誰か描いてくれ〜〜〜!!
とある日、先生はいつものようにキヴォトスを回っていると、ミレニアムサイレンススクールから呼び出しがあった。
「全自動くすぐりマシーンとはね……入力された生体データを元に対象のウィークポイントを分析し的確な位置に的確なくすぐりをする、マッサージマシンからこんなものができるなんて流石はエンジニア部だね……」
「これ捕まえるのすっごい大変だったんだからねー! 下手に近づくと捕まってくすぐられちゃうし、そもそも腕がいっぱいあるから近づかないし!」
エンジニア部が開発した全自動くすぐりマシーン、通称くすぐりくんに走行機能を付けミレニアム生徒の情報を入力したところ暴走をし、ミレニアム生を無差別にくすぐりまくったらしい。
「ありがとうねモモイ、ところで他のゲーム開発部のみんなは?」
「みんな捕まってくすぐられすぎて動けなくなってるよ」
「そんなになんだ……」
くすぐりの機能は確かなものらしく、他にもくすぐられて行動不能にまでなった生徒も少なくないらしい……
「いやあでも良かったよ、私くすぐりとかそういうの弱いからみんなの足を引っ張っちゃってたかもしれないし」
「先生ってくすぐり弱いの?」
「うん、めっちゃ弱い」
私が着いたときにはもうくすぐりくんは機能を停止しており、事態は収束に向かっていた。
私が着く前にゲーム開発部やC&Cなどが協力をして止めてくれたらしい。
今は捕まらず無事だったモモイにことの顛末を聞きながらゲーム開発部の部室で一緒にゲームをしている。
「ふ〜ん、先生ってくすぐり弱いんだ〜……えい!」
「ひゃあ!」
「…………」
「…………」
モモイに脇腹をつつかれる。
突然のことに驚き変な声が出てしまった。
私の出した声に驚いたのかモモイが黙ってしい、私もそれにつられて黙ってしまう。
「ほんとに弱いんだね……」
「だから言ったじゃん! もうやめてね、ほんとに弱いから」
「……うーんでもやめろって言われたらやりたくなっちゃうのが人の性だよね〜」
「……モモイ? その手は何? なんで手をワキワキさせながら私に近づいてくるのかな?」
「この部室はいわば私のテリトリー、逃げられるとは思わないことだね先生!」
「うわぁ!」
モモイに押し倒され馬乗りになられる、いわゆるマウントポジション。
この状態では乗られた側は碌な抵抗ができなくなる。
つまりピンチということだ。
「ふっふっふ〜、先生がどれだけくすぐりに弱いのか見せてもらうよ〜」
「まって!? それは本当に洒落にならないよ!?」
「ええい問答無用ー!」
「あっちょっ、まっ、アハハハハ! モモイっ、やめっ、アハハハハハハハ!」
「ほらほらほらほら〜! 抵抗しないともっとくすぐっちゃうよー!」
マウントポジションといっても別に腕を押さえられたりしているというわけではないため抵抗ができないということはない。
「アハハハハ! モモイっほんとにやめっ、痛った! まって足つった! 足つったから!!」
「え〜? ほんとに〜? やめて欲しくて嘘ついてるんじゃないの〜?」
「ほんと! ほんとだから! い"っ"!? まってなんか背中もピキっていった!」
空いている手で相手を突き飛ばすなどすればどかすことができる。
だが先生が生徒に手を出すなんてことがあってはならない。
そのため出来ることはどうにかして説得をすることだけなのだ。
「そこまで言うならやめてあげようかな〜? どうしようかな〜?」
「お願いモモイ、もうやめて……」
「!?」
先生が必死に静止を呼びかける。
その顔は赤く火照り、笑いすぎたせいか目には涙が浮かんでいる。
くすぐりから逃れようとした結果、髪は乱れ全身は汗ばんでいる。
乱れた髪は顔に貼り付き、横髪の一部が口元に垂れてきている。
着ていたシャツは汗で透けてぐっしょりとして体に貼り付き、透けたシャツの下からは、紅潮した肌と大人らしい落ち着いていてどこか魅力を感じさせる下着がのぞいていた。
「お願い、モモイ……もう、許して……」
呼吸を乱し浅く息を吐きながら涙目でこちらに縋るように懇願する先生の顔を見たとき、モモイは今まで感じたことのない感情を覚えたような気がした。
それと同時にどこかの鍵が開くような音も聞こえた。
「ご、ごめん先生……ちょっとやりすぎたかも」
「大丈夫だよ、あといったん降りてくれると嬉しいんだけど……」
「あ! ごめん今どくね!」
モモイが先生の上からどくと、先生はつった足を直してから立ち上がった。
まだ痛むのか背中はさすっている。
「ごめん、まさかあそこまで弱いとは思わなくって……」
「いいよそんなに謝らなくても、でも次はやめてって言われたらやめるようにね」
「うん……」
先生は乱れた髪や服を直し、荷物をまとめる。
(さっきの先生の顔すごかったな……なんていうかこう、すごく……って私何考えてるの!?)
「——イ? —モイ? モモイ聞いてる?」
「ふぇ!? ああごめんなに?」
「とりあえず解決はしてるみたいだから私は一旦シャーレに戻ろうかと思うんだけど」
「あ、ああうんわかった、外まで送ってくね」
「ありがとう」
(どうしよう!? 先生の顔がちゃんと見れない!? なんで!?)
二人で部室を後にする。
先生はまだ痛むのか背中をさすりながら歩いている。
部室を出たところで一人の生徒に出会った。
「あらモモイ、それに先生こちらにいらしたんですね」
「こんにちはユウカ、どうかしたの?」
「いえ、くすぐりくんの件でなにがあったのか報告をしようと思ったんですけど……ってどうしたんですか?」
「い、いやなんでもないよ? ちょっとぶつけただけで————い"っ"!?」
「大丈夫先生!? やっぱ私がやりすぎちゃったから……」
「大丈夫だから気にしないで、最近運動してなかったつきが回ってきたようなものだし」
(……? モモイがやりすぎた? 何を? 多分手で整えたであろう少し乱れている髪、まだ赤みが引き切っていない顔、汗で体に貼り付いて少し透けている服、痛めたように腰をさする手、それを心配そうに見つめるモモイ、これらから導き出される答えは————!?)
「え、あ、その、えっと……」
「ユウカ?どうしたの?」
「し、失礼しましたーーー!!」
「えちょユウカ!? ……行っちゃった」
何か考えるそぶりを見せたと思ったらユウカは走り去ってしまった。
「どうしたんだろう……?」
「さ、さあなんだろうね?」
「まあ、とりあえず私は帰るね」
「うんわかった、その気をつけてね……?」
「モモイ大丈夫? なんかさっきから少しおかしいような……」
「だ、大丈夫! 大丈夫だから!!」
「……そう? まあいいや、じゃあまたね」
「うん、また」
そう言って先生はシャーレに帰って行った。
また今度先生が来たときにモモイの様子がおかしくゲーム開発部のメンバーに怪しまれたり、ユウカから質問攻めにあったりするかもしれないがそれはまた別のお話。
「うぅ〜〜〜!! これから先生の顔ちゃんと見れる気しないよーーー!! あなたたちのせいだよーーー!!」