帝国1000年の歴史を閉じる   作:o-17

12 / 26
11話 タツミを開く

 

 

剣での決着。相手は、帝具の酷使で耳から血が出ている。そんな状況で、身体に注射を挿して強化しだす。ブラート兄貴は漢と書かれた鎧の中に収納されてるインクルシオの鍵となる剣を構える。

 

「兄貴が勝つな」

「いいや、リヴァだな」

「どっちかは死ぬだろうな。それはおたくの方がだろうな」

 

俺達がどっちが勝つか言い合ってると、斬り合いが始まる。手負いの動きとは思えない。どっちが俺と相手でも、多分簡単に殺されそうだな。これこそ死闘。だが、この決闘もすぐに決着がつくだろう。

本当に一瞬だった。その一瞬の隙をブラート兄貴がついて、一閃。身体を斜めに切り込まれて倒れていく。勝った。

倒れて行く瞬間途端に相手はニヤっとして、奥の手を発動。自分の血液を飛ばし始める。水を操る帝具なのはわかっていたが、血まで対象だったのか。その一瞬にも反応してブラート兄貴は血を弾き飛ばして行く。

そして、リヴァ元将軍はエスデスの元へ来た理由を語って行く。ボロボロのブラート兄貴をタツミが介抱しに行くが、最期の話を聞き進めて居ると突然……

 

「お前の命だけは貰って逝く」

 

凄く嫌な予感がした。ブラート兄貴が死ぬ。どうすれば助かる?相手の話によると、ドーピング注射には毒も混ざってたらしく、最期の奥の手の血を飛ばす攻撃は、ブラート兄貴の身体の中に血を入れ込むための行為だったらしい。

「早く手当てを」

 

タツミが慌ててる。それに対してブラート兄貴は。

 

「まだ戦いは終わってないぞ」

 

と、指を指す。相手のちびっ子が帝具の笛で奥の手を使ったようだ。途端に強化されて、筋肉が解放されて行く。俺もブラート兄貴に近づく。

流れ出る血、さりげなく。俺はマスターキーでブラート兄貴の血流。弁を無理やり施錠して行く。

 

「兄貴すまねぇ」

 

このままブラート兄貴が亡くなるのはきつい。神とブラート兄貴の生命力に祈るしか無いが、血を止めて仮死状態にさせて貰う。

それでも、ブラート兄貴は生命力が高いのか、インクルシオの鍵となる剣をタツミへと託す。

 

「タツミ、お前に託す」

 

元ちびっ子は、タツミにインクルシオは無理だと馬鹿にしてくるが、ブラート兄貴は一喝。タツミに使えと促した後、気絶する。気力だけでここまで動いてた兄貴は凄い。そして、俺は最後の施錠。気絶したブラート兄貴の心臓を止める。まだ、毒で死ぬまでに至ってない。早く毒を抜いて、心臓を動かせばまだブラート兄貴は助かるはず。賭けだが、ブラート兄貴には止まって貰った。

そして、ブラート兄貴ならタツミを殴っていただろうから、俺が本気でタツミを殴る。

 

「タツミィ ブラート兄貴の決意を無駄にするな。冷静にそれでも心は熱く。だろっ」

「すまねぇ、シメディーさん。俺、やるよ」

「あぁ、お前ならできる。ブラートの兄貴が認めたお前だ。兄貴ならこういうはず、心から叫べ『インクルシオ』と」

 

 

 

タツミ視点

 

 

シメディーさん。俺が無理やりなし崩しで入って今では自分の居場所だと思っているナイトレイド。

そこへ、突然現れた。長身で身体を外套で隠し、更には首にも布を巻いて顔も半分すら分からない謎の男。わかるのは、寡黙だが目は凍てつくように冷たい視線をしてる。

そんな謎の男だったが、俺が尊敬する兄貴を俺と一緒で物凄く尊敬してて、寡黙ながらに俺とよく鍛練することで、この人は真っ直ぐな人だと思った。

そして、今。兄貴が俺を鼓舞し帝具のインクルシオを託して来て兄貴は気絶した。シメディーさんが帝具で無理やり気絶させたみたいだ。俺の勇姿見ていてもらいたかったが、シメディーさんの考えがあるらしい。

シメディーさんは、俺に兄貴の代弁者として言ってくる。

 

「あぁ、お前ならできる。ブラートの兄貴が認めたお前だ。兄貴ならこういうはず、心から叫べ『インクルシオ』と」

 

相手の不安にさせてくる声は何も聞こえてこない。シメディーさんが兄貴をどうにかしてくれる安心感。2人からの信頼。俺はできると自信が湧いてくる。

 

「インクルシオォオオオオ」

 

俺は、2人から託された兄貴の熱い想いとシメディーさんからの冷静で安定した落ち着く言葉。この2つを胸のそこから解放し叫ぶ。

自分の背後から、今も生きてると言われてる素材となった超危険種のタイラントが俺に適合させて、鎧を変形させて行く。そして、俺にインクルシオは応えて身体に纏われていく。

「ナイトレイドの名を騙り暗殺を繰り返したエスデス軍……報いを受ける時間だぜ!!」

 

インクルシオをまとえて、俺は凄い力が湧いてくるのがわかる。ボスが言ってた殺し屋としての掟を教えてやろう。

 

 

 

シメディー視点

 

タツミがインクルシオを纏う。ブラート兄貴には見えて居ないだろうが、俺は肩を貸してタツミの凄さをブラート兄貴に語ってやる。

 

「ブラート兄貴。タツミは凄いやつだ。兄貴が見込んだ通りインクルシオを纏うだけじゃ無くタツミに合わせて変化……嫌 進化しやがった」

 

兄貴は穏やかな顔だ。だが、魂には通じてると想う。普段は自分の世界に閉じこもってずっと思考してる俺が、ずっと語り続ける。

 

「ナイトレイドの名を騙り暗殺を繰り返したエスデス軍……報いを受ける時間だぜ!!」

 

タツミの口上。強い意志を感じる。

 

「いきなり凄い調子に乗っているね!」

「わかるんだ。鎧が強制的に俺の力を上げているのが……」

 

第三者でも、わかる。今のタツミは可能性の塊だ。まるで、今まで封がされてた才能が開かれた様だ。

 

「お前は俺が倒す!!」

「やってみろぉおおおおおおお」

 

お互いの拳がぶつかりあう。

 

「やれ、タツミ」

 

俺も応援の言葉を出す。ブラート兄貴にも見せてやりたかったぜ。ブラート兄貴の分もしっかり見届ける。

ぶつかった拳だったけど、そのままタツミは殴り飛ばし、壁へ叩きつける。

凄い才能だ。瞬発的なパワーは正直ブラート兄貴の本気を今超えてた気がする。

「よくやったな。タツミ。ブラート兄貴にも見せてやりたがったぜ」

「いや、兄貴の想いは俺の心の中で叫んでた気がする」

「タツミがそう思うならそうなんだろうな。今、ブラート兄貴は仮死状態だ。魂がタツミに宿ってたのかもな」

「あぁ、冷静だけどとても熱く拳を震えたぜ」

 

その後、俺たちはまだ船の中で気絶してる人達を利用して、できる限りのブラート兄貴の応急処置をして行く。それと、同時に帝具3つを回収して、今回の任務は無事達成された。

 

「シメディーさんありがとう」

「こちらこそ……な」

 

川の上。船上での帝具使い同士の戦いは終わった。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。