドックに依頼したところ、やや暴走した工廠長の鶴の一声で建造が決定し、めでたく進水したらしい。ちなみに、現在はMIAで、目下捜索中とのこと。

 

次に空母艦隊の花形、南雲機動部隊。赤城、加賀の一航戦コンビは元は別の鎮守府にいたのだそうだが、追い出されて行く当てがなかったところを拾われたらしい。航空戦のトップエースにふさわしく、艦載機は震電改や彗星一二型甲、流星などの新型機ばかりで構成されている。飛龍、蒼龍の二航戦コンビは一航戦コンビほどではないものの、なかなかの戦果を挙げているらしく、艦載機は紫電改二や彗星、天山などの優秀な性能の艦載機を搭載して前線に赴いているそうだ。ちなみに、二航戦コンビがここへ来た理由は、武蔵同様建造で、とのこと。

翔鶴、瑞鶴の五航戦コンビは南雲機動部隊の陰に隠れ、目立った活躍は見られないが、それでも加賀が認めるだけの腕前はあるらしく、艦載機も二航戦コンビと同じ紫電改二や彗星、天山の搭載を具申してもらえるなど、エリート部隊の名に恥じないだけの練度を有している。五航戦コンビがここへ来た理由については、詳しくは聞けなかったが、二隻の様子をうかがう限りあまりいいものではないのだろう。

吹雪、綾波、夕立の三隻は同じ鎮守府にいたのだが、吹雪が綾波とともに当基地に逃げるように転属したところ、夕立が嗅ぎ付けて追いかけてきたそうだ。現在、綾波は消息不明で、武蔵同様目下捜索中とのことだが、失踪理由もわかっていないため、そちらも調査せねばならないと各方面から愚痴とぼやきが飛んできている。

 

第六駆逐隊は当時在籍していた天龍姉妹とトレードする形でショートランド泊地から転属してきた四姉妹。普段から仲が良く、いつも一緒に過ごしているらしい。数年ほど前から暁と響が一言も口を利かなくなったのだが、雷も電も理由がさっぱりわからないらしい。

北上は大和と同じく、岩川基地が稼働してからずっとここにいる最古参で、この基地の艦娘で唯一大和を呼び捨てにできる権利を持っているそうだ。もっとも、唯一というのは妹の武蔵を除けば、の話だが。重雷装巡洋艦の艦種にふさわしく、各種魚雷の特性と癖を完全に把握しており、太平洋を隔てたアメリカ連邦より酸素魚雷と引き換えに手に入れたMk14を()()()()として用いているほか、酸素魚雷よりさらに扱いが難しくより危険な純酸素魚雷を自ら開発し、姫タイプの深海棲艦をすでに10隻以上も撃沈しているエースキラー。ちなみに、純酸素魚雷はかつての相方の大井にも渡そうとしたそうだが、「そんな危険な魚雷を簡単に扱えるのは北上さんだけ」と言われて受け取りを拒否されたらしい。

 

五十鈴は武蔵や二航戦同様に建造で手に入れた艦娘で、対潜水艦に滅法強く、仲間内からは「対潜女王」の二つ名を頂いているとのこと。ちなみに、現在はなんと横須賀鎮守府に栄転を果たしたらしく、日夜厳しい訓練に励んでいるという。

伊58は、壊滅したブルネイ泊地の生き残りで、発見されたときはもはや生きているのが不思議なくらい衰弱していたそうだ。現在でこそなんとか元気にやってはいるものの、時折ボーっとしている姿を散見でき、なんとかならないものかと心配されている。当人曰く、「ブルネイから一緒に逃げてきた伊号潜水艦の仲間がいたはずなのだが、何故か思い出せない」とのこと。

天城型、加賀型については、それとなく聞いてみたものの「哨戒任務ばかりで戦闘能力は未知数」で、どんな戦闘力を有しているのかは誰も知らないらしい。巡洋戦艦と大型戦艦の姉妹だ、きっと有用な戦力になってくれるだろう。

新たに入った不知火と雪風も加え、少しずつ艦隊の規模を大きくしつつある岩川基地。これからの艦隊指揮に期待と不安を抱きつつ、一日が終わった。

 

――次回予告――

 

初日に案内し損ねた箇所を案内する第六駆逐隊

だが、ある場所へ行こうとした瞬間、彼女たちの態度が一変する

次回、『基地案内』

ときには、知らないほうがいいこともある




次回は第六駆逐隊が主役の予定。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。