人が次第に朽ちゆくように
国もいずれは滅びゆくー
千年栄えた帝都すらも
いまや腐敗し生き地獄
こんな腐った地獄、俺が解放してやる!
俺が帝国状況……腐った世の中だと知ってしまったのは、文官だった父の秘密を知ってしまったからだ。
帝都住まいの文官で、父は夜な夜な平民の女性を食べて暮らしてきた。女遊びが酷かったが、これが貴族の道楽。これが普通だと思って生きてきた。母が生存してた頃からの悪癖。俺も父の血を引いてるから、家を存続させるために生かされてるだけで、父子との会話等はまともに無い既に終わっている家だと思っていた。
文官としての表の顔はよく昼は仕事に生きている。いつかはこの家を継ぐのだと思っていたが、正直どうでもよかった。なんなら、貴族の地位を捨てて、根無し草でテキトーに生きてもいい、情熱と言う言葉から対極な位置に属する程テキトーに日々怠惰に過ごしていた。
俺の家には父しか入れない強固に閉ざされた部屋があり。俺は絶対入るな。これのみがルールとして、後はタバコをふかすぐらいしかする事の無い日々。酒はダメだ。俺には体質があわないらしく、意識が失うだけの毒と対して変わらない……退屈。なんのために生きているか本当にわからない人生。
そんな俺の日々が大きく変わる出来事があった。
貴族の家らしく、宝物庫なんて部屋があるがガラクタばかりで退屈を凌ぐ時間稼ぎにもならなくて広い屋敷で、気まぐれに宝物庫を漁っていた所、何に使うかわからない“二対の鍵”を見つけた。今までこんな物があったか知らなかったが俺は謎に興味を惹かれて手に取る。
何の鍵が分からないが、どう見てもこんな鍵で開閉するような物は無さそうな鍵。しかも、二対の鍵は無骨な細いチェーンで繋がれてる。この長さも絶妙に微妙……
「なんだこれ?」
久しぶりに3文字以上の言葉を発したな。父親とは、「はい」か「いいえ」の2択でしか話して来なかったから、自分でもビックリした。
よく分からない鍵だが、チェーンの長さもあってか振りましてみる。知的好奇心がどんどん湧いてくる。俺ですら、よく分からないがどんどん気分が高揚していき、秘密を暴きたい。衝動に駆られる。この鍵を手にした途端に自分の中の閉ざされた何が開放された。
気づいたら、俺は我が家の掟の父のみが入れる秘密の部屋の前に居た。父が持っている鍵以外では絶対開かない強固な扉。俺が持っている二対の鍵では刺さらないはずと分かっていながらも頭の中の『開けろ』と言う言葉に操らて鍵穴にさす。
ギィー
重く閉ざされた扉が開く。中には色々な書類や薬品の数々。それらに目を通して行く……
「腐っている」
人体実験の情報だったり、麻薬に関して。汚職の数々。これは人がする事では無い。完全に踏み外している。知れば知るほど吐き気を催す。
父の裏の顔を知り、あれが人?否、人の皮を被った化け物だ。
身内の恥?
そんな正義感じゃないが、気づいたら、二対鍵のチェーンで父の皮を被った人ならざる物の首を思いっきり絞めて殺害していた。
気づいた時には窒息し、冷たくなった化け物……思考がどんどんクリアになって行く。
実父を殺害したのに、我ながら冷静だ。
二対の鍵を手にしてから、『開(あば)け』の本能に従い、知ってしまった秘密。そして、父の暗殺。思考がクリアになった瞬間に、自分の中の何が開いた。この二対の鍵の使い方だ。
どんなものでも絶対に開き、そしてどんな物でも絶対に閉ざす。貴族として噂で聞いたことある“帝具”と呼ばれる物の1つだ。
“帝具”……1000年前、帝国を築いた始皇帝の命により造られた48の超兵器。超級危険種やオリハルコン等の稀少な金属、太古に滅亡した国の技術等、既に再現不可と言える物品や人材、技術を寄せ集めて生み出され、その性能は強大で、一騎当千と言える力を発揮する。
二対の鍵が語りかけて来る。“超越開閉”マスターキー。それが己の与えられた名だと。
この鍵を使って、殺害した父の秘密の部屋へ父の死体とこの部屋の鍵を入れて、強い意志で閉ざす。これで、この部屋は破壊しない限り、絶対開かない開かずの間になった。
次に、なるべく目立たないように外套を纏い。首巻で顔の下半分を隠し身支度を整える。
シメディー・ヒラケノール改めて、俺はこれから家名を捨てて、ただのシメディーとして生きようと決意し、煙草に火をつけて一服した後、20年間生きてきた屋敷に火を放って夜の街へ消えた。